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June 2019 の投稿一覧です。
カテゴリー: サカナクション
投稿者: nakashita
SCHOOL OF LOCK!


山口「はい、講義を始めますから席についてください。Twitterを開いている人はTwitterを閉じなさい。Instagramを開いている人はInstagramを閉じなさい。YouTubeを見ている人はYouTubeを閉じなさい。講義が始まりますよ。先週水曜日にサカナクションのニューアルバム『834.194』がリリースされまして、本当にたくさんのリアクションをいただいています。誠にありがとうございます。」


mv
『忘れられないの』のMVを見ましたー
速度制限マンが出てきた時は笑いました
最後のみんなで一列で踊ってるところが好きです
一回見た後から忘れてられなくて
何回も見返してます
Mステの演出も文字のフォントとか画面の比率とか古い感じで見てて楽しめる演出でした!

夢現(MUGEN)
男性/16歳/宮崎県


「そう!「忘れられないの」のMVが公開されました。これはね、「新宝島」とか「『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』」「さよならはエモーション」とか、サカナクションのMVを多く担当してくださっている田中裕介監督がディレクターに立って作ってくれたんですけど、僕、田中監督に言ったんですよ。「サカナクション6年ぶりのアルバム。そのリード曲の「忘れられないの」のMVは、もう、絶対に外せない!」……と、もう、プレッシャーをかけるだけかけて。ミュージックステーションの出演も決まっていたので、その演出も含めてどんなものにしようかっていう話し合いを重ねました。80年代をリアルにリスペクトを込めてやってしまおうっていう形で完成したんですけど。画角とかもね、4:3って言われている正方形に近い画角で、僕らは見慣れているんですけど、生徒諸君はあんまり見慣れていないですよね。なんとなく80年代……昔の感じだなっていうのは伝わったと思うんですが、どう捉えたんですかね。気になりますけど。僕らは、懐かしい中に新しさがあるなって最近思っていて。未来にくるものっていつも何か懐かしく感じるっていうか。だから、逆転しているんだなって感覚はありますよね。再生回数も本当にすごい伸びで。ミュージックステーションも本当に好評で……ありがとうございます。」



サカナクション/忘れられないの


834.194
834.194、リリース日に早速購入し、拝聴させて頂きました。どれも丁寧に作り込まれた名曲ばかりで、リスナーに本当に良い音楽を届けたい、という思いが伝わってきて、リリース日が伸びてしまうのも納得でした。また80年代のような懐かしさも感じられ、親世代の曲で育った私はとても嬉しかったです。イギリスのロックなどが好きだった母(魚民)にも聴かせると、「懐かしい!!!」と興奮気味でした。因みに834.194の中で私の一番のお気に入りは「モス」です。懐かしいアレンジと高揚感が堪らないです。
ミュージックステーションも拝見させていただきました。80年代感が忠実に再現されていて最高でした。songsの放送も楽しみにしています。

電線芸者
女性/17歳/愛知県


「そう。先週はミュージックステーションに出演しまして、MVの演出をそのままやったんですけど、プロモーションで名古屋とか大阪に行ってきたんですよ。名古屋では公開生放送……ガラス張りの外に面しているところでMCの方とお話しするっていうやつをやってきたんですけど。過去何度かやったことあるわけ。大体20人〜30人かな……くらいのつもりで、「よろしくお願いしまーす。」って、外につながる部屋に入った瞬間……道路一面お客さん!500人くらいぶわーっていて。なんか……僕、何が起きているのか分からなくなっちゃって、……何?人気者?(笑) 俺、人気者!? みたいな(笑)。名古屋から大阪に移動する新幹線では、「頑張ってください!」って励ましてくれる人がホームにいたんですよ……何人も。そういう経験があんまりないから、僕。そこで、新幹線、乗るわな。で、ホーム側の席の窓側だったんですよ。すると、座った窓の向こうに、ホームで待ってくれていた人たちが手を振ってくれているわけ。僕……それにどう対応すればいいか分からないじゃない(笑)。こっちはもう着席して、発車待ちなわけね。向こうはその発車待ちの僕を眺めているわけ。……これの対応方法の正解を僕の中で考えたんだけど、僕の中の正解は、"笑顔で微笑み会釈"が僕の正解だったね(笑)。あれはもう……ちょっと……恥ずかしいね。嫌だとかじゃないし、すごく嬉しいんだけど……思わず、窓のカーテンをしゃっと閉めたくなる(笑)。」

SCHOOL OF LOCK!


「そんなMステの後に、僕は軽い気持ちで……本当に軽い気持ちで申し訳ないんだけど、『NFパンチ』という番組をリリース記念で、外伝としてYouTubeだけで復活させようって、プレスリリースなしでサイン会をやって、「SNSで知りました」っていう人が来たら終了っていうので、何枚売れるかっていう検証をしたんですよ。そしたら、Twitterのトレンドに入っちゃって。何十万いいね!みたいな(笑)。僕……もう、本当に軽い気持ちだったから。本当はヘアメイクとかスタイリストの人も来てちゃんとやろうかって言っていたんだけど、ヘアメイクの人は寝坊して来られなくて、スタイリストの人は忘れて来なくて、僕は風呂上がりで髪ビタビタのまま……すって来ちゃっていて(笑)。そのまま手書きでポップを書いて、「じゃ、やりますかー。」くらいの感じでやった……本当に、本当にどうでもいい軽い企画だったんですよ。それがなんかバズっちゃって……サカナクションって今、来てる?来てるんちゃうん?みたいな(笑)。……こんな言い方をするといやらしいけど。本当にみんながこんなに応援してくださっている気持ちが理解できていなかった。今回ちゃんと実感できたので、これからもちゃんと音楽をやっていきたいと思います。……本当にびっくりするのよね……。」



山口一郎の勝手にサイン会 【NFパンチ -外伝- 】

「それでは、黒板を書こうと思うよ。」

SCHOOL OF LOCK!


今回は、ニューアルバム『834.194』を聴いた生徒に電話をして、直接感想を聞いていきます!


834.194最高です!
834.194販売開始おめでとうございます!
私は学校行く途中にフラゲしてそのまま学校にいきました。早く聴きたすぎて昼休みに友達と先生に内緒で聴いてたらバレて怒られました…が悔いはありません笑 モスがとても心に響きました…!

卵焼きは甘い方が好き
女性/14歳/千葉県


山口「もしもし!」

卵焼きは甘いほうが好き(以下、卵焼き)卵焼きは甘いほうが好きです!」

山口卵焼き、アルバム買ってくれたんだね。」

卵焼き「アルバム買いました。」

山口「学校に行く途中にフラゲして?」

卵焼き「そのまま学校に行っちゃいました(笑)。」

山口「え、学校に行く途中に買って、それはいつ聴いたの?」

卵焼き「学校に行く途中に取りに行って、学校にそのまま行って昼休みに聴いていたら、先生に怒られました。」

山口「ははは!(笑) 怒られちゃった?あれ……没収とかされなかった?大丈夫?」

卵焼き「没収はされませんでした。」

山口「そっかー……ありがとう。14歳ってことは?」

卵焼き「中学校3年生です。」

山口「3年生か。サカナクションを最初に知ったのはいつ?」

卵焼き「小学4年生です。」

山口「小学4年生か(笑)。どうやって知ったの?」

卵焼き「お父さんが『sakanaction』のアルバムを買ってくれて。」

SCHOOL OF LOCK!


山口「お、それからだ。ライブは来たことある?」

卵焼き「ライブは、この前の幕張のライブを2日間とも行きました。」

山口「え!2日間とも来たの?誰と行ったの?」

卵焼き「1日目が友達とで、2日目が家族とです。」

山口「どの辺で見てた?」

卵焼き「1日目がレギュラーの後ろ側で、2日目がプラチナムで見ました。」

山口「あ、プラチナムでも見たんだ。どうだった?聴こえ方違った?」

卵焼き「全然違いました。」

山口「あー……!6.1chって感覚わかった?」

卵焼き「はい。なんかもう……「あー!!」ってなりました。」

山口「そっか……よかった。あの6.1chを体験しちゃうと、他のコンサートに行ったら音しょぼいって思うと思うよ(笑)。」

卵焼き「他のバンドさんよりもすごく音が綺麗でした!」

山口「そうだろ、そうだろー!うんうんうん。いいぞ、いいぞー(笑)。」

卵焼き「ふふふ(笑)。」

SCHOOL OF LOCK!


山口「ちなみに、卵焼きは甘いほうが好きちゃんは今回のニューアルバムを聴いてどの曲が好きだった?」

卵焼き「1番好きなのは「モス」です。」

山口「おー。どんなところが?」

卵焼き「なんか、「モス」ってもともと「マイノリティ」って曲名だったじゃないですか。」

山口「うん。前のツアーとかではね。」

卵焼き「私が結構人と感覚がずれていて、少数派意見になりがちで。その時に「モス」を聴いて、歌詞がすごく少数派も肯定してくれていて。さらに、リズムもかっこいいっていうのに感動しました。」

山口「そっか。じゃあ、卵焼きはいつも学校とかで友達と意見が割れちゃったりすることが多いんだ。」

卵焼き「結構多いです。」

山口「それはどういう時?」

卵焼き「学級会もそうだし、私なかなか言い出せなくて……」

山口「あー……なるほどね。言い出せないんだ。」

卵焼き「はい。」

山口「この「モス」を先生が書いた時にはね……マイノリティっていう言葉って結構強烈じゃない?」

卵焼き「強烈です。」

山口「うん。だから、それを曲のタイトルにしようと思っていたんだけど、本当にマイノリティっていう部分で悩んでいる人の心の苦しみって、相当なものじゃない。卵焼きが学級会とかで、人の意見に賛同できなくて流しちゃったり、そこで苦しんでいることとか……それを全てここで代弁することは、僕は出来ないなって思ったんだよね。だから、もっと感覚的にこの曲を伝えるにはどうしたらいいのかなって。このマイノリティっていう感覚を伝えるにはどうしたらいいのかなって考えてできたのがこの「モス」っていう曲だったから。それが卵焼きの心にちゃんと届いたんだったら、僕はすごく嬉しいな。」

卵焼き「すごい……蛾で表現していてすごいなって思いました。」

山口「ははは!(笑) すごいだろ、蛾で表現して(笑)。」

卵焼き「すごかったです(笑)。」

山口「この曲ね、MVを撮ったのよ。相当ぶっ飛んでるよ。多分ね……卵焼きが見たら、最初は固まると思う。それくらい見る人を選ぶMVだから、是非見てもらいたいな。」

卵焼き「はい。」

山口「アルバム6年かかったけど、次は卵焼きが高校生在学中くらいに出そうと思うから、待っていてください(笑)。」

卵焼き「待ってます!」

山口「またライブで会いましょう。」

卵焼き「はい!」

山口「ありがとねー。ばいばい。」

卵焼き「ありがとうございました。ばいばい。」

SCHOOL OF LOCK!


