定番曲のイントロに漂う夏感を検証!
『イントロ夏合戦!』

SCHOOL OF LOCK!


山口「はい、授業を始めますから、席に着いてください。マンガを読んでいる生徒はマンガをしまいなさい。Twitterを開いている生徒はTwitterを一度閉じなさい。Instagramを開いている人はInstagramを閉じなさい。授業が始まりますよ。暑いね!夏だね!もうフェスも始まるね……」

(セミの音が聴こえてくる)

「(小芝居をはじめる)あー……暑いなー……」

「おばあちゃんちにもうすぐ着くなー……」

「おばあちゃんちでかき氷食べるぞー……」

「シロップいっぱいかけて……」

「……うーん、夏!!!!

「……なんだこのテンション(笑)。黒板書きますよ。」

SCHOOL OF LOCK!


SCHOOL OF LOCK!


「夏ですよー!皆さん、曲を通じて夏っぽさを感じていますでしょうか?CMとかでも、夏服を着た可愛い女性や、夏のかっこいい男性がたくさん出てきてその背景に流れてくる音楽も、まさしく夏……そういった季節になってきております。外を歩いていてもそうですね。ノースリーブの女性、ハーフパンツの男性……そういう人が歩いている姿を見ると、まさに夏だなと感じます。今夜は、そんな夏の定番曲のイントロだけを聴いてその中に漂う夏感を検証していきます。歌詞までいかない。イントロからすでに夏を感じる曲たちが用意されています。今、手元に夏の定番曲のリストがありますが……もう、曲のタイトルのほとんどに"夏"か"SUMMER"がついているね(笑)。」

一郎先生がパッとイメージする『夏っぽいイントロ』とは?

「やっぱり爽快スピード感がある、爽やか、……あと、パーカッションが使われているとかね。パーカッションっていうのはコンガとか。サンバでよく使われるやつですよ。ポコポコポコツクツクタカタカトコトコタン……って筒状になっている打楽器ね、アフリカ民族の楽器ですね。そういう音も大事だね。それじゃあ、分析していくよ。」

「まずは、1980年の曲。松田聖子「青い珊瑚礁」!」


♪ 青い珊瑚礁 / 松田聖子 (のイントロ)


「ほう……パーカッションが入っている……タカターン!ときて……はい、夏!(笑)夏だねー。もう、夏の草原の上を、白い服を着た聖子ちゃんカットの女性がくぐり抜けてきて、歌い始める直前。16分のハイハットからのパーカッションで、メジャーの音階……(もう一度、イントロが流れて)……はい、きたー。さあ、芝生の上を白いスカートを着た女性が走って行ってこっちに近づいてきている……近づいてきている……はい、夏!」

「夏だねー。聖子ちゃんが来たねー、若い頃の。この曲、1980年ってことは、先生が生まれた年ですよ。今と昔じゃ夏の感覚が違うかもしれないね、音楽的には。あと、J-POPと映画界でも違うのかもしれないけど。」

「どんどん聴いていきましょうよ。先生たちの世代で夏のバンドと言えば……夏にしかリリースしないんじゃないかと思うくらいたくさんの名曲を残しているTUBEというバンドがいます。聴いてみましょう。「あー夏休み」!」


♪ あー夏休み / TUBE (のイントロ)


「はい、パーカッション。ホーンからのパーカッション。リバーブが強い。(リズムを聴いて)これはサンバだね……はーい、夏だねー!粘っこいギターソロから始まるんだねー。駆けていくねー……はい、夏(笑)!」

「……まず、斬新なのは、ギターソロから始まっていること。これは……夏だね。TUBEさすがですね。夏にリリースするってことは冬に曲を書いているってことですからね。真冬にこの曲を書くってことは……ハワイとか行ったりするんですかね。サカナクションも夏の曲っていうのを書いたことがあるんですよ。日焼け止めの曲を作ったわけです。「多分、風。」っていうね。この「多分、風。」とこの「あー夏休み」のギターソロは合うと思いますよ。ちょっと聴いてみる?」


♪「多分、風。」のイントロ、シンセドラムのあと→「あー夏休み」イントロbのギターソロに乗り換える!


「わははは!(笑) 合うねー。マッシュアップだ。つまり……キーが同じってことだね(笑)。TUBEさすがですねー。夏感を醸し出してくれますね。」

「じゃあちょっとジャンルを変えてみましょうか。映画界での夏っぽさを醸し出している、久石譲さん。巨匠です。『菊次郎の夏』っていう映画の曲ですね。「Summer」。」


♪ Summer / 久石譲 (のイントロ)


「(イントロの冒頭の音階を聴いて)……あ、学校のチャイムだね。これは、大人にあの夏は良かったなって思わせる、大人が思い出す夏。」


「(曲を聴きながら、再び小芝居)……私は……60になって定年退職をして、ようやく嫁と新しい人生を迎えるわけです……嫁と出会ったのは、夏。伊豆の夏で、私は泳いでいたんです……」

「……みたいなね。夏のことを思い出すっていう部分で上手に作られていますね。景色が浮かびますよね。次、これも先生の世代のバンドの曲ですよ。THE BOOM「島唄」。」


♪ 島唄 / THE BOOM (のイントロ)


「はい……この沖縄音階ね。この7音この7音階と三線ね。もう……夏っていうか沖縄。沖縄といえば夏。……夏だね。地域性として沖縄は夏だから、そこの音階を使うってだけで夏を想起させるっていうのは当然ですよね。でも、沖縄音階っていうのを沖縄に住んでいない僕らも認識しているっていうのは雅楽に近いですよね、沖縄の音楽は。地域性だと思いますね。」



「次は、ちょっと現代的になっていきますよ。これも有名な曲です。ゆず先生の「夏色」!」


♪ 夏色 / ゆず (のイントロ)


「はい……夏だね。自転車乗っちゃってるね、もうこの時点で。でも、今気づいた……これ、スピッツ「スパイダー」同じコード進行だね。最後のコードは違うけど。「スパイダー」の方が先ですよね。」


♪ スパイダー / スピッツ (のイントロ)


「……ほら。コード進行一緒。もう一回「夏色」聴いていいですか?」


♪ 夏色 / ゆず (のイントロ)


「……ほら。ということは、スピッツにも夏感があるんじゃないかな。つまり、スピッツの清楚感や爽快感っていうのはある種、夏なんだね。スピッツが作り上げた爽やかさみたいなものはJ-POP界でひとつの系譜になっているんですね。なんか分かってきたぞ。」



「じゃあ、もう1つ同じ世代のミュージシャンいってみましょうか。aiko「花火」。」


♪ 花火 / aiko (のイントロ)


■ aiko-『花火』music video short version




「お。あー……夏感ないな、あんまり。この後ですごい夏感が出てくるんだね。前半にあまり夏を感じさせないことで後半の夏っぽさを増幅させるっていう手法なのかな。タイトルが「花火」っていう部分で夏だからね。」



「じゃあ、次。RIP SLYME「楽園ベイべー」。」


♪ 楽園ベイべー / RIP SLYME (のイントロ)


■ RIP SLYME - 楽園ベイベー




「おー。シェイカーが夏だね。コード進行も夏だね。そうね……めちゃくちゃ夏を感じるってことではないけど、シェイカーがあるっていう時点で夏っぽさは出てくる。あと、コード進行のメロウな感じも夏を感じさせるし、気だるさがあるね。夏、だりぃ……けどまあ、遊ぶか……みたいな。」



「じゃあ、最近のバンドの曲も聴いてみましょうか。SHISHAMO「君と夏フェス」。」


♪ 君と夏フェス / SHISHAMO (のイントロ)


■ SHISHAMO「君と夏フェス」




「あー……これは夏フェスだね。今の若者たちの夏は夏フェスなんだね。だから曲のタイトルも「君と夏フェス」だったりするわけね。でも、先生の時代の夏に居たTUBEっていうバンドは、夏の度に出てきて夏の度にリリースするある種"夏バンド"だったんですけど、今は夏バンドみたいなのっていないね。こんだけ夏フェスっていうのが主流になってきているのに関わらず、夏の出稼ぎバンドって居ないですよね……どうしてなのかな。タイアップ文化だからかな。当時はCDセールスがあったから夏だけ活動していてもやっていけたけど、CDセールスが落ちてきて夏だけじゃ無理だっていうのと、夏の曲を冬に地方でライブすることができないからかな?……いろんな要素がありますよね。」

SCHOOL OF LOCK!


「たくさん聴いてきましたけど、イントロだけで夏を感じる曲もあれば、イントロに夏を感じさせずに夏っていうものを説明する曲もあると。つまり、夏っていう曲を総合すると、爽やかさやサンバ感、地域……沖縄とか、そういったいろんなものが含まれて夏感があるんだなと思いますけど、暗い曲はないね。夏に暗いことを歌うってことはないんじゃないかなという気がしてきましたね。他にもたくさんありますけど、皆さんも自分の好きな曲の中に夏曲があるか探ってみてはいかがでしょうか。」


♪ 太陽のKomachi Angel / B'z


「そろそろ今夜の授業も終了の時間になってしまいました……今流れておりますのは、先生が初めて買ったCD。B'z「太陽のKomachi Angel」でございます(笑)。夏っぽい曲はいろいろあって、みんなも夏になると聴きたくなる曲があると思います。だから、その曲の要素みたいなものを考察していくのも面白いんじゃないでしょうか。」

「先生が好きな夏ソングには、「勝手にシンドバッド」(サザンオールスターズの曲)もあります。あれも夏ですよね。よくできた曲ですよ。先生は「アイデンティティ」を作るときにこの曲を100回くらい聴きましたから。サカナクションの中の「勝手にシンドバッド」を作りたいって……インタビューでも話をしていましたけど。そういった要素が「勝手にシンドバッド」にはあったんですよ。夏感というか。ちょっと聴いてみよう。」


♪ アイデンティティ / サカナクション (のイントロ)


「はい……「アイデンティティ」だね。ほら、夏感があるね。」


♪ 勝手にシンドバッド / サザンオールスターズ (のイントロの途中に切り替わって)


「フー!ラーラーラー!……ね?影響を受けているのが分かるでしょ?コードとかテンポとかは違うけど。サカナクションでも夏っぽさを出したいと思って「アイデンティティ」を作ったけど、歌詞は "アイデンティティがない 生まれない ララララ" って……暗い歌詞なんですよ(笑)。でも、夏フェスでこの曲をやると、夏感はあるんだけど、アイデンティティがないってお客さんが手を振っている姿は、まさに景色は一向一揆ですよ。そういったコンセプトを持って「アイデンティティ」を作ったんです。だから、先生は「勝手にシンドバッド」を聞くと夏を思い出すね。」

夏を感じるイントロを実際に聴きたいという、授業を聴き逃してしまった生徒の皆さん、もう一度聴きたいという2017年7月26日まではradikoのタイムフリー機能を使ってサカナLOCKS!を聴くことができます!
radikoのタイムフリーは[→コチラ!]

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