対談:古舘佑太郎
「新たなバンド“2”結成」〈前半〉

SCHOOL OF LOCK!


山口「はい、授業を始めますから席についてください。マンガを読んでいる生徒は、マンガをしまいなさい。Twitterを開いている生徒はTwitterを閉じなさい。Instagramを開いている生徒は、Instagramを閉じなさい。授業が始まりますよ。」

「えー、我が校、SCHOOL OF LOCK!は、今週から13年目に突入でございます!2005年10月に開校し、サカナLOCKS!は2012年からなので、6年目となります。引き続き、サカナクションは "音学" の授業を担当していきますが……いい加減アルバムを出さないと、このサカナLOCKS!の座が持っていかれたりするんじゃないかなと……だから頑張って続けていけるように、真面目に"音学"の授業を続けていきたいと思っています。」

「まずは先日、幕張メッセで行いました、SAKANAQUARIUM2017 10th ANNIVERSARY Arena Session 6.1ch Sound Around に来てくれた生徒の皆さん、本当にありがとうございました(タイトルが長いですが・笑)。スピーカーに囲まれたライブ……300発近く360度全部スピーカーで囲んでドルビーの協力をもとに行われました。いかがだったでしょうか?あれね……大赤字でしたからね。2日間ソールドアウトしましたけど……無事に赤字で終わりました(笑)。あと、大阪城ホールも10月17日と18日に、これも大量のスピーカーを仕込んで、10周年のお祝いというか、皆さんへの感謝の気持ちを込めて行うライブなので、楽しみにしていてください。ライブの感想を書き込みしていただけると嬉しいです。」

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「では、黒板を書きたいと思います。……今日は、先輩だから、僕。」

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ということで今回はゲストに、古舘佑太郎 君を迎えます。
実は2014年、The SALOVERS 時代にこのサカナLOCKS!『ミュージシャン対談』のゲストとして登場したのがきっかけで、一郎先生と古舘くんの交流がスタートしました。
そんな古舘くんが新たなバンド "2" を結成しました。


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山口「今日は、私山口一郎先輩が、後輩の古舘佑太郎君を呼び出してみました。」

古舘「……古舘佑太郎です!」

山口「ふふふ(笑)。こんばんは。」

古舘「こんばんは。」

山口「古舘君との最初の出会いは、このサカナLOCKS!でしたね。

古舘「そうでしたね。」

[ 2014年2月20日の授業 ]

山口The SALOVERSという、閃光ライオットにも出場していたバンドをやっていた頃で、「夏の夜」という曲の歌詞が本当に素晴らしくて……嫉妬して、これを書いたやつはどんなやつなんだと、ちょっと話を聞かせろよって呼び出して……というか(笑)来ていただいて。そこで連絡先を交換して、他のスペシャの番組(SPACE SHOWER TV『サカナクションのNFパンチ』)でも準レギュラーとして出ていただいたりして仲良くなったわけですけど……確か、その頃って結構悩みまくっていたよね。」

古舘「悩みまくってました……いちばん悩んでいた時かもしれないですね。アルバムができないって。」

山口「って言ってたね……俺もその頃からアルバム出してないんだけどね(笑)。でも、迷っている頃で、迷いすぎて、〈 株 初心者用 〉とか検索したりしてるって言ってた。」

古舘「それ、僕……覚えていないんですよ。」

山口「本当。相当……病んでたよ。なんかもう、ミュージシャンじゃなかったもん。」

古舘「はは(笑)。でも、いま思うと、確かにその時そうなってもおかしくないくらい落ちてたかもしれないですね。」

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山口30歳までに自分はどうなるんだろう……って悩んでいましたけど、今いくつ?」

古舘「今、26歳になりました。」

山口「26?あらー……25を超えた。」

古舘「超えちゃいましたね。」

山口「その時は、役者になったら?って僕が言ったんだよね。」

古舘「そうですね。初めてお会いした時に言ってもらいました。」

山口「役者になるどころか、NHKの朝ドラ『ひよっこ』に出ていたじゃないですか。」

古舘「そうですね……出させていただきました。」

山口「実際どうなの?朝ドラって。」

古舘「いや……僕、初めて一郎さんに会った時に、役者を何もしていない時なんですよ。」

山口「あれ?やってなかったっけ?」

古舘「やってないです。」

山口「オーディションに行ったって言ってたような……」

古舘「そうです。その時に、ちょっとそういうことにチャレンジしてみたいなって頃で、一郎さんに会ったら一郎さんにまず役者をやってみたら言われて、結構びっくりして……背中を押してもらったというか……」

山口「ははは(笑)」

古舘「その直後に、映画に初めて出たんです。だからそこから始まったので……。朝ドラの前に、少ないですけど、何本かやらせてもらっていて、ちょっと経験を積んで臨んだんですけど……今までやってきたことが1回全部リセットされるというか、これじゃだめだっていう、そういう感覚がありました。1回すごく落ち込んでから、もう1回再生するというか……。」

山口「へー。でも、自分としては、自分のことはミュージシャンだと思ってやっているわけ?」

古舘「撮影に入っている時は、自分がミュージシャンだっていうことで逃げるのも違うなって、ミュージシャンがやっている役者ですっていうのは一旦捨てて、全力で役者として頑張ろうと思って向き合っていますけど……どっちかっていうことはなく、今は全力でがむしゃらに目の前のことをやっていきたいと思っていて……もちろん、自分はミュージシャンがなかったら今がないので、今後もずっとミュージシャンであることは変わらないんですけど、役者をやっている時は役者として頑張ろうと思っています。」

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山口「The SALOVERSが無期限活動休止になったのが何年前?」

古舘「3年前とかです、多分。」

山口「3年前か……そこからどのくらい音楽をやっていなかったの?」

古舘「実際は、4ヶ月くらいしか休んでいないんですけど、その後はソロを始めて……」

山口「そうか。ツアーもやったんだっけ?」

古舘「はい、2か所だけでしたけど。」

山口「ソロをやって変わった?」

古舘「ソロをやった頃は、ほんとうに周りに支えてもらったというか……当時僕がすごくふわふわしていたので……ふらふらもしているし、ぐらぐらもしているし……正直、見失いながらも何かをやらないとっていう気持ちが強かったので、その壊れそうなバランスをみんなが僕をリハビリのように支えてくれたから続けられた気がします。」

山口「だって、変なこと言ってたもん当時。駒沢公園で焼肉屋やるって言ってなかった?」

古舘「もつ焼き屋です(笑)。」

山口「もつ焼き屋か(笑)。なんで急にそんなこと言い出したんだろうって思ったもん。」

古舘「ほんとうに音楽を辞めようっていうくらいの気持ちだったので、何しようって思った時に、もつ焼きの修行をしようと思って……」

山口「ははは(笑) なんか……本当に迷ってたもんね。」

古舘「迷ってました。はい。」

山口「そんな古舘君、いろいろありましたけど、新しいバンドを結成したという噂を聞きました。」

古舘「そうなんです。数字の2と書いて、"ツー"って読むんですけど。」

山口「うん、いいね。」

古舘「本当ですか。」

山口「どうして2なの?」

古舘「ソロをやっている時に、支えてくれたパートナーのPちゃん(加藤綾太)が、彼もバンドを組んでいたんですけど、それも終わって……2人でこれからどうしようっていう時に、本当にバンドはもう一生やらないと思っていたんですけど……」

山口「え、なんで?」

古舘「前、組んでいたバンド(The SALOVERS)は幼馴染で組んで、彼らとしかバンドっていうものをやってこなかったし、それをどこか自分が終わらせてしまったというか……続けられなかったっていう罪悪感もあったし、トラウマもあったのかもしれないんですけど、バンドはやらないだろうって思っていたんです。」

山口「そっかそっか。」

古舘「でも、そのP助と出会って、ふたりとも暇な時間が多かったので、ギターを弾いたりしていて……やっぱりバンドやりたいよねって話になって。そこでバンドについて熱く語っている中で、自分たちは1回バンドが終わってしまっているっていう状態で、映画でいうとそれが"1"だなって。」