今回の授業も終了の時間になりました。

山口卵焼きは甘いほうが好きちゃんは、小学校4年生でサカナクションを親の影響で聴いたって言っていたけど、自分が小学校4年生の時はフォークソングしか聴いていなかったからね。小学校4年生の子に自分たちの曲が届いているんだ……。そして、小学校4年生が、6年経つと中学校3年生になるんだっていう(笑)。当たり前だけど。それにも驚愕したな。でも、これからもちゃんとみんなに届けられるように音楽を作っていきたいなと思います。……本当にね、6年ぶりにアルバムを出して、みんながアルバムを待っていてくれたっていうこと。それに僕自身も驚いたし、感謝の気持ちもこみ上げてきたし、周りの仲間みんなにも本当に感謝だなと。今まで以上に。応援してくださっているリスナーだったり、このサカナLOCKS!のチームだったり、プロモーターやメーカーの人、マネジメントだったり……本当に感謝をしたいと思っています。次はどんなものを作るか、いつリリースされるかわからないけど、今まで以上に……当たり前だけど、手も抜けないし、今まで以上に深く潜らないとなっていう決意が湧いてきましたね。責任があるね。」

「モス」のMVがGYAO!で先行公開されています。これはね……非常に見る人を選ぶ。ある種、忍耐力のある人が得をするMVになっているので、是非チャレンジしてもらえたらと思います。「忘れられないの」とはまたちょっと違う……"なんだこれは感"がすごくあるので、楽しみにしていただけたらと思います。」

GYAO!で先行公開されている サカナクション「モス」 MV [→コチラ!]


カテゴリー: サカナクション
投稿者: nakashita
SCHOOL OF LOCK!


今週、遂にニューアルバム『834.194』がリリースになったサカナクション先生!
今回の講義は、山口一郎先生がサカナLOCKS! の職員スタッフといっしょに、ニューアルバム完成までの6年間をじっくりと振り返っていきます。いつものSCHOOL OF LOCK! UNIVERISTYの時間割を変更して、大幅に時間を延長した特別編です。

山口「6月19日にサカナクションは6年ぶりのニューアルバム『834.194』がリリースされました!ありがとうございます!生放送教室を聴いてくださった皆さん、ありがとうございました。サカナLOCKS!はね、いつも……なんて言ったらいいのかな(笑)。いつもこういう感じですよね、諏訪さん。」

諏訪「そうです。あ、どうも。作家の諏訪です。」

山口「(爆笑) ……あれ、"諏訪さん"でいいんですか?」

諏訪「あの……SCHOOL OF LOCK!は、職員の名前があるんですけど、面倒くさいので諏訪カヲルということでよろしいですか?」

山口「ははは(笑) じゃあ、諏訪さんね。」

諏訪「いつも作家として笑い声を届けているんですけど。」

山口「あと、『NFパンチ』でもね。」

諏訪「そうっすね。」

山口「僕に扮装したりしてね。」

諏訪ダミー一郎になったりしてます。」

山口「いつもこのメンバーでお送りしています。あと、ディレクターの横川さん(ヘルツ先生)。あと、デミちゃん(AD)ね。この4人でサカナLOCKS!を長く続けてきたんですけど。それでは、本日の講義を黒板に書いていきたいと思います。」

SCHOOL OF LOCK!


SCHOOL OF LOCK!


山口「今夜は、サカナクションのニューアルバム『834.194』がリリースされるまでの6年間のこと、そして、このサカナLOCKS!での6年間のことを振り返っていきたいと思います。サカナLOCKS!がスタートしたのは、今から7年前。2012年4月。諏訪さん、覚えてます?」

諏訪「覚えていますよ。」

山口「その時に打ち合わせで僕が音楽の表側だけじゃなく、裏側も見せたいということを言ったと思うんですよ。あれは、ちょうど『DocumentaLy』っていうアルバムを作っていたタイミングだったんですよ。そのアルバムは、リアル……ミュージシャンっていうのはどんな風にアルバムを作っているのかっていうところとか、音楽好きの兄ちゃん姉ちゃんが、純粋に音楽を作っている裏側も全部見せたい。アルバムの中でそれを全部見せたいっていう時だったので、全部見せていこうっていうのを言ったんだと思いますね。」

諏訪「うん、うん。」

山口「で、5枚目の『DocumentaLy』がリリースされたのが2011年9月。そこからシングルで「僕と花」「夜の踊り子」「ミュージック」と、コンスタントに……(笑)」

諏訪「信じられないね。今から考えると。」

山口「そうですよね(笑)。これをリリースをして、サカナLOCKS!をスタートして1年、2013年3月13日に『sakanaction』がリリースされました。」

諏訪「サカナLOCKS!がスタートして、1年経ってそこから6年間アルバム出していないんですよ。」

山口「……それやばいですよね。」

諏訪「よく続けられましたね。サカナLOCKS!」

山口「これ、SCHOOL OF LOCK!の講師の中でアルバム出さなかった暦最長じゃないですか?」

諏訪「そうですよ。ダントツですよ。」

山口「そうですよね(笑)。いつもはこんな感じで職員と打ち合わせをしながら、こんなことをやりましょう、あんなことをやりましょうってやりながらサカナLOCKS!を作っているんですけど、それをそのままお送りしているという(笑)。この6年間のサカナLOCKS!の中で印象に残っていることはありますか?」

諏訪「やっぱあれじゃないですか……「グッドバイ」を初解禁した時に、一郎くんが泣いたっていうのがあったじゃないですか。泣きながら曲紹介をしたっていう。(2014年1月9日の授業)」

山口「ありましたねー。もう、本気泣きでしたもんね。」

諏訪「あれはもともと、「さよならはエモーション」をシングルで出そうとしていたんだけど、今はどうしても「グッドバイ」っていう曲を先に伝えたいからっていうことで、確かシングルにしたんですよね。」

山口「そうなんですよ。CMで「さよならはエモーション」が使われていたんですよ。CM尺だけ作って、派手目なテンションで。CMも流れていたんですよね。」

諏訪「流れていましたね。」

山口「で、「さよならはエモーション」をそのままシングルとして出す予定だったんですけど、どうしても「グッドバイ」を出すと心に決めて。理由を話していくと、サカナクションの『sakanaction』って、サカナクションがぐんと行ったタイミングだったじゃないですか。紅白にも出たし、ピークを迎えているというか。サカナクションが駆け上がっていくタイミングになったアルバムでしたよね。」

諏訪『sakanaction』っていうアルバムタイトルをつけちゃったじゃないですか。だから、完全にそこで何かこう……1回目の終わりを迎えたって感じがしていたんですけどね。」

山口「それもありますけどね。でも、さらにここからスタートするぞっていう……さらにセールスを増やして動員を増やしていくにはどうしたらいいかって考えた時に、なんか……テレビに出たり、音楽業界の政治的なこと。それもどんどん利用してやっていかなきゃいけないんだなと。でも、やっていくぞっていう気ではいたんですよ。みんなにも強がっていた気がするんですけど。でも、実際……紅白とかも出て、ザッキー(岡崎)とかも、メンタル壊れちゃったりして。僕自身もちょっとおかしくなったりしてメンタルも壊れて。やっぱり無理してたなっていうのが分かっちゃったんですよね。だから、そういった当たり前の方法で作為的にわかりやすい曲をどんどん出していって、このままのスタンスで続けていくのはサカナクションとして無理だっていうのが分かっちゃったんですよ。僕はそこで「グッドバイ」っていう曲でドロップアウトしようと。そういった流れから。一個ずつ積み重ねていったもの……『sakanaction』で積み上がって、膨れ上がってバランスが崩れていたものを一回倒してまたちょっとずつ積み上げていこうという気持ちを表現したかったんだろうなって……今振り返ると思う。」

山口「自分のことってやっぱよくわかんないなって。当時、分かっていなかったんだなっていうのは、6年経って今当時のことを振り返ると……今になって分かってきたなって感じがしますよね。多分、サカナLOCKS!で泣いちゃったのも……やっとできて嬉しいっていう涙じゃなくて……これで本当にドロップアウトしちゃったなって。」

諏訪「あ、この曲をシングルでサカナクションとして出すっていうことは、そういうことなんだなって?」

山口「うん。こっちに行くよって。そういう気持ちは本気であったと思う。」

諏訪「さよなら、紅白の世界!みたいな?」

山口「うん。そういう気持ちが本気であったと思う。」

諏訪「なるほどね。」

山口「僕は、ある種バランスを一回取り戻すために「グッドバイ」を作って、フラットにしたというか。オーバーグラウンド側に傾いていたのが、一回バランスを取ろうと。ぐっと反対側にバランスをとったんじゃないかなって思います。「さよならはエモーション」「ユリイカ」も、「蓮の花」も。」



サカナクション/グッドバイ

諏訪「あー……だから、ここから6年が始まっちゃったんですよね。」

山口「そう!(笑)」

諏訪「ははは!(笑) ここから始まったなって思いますよ。「新宝島」の歌詞を仕上げるために何回サカナLOCKS!をお休みしたかっていう。」

山口「この2014年の記憶って、パソコンの画面の記憶しかない(笑)。」

諏訪「それってどういう心境だったんですか?這い上がりたいと思っていましたか?」

山口「這い上がりたいと思っていましたよ。抜け出したいと思っていました。でもね、今思えば……僕ね、「エンドレス」って曲から始まっているんですよ、これ。」

諏訪「あ、一個前の(アルバムの)。」

山口『DocumentaLy』っていうアルバムで、今の時代を絶対に歌にしたいっていうことを「エンドレス」でチャレンジしたんですよ。あの時に、絶対にたどり着かないだろうなって思ってチャレンジしていたんですよ。どんだけ潜っても、どんだけ考えても、いろんな情報収集しても、今の時代を歌うことは絶対に無理だけど、絶対にこれを完成させないとこのアルバムはリリースできないって思っていたんです。でも……できちゃったの。9ヶ月かかっちゃったんですけど。」

諏訪「エンドレス」?」

山口「そう。できたから、どんだけ苦しくても、絶対に他の曲でもたどり着くっていう風に分かっちゃったんですよ。潜れば潜るほど、自分の音や音楽に必ずたどり着けるって自信がついたんです。」



サカナクション / エンドレス

山口「で、「ユリイカ」もそうだったの。"郷愁"っていうことを言葉にしたいって思ってチャレンジしていて、あれもタイアップだったんですよ。妻夫木くんの映画。」

諏訪『ジャッジ!』だ。」

山口「そう。澤本嘉光さんが脚本で。SoftBankのCMのプランナーで、今に繋がるんですけど。」

諏訪「そうですね。「忘れられないの」に繋がりますね。」

山口「そう。その「ユリイカ」の歌詞を書いている時も、絶対辿り着けないって思っていたから。でも、「エンドレス」であれだけやってたどり着けたわけだから、絶対に歌えるって思って。"なぜかドクダミとそれを刈る母の背中を思い出した ここは東京"っていうあの一文が出てきて。その話もみんなにした気がするけど。」

諏訪「した。覚えてる。」

山口「これが出てきて、やっと完成したんですよ。」

諏訪「グッドバイ」「ユリイカ」「さよならはエモーション」「蓮の花」……この4曲なんだ。」

山口「そう。この4曲が、僕にとって深海ですよ。アレンジはともかく、歌詞を担当する僕にとっての深海時代というか。」

諏訪「MVを見てもそうですけど、なかなかの狂気ですからね(笑)。」

山口「ユリイカ」にいたっては未成年が見られなくなって、年齢制限がかかっちゃって(笑)。」

諏訪「裸体をなぶるような……」

山口「そうそう。でも、僕はあの曲とMVができたときに、「目が明く藍色」ができたときと一緒で、サカナクションの新しい境地にたどり着いたって思ったんですけど、これまた全然評価されなかったんですよね。たくさんの人に聞いてもらえる状態にあったわけじゃないですか。」

諏訪「サカナクションの『sakanaction』までね。」

山口「そう。だから、「グッドバイ」とか「ユリイカ」にも、もっと反応があると思ったんですよ。クラスの10人くらいに届くようになった分、2人や3人……4〜5人には届くかなって思ったんですけど、狙い通り1人から2人だった(笑)。

諏訪「ははは(笑)。言い方は悪いですけど、うわばみが取れたみたいな感じだったんですね。」

山口「そうそ。でも、その分血が濃くなったというか。サカナクションを好きだった人たちの中でも、深い部分を愛してくれている人たちがさらに入り込んできてくれたんですよね。」



サカナクション / ユリイカ

諏訪「でも、その後に出たのが「新宝島」なんですよ。」

山口「そうそう。」

諏訪「これが、この4曲の流れでは生まれる流れではないような曲というか……広がり方。ミュージックビデオを含めて。」

山口「新宝島」をサカナLOCKS!の職員に聴かせた時、どう思いました?」

諏訪「本当に……今までの4曲のサカナクションのモードだったので……中1くらいのテンションでいうと、「びっくらこきました」(笑)!」

山口「ははは(笑)」

諏訪「ただ……純粋に、良い曲っていうと言葉が難しいんですけど……でも、良い曲っていう感想ですね。」

山口「それって、サカナLOCKS!の生徒が「新宝島」を聴いたらどう思うと思いました?SCHOOL OF LOCK!の生徒が聴いて、刺さるって思いました?」

諏訪「思いましたよ。」

山口「おー。」

諏訪「ラジオでこのイントロをかけた瞬間に、振り向いてくれるやつがいるっていうのはわかるんですよ。」

山口「あー、ラジオをやってきた人間としてね。」

諏訪「そうですね。(♪「新宝島」のイントロが流れて……)はい、振り向いた!って。」

山口「(爆笑)」



サカナクション / 新宝島

山口「この「新宝島」が生まれるきっかけを作った人間は、大根仁監督なんですよ。あの監督がいなかったら、この「新宝島」は生まれなかったんですよね。結構ダークなモードに僕らが入っていっていて、「グッドバイ」「ユリイカ」「さよならはエモーション」「蓮の花」ってモードに入っている時に、大根監督が劇伴をやらないかって。大根監督のテンションとしては、「グッドバイ」から「蓮の花」までの4曲はないんですよね(笑)。」

諏訪「(爆笑)」

山口「なくなってたんですよ。「そうなの?」くらいな。「行こうぜ!サカナクション!」ってノリで来ていたんですよ。僕らは海でいうとどちらかというと凪いでいる状態なのに。」

諏訪「あの、『モテキ』の神輿でやってきたんだ(笑)。「曲作ろうぜー!」って(笑)。」

山口「そうそう(笑)。来ちゃったから、それに応えないといけないなっていうのもあったし、今までの4曲とは違うテンションにしなきゃいけないっていう覚悟は、劇伴をやっていく中で見えていたんですよ。」

諏訪「それはサカナクションとしてそっちを向かないといけなかったんですか?それとも、映画の主題歌としてこういう風にしなきゃいけないって?」

山口「映画の劇伴を受けた時点でサカナクションとしてもそっちにいかなきゃいけないっていう気持ちになったんです。チャンスだと思ったんです、僕は。「自分の心象スケッチだったり、深海的なこと……ドロップアウトした自分たちが、浅瀬に向かっていくきっかけみたいな。呼吸するチャンスみたいな。」

諏訪「それをどっかでやっぱり待っていたんだ。」

山口「そう。自分はずっとえら呼吸の魚だと思っていたら、実は肺呼吸だったっていう(笑)。

諏訪「(笑)」

山口「やっべ、呼吸しなきゃだめになってきた……っていう気持ちになったのかな。」

諏訪「でも、この曲でサカナクションを知ったっていう世代があるじゃないですか。で、そこからまだアルバムまで4年かかっているんですよ。」

山口「マネージャーのサバちゃんもこの辺でチームサカナクションに入ってきたんですよ。だから、サバちゃんは今回マネージャーになって初のアルバムリリースなんですよ。」

諏訪「だいぶかかったね。」

山口「そう。初プロモーションなので。」

諏訪「すごいっすね。」

山口「で、翌年に「多分、風。」をリリースして。」



サカナクション / 多分、風。

山口「これも歌詞がね……サカナクション史上初の発売延期です、これが。」

諏訪「これが、記念すべき1回目の?(笑)」

山口「そう。これ、最初は「多分、汗。」だったんですよ。で、発売が夏じゃなくなったから、秋の汗にしなきゃいけなくなって……風になったんですよ。」

諏訪「これなんか、めっちゃアレンジの数いっぱいありませんでした?」

山口「ありました。」

諏訪「サカナLOCKS!で流した気がする。(2016年12月1日の授業)」

山口「あー、そうそうそう!」

諏訪「書き込みがあったんですけど、SCHOOL OF LOCK!の。」


モス
モス聴かせてもらいました!
浅瀬の攻めた曲調でありながら、自分らしさを肯定してもらえるような歌詞でとても好きです。
あと、めっちゃ好きだった多分、風。の別メロディーが進化して使われていて感動しました。
最高です!

山口源一郎
男性/18歳/千葉県



モス
モス聴きました!
この掲示板で他の人も書いていたのですが、私もモスの前奏を聴いた時「あ!多分、風。の時に流れた音源だ!」と思い興奮しました。
確か「爪、爪、爪、爪で描いた…」みたいな歌詞も付いていたような…?
どうしてこのメロディーをモスで使うことになったのかが気になります!

マルナガ
女性/17歳/東京都


諏訪「生徒が、「多分、風。」のときに、いろんなパターンのアレンジとかリズムとかを流したのがアルバムに入ってません?って。」

山口「あ、そうだそうだ!あれ「モス」のサビじゃない?違う?」

諏訪「その時に聴いた生徒が覚えていて、アルバムで再会してるんですよ。」

山口「へー!僕自身も忘れているのに……。」

諏訪「言ってもね、発売じゃないアレンジをラジオで聴けるってなかなかないんで(笑)。」

山口「ははは(笑)。そうですよね。でも、裏側を見せるっていう意味で、サカナLOCKS!で最初にたてたコンセプトが思い通りにいっているわけですよね。」

諏訪「はい。」

山口「ちょっと待って、1年に1枚ずつシングルを出しているってこと?1年に1枚しか出していないの?」

諏訪「まあ……この後のことを考えたら、まだ出ている方よ?」

山口「この後を考えるとね(笑)。」

諏訪「多分、風。」までは出てたなって僕らは認識していますよ。」

山口「まだ良い時?」

諏訪「まだ出ていた時ですよね、山上さん。(ビクター山上さんが「出てました」と返事をする)……ね!」

山口「この後だってカップリング集とか出しているわけでしょ?」

諏訪「あれだよ……なんか出さなきゃいけなかったんですよ。」

山口「契約上ね、ビクターの。」

諏訪「アルバム出すっていう契約にハンコ押してあったんですよ。ベストも。」

山口「ベストも、これは出さなきゃやばかったやつ。」

諏訪「ベストは、ベストを出すっていうことは、いよいよアルバムを出さなきゃいけない人のタイミングですよね?」

山口「いや、ここは説明させて欲しい。『魚図鑑』を出すことになった理由としては、アルバムを出す上で、シングルたちがたくさんたまっていると。このシングルを全部アルバムに入れると、コンセプトとしてただのシングル集になっちゃうんじゃないのって。」

諏訪「一枚のアルバムだとね。」

山口「だったら、もうベスト盤を出して、ベスト盤にそのシングルを全部入れて一回終わらせよう、チャラにしようって。そういう意味で、HIP LAND野村プロデューサー……社長になりましたけど。その野村さんは、ベスト盤を出すことは否定派だったんですよ。ずっと昔から「ベスト盤っていう考え方は好きじゃない。アルバムでちゃんと表現するのがバンドなんだ」って。だけど、僕と山上さんで、「全部シングルを入れないとアルバムを作れません!」って言ったら、野村さんが「わかった、ベストを出そう。」って。で、ベスト盤を出すことになったんですけど、僕は途中で気が変わって。いや、待てよと。この6年間を無視してなかったことにするっていうのは、バンドとしてどうなんだって。例えば、(草刈)愛美ちゃんが妊娠して出産した時期のこととか、アカデミー賞を獲った「新宝島」とか、タイアップをやったっていう自分たちのドラマを無視するわけにはいかないと。その6年間を包括してアルバムを新たに作りたいっていうことにして、急遽ベストアルバムには「陽炎」(※–movie version-)「新宝島」だけは入れて、シングル曲を抜いたんです。」

諏訪「え……」

山口「なくしたの。ちゃんとアルバムを完成させようと思って。だから、アルバム出す出す詐欺の前に、野村さんに、ベスト盤に全部シングル入れるよ詐欺を働いていたの。」

諏訪「二回やってますよ(笑)。」

山口「身内で一回やっていたっていう(笑)。」

諏訪「でも、『魚図鑑』で出会えたリスナーはいたわけじゃないですか、きっと。ただ6年間が経っていたわけじゃなくて。そういうリスナーたちを獲得していく中でのリリースなのかなって思うんですよね。」

山口「うん。僕は『魚図鑑』をリリースして今回のアルバムのコンセプトが決まったんですよ。ベストアルバムって、"深海""中層""浅瀬"って海の深さの中に自分たちの今までの曲がどこに属するのかって振り分けたんですね。その中で、札幌時代の曲は比較的中層から深海にあって、東京に来てから作った曲はほとんど浅瀬だったんですよ。この分布はなんなんだっていうのを『魚図鑑』を出すことで客観的に分析できて、僕たちって作為性を持って東京で音楽を作っていたけど、札幌時代に作っていた時って作為性みたいなものはなかったよなっていうことを考えて、これはひょっとしたら新しいアルバムのコンセプトにする時にひとつのヒントになるんじゃないかって。『魚図鑑』を出すことで発見できたんです。だから、出してよかったなって。」

諏訪「なるほど。6年って数字でみたら、めちゃめちゃ長いし、待たせているし、時間が経っているなって感じだけど、一個一個の物語というか、事柄を見ていくと、やっぱりそこに至るまでの必要なものしかないんだね。」

山口「僕にとっては、1曲は1アルバムみたいなものですからね。」

SCHOOL OF LOCK!


諏訪「僕、思うんですけど……何かのものを作る時って、当然100パーセントを目指して作るじゃないですか。でも、結構な割合で、繰り上げで100にするんですよ。これを100だって。」

山口「僕らね……100点狙わないんですよ。」

諏訪「おー、100パーセントじゃなくて、100点ね。」

山口「100点狙わずに、150点狙いにいくんですよ。」

諏訪「あー……もう次元が違ってたー(笑)。」

山口「100点を狙いにいくと、どうしても70点や80点くらいになっちゃうんですよね。でも、150点を狙いにいくと、100点を超えるチャンスが出てくるんですよ。」

諏訪「これ、数字で言うのは簡単だけど、100パーセントを目指すのがめちゃめちゃ難しくて、その上で150点目指すってとんでもないことなんですよ。」

山口「ふふふ(笑)。自分に設計図があって、その通りに作るのって簡単じゃないですか。お手本があって、説明書があって、その通りに組み立てて作ってもその通りにはできないですよね。2ミリずれたり、斜めになったり。でも、僕らには設計図……お手本がないっていうか。つまり、完成するものがどんなものかわからない状態で、自分たちの感覚で良いっていうものを組み上げて行って、できたものが自分たちにとって良いかどうかもわかんないっていうか。だから、世の中に出て評価された時に、初めてこれは良いって言ってくれたんだとか、これはあんまり響かなかったんだってわかるから。150点目指して作って、自分たちにとって120点だと思っても、リリースしたら70点だったりとか、5年後には100点になっていたりとか。すごい変動する感覚。でも、そういう風に思えるっていうのはやっぱりどこまでも詰めていくっていうか、諦めない根性。絶対に自分たちの課題をクリアするんだ、自分たちが良いと思うところに辿り着くんだっていう精神というか……考え方だと思っているんですけどね。」

諏訪「またラジオに戻るんですけど、サカナLOCKS!と他の番組で、ユーミン(松任谷由実)さんと対談したじゃないですか。」

山口「僕は、あの時ユーミンさんに……今思えば本当に怖いんですけど、「僕もポップスを作りたいです」って言ったんですよ。そしたらユーミンさんが間髪入れずに、「あんた何言ってんの。あんたはもうポップス作ってるじゃない。」って言ったんですよ。僕その言葉に驚いちゃって、「どういうことですか?」って聞き直すと、「ポップスっていうのは、今この時代の流行に乗ったものを作るってものでもないし、30年後や40年後に評価されるようなものでもない。5年後に評価される1歩先の音楽がポップスなのよ。」って僕に言ってくれたんですよ。「あんた、それもう出来てるじゃない!」って。僕はもっとわかりやすくとか、自分が難しくなってしまう言葉を通訳しなきゃいけないとか、そんなことばっかり考えていたのに、ユーミンさんに「もう出来てるじゃない」って言われた時に、このままで良いのかもって……1歩アクセルを深く踏めたというか。進もうって思えたんですよね。僕もずっとそんなことを考えていたんですよ。手の届かない遠いところじゃなく、横並びじゃなく、手を伸ばせば届く一歩先の音楽を作りたいって思っていて。それって僕はマイノリティ的な要素を含む言葉として使っていたんだけど、ユーミンさんはそれを完全にマジョリティ側の言葉として言っていたから……逆転しちゃったというか。」

諏訪「すげー……」

山口「それで、僕は「忘れられないの」っていう曲をチャレンジして作ったんですよね。」



サカナクション/忘れられないの

諏訪「これはAORではあるんですか?」

山口「うん。1978年の、Bobby Caldwellっていう、日本でものすごく流行ったミュージシャンがいるんですよ。こういう音楽ってどういう構造で出来ているのかなとか、こういう時代の音楽ってどういう音楽があるのかなとか、これに影響を受けている人たちはどういう人たちなのかなっていろいろコンテキストを探しながら聴いていってたんですよ。山下達郎さんとか。」

諏訪「そうですね。今、山下達郎さんってまためっちゃ海外で評価されているって言っていましたね、横川さん。」

山口「そう。それが和物っていう形で山下達郎さんのレコードが出回って、めっちゃ高くなってるんですよ。日本に今はあんまりなくて、海外にいっちゃってるんで。」

諏訪「えー。」

山口「なぜ今、山下達郎さんの音楽が海外で再評価されているのかっていうのを分析した結果、僕らがたどり着いた答えは……つまり、山下達郎さんはあの時代に聴いて影響を受けていた音楽を本気で愛してそれを模倣したっていうか……本当にそのグルーヴを出そうとして試行錯誤して出来たのが当時のアルバムだと思うんですよ。なんだけど、日本人が感じているグルーヴと海外の人たちが感じているグルーヴって本質的に違うというか。」

諏訪「わ……」

山口「僕たちは、カスタネットを小学校で叩くわけじゃないですか。ドン、パ、ドン、パ、ドン、ドン、パッ!って。表のノリが日本人にはあるから、どうしてもそこでリズムを取るけど、海外の人は裏でとるというか……よく、踊るのがかっこいい人は裏でのっているとか言うけど、そういうのが本質的にあると。だから、海外の人が、日本人が真剣にカバーした時にその通りにならない違和感を今聴くと「何このグルーヴ!」ってなっている。そのずれが、いい意味で。僕らも今自分たちが愛してきた音楽だったり、美しい過去の音楽の影響を受けて、現代に落とし込むとどうなるのかなって真剣にやってさえいれば、今この時代にも、5年後にも10年後にも20年後にもちゃんと聴いてもらえるものになっているんじゃないかなっていう答えがあったんです。「忘れられないの」はそういうものにしようって、作っていたのがあります。」

諏訪聴きッドルーム(「聴きたかったダンスミュージック、リキッドルームに」)とかもそうですか?」

山口聴きッドルームもそうですね。でも、聴きッドルームは、どちらかというと、「新宝島」を作る時の物語としてできた曲なんですよ。話がちょっと戻るけど、暗黒時代……じゃないや(笑)。」

諏訪「言っちゃったじゃん、自分で(笑)。」

山口「……深海時代(笑)。その深海時代の4曲を作って、あのモードになっていた時に、どうしても「新宝島」を完成させないといけないと。だけど、外に向かって音楽を発信する動機やモチベーション、大義だったりがなかったんですよ。だって、広げるのやめたってしていたのに、状況的に『バクマン。』の主題歌を作るには外に広げないといけないって悩んでいて、「新宝島」の歌詞が書けなかったんですよ。それで、モチベーションや大義がなきゃいけないって決断して、『NF』のイベントをやらせてくれないと、僕はこれ以上、歌詞を書かないって。」

諏訪「出た!3回目の脅迫ですよ。」

山口「ははは(笑)。要するに、たくさんの人にこれからも広げていく。その代わり、広げていった人たちを連れて行く場所、空間を作りたいと。これも次のアルバムの表現になるはずだと言って、『NF』っていうのを作って、「新宝島」を完成させたんですよね。」

諏訪「歌詞がそうですよね。「新宝島」の歌詞。」

山口"このまま君を連れて行くよ 丁寧に"と。で、「新宝島」を作ったから、連れて行く先の曲をカップリングにしようって、「「聴きたかったダンスミュージック、リキッドルームに」」で。「新宝島」で来て、サカナクションにはいろんな乗り物がある……「多分、風。」「アイデンティティ」だ……すごく楽しい。「シーラカンスと僕」はちょっと独特の雰囲気……「三日月サンセット」はすごく沁みる。「グッドバイ」は今やっとわかってきた……って。音楽ってすごく楽しいかも……ってたどり着いた『NF』Night Fishingっていう夜釣り。そしてかかってきたのがこの聴きッドルーム。遊びに来いよって。ライブだけじゃなく、ここでも一緒に遊ぼうよっていう。入口と出口の曲なんですよね。だから、アルバムにも……当時、(草刈)愛美ちゃんが妊娠中だったから、レコーディングに来られなかったんですよ。だから、実はこの曲のベースはモッチ(岩寺)が弾いてるの。」

諏訪「へー!」

山口モッチザッキーエジ(江島)と僕の4人だけで収録した曲なんです。それも、そのまま6年間の記録として収録したの。」

諏訪「そうなんだ、録り直していないんだ。」

山口「で、愛美ちゃんに、サカナクションで一番好きな曲何?って聞いたら、「「聴きたかったダンスミュージック、リキッドルームに」」って(笑)。「この曲最高!」って。そのドラマも分かって言ってくれていると思うんですけど。それはそのまま今回のアルバムに収録したんですよね。」

諏訪「そうですか……!」



諏訪「ちなみに、アルバムの話になるんですけど、「モス」って最初「マイノリティ」ってタイトルだったじゃないですか。「モス」っていうタイトルになる経緯みたいなのも聞かせてもらいましたけど。僕、この「モス」をツアーで聴いた時に、本当に感動して。」

山口「へー。」

諏訪「なんでしょうね……本当にずっと曲作りに悩んで、アルバムが発売延期になった後にツアーがあったじゃないですか。そこで、こんなに素晴らしい曲ができていたんだっていうので、めっちゃ感動したんですよね。」

山口「モス」、好きですか?」

諏訪「僕、大好きです。」

山口「へー、意外!」

諏訪「僕は、結構ベタに好きなんですよ。こういう曲が。断然DISC1!って言っちゃうタイプの男なので。DISC2は人生で必要な時がやってくると思ってるタイプなんです。わかりますか?」

山口「なんとなくわかる(笑)。でも、この曲を作った時、円グラフを書いて作っていて。」

諏訪「円グラフ?どういうことですか?(笑)」

山口「この曲のコンセプト……DISC1に入っている曲は、作為性をもって作っている曲だから。」

諏訪「僕は作為性にはまるタイプなので。」

山口「ははは(笑)。その諏訪さんが釣れた「モス」っていう曲は、円グラフがあるとしたら、メンバーと話し合って結果的に落ち着いたバランスっていうのが……」

SCHOOL OF LOCK!


SCHOOL OF LOCK!


山口「25パーセント、Talking Heads感。25パーセントは山本リンダ感。」

諏訪「イントロね!」

山口「そう!でも、後で気づいたんですけど、これは相川七瀬感なのかもしれないって(笑)。」

諏訪「ははは(笑)。相川七瀬山本リンダ感なのかもしれないしね。」

山口「よくわかんなくなっちゃってるけど(笑)。"夢見る少女じゃいられない"かもしれなかったんですけど(笑)。で、1990年代〜2000年代のUKロック感。これは、Bloc Partyだったり……僕らの青春です。UKロックにものすごく勢いがあって……UKインディーロックって言っていいのかな?Klaxonsだったり。その辺の感じを出したかった。残りの25パーセントがC-C-B感。」

諏訪エジーがピンクの髪で歌ってる感じでしょ?」

山口「ははは!(笑) C-C-Bがわからない人は検索してみてください(笑)。その、Talking HeadsUKロック山本リンダC-C-Bの4つを混ぜ合わせてサカナクションらしい曲を作るとどうなるのっていうお題でやり始めたんです。」

諏訪「ほー!作為性っていうのはそういうことでもあるんですね。実験的なところがあるわけですね。」



山口「マッチとピーナッツ」っていうアルバムの曲は、Bee Geesっていう「Stayin’ Alive」とか、70年代の超モンスターディスコバンドですよ。そのBee Geesジュディ・オング。」

諏訪「魅せられて」。」

山口「そう。これが、「マッチとピーナッツ」のBメロの部分なんですよ。"心が こぼれた"のところ。」

諏訪「わかる!……でも、これ聴いている人が誤解するかもしれないけど、まんまやっているとかじゃなくて。パクったじゃんとかの世界じゃなくて。」

山口「世界観の話。」



山口ジュディ・オングだと思って聴いてみて。」

諏訪「本当だ……広がってる!(笑)」

山口「なんとなくわかるでしょ?」

諏訪「いや、っていうか……それで作れているメンバーがすごい!これは。この例えで、こうですねってやっているメンバーがすごいよ!一郎くんの中にある音楽と映像込みで鳴っているものをキーワードとしてメンバーに渡して、今のサカナクションが鳴らす音としてあの曲ができているとしたら、俺はメンバーがすごいと思う。」

山口「そうそう(笑)。で、セッションでこんな感じじゃない?っていうのができて、歌詞を入れていくんですけど、「マッチとピーナッツ」は、Bee Geesジュディ・オングに合う歌詞ってなんなんだろうって……僕がたどり着いたのは、(漫画家の)つげ義春だと思ったんです。」

諏訪『ねじ式』!」

山口「ははは(笑)。『紅い花』とか。漫画っていうものがただ単なるエンターテイメントじゃなく芸術だった時代のシュールさ。それを混ぜ合わせると面白いことができるんじゃないかと思って、"深夜に噛んだピーナッツ 湿気ってるような気がしたピーナッツ"って。そのコンセプトが、つげ義春×Bee Gees×ジュディ・オング。」

山口「やっとたどり着いた……この6年間。サカナLOCKS!で見守られながらやってきましたけど。」

諏訪「このアルバムを10代とかがどんな風に受け止めてくれるのかなみたいなのは気になるところかなと思うんですけど。」

山口「作為性って僕が言ってきましたけど、作為性も表現なわけですよね。表現としての作為性だから。そこに引っかかってくれる10代はきっといるだろうなって思うんですよ。「新宝島」とかも入っているし、DISC1の受け止められ方は想像できるんです。でも、DISC2を10代の子たちがどう捉えるのかっていうのは想像できていない。」

諏訪「僕は、DISC2は本当にお守りだと思っていて。DISC2の曲たちがいつか君を救ってくれる日があるよっていうか……そういう気がしているんですよね。」

山口「うん……ユーミンさんの言葉を思い出すんですけど、DISC1を聴いて、DISC2をあまり聴けていない子たちが、5年後にDISC2を聴いてくれて、めちゃくちゃいいって思ってくれる……そんな風になるといいなと思っていますけどね。」

諏訪「でも、僕らが思っている以上に10代の子たちもすごく感受性豊かというか。受け取ってくれているかなと思いますよ。」

山口「うん。リスナーを信用しなきゃだめだなっていうのは、ミュージシャンとして大前提にあると思います。これを作っても理解してくれないだろうなとか……」

諏訪「そういうのってあります?理解してくれないだろうなって。」

山口「昔はありましたよ。自分たちとしてはこの感覚がバッチリだけど、もう少しわかりやすく変えようってチャレンジをしたりしていたけど、それはもうやめましたね。このDISC2では、「茶柱」っていう曲にはドラムも入っていないし。ピアノと歌と蝉の声だけ。蝉の音のノイズだけっていう……普通だったらもうちょっとビートを入れてみようかとか、明るくしてみようかっていうのがあったけど、このままでいいって。絶対に理解してくれるはずって。そう信用することができてたからこそ、作れたかなって思います。」



山口「ということで、6月19日にニューアルバム『834.194』リリースされました!サカナLOCKS!もこんな風にオンエアされていますので、サカナLOCKS! UNIVERSITYも今後ともよろしくお願いします。ということで、今回の講義はここまで。いいですか?諏訪さん。」

諏訪「大丈夫です。」

山口「音で学ぶ、音を学ぶ、音に学ぶ音楽の講義、サカナクションの山口一郎と、」

諏訪「作家の諏訪でした。」

山口「さよなら!」

諏訪「ばいばーい。」

今回の講義は、先日GYAO!にて配信された、一郎先生とサカナLOCKS! 職員による講義『サカナLOCKS! 外伝』を再編集したものです。

SCHOOL OF LOCK!
カテゴリー: サカナクション
投稿者: nakashita
SCHOOL OF LOCK!


山口「今回は、いよいよですね……来週6月19日にリリースになるサカナクションのニューアルバム『834.194』を、(サカナLOCKS!の)短い時間で全解剖はちょっと無理なので、半解剖……半分解剖していきたいと思います!」

SCHOOL OF LOCK!


「まずは、先日、サカナLOCKS!で「忘れられないの」のフルコーラスを解禁したんですけど、その感想がたくさんきているので紹介したいと思います。」


忘れられないの
「忘れられないの」素敵でした!放送の後も繰り返し聴いています。
幕張のライブで聴いた時は、もうとにかく楽しくて興奮している最中だったので、爽やかに踊れる楽しい曲だったなぁ!と思っていたのですが、今回のオンエアで印象が変わりました。
明るいけれど、ちょっと寂しげなメロディーを感じて胸がいっぱいになって、涙が出ました。上京して郷愁を感じるこんな気持ちになるんでしょうか…?
まだ聴いてない曲がいくつもあって楽しみです!今週の講義もしっかり聴きます!

新聞同好会長
女性/18歳/山梨県


「おー。上京の郷愁ということですけど、この曲が生まれるきっかけは、ユーミン(松任谷由実)さんとの出会いがあったんですね。ユーミンさんが、ポップスとは何かっていうのを僕に教えてくれたんですよ。「ポップスっていうのは、横並びじゃない。今、理解されることでもなく、遥か遠くにあって、人が手を伸ばしても届かないものでもない。5年後に理解されるものがポップスなのよ」って僕に言ってくれたんですね。じゃあ僕もその5年後に理解されるポップスを作ってみようっていうので、この「忘れられないの」を作りました。歌い始めの歌詞がタイトルになるっていう。しかも、シティ・ポップだったり、AORっていうものが若者たちの中で古き良きものとして聴かれてリバイバルしている中で、僕らが思う今のポップスと、当時の素晴らしき音楽をミックスしたらどこに行くのか…そして、5年先はどこに着地できるのかっていう思いで作ったのがこの曲なので。サカナLOCKS!やSCHOOL OF LOCK!のリスナーの皆さんにはいい感じに刺さるんじゃないかと思って作りました。ありがとう、新聞同好会長さん。」

「こうやって、ラジオで新曲を解禁できるっていうのも、僕はすごくいいことだと思うのよ。ラジオを聴いてくれている人たちに音として届いて、その人が生活している空間の中で自分の曲がふっと入ってくるっていうのがね……これはすごくいいことだと思うのね。」


ワンダーランド
TBSテレビ「NEWS23」のオープニングテーマに新曲「ワンダーランド」が使用されるということで、早速拝見させてもらいました。
新海誠監督が手がけた映像とサカナクションの新曲の相性がとても良く、また、一郎さんが仰っていたように、良い違和感をとても感じました。
6/14の愛知でのライブでまた聴けるのが楽しみです!

ウオタミング
男性/19歳/静岡県


「こちらの新曲、「ワンダーランド」はニュース番組のテーマソングとして番組の方ではもうオンエアされています。でも、曲の一部なので。全体で聴くとね……また本当によくこんな曲がテレビのタイアップで使われたなっていうような特殊な曲なんですね。これは、この番組に使われるっていう前提で作った曲じゃないんですよ。もともとは自分たちのアルバムのために制作した曲のデモがあって、それを聴いた『NEWS23』の方が、これをぜひ番組で使いたいと。リニューアルに使いたいんですと、お話を受けたという流れなんですね。サカナクションって、今まであんまりそういうことがなくて、書き下ろすっていうことが多かったんです。そのニュース番組のプロデューサーの方に会ってお話ししたんですけど、サカナクションの考え方にすごく近かったんですよ。僕らは難しいものと分かりやすいものの間の、通訳のようなことをやりたいとよく言っていたんですけど、『NEWS23』も同じような考えで番組を作っていると。すごい偶然ですけどね。その親和性もあって、使ってもらえてよかったなと思いました。あと、番組のタイトルコールみたいなものも僕らが手がけていまして、それもコンセプトをちゃんと話をして、想いがいろいろ入っているんですね。それを注意して聴いてもらえたらと思います。」

SCHOOL OF LOCK!



★茶柱
一郎先生、アルバム『834.194』の全曲がついに公開になりましたね。私的にはDISC2の「茶柱」という曲がとても気になっています。「茶柱」ってお茶に立つあの縁起のいい茶柱ですよね?まさか、それを題材にした曲が生まれるとは思っていませんでした。
どんな曲か想像しつつ、アルバムリリースを楽しみに待っていたいと思います。

こそばゆい耳
女性/19歳/東京都


「これね、「茶柱」っていう曲はもともとアルバムに収録する予定のない曲だったの。なんですが、私の本当に不徳の致すところで、歌詞が書けずに発売が延期になったことでスケジュールにちょっと隙間ができたんですね。その隙間がせっかくできたなら、「茶柱」を収録しようっていうことでレコーディングしたんですよ。なので、延期になったからこそ収録することができたという曲でね。これはね……沁みる曲ですね。お茶って暑い日に熱いお茶を飲んで体を涼ませるっていう、暑いことを気にさせなくするという作法があるじゃないですか。だけど、今の世の中って悲しい時には楽しいことをしてそれを忘れようとか、打ち消すっていう方向に行っているなって。でも、日本の良き感覚っていうのは、それを受け入れて自分のものにするっていう……自分の中の地層にしていくっていう感覚だったんじゃないかなっていうのがあって。それを音楽にしたり言葉にしたり、歌にしたりするとどういう風になるのかなっていうのでこの「茶柱」って曲を書きました。派手な曲じゃなくて、すごくミニマルなアコースティックな曲なんですけど、僕はすごく好きなんですよ。なので、これもみんなの元に届いた時にどんな反応があるのかすごく楽しみにしています。」


アルバム完成おめでとうございます!
アルバム制作お疲れ様でした。
一郎さんは歌詞を完成するまでに多くの時間を要するのは有名な話ですが、
メロディーはどのようにして誕生しているのですか?

maskman
女性/22歳/東京都


「メロディーは、本当に僕、ポンポンポンポン、ポンポンポンポン、ポンポンポンポン……(笑) ってできるんですよ、本当に。すごい勢いでできますよ。まず、コンセプトを持って、サカナクションでセッションするんですね。そのセッションしたものに対して僕が適当にメロディーを歌っていって曲になることもあるんですよ、その場で。アドリブで。それでできた曲が、今回DISC1に収録されている「マッチとピーナッツ」っていう曲。なのでね……メロディーはできるのよ。だけど、歌詞がね……。鯉のぼりに目を入れるような作業だから、ちょっとでも納得がいかないと、それまでの鯉のぼりの体のディティールとかを一生懸命作っていても、目の雰囲気が違うと台無しになるじゃない。良い曲であるほど、そこに時間をかけちゃうのよ。……もうね、本当に。本当に……そこは、僕が不器用なんですよ。さくっとできればいいんだけどね。そうはいかないんですよね……才能がないんですよ。だから、努力でカバーしてきたんですけど。やはり歳をとってくるとね、考え方も凝り固まってきますし、自分の中でのハードルも上がっていくんですね。それを1回下げちゃうとなんでもよくなっちゃうから……自分の性格上、それを分かっているので、どうしてもそれを下げられないんですね。なので、考え方みたいなものは変えていかなきゃいけないけど、これからもちゃんと音楽と真剣に向き合っていけるために、今回、発売を延期してまでこういう風にやらせていただきました。良いものになっていると思うので、楽しみにしていただけたらと思います。」

「では、6月19日にリリースされるニューアルバム『834.194』から、1曲新曲をお届けしたいと思います。……初解禁ですよ!!この曲はもともと「マイノリティ」っていう仮タイトルが付いていたんですよ。歌詞の中にも「マイノリティ」って言葉が出てくるんですけど、結構この言葉ってセンシティブじゃないですか。性的マイノリティや民族的マイノリティも含まれるから。でも、僕が言いたかったのは、みんなが好きと言うものを好きと言いたくない……自分の中に本当に好きなものがあるっていう、それを選ぶっていう性質のマイノリティだったんだけど。それを「マイノリティ」っていうタイトルにしちゃうと全部含んでしまうので。違った表現ができないかなっていうので「モス」っていう……虫の蛾ですね。それをタイトルにして完成させた曲です。サカナクションの「モス」という曲を聴いていただけたらと思います。」

「それでは……サカナクションで、「モス」!」

♪ モス / サカナクション (初オンエア)

SCHOOL OF LOCK!


「ニューアルバム『834.194』から、「モス」という曲です。この曲は、サカナクションの中でも"浅瀬"というかね。一番外側に向けて発信する曲として作り始めたんですけど、コンセプトとしては、C-C-Bと、Talking HeadsとUKインディ……Klaxonsとか、Bloc Partyっていう僕らの時代の青春です……そういうバンドをぐっと混ぜ合わせたらどういう曲になるかっていうのを実験的に作っていった曲だったんですね。でも最初は、C-C-BTalking Heads山本リンダだったの(笑)。でも、山本リンダ感って結構な山本リンダ感が出ちゃって……頭の、ジャジャ、ジャジャ……っていうところは山本リンダ。(♪山本リンダの「狙いうち」が流れて……)そう、これ!ここからの……(♪サカナクションの「モス」が流れて……) ほら!!何か感じる?感じなかった?今の!そういうコンセプトで作った曲なので。他にもそういう曲があるから、これはどんなコンセプトで作った曲なのかなって聴いてくれると嬉しいです。」

「……いよいよ出るから!!6年ぶりのアルバムが、本当に出ちゃったらもう……どうなるんだろう?……またしっかりと音楽と向き合っていけるように、このサカナLOCKS! ユニバースティ(UNIVERSITY)でもしっかりと皆さんと音楽のことを学んでいきたいと思いますし、サカナクションの歴史を皆さんと一緒に、同じ時代に生まれたことを刻みたいと思っています。よろしくお願いします。予約の方も始まっておりますので、宜しくお願い致します。」

さて、来週の火曜日、6月18日には、ユニバースティから校舎を移しまして、SCHOOL OF LOCK!の生放送教室にお邪魔したいと思います!よろしくお願いします!

SCHOOL OF LOCK!
カテゴリー: サカナクション
投稿者: nakashita
SCHOOL OF LOCK!


今回は、音楽にまつわる職業シリーズ、『プロモーター』の授業をお届けします。本日、プロモーションしてもらう作品はなんと、リリースまで2週間となったサカナクションのニューアルバム『834.194』!こちらの作品を、"FM小樽" 勤務の山口一郎ディレクター(と言いますか、本人)にプロモーションするという、かなりハードルの高い現場になっております。

山口「今回は、木曜日時代にもお届けしていた、レコード会社の"プロモーター"という職業のことを生徒諸君に詳しく知ってもらうために、私がラジオのディレクターとなりまして、レコード会社のプロモーターから直接楽曲のプロモーションを受けたいと思う。しかも、今までは各レコード会社のプロモーターがやってきていろいろなミュージシャンの楽曲を愛を持っておすすめしていただいてましたけど、今回登場するプロモーターは、全員……我がサカナクションのレコード会社、ビクターエンターテインメントの方々でございます!そしてプロモーションするのは、6月19日にリリースする我々サカナクションのニューアルバム『834.194』!こちらを……ビクターエンターテインメントのプロモーターたちから……僕、本人にね!プロモーションしてもらおうと思う。これはある種、ひとつの試験でもある。今後僕がコンスタントにアルバムを出すか出さないかは、今日のプロモーターたちの腕にかかっておる。」

「今から3人のプロモーターが登場します。全員年齢もキャリアも、プロモーションの手法も違う……いったいどんなアプローチでこの6年ぶりになる我々のニューアルバムをプロモーションするのかそれぞれが世に広めるために宣伝している手法をみるよ!それを一つの作品で比較する講義をお届けしたいと思う。しっかりと見届けたいと思う。曇りなき眼で!」

改めて、山口一郎ディレクターの設定をおさらいしますと……
*北海道小樽市出身。
*エフエム小樽というローカル局に勤務。
*元ミュージシャンの曲者ラジオディレクター。

山口ディレクターが、職場で仕事をしている中、プロモーターさんがタイミングをみて話しかけ、サカナクションのニューアルバムをプロモーションしてもらいます。

山口「あー……エフエム小樽の金曜の夜は忙しいなー。いろんなミュージシャンの音源が届いてくるからな。」

??「すみません、今お時間よろしいでしょうか?」

山口「……ん?どうぞ。」

??「ビクターテンターテインメント、新入社員の有薗弥飛と申します。」

SCHOOL OF LOCK!


山口「あー、どうしたんですか?」

有薗「プロモーションをさせていただいてもよろしいでしょうか?」

山口「ちょっと今ね……忙しいんだよね。キンプリの曲聴くのに。」

有薗「少しでいいので……!お願いします!」

山口「6月19日にリリースされるキンプリの……」

有薗「6月19日に!!我が社のサカナクションがアルバムを出します。」

山口「お!サカナクション!久しぶりだもんね?」

有薗「そうなんです。約6年ぶりとなっていまして。」

山口「彼ら確か小樽出身だったよね?」

有薗「札幌……じゃなかったですかね?」

山口「バンド自体はね。メンバーに小樽出身がいるよね?」

有薗「そうです。」

山口「あいつらなー、よくこのエフエム小樽におにぎり持って来てたんだよー。ランチしになー。」

有薗「そうなんですか。お世話になりました。」

山口「でも最近全然顔出してくれないんだよなー。」

有薗「そのサカナクションが……」

山口「(笑)」

有薗「ついに、6月19日に出しますので少しプロモーションをさせていただきたいなと思って来させていただきました。」

山口「なんで6年もアルバム出してなかったの?彼らは。」

有薗「やはりこの6年の間、いろいろな音楽の聴き方だったり、ありかただったり、ご自身たちの音楽に対する想いだったりが……いろいろこう……ごちゃごちゃというか……」

山口「(爆笑)」

有薗「ごちゃごちゃといいますか……」

山口「ごちゃごちゃ?」

有薗「そういった部分をね、試行錯誤してこの6年の月日がたったという風にお聞きしています。」

山口「なるほどなー。6年間ごちゃごちゃしてなー(笑)。アルバム出せなかったんだよな。」

有薗「やはり……いろいろあったん……でしょうね。」

山口「あったんだろうなー(笑)。6年も出さないんだもんな。」

有薗「そうです。6年ってかなり長いですもんね。」

山口「長いよなー。で、6年も出さなかったってことは久々なんだから、どんなアルバムになっているの?これは。」

有薗「それがですね、9曲入りのディスクが2つ。18曲入りのアルバムになっていまして。」

山口「2枚組?」

有薗「そうなんです。2枚組になっていまして。6年間、溜めてきたといいますか……代表的なシングル含め、たくさん収録されつつ、新しい曲もたくさん入っております。」

SCHOOL OF LOCK!


山口「おー……どれかけたらいいの?エフエム小樽的にはね、やっぱりまだオンエアされていない曲とかをかけたいと思うわけですよ。我がエフエム小樽は今、レゲエブームだから。」

有薗「レゲエブームなんですね、小樽は。」

山口「そう。レゲエブームの中出かけるにはやっぱりトピックスがないと。」

有薗「私がお送りさせていただきたいのは、DISC1に収録されております、「モス」ですね。」

山口「モス」?」

有薗「モス」です。」

山口「え?曲タイトル?」

有薗「曲タイトルが「モス」なんですよね。」

山口「それはどういう曲なの?」

有薗「そうですね……これはサビが"繭割って 蛾になる マイノリティ"。」

山口「歌詞、言っちゃう!?(笑)」

有薗「歌詞、ちょっとまずかったですかね?」

山口「いや……大丈夫、大丈夫。この曲は?解禁されていない?」

有薗「まだ解禁されていません。」

山口「解禁されていない曲。それをエフエム小樽に?」

有薗「……そうか、歌っちゃいましたね。すみません。」

山口「ははは(笑)。それで?」

有薗「サカナクションとしては珍しいといいますか……Aメロ→Bメロ→サビって感じで進んでいきます。その中でも前衛的というか。聴いていて面白くて。サウンドも……あまり接したことのない……それこそ、レゲエブームの小樽の方々にはぜひ聴いていただきたいなと思ってご紹介させていただいております。」

山口「曲のテンポとか、曲調はどんな感じなの?それはエフエム小樽的には重要なんだよな。」

有薗「(机を叩いて……コン、コン、コン、コンと叩いて、その音に合わせて、口で) トゥン、トゥン、トゥン、トゥン……くらいのテンポですね。」

SCHOOL OF LOCK!


山口「(爆笑)」

有薗「これくらいのテンポの……」

山口「わかんねーよ!(笑) 机トントンされても!(笑)」

有薗「すみません(笑)。わかんないですかね、ミドルというかアップというか……」

山口「何、150前後か?」

有薗「はい。すごくライブでも映える曲になっています。サカナクションの曲ってすごく文学的な歌詞が多くてですね、自分としてもまだまだ解読不能なところがあるんですけど……」

山口「ははは(笑)。あるな。」

有薗「やっぱり自分としては、サビの…"繭割って 蛾になる"

山口「おい、歌詞言うな!(笑) 言うなよー。まあええけども。"繭割って 蛾になる"ところな。」

有薗「そこが繰り返されていて、そういった中でも頑張っていくというか……僕も新入社員として、繭割って蛾になっていきたいなと。」

山口「なっていきたいと(笑)。……そうだな……おもろいけどな……ちょっとプロモーターとしては頼りないなー。……ちょっと今日はかけないかな。」

有薗「あ……!」

山口「君の実力じゃ、ちょっとかけることはできないな。また来てくれよ。」

有薗「はい。また来させていただきます。」

山口「お前、おもろかったわー(笑)。ありがとな。」

有薗「ありがとうございました!またよろしくお願いします。」

山口「CDここに置いといてー。」

有薗「はい、置いておきます。」

山口「いやー……やっぱ新入社員とかは変な感じするなー。変わったやつが入ってくるな、音楽業界は……。さあ、今は忙しい。他の仕事がいっぱいあるからな……なんかいいミュージシャンいないかなー。あー忙しい。忙しい、忙しいな……」

??「山口さん、おつかれさまです。」

山口「はいはい。」

??「私、ビクターの岩城と申します。」

SCHOOL OF LOCK!


山口「ビクターの岩城さん。今日はどうしたの?」

岩城「ちょっと今日は1枚ご紹介したい新譜がございまして。お時間いただけますでしょうか?」

山口「まあ、いいですよ。忙しいけど、ちょっとなら。」

岩城「ありがとうございます。実はですね、サカナクションがアルバムを出すことになりました。」

山口「さっき、とんでもない新入社員が来たよ!それ……とんでもないやつが。」

岩城「本当ですか?私から改めてご紹介させていただければと思うんですけど。」

山口「サカナクション……何年ぶりだっけ。」

岩城「6年ぶりです。」

山口「6年間何してたの、彼らは本当に。」

岩城「シングルは何曲も出していたんですけど。」

山口「あー、なんかポイポイ出してたね。テレビ番組とかにもポイポイ出てたのは知ってるわ。」

岩城「そうなんです。今回のアルバムのDISC2にも入る「ユリイカ」ですとか……」

山口「ちょっと待てよ。DISC2ってことは2枚組ってことかな?」

岩城「そうなんですよ。9曲入りが2枚。」

山口「9曲入りが2枚……分けたんだ、彼らはな。」

岩城「分けました。」

山口「なぜ分けたのかな?」

岩城「9曲入りの最後に「セプテンバー」という曲が入っていまして。」

山口「セプテンバー」……6月なのにな、リリースは。」

岩城「そうですね(笑)。今回のDISC1とDISC2は、「セプテンバー –東京ver.-」「セプテンバー –札幌ver.-」というタイトルになっていまして。それがDISC1とDISC2で分かれている大きな意味になっています。」

山口「おー。そうね。アルバムタイトルも意味深だもんな。なんだったっけ?」

岩城『834.194』といいます。」

山口「この数字は何だろう……、気になるな。札幌と東京が2枚組になっているわけだもんな。」

岩城「はい。この意味はですね……山口さんが昔小樽で使われていたスタジオと、今東京にあるスタジオの距離の意味になっています。」

山口「おー!君、勉強してるな!」

岩城「はい、勉強してきました。」

山口「ただそれ……残念だけどな、小樽のスタジオじゃないんだな。札幌のスタジオなんだよなー。惜しかったなー。でも、ポイント高いな。それで、それで?ラジオ局的にはな、推し曲っていうのが。君の推し曲みたいなのは?かけるには何かトピックスが必要なんだ。初解禁とかをな……このエフエム小樽でばっちりいただけたりすると、かけようかなって気にはなるんだけどなー。」

岩城「私の1番の推しは、DISC2に入っている「ワンダーランド」という曲になります。」

山口「どんな曲なの、それは。」

岩城「これはですね、今『NEWS23』というニュース番組が放送されていまして。」

山口『SCHOOL OF LOCK!』の真裏だな(笑)。」

岩城「う……(苦笑)。そこのオープニングテーマになった曲なんですけれども。先日からそのオープニングが流れていまして。」
山口「おー。」

岩城「映像には、新海誠さんのアニメーションと。」

山口「(映画)『君の名は。』のね!」

岩城「はい!『君の名は。』の。そこに、この「ワンダーランド」の音楽がかけ合わさって、すごく綺麗な映像と音になっているんです。」

山口「おー。」

岩城「これを、23時……1日の最後に、その映像と曲を聴くと、本当に1日の疲れがどこかにいっちゃうくらいの効果があります。なので、明日も頑張ろうという気持ちになれるので。本当に若い人にも大人の人にも、明日に向けて聴いてもらえる曲になっています。」

山口「なるほどなー。でも、『NEWS23』……でも、あれなんだよなー。『NEWS23』の真裏だからなー。あんまり言うとちょっと角が立つところがあってな……ちょっと今日は無理かな。ちょっと君のプロモーションでは……」

岩城「そこをなんとか、かけていただけないでしょうか……」

山口「ちなみに君は普段どこの局のプロモーターなの?」

岩城「私は今TOKYO FMを担当しております。」

山口TOKYO FM担当。プロモーターになってどのくらい経つの?」

岩城「2ヶ月経ちます。」

山口「まだ2ヶ月か。なるほど。じゃあ、プロモーションやり始めたばかり?」

岩城「ばかりです。」

山口「あー……すごいハードル高いところに来たね(笑)。」

岩城「本当に……怖い……(苦笑)。」

山口「怖いよね(笑)。音楽業界、怖いよー。これはまだ第1の壁だからね。これからいろんな壁があると思うけど。今日はちょっと無理かなー。ごめんな。もう少し経験を積んでから来ないと山口ディレクターは落とせないなっていうのがあるかな。」

岩城「はい、わかりました。」

山口「でも……あれだよ……本当に頼むよ、プロモーション(笑)。本当にお願いするよ。頼むな……!!」

岩城「わかりました(笑)。また伺います。」

山口「また来てください。お寿司でも食べて。小樽の美味しいから。」

岩城「はい。また来ます。ありがとうございました。」

山口「うん、ありがとう。」

山口「いやー……今日はやけにビクターのプロモーターが多いと思ったらそういうことかな……しょうがない。仕事しよう。キンプリの曲を聴かないと……」

??「山口さん!おつかれさまです。」

山口「あー忙しい、忙しい。」

??「山口さん!大阪から来ました。川村ですー。」

SCHOOL OF LOCK!


山口「あー……!元気?元気?久々に来てくれたね。」

川村「そうなんですよ。今日は大阪で人気のバンドを持ってきたんで。」

山口「大阪で人気のバンド?」

川村「サカナクションってバンドなんですけど。」

山口「ははは(笑)。さっきも新人のプロモーターとプロモーター経験2ヶ月のプロモーターがここに来てサカナクションのことをちょっと話をしていったけど。」

川村「そうですか、弊社の。」

山口「かけなかったよ、さすがに。」

川村「じゃあ、僕の方から改めて……」

山口「川村くん、プロモーションしてくれる?」

川村「もちろん、そのために来ました。」

山口「よし、じゃあ整理しよう。サカナクションが久々にアルバム出すって、これは何年ぶりなの?」

川村「これは6年ぶりで。これもきちんと意味があって。……もともとね、サカナクションは……ちょっとこれは何の話からしよう。「目が明く藍色」って曲があるんですよ。」

山口「あるなー。7分の超大作やな。」

川村「その素晴らしい曲があって、そのために以前もアルバムの制作の過程で、制作期間が延びたっていう。そういうこともあったんですよ。その時は1年くらい延びたんですけど。そういうこともあって……これ、聴いていただくと6年の意味がありますんで。ぜひ聴いていただきたい。まあ、答え合わせみたいな……」

山口「答え合わせみたいな。」

川村「これね、非常に……まあ、実はアルバム行く前に、付属しているDVDの映像がめちゃくちゃいい!」

山口「あー、特典DVDな。付いてくるんだ。……でもそれは特典じゃねーかよ。」

川村「それが非常にね……」

山口「6年ぶりのアルバムの話しろよ!特典の話している場合じゃないだろうが!」

川村「いや、えっとね……」

山口「川村くん!君、何年目だね!」

川村「あの……サカナクションと同じくらい。2006年に入らせてもらって。」

山口「超ベテランじゃないかよ!」

山口「……ちょっと、ビクターのプロモーター、1回集合だ!!ビクターのトップ、山上さんも来なさいよ、ここに。ちょっとお前ら……1回全員中入れ!」

(ビクターの皆さんが全員、スタジオの中に入る)

SCHOOL OF LOCK!


山上「これはやばい(笑)。」 (←ビクターのサカナクション担当ディレクター)

山口「全員集合した?今日はプロモーターって講義でな……6年ぶりのサカナクションのアルバムを皆さんがどうプロモーションするのかっていうのを確認したかったこともあるのよ!山上さん、ちょっと説明してよ。見本見せてもらおうかな。」

山上「あー……!見本はもう……」

山口「できる?あなた。あなたはビクター入社何年目か言ってごらんなさいよ。」

山上「入社は今年で20周年になりました。」

山口「ははは!(笑) じゃあみんなね、山上さんがプロモーションするからね。1回聞こう。山上さんが本物のプロモーションするから。ちょっとみんな、聞こうか。」

山口「あー忙しい、忙しい。忙しいな……」

山上「山口さん、今よろしいですか?」

山口「ふふふ(笑)。まあ、ちょっとなら大丈夫ですけど。」

山上「大丈夫っすか?ビクターの山上と申します。初めまして。」

山口「初めまして。」

山上「ちょっと、我が社いち押しのアーティスト、トップ・プライオリティのアーティストであるサカナクションが、やっと6年ぶりの……待望のニューアルバムをリリースいたしまして。是非ですね……山口さんにご一聴いただけたらと思いまして。」

山口「おー、6年ぶりって、なんで6年も出さなかったの?」

山上「えっとですね……6年前のアルバム『sakanaction』で、ある程度バンドとして到達点に達したという部分がありまして。紅白歌合戦も出て、オリコンチャート1位もとり、売上も20万枚、ツアーも10万人動員という状況で、バンドとしては良い形を迎えたんですが、その後ですね……ボーカルの山口がですね、売れていくとタイアップというものが非常に多くなってきまして。」

山口「まあ、通る壁だよなー。」

山上「ええ。私も欲張りボーイなんで、なるべくタイアップはとっていきたいということで、どんどんやっていたらですね。」

山口「(笑)」

山上『sakanaction』までが、思春期の想いを書き残してきたというか、それを描写してきた。ある種の第1段階っていうのはもしかしたら1回そこで終わっていて、充電器には入るべき時期だったんですよね。」

山口「おー。」

山上「そこから時間が必要になってしまったと。そして紆余曲折ありましたが、6年間もどうしても作品が出来るまでに時間がかかってしまったという形ですね。なので、バンドとして絶頂期からいろいろあって、それをくぐりぬけて、苦心の末にできた作品がこの『834.194』……"闇夜行くよ"です。」

山口「おー。それはどんなアルバムなの?」

山上「作品としては、6年間シングルを非常に多く出しておりますので、そのシングルを中心にしておりますが、ここ1年ほどで出来た新曲が収録されておりまして、今のサカナクションというのをしっかりと伝えられるものと、これまでの6年間の、ある種、地層のように積み重なったものがしっかりと混ざり合った非常に良質なアルバムになっております。」

SCHOOL OF LOCK!


山口「でもね、このエフエム小樽的にもサカナクションをかける理由みたいなところが特に今ないからね。トピックスみたいなものがないとすぐかける気にはならないよ。」

山上「いやいや……」

山口「ちなみにね、今、解禁になっている曲は何と何なの?」

山上「この時点では「忘れられないの」はオンエア解禁されています。その他のシングル曲と、「ナイロンの糸」が先行配信中です。」

山口「それ以外は解禁されていないの?」

山上「解禁されておりません。」

山口「それは戦略なの?」

山上「これはですね、6年ぶりということで、新曲の内容をなるべくギリギリまで……聴いた時に味わってほしいなっていうのがあって。ただですね、サカナLOCKS!は、1番熱心に聴いてくださっているところなので。」

山口「まあ、これはサカナLOCKS!じゃないという体だけどね。」

山上「ええ。ちょっとその辺がね、設定がうやむやなんで良いとして。」

山口「(笑)」

山上「1曲、そうですね……プロモーションのプランニングも考えていくと、どの曲が良いかなと考えていくと……敢えて、ここは……」

山口「うん。」

山上「……えっと……どうしようかな……」

山口「(爆笑)」

山上「……ちょっと待ってくださいね。どの曲がいいのかなー。……ほんのちょろっとだけ……あー……」

山口「(爆笑)」

山上「これはねー……えーっとですねー……」

山口「ちょっと山上さん、ちょっと1回CM行こ。CM中に考えよう!」

山上「はい……。」

<一旦CMへ>

SCHOOL OF LOCK!


山口「……ちょっとCMを挟んじゃいましたけど。サカナLOCKS!で初じゃないですか(笑)。じゃあ、何の曲いきますか、決まった?」

山上「はい。私もいろんな人の顔が浮かんできて……ここは「ナイロンの糸」でお願いできればと思っています。」

山口「あのCMのタイアップにもなった「ナイロンの糸」ね。じゃあ、わかりました。エフエム小樽で「ナイロンの糸」をかけさせてもらいますよ。」




■「ナイロンの糸」サカナクション

山口「ナイロンの糸」……どうですかね、いかがですか。まあ今回、3組のプロモーターにね、サカナクションのニューアルバム『834.194』をプロモーションしてもらいましたが、 まあ、(サカナクションが所属する)ビクターのプロモーターでということで、そういう意味でもちょっと厳しく言っちゃいましたけども、まあでもがんばって、僕たちの6年ぶりのアルバムをプロモーションしていただきたいなと……、この想いを伝えていただきたいなと思っております。この講義を聴いてまあ、音楽業界、入りたくないなと、思った人はいっぱいいると思いますけどね……(苦笑)。」

「ちなみに、山口一郎本人からのプロモーションとしては、アルバム収録曲「ナイロンの糸」のMVが公開されています。合わせて、アルバムから「ナイロンの糸」が先行配信されていますのでよろしくお願いします。そして、再来週6月18日(火)、私サカナクションの山口一郎、ニューアルバムをひっさげて、『SCHOOL OF LOCK!』の生放送教室へ校長教頭にプロモーションしに行くぞ!とーやま教頭あしざわ教頭ともかなりお久しぶりになって、顔も忘れちゃったくらいなんですけど。来週のサカナLOCKS!では、ニューアルバム『834.194』から「モス」を初オンエアしたいと思います。お楽しみに!!」

SCHOOL OF LOCK!







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