今回の授業は、ネットニュースでも話題となっている、LEGOでサカナクションの「新宝島」のMVを再現したという12歳の男の子、ラジオネーム ドロップくんに山口一郎先生が電話で直撃インタビューしていきます。

その話題の動画がこちら！

■LEGO-サカナクション 新宝島〜レゴでサカナクションの新宝島を再現してみた！SAKANACTION(cover)コマ撮り


山口「これね、僕はインテリアデザイナーの片山正通さんから「こんな面白い動画あるよ」ってメールで送っていただいて見たんですよ。すごい部分はいろいろあるんだけど、トラック(音楽部分)も自分で作っているんですよね。レゴを組み立ててコマ撮りしているっていうことだけでもすごいのに、自分で歌っているんだよね。どうやって作っているのか、誰かに手伝ってもらったのか、自分で全部やったのかわからないけど、これは将来有望な変態だなって思って(笑)、変態予備軍(笑)。」

「ということで、黒板を書きたいと思います。」





「最近ね、「新宝島」のMAD映像みたいなのがチラッと流行ったと。Twitterのもりもりさんっていうアカウントの人が面白い映像を上げていらっしゃって。僕、全部見たんですけど、それも面白くて。そういう流れがあって、サカナクションの「新宝島」の動画がちらほら上がっていたらしいんですよ。中でも、このドロップくんのLEGO動画は群を抜いていると。クリエイティビティだと。自分で音も作って自分で構成するっていう……これはすごいということで、今日はお話を聞いてみたいと思って。気になったので、Instagramなどを通じて、サカナLOCKS!の職員が連絡をしてしまいまして(笑)。こんな神童をサカナLOCKS!が放っておいていいのかと……電話してOKということなので、さっそく今日はドロップくん、初オンエア(笑)。」

山口「もしもし！ドロップくんですか？サカナクションの山口一郎です。」

ドロップ「もしもし。はい、そうです。よろしくお願いします。」

山口「あれ？ドロップくんって男の子？」

ドロップ「はい、そうです。」

山口「歌っている声がちょっと女の子っぽいなって思っていたんだけど。」

ドロップ「ちょっと、まだ幼いところがあるので。」

山口「ははは！(笑) そりゃ幼いところあるよね、6年生だもんね(笑)。」

ドロップ「はい(笑)。」

山口「サカナクションのことはどうやって知ったの？」

ドロップ「『バクマン。』っていう映画で最後に「新宝島」が流れてきて、その時にすごい感動したんですよ。曲を聴いて。それで初めてサカナクションを知ったんですよ。」

山口「お、嬉しい。じゃあ、「新宝島」からサカナクションに入ったんだ。映画で。」

ドロップ「はい。でも、本当に最近で、2ヶ月前くらいに知ったんです。」

山口「そうなの？サカナクションの「新宝島」以外の曲は何か聴いた？」

ドロップ「はい。すごい僕がはまったので、お父さんが『魚図鑑』を買ってくれて。聴きまくりました。」

山口「おー。……なんか、本当に小学６年生だよね？すごいねー。」

ドロップ「ありがとうございます(笑)。」



山口「この「新宝島」のMVだけど、すごいなって思った点が2点あって。まず、全部コマ撮りしてLEGOで撮影して忠実に再現していることがすごいなって思ったのと、もうひとつ。この音源、歌っているのはドロップくんだよね？」

