「"音学のゼミ"サカナLOCKS!」

SCHOOL OF LOCK!


山口「はい、講義を始めますから席についてください。マンガを読んでいる生徒は……さすがに、大学だからマンガを読んでいる生徒はほとんどいないと思います。Twitterを開いている生徒はTwitterを閉じなさい。Instagramを開いている生徒はInstagramを閉じなさい。講義が始まりますよ。」

山口「今日から、ここSCHOOL OF LOCK! UNIVERSITYで講義を担当することになりました、サカナクションの山口一郎先生です。3月まで、SCHOOL OF LOCK!の方で授業を担当しておりましたが、4月よりこのUNIVERSITYに赴任して参りました。」

山口「先生は、SCHOOL OF LOCK!の方ではかなりのスパルタな授業として有名でしたが……生徒諸君、大学に合格したらそこで終わりじゃないよ。大学生なりの夜の乗りこなし方というのがあるはずだ。高校時代、あなたたちが頑張ってきた勉強。大学に入って終わりじゃなく、それから始まる社会への準備。それをこのUNIVERSITYで、音学(おんがく)という目線で、皆さんと一緒に学んでいけたらと思う。むしろ、ここからが社会の荒波に向けてだな、準備するということだ。その最初の一歩ということになるわけだな。」


山口「そして、今日は最初の講義ということで、この教室にSCHOOL OF LOCK! UNIVERSITYのマンボウやしろ教授も来てくれています。」

SCHOOL OF LOCK!


やしろ「こんばんは!よろしくお願いします!」

山口「(笑) よろしくお願いします!」

やしろ「まだ “教授” という名前を持て余しているというか……やっぱり日本における教授っていうのは、本物の教授はたくさんいるけど、こういうメディアの、音楽とかは……坂本(龍一)さんしかいないわけじゃないですか。そこにうっすら近づけようとしているというか……かぶっているというか。」


(♪「戦場のメリークリスマス」が流れてきて……)


山口「あ、聞こえてきた。」

やしろ「もう、申し訳ないっていうか。恥ずかしさしかないから。」

山口「ははは(笑)。でもそれは例えば、僕が教授になったら、それは本当にやばいと思いますよ。自分で坂本龍一教授の後を継ごうとしている……みたいな。」

やしろ「それは本当にやばい。なんだろうね……正当なるというより、奪いに行った感じのニュアンスが出るでしょ?」

山口「出ちゃいますね……。(戦場のメリークリスマスを聴きながら) 寂しい気持ちになる。」

やしろ「ほら……ミスター・ローレンスって言いたくなるような。」

山口「なりますね……。ふふふ(笑)。」

SCHOOL OF LOCK!


やしろ「あの……どうしていきます?」

山口「元教頭の時に向けていた先は10代の生徒ですよね?」

やしろ「そうです、全国の生徒です。」

山口「でも、このUNIVERSITYはある種、大人の階段のぼる大学生。」

やしろ「10代もいるかもしれないけど、二十歳超えている子もいるかもしれないし。」

山口「高校生がいたとしても、ある種、夜更かしする……」

やしろ「そうね。聞いちゃいけない放送を聞いているような背徳感というかね。」

山口「悪いことをしているかもしれない……っていう気持ちが20%くらいある生徒なわけじゃないですか。そういう生徒の期待を裏切らないような内容にしていきたいなと思いますよね。」

やしろ「生き方、SCHOOL OF LOCK!では扱えないゴシップ、お金の話……」

山口「お金の話……」

やしろ「生き方とかお金の話は切っても切れないところがあるじゃないですか。あんまり学生にお金の話はできないところもあるし。」

SCHOOL OF LOCK!


山口「そうですよね。だから、マネタイズっていう……音楽業界のマネタイズっていうのをリアルに話したいなとは思いますね。」

やしろ「……マネタイム?」

山口「マネタイズ。」

やしろ「マネタイズ?……その……お金のこととか。この後、いろんな話するんでしょ?大人の話。」

山口「ははは!(笑) アルバムのね。」

やしろ「そうそう、この後するんでしょ?だから俺は早々と帰ろうと思ってるのよ。とりあえず、ここからは出ようと思ってる。この後すごい話するでしょ、リアルな。」

山口「ははは(笑)。まあ、あるんですけどね。でも、マネタイズのことを考えているんじゃなくて、作るっていうことはどういうことかっていうのを考えていますよ。」

やしろ「だからその辺の話とか。……最後に一個だけ聞いて良い?」

山口「はい。」

やしろ「マネタイズって何?」

山口「マネタイズ……。」

やしろ「もう、ちょっと1回出ておくわ(笑)。いろいろあるんで、皆さんお楽しみに。1回帰りますので、一郎先生これからよろしくお願いします!」

山口「頑張ります!これからよろしくお願いします。」
(※マネタイズ = 収益化すること)

SCHOOL OF LOCK!