山口「うん。」

古舘「っていうか、その前に、結構マジな話なんですけど、なんで映画でいうと”1"、"2"だねって話になったかっていうと、その時よく一郎さんとお会いしている時だったんです。っていうのもあって、新しいバンド名の名前を言い合っていくっていう時に、お世話になっているバンドに2を付けたらどうなんだろうって話をふざけてしていたんですよ。で、1回、"サカナクション2"っていうのはどうだって話も出てるんです(笑)。」

山口「ははは(笑) マジ?」

古舘「はい(笑)。で、そういう話から、それはありえないよねって言った後に、でも……"2"っていいよねって。映画でいうと俺らの1は前のバンドで終わっているよねって。じゃあ、もう1回バンドを組む時は2。セカンドストーリーだよねって話になって、じゃあ"2"だってことになったんです。」

山口「へー。」

古舘「全部、後付けなんですけど、冗談から生まれた2が、映画でも1が良いって言われて、2は批判されることが多いし、ミュージシャンでもファーストアルバムが良いって言われることも多いけど、自分たちは2で1を超えていこうっていうことから、この名前になりました。」

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■ 2 - ケプラー (Official Music Video)




山口「(ケプラー)いいねー。めちゃくちゃいいね。」

古舘「ありがとうございます。」

山口10月4日にファーストアルバム『VIRGIN』をリリース。2でバージン……いいね。」

古舘「ありがとうございます。」

山口「僕ね……The SALOVERSより好きかも。」

古舘「本当ですか。それはやっぱ……前に進もうとしている今、嬉しいです。」

山口「なんか……直感としてこの曲から得られる感情って普遍的だし大衆的だと思うんだよね。ちゃんと整っていると思う。あとね……なんかムカつく(笑)。」

古舘「なんでですか(笑)。」

山口「ムカつくわー……良い意味で。上手ですね、本当に。」

古舘「演奏は、みんなで練習しました。」

山口「演奏はね……そんなでもないけど(笑)。」

古舘「ははは(笑)」

山口「上手とか下手とかじゃなく、ちゃんと味があるし、ミックスも上手にできているし、歌のボリューム感を抑えているのはすごくかっこいいなと思うし、そのサウンドに対して古舘君の声が優しいけど頑張って背伸びしているのがすごく合っているし、歌詞の世界観に古舘君のキャラがちゃんとはまっているなって。」

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古舘「今までとつくり方が違って。僕、共作って今までやったことがなくて、でも、今回のバンドはピー助っていうパートナーがメロと曲を作って、僕が歌詞を書くっていう形に自然となっていったので、人のメロディーに歌詞を入れたことがなかったんですけど、やってみたらすごく合って……」

山口「俺ね……それできないと思うんだよね。合ったんだ?」

古舘「はい。びっくりしました。」

山口「自分のメロディーに歌詞を書くのとどう違うの?」

古舘「自分のメロディーに書いている時はもう書けなくて……止まるし、悩むし……何がしたいのかも分からなくなったりしていたんですけど、彼のメロディーを聴いていると、書きたいことが自然と浮かんで、書きたいことが決まっているから、それを自分で編集してまとめるっていう作業で……あまり止まらないんです。」

山口「へー。客観的になっているのかな。」

古舘「はい。それはあると思います。」

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山口「もっといろいろ聞きたいな……じゃあ、来週も来てもらって良いですか?

古舘「もちろん、是非。」

山口「来週もいろいろお話を聞かせてもらえたらと思います。皆さん、昨日アルバムを発売した、サカナLOCKS!イチオシのバンド、2。よろしくお願い致します。」

古舘「よろしくお願いします。」

ということで、来週のサカナLOCKS! にも古舘佑太郎君を迎えます。
ニューアルバム『VIRGIN』の中から、一郎先生のイチ推し曲も紹介してもらう予定です!お楽しみに!!


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