ドロップ「はい、そうです。」

山口「このオケはどうしたの？」

ドロップ「自分で全部作りました。」

山口「ははは！(笑) え、作ったって、打ち込んだってこと？何で？」

ドロップ「iPadの無料のアプリがあるんですよ。」

山口「GarageBand？」

ドロップ「はい、GarageBandです。」

山口「GarageBandでやったの、これ？え、ドロップくんはピアノを習っているの？」

ドロップ「はい。習っています。」

山口「それでか。結構耳コピっていうか……自分で作ったんだ。」

ドロップ「そうです。」

山口「あの……もう1回確認していい？ドロップくんってさ、本当に小学6年生だよね？」

ドロップ「はい、そうですよ(笑)。」

山口「なんかもう……受け答えが小学生じゃないんだけど(笑)。」

ドロップ「そ、そうですかね？(笑)」

山口「しっかりしてるよねー。すごい話しやすいし。」



山口「どうしてこのMVを作ろうと思ったか教えて？」

ドロップ「えっと、まず曲全体がすごくいいのもあるし、MVがレトロっていうか……すごいかっこいいし。動きとしてもLEGOで作りやすいなって思ったんですよ。」

山口「ははー。」

ドロップ「ステージが1つで出来ているじゃないですか。」

山口「そうだね。ほぼ1カメっていうか、ひとつのシーンというかね。」

ドロップ「だから、作りやすいかなって思って。」

山口「これはどのくらい時間がかかったの？音楽も含めて。」

ドロップ「まあ……1ヶ月くらいです。」

山口「(笑)」

ドロップ「ちょうど冬休みだったので……」

山口「できたらYouTubeに上げようってつもりで思っていたわけ？」

ドロップ「はい。」

山口「写真は何カットくらい撮ったの？」

ドロップ「えーっと、4000くらいはあったかなと……」

山口「ははは！(笑) 機材は何を使っているの、LEGOを撮影する際に？」

ドロップ「iPadだけで編集も撮影もやっています。」

山口「でもさ、シーンごとにライトアップしたり影を作ったりしてるじゃん。」

ドロップ「はい、ライトはあります。」

山口「ライトはあるんだ。それを撮影している時、お父さんとお母さんはそれを見守ってくれているの？手伝ってくれているの？」

ドロップ「いや、全然……してませんね。」

山口「ははは(笑) それはでもさ、小学校6年生のドロップくんがLEGOで1ヶ月間かけてやっているわけじゃない？両親からすると、この子何をやっているんだろう……っていう風に普通は思いそうなんだけど。」

ドロップ「いやー、ちょっと記憶があれなんですけど、確か、お父さんが「LEGOで再現してみたらどう？」って言ってくれて。」

山口「お父さんちなみにおいくつ？」

ドロップ「52とかですかね。だからまあ、YMO世代というか。」

山口「YMO世代……(笑)。ちょっと、ドロップくん、年を誤魔化してないか？大丈夫か？(笑)」

ドロップ「ふふふ(笑)。大丈夫ですよ、本当に。」

山口「兄弟はいるの？」

ドロップ「いません。」

山口「一人っ子なんだ。将来はどんな仕事をしたいとかあるの？」

ドロップ「えっと……映像クリエイターとか、そういうクリエイティブな映像を作りたいと思いますし、音楽も作りたいなとは思っています。」

山口「音楽を作ることにも興味があるんだ。」

ドロップ「はい。」



山口「次はLEGOで何か作りたいものある？」

ドロップ「そうですね……もう1つくらいサカナクションの動画をやりたいかなって。なんか、リクエストとかもすごいきているので。サカナクションのでって。」

山口「本当？何のリクエストがきてる？」

ドロップ「まず、「『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』」が……」

山口「あれ……難しいぞ……！」

ドロップ「あれはちょっとね……難しいですよね。」


サカナクション / 『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』



山口「一郎先生が5人いるからね。」

ドロップ「そうです、そうです。」

山口「しかも、本物と本物じゃない人の差をつけなきゃいけないからね。」

ドロップ「そうなんです。ちょっと悩んでいるっていう。」

山口「確かにね、バッハは難しいかもな。でも、先生もうすぐ新しいアルバムが出るんだよ。そのアルバムに入っている曲とかやってくれたら嬉しいけどなー。」

ドロップ「あー。」

山口「……じゃあ、わかった。先生はドロップくんの才能だったり、気持ちみたいなものは「新宝島」のMVを見てすごく感じたから、サカナクションのMVをもう1本LEGOで作ってもらえたら嬉しい。それがもしよかったら、新曲のサカナクションのMVをLEGOで作ってみる？オフィシャルで。」

ドロップ「オフィシャルですか……！」

山口「そう、仕事で(笑)。」

ドロップ「も、もう……もう仕事が舞い込んできてしまった……！」

山口「ふふふ(笑)。ドロップくんには、根気、集中力、クリエイティビティはあると。小学6年生とは思えない作品だと思ったし、もう1本……じゃあ、"バッハ"作ってみる？」

ドロップ「バッハ……作ってみますか……！」

山口「ふふふ(笑)。やってみたらどうかな？」

ドロップ「やってみようかな……！でも、出来るかはわからないんですけど。」

山口「バッハが無理だったら、違う曲でやってみました……とかでもいいから。」

ドロップ「はい、わかりました。」

山口「それをサカナLOCKS!の方に連絡していただけたら。」

ドロップ「はい。」



山口「一郎先生に何か聞きたいことある？」

ドロップ「えっとですね、あの、どうやってアイディアを……どこからとってきて、思い浮かべたものを形にしていくかっていうのが。」

山口「あー……曲によるけどね。ただ、「新宝島」っていう曲に関しては、ドロップくんが観た映画の主題歌だったの。最後に映画のストーリーがきちっとはまる曲を作りたいっていうコンセプトだったの。コンセプトはそこにあったし、「新宝島」っていうタイトルも、昔の漫画で『宝島』って漫画があったの。」

ドロップ「あの……手塚さんの。」

山口「そうそう。そこからとって、次から次へ行くよっていう……君を連れて行くよっていうことで、サカナクションのストーリーと映画の中のストーリーを掛け合わせた言葉を作ったんだよね。」

ドロップ「ほー……すごい。」

山口「そこに、アニメっぽいコミカルな曲に対して、すごく誠実なテーマの歌詞を入れるっていうずれを入れていこうよっていうのが「新宝島」。だから、全部がコンセプトなの。」

ドロップ「すべてはコンセプト。」

山口「そう。適当にばーっと作って、これが名曲だろっていう人もいるけど、僕らは裏付けが欲しいっていうか、コンテクスト……そこにたどり着く道も全部理由としてしっかりと形作りたいと思うんだよね。なんでかっていうと、自分が愛してきた古い音楽とか映像とか映画とかも、ちゃんとそういうストーリーがあって出来上がっているものだから。……ちょっと難しいかな、6年生には。大丈夫かな？」

ドロップ「大丈夫です。すごい。」

山口「じゃあまた。楽しみにしていますので。」

ドロップ「はい。これからも頑張ってください。」

山口「頑張ります。ドロップくんもね。勉強もちゃんとしてよ。」

ドロップ「はい。勉強……します！」

山口「ふふふ(笑)。それじゃあね、バイバイ。」



今回の授業も終了の時間になりました。

山口「小学校6年生にしては、半端じゃない対応力だし、普通小6が、「親がYMO世代」とか言えないですよね(笑)。次の作品も楽しみにしつつ、甘やかすつもりはなく、本人がいいものを作りたいっていうんだったら、サカナクションのMVをLEGOで作ってみるっていうところに協力したいなって。投げっぱなしじゃなく、一緒に作ってみるっていうのもいいのかなって。興味があればね。ごり押しするわけじゃなく……と思いました。こういう子もどんどん出てきて欲しいなと、出てきてくれたら嬉しいなと思います。ぜひ、皆さんも映像を見てみてください。」


ドロップくんのその後は、サカナLOCKS! でも追いかけさてもらいます。そしてメイキング映像も公開されています！こちらもぜひ。


■LEGO-サカナクション 新宝島〜レゴでサカナクションの新宝島を再現してみた！Behind The Scenes(メイキング映像)