『音楽業界「多分、これ!」』

SCHOOL OF LOCK!


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聴取期限 2020年7月31日(金)PM 11:27 まで



山口「はい、授業を始めますから席についてください。Twitterを開いている生徒はTwitterを閉じなさい。Instagramを開いている生徒は、 サカナLOCKS!のインスタアカウントをフォローしなさい。授業が始まりますよ。久々の音学室からの授業なので、頑張っていこうと思う。いつも頑張ってるけど。」

「我々、サカナクションは、初のライブストリーミング配信『SAKANAQUARIUM 光』が決定しました。僕は散々言っていたわけですよ、この授業でも言っていましたけど……オンラインライブをみんないろいろやり始めているけど、オンラインならではのライブじゃないと、みんなオンラインに飽きてきちゃうぞと。だから、「ちゃんとオンラインならではのことをやっていきましょうよ、ねえ、皆さん!」みたいなことを言っていたら、Twitterでボロクソ叩かれて(笑)。あー、そうだろうなと。

ああ、そうですよ!サカナクション山口一郎はね、自分の柵にいるお山にいる仲間たちだけに向かってワーワー吠えているだけの人ですよ、と。それごときのミュージシャンですよ、と思いましたよ。……だから、やる!サカナクションは、8月15日と16日の2日間。15日はファンクラブ限定で、お山の中だけでやるけど(笑)。お山の中だけで1回演ってから、翌日一般で演るという形で2日間やるんですけど、これはね……一味違うぞ。

まず何が違うかって、総合演出に映像監督が入る。つまり、普通のライブの演出だけじゃない。ちゃんと映像としての作品を作ろうっていう部分もあるし、いつものチームサカナクションもいる。ライブ映画と言ってもいいくらいになるかもしれない。芸術性が高いってだけじゃなくて、ちゃんとエンターテイメント性もある。だからその辺を楽しみにしておいていただけたらと思う。

総合演出に、「新宝島」「忘れられないの」「『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』」とかのミュージックビデオの監督を担当してくれた田中裕介監督が入ります。照明とかカメラマンとかも、ほぼミュージックビデオチーム。そこにチームサカナクションが混ざっている。これはすごいことになると思いますよ。

SCHOOL OF LOCK!


まあ、口でギャーギャー言っているとね……また言われるから。(あなたたちはもうSNS上でバンバン言う癖がついているから、本当に)……気をつけなさいよ!あのね、見てないと思ってるだろ?……見てっから!!エゴサーチ……

サカナクションごときだったらね、"山口一郎"で1回検索したら、1日分のツイート全部読み切れちゃうから。山口一郎ごときならね……1日寝る前に全部見れちゃうんだよ。気をつけろよ、下手なこと言うと全部見るから。人を傷つけることを無意識にやっちゃだめだよ(笑)、生きてるんだから。ということで、ぜひ観ていただけたらと思います!8月15日と16日、生徒の皆さん、スケジュール空けとけよ!課外授業だと思え。よろしく!」

ということで、今回の音学(おんがく)の授業は、こちらの授業をお届けします。

『音楽業界「多分、これ」!』

音楽が大好きで、将来は音楽業界で働きたい!でもどんな職業があるかよく分からない……そんな生徒の相談に乗って、最終的に一郎先生が、君にぴったりの音楽業界の職業は、「多分、これ!」と、アドバイスしていく授業です。

「いろんな音楽に関わる仕事がある!サカナLOCKS!の生徒なら分かっているはず。あなたが思い悩んでいることが、音楽業界のどんな職種に当てはまるのかを私がアドバイスしていきたいと思う。今回の相談は、こちら。」

★音楽にかかわりたい

私は休校期間一郎先生のインスタライブやライブ映像の配信を見た影響で音楽業界にものすごく興味がわき、将来アーティストのライブやメディアに関わりたいという漠然とした夢ができました。ですが音楽に関する知識がとても乏しいです。音楽よりも絵のほうが得意で、ライブの視覚の演出に興味がありますが具体的にどう関われるのかがわかりません。自分がやりたいのは照明さんとは違う気がします。
大学は表現工学という分野に興味があり、科学技術を使って芸術をやるというような感じです。学びたいことはあっても将来どのように職につなげるのかがよくわからないので、親にもまだいうことができません。じぶんのやりたいことをはっきりさせたいです。一郎先生、相談に乗ってください!

サカナカサ
女性/17歳/埼玉県


「このメッセージだけを見ると、演出をしたいってことなのかなーって思いますけど、大学のこととかもいろいろあるみたいなので、ちょっと電話して聞いてみましょう。」

山口「もしもし!サカナクションの山口一郎です。」

サカナカサ「もしもし。サカナカサです。」

山口「サカナカサ、メッセージ読んだけど、インスタライブを見て音楽業界に興味を持ったの?」

サカナカサ「サカナクション先生が毎週土曜日にライブ配信をYouTubeでやってくださったじゃないですか、それを観て、ライブの演出にすごい惹かれて。あとは、自粛期間にいろんなミュージックビデオを見て、自分もそういう仕事をやってみたいなって思うようになりました。」

山口「ライブの演出のどういうところをみて惹かれたの?」

サカナカサ「SAKANAQUARIUMとかで、ひし形に幕が開いていくところがあるじゃないですか。」

山口「はいはい、アイリス幕ね。」

サカナカサ「あと、光がどんどん移動していく感じが曲調に合っていて、すごい魅了されて。」

山口「ミュージックビデオでは?」

サカナカサ「ミュージックビデオでは……サカナクションのミュージックビデオって、「僕と花」とか「アルクアラウンド」とか、1周回って帰ってくるトリック的な感じがすごい好きで。そういうところを自分でも作ってみたいなって思って。」

山口「それは、映像を作ってみたいって感じ?」

サカナカサ「映像を作ってみたいです。」

山口「なるほど。今聞いた話だと、漠然と映像に関わる仕事をしてみたいなって感じなのかな?」

サカナカサ「はい。」

山口「メッセージの中に、"大学では表現工学に興味があり、科学技術を使って芸術をやるというような感じです"ってあったけど、これはどういうこと?」

サカナカサ「行きたい学部が表現工学学部っていうところで、芸術とテクノロジーを融合させたことが学べるところで。CGとか、VRの世界とか、インターメディアが学べるところで……それだとやりたいことに繋げられるのかなって思って。」

山口「あー、メディアアートみたいなことも含めてね。」

サカナカサ「はい。」

山口「なるほど、なるほど……話を聞いた感じでは、映像ディレクターなのかな。あと、アートディレクターとか。そういったところになるのかな。あとは、広告代理店とかかな……

例えば、CMを作るっていう話を1つするとするじゃん。例えば、山口商店がサカナカサ代理店に『僕の会社でCMを作りたいんですよ、サカナカサ代理店さん』って依頼するじゃん。そしたら、サカナカサは『じゃあ、山口商店のCMってこんな感じですかね?幕がぐーんと開いたら、山口商店っていう文字が出てきて、そこで商品がぐるぐる回ってこういう感じで出てくるのはどうