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山形県 17歳 アザナ
選ばれてびっくりしています。でも、とても嬉しいです! 絵本なのでやわらかくてほんわかした作品ができるといいな。自分の考えたストーリーがどんな絵とあわさるのか、わくわくします!
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タイトル「雨ふりと種」
僕は黒猫
雨の止まない街でたった一匹暮らしてる
僕は生まれて一度も雲の向こうを見たことがない
一体どんな世界なんだろう
僕は一度でいいから雲の向こうを見たいと思った
ある日 街に一人の種売りがやってきた
看板には『願いかなえます』と 書いてあるだけ
「どんな願いでも?」
「さぁ、どうだろうね」
種売りはクスクスッと笑うと 僕に種をひとつぶくれた
「大切なのは 信じること 君はどんな願いをさかせるのかな」
そう言って僕の前からいなくなった
僕は種をうめた
何よりも雲の向こうを見たいと願った
僕は独り 種が芽を出すのを待っていたけど 独りは寂しかった
へたり込みそうになった時・・・・・・・・・たった一人
小さい男の子がパンをくれ 傘をさしてくれた
「きっといつか芽が出るよ」
それから男の子は僕と一緒に芽が出るのを待ってくれた
男の子と一緒だと 待ってる事も辛くなかった
「男の子と一緒に芽を見たい」
僕は 雲の向こうなんてどうでもよくなっていた
けれどある日 男の子はサヨナラも言わずどこかに行ってしまった
男の子のお母さんが 僕と一緒にいたらだめだって
僕は悲しくて しっぽがしおれるくらい泣いた
そして、いつしか僕は待つ事をやめてしまった
ある夜、僕は夢を見た
そこにはあの小さな男の子
僕の頭をなでて
「一緒に芽を見れなくてごめんね・・・・・・」
そう言って一粒の涙を流した
すると今度はいつだったかの種売りがやってきて
「種を待つのを止めて・・・・・・君は 雲の向こうを見たくないのかい?」そうほほえんだ
そして
「君の望みは何だい?」
と、あの時と同じ事を言った
「僕・・・・・・・・・雲の向こうよりも・・・ 男の子と一緒に芽を見たい・・・・・・ どっちも・・・独りで見たって楽しくない」
種売りは涙を流す僕を そっとだき上げた
「大丈夫・・・・・・君ならきっと願いがかなうよ」
そう言って 頭をなでて消えてしまった
朝
僕は目を覚ましてすぐおどろいた
「芽が出てる!!」
土のあいだから 力強くひらくふたば
そして 僕の横には 傘をさした小さい男の子が立っている
「どんな花がさくんだろうね」
男の子はニッコリ笑ってそう言った
あのね・・・・・・・・・
もし・・・・・・あの時君がいなかったら・・・・・・僕はここまで信じて待てなかったよ
本当に ありがとう
しばらくすると、雨もすっかりやんでいた
初めて見る空の色は どの青ともくらべようが無いくらいきれいで
まるで宝石箱に入ったみたいだった
これも 芽のおかげなのかな・・・・・・
今度は この青空の下で花がさくのを待ちたいな
もちろん 君と一緒にね
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