山口「さあ、まずはこの講義のことを説明したいと思う。私が担当する講義を黒板に書こうと思う。……大学の黒板だからやけにでかいってイメージでみんな聞いてね(笑)。やけに広い会場で、リバーブがかかっている……リバーブというか、アンビエントっていうんだよ。(急に声にリバーブがかかる。しかも深くかかる)……ほら、これは講義の広さだからね。今までのSCHOOL OF LOCK!とは違う響きが聞こえるでしょう?これは大学の講堂で行われている響きだから。教室みたいな狭い場所じゃないからね。聞いてもらいたい、この黒板を書く音を……(黒板に書く音が響き渡る)。」


SCHOOL OF LOCK!


「この時間は、音で学ぶ、音を学ぶ、音に学ぶ "音学ゼミ"の講義をお送りしていきたいと思う!」

「まずは、サカナクションのお話をしていきたいんですが。先週のサカナLOCKS!で、4月24日にリリース予定だったサカナクションのニューアルバム『834.194』6月19日に発売日が変更になりました。アルバムの発売延期を発表させていただいてから、いろいろな声が寄せられました。僕はずっと潜っていたので、SNSなどは見ていなかったんですけど、いろんなところにいろんな声が届いているということを知りました。もちろん、楽しみにしていた人もいたので、厳しい声もありました。」



4/24→6/19

一郎先生、どうか無理はせずにお体には気をつけてください。
アルバム発売延期と聞いて少し落ち込みましたが、更に約1ヵ月半試行錯誤を重ねて完成する作品を手に入れられると思うと、より楽しみになりました!
4/6の幕張でのライブも楽しみにしています!
これからも応援しています!


ウオタミング

男性/19歳/静岡県


「先週のサカナLOCKS!の後も、先生はずっとアルバムの作業……歌詞の作業ですね。その作業をしていたんですが、歌詞を書くということっていうのは、いろいろと難しい。人によると思うんですが、僕の場合は難しいんですね。今回、歌詞を書く作業がなかなか進まなかったことで発売延期になってしまった結果は、まず素直に、応援して待ってくださっている皆さま、関係者の皆様、メンバーの皆さんに、本当に深くお詫びします。本当にごめんなさい。」

「ライブも重なっていて、アルバムを聴き込んでからライブを観たいという方もいらっしゃったと思います。発売日の方も、4月24日っていう予定日が2ヶ月近く延期になりました。アルバムを発売するっていうのがどういうことかっていうと、まず、ツアーっていうものは、1〜2年前……アリーナとかになると2年とかになるのかな、2年前から会場を押さえなきゃいけないんですね。アルバムを出してアルバムツアーっていう流れが今の定説になっている限り、アルバムを完成させなければツアーに間に合わないんですね。会場を押さえてしまっているから、スケジュール的な決まりごとはできてしまっているんです。それに合わせて作っていかなきゃいけないんですが、僕らの場合、サカナクションを応援してくださっている方はよくわかると思うんですけど、非常に細かく精密に制作すると。言葉に関しても……皆様にとって、どういう言葉になっているかは分かりませんが、僕の中にあるひとつの課題みたいなものをクリアしないと完成というふうに呼べない性格なんですね。なので、それをやっているとなかなか完成するかが読みにくい。そういった中で、マネジメントやレーベルが僕の様子やそれ以外のスケジュールを観察しながら、だいたいこの辺にアルバムを持ってこれるかなとか、ツアーはこの辺になるかなっていうのを相談し合うというか、予測し合うんですよ。もちろん僕も締め切りに間に合わせなければいけないという気持ちでやっているんですが、今回に限っては間に合わなかったと。」

アルバムが完成してから発売までの流れを説明したいんですが、マスタリングを終えた時点で完成っていう形になります。製品化して発売するのに約1ヶ月かかるわけですね、プレスっていうんですけど。中にあるブックレット……歌詞カードだったり、デザインだったり、ケースが特殊仕様であればもっと早めに作らなきゃいけないと。そうなると、ジャケットデザインや曲タイトルみたいなものも表記されるわけだから、発売日のもっと早い段階に全部出来上がらないといけないんです。なので、今回アルバムの発売延期が決定したのは発表したよりちょっと前だったんですが、サカナLOCKS!でリリース日を発表したので、発売延期を伝えたのもサカナLOCKS!の場所にさせていただきました。リリースも、新しく6月19日に設けられましたが、実はこれはもっと前に発売しようと思えばできました。前倒すこともできたんですけど、当初はツアーの途中からアルバムを発売するっていうプランになっていて、これに対しても賛否があって。アルバムを聴いてからライブを観られるのと、アルバムを聴かないままライブをする人に分かれてしまう。「それって平等じゃなくない?」っていう意見が、サカナクションのスタッフや、ファンの中からもあったんですね。でも僕はそれ自体も楽しんでもらえたらいいなと思っていたし、自分の中でもそれに間に合うように作りたいというのがモチベーションでいたんですけど、それができなくなったことで、当初話していた、ツアーが終わってからアルバムを発売するっていう形にしました。その後にアルバムが発売されて、それを元にまた新しいことが出来たらいいかなと。今回のアリーナツアーサラウンドライブツアーなので、新曲の聴かせ方であったり、アリーナで成長していく曲たちの成長というか……生き様、そういったものも汲み取ってもらえるだろうと。今回はそういうアリーナツアーにしてしまおうと、みんなで判断しました。」

SCHOOL OF LOCK!


「今回、歌詞が出来ないことでこういう形になってしまって、言い訳をするつもりはありませんが、ひとつ反省したいと思うことは、人の評価を気にすることはもうやめようかなと。自分の中にある目標、たどり着きたいところにたどり着くっていうところに集中しようかなと。それを集中して作ったものを周りがどう評価するかは自由だし、それを良いっていう人がいたり、悪いっていう人がいても、人それぞれのことだと。僕はちょっとこれからはそういうスタンスで制作していきたいし、今みたいな形でアルバムを出してツアーをやるっていうことはしないと思います。新しい音楽の発表の仕方っていうのも模索していきたいなと思っています。なので、本当に楽しみにしてくださった方……申し訳ないです。本当にごめんなさい。」

「80点でもいいっていうつもりでやってました……正直。でも、80点にも至らなかったっていうところですね。古き良き音楽っていうのを自由に……世界中の新しいものから古いものまで簡単にたくさん知れる時代になって、僕はインターネットがない時代から音楽をやっていましたけど、自分の中でも聴く音楽の質が変わって、増えていきました。そうすると、自分の中にあるハードルみたいなものも自然と上がるんですね。その上がったハードルっていうのが、ただ単に美しくて自分の納得がいくものであるべきっていうもの……プラス、人にわかりやすくとか伝わりやすくっていう観点もプラスしなきゃいけないっていう……がんじがらめになってきた6年間だったんですね。だから、僕はこれから外に向けるっていうことはあまり意識せず……染み付いていると思うんでね、自分の中のハードルに集中しようかなと。それを経て周りがどう思うかっていうことに自分のモチベーションを向けていきたいなと思っています。なので、いろいろとネガティブな雰囲気になっていましたけど、僕的には歌詞がやっと完成して、軟禁状態から解放されたので(笑)。外に出たりしていきたいなと。スタジオか家かっていう生活から……釣りにも、暖かくなってきたから行きたいですし。まず美味しいご飯が食べたいなっていうところがあります。」

今回の授業もそろそろ終了の時間になりました。

「この音学ゼミでは、今までなかなか話せなかった音楽の裏側とか、僕らが考えていることもちゃんと話していける場になったら良いかなと思っています。明日からアリーナツアー SAKANAQUARIUM 2019 "834.194" 6.1ch Sound Around Arena Session が始まります。6.1chのサラウンドライブツアーです。新しい新曲もたくさん披露されることになります。このツアーで、サラウンドライブっていうもののコツをさらに掴んで、この先のサカナクションの未来の活動につなげていければいいかなと思います。遊びに来られる方はぜひ楽しみにしていてください。」

ということで、音楽のゼミ「サカナLOCKS!」。この講義でも、引き続き [ サカナLOCKS!掲示板 ] を稼働していきますので、いつでも自由に書き込んでください。SHOOL OF LOCK! UNIVERSITYの生徒の皆さん、よろしくお願いします!

SCHOOL OF LOCK!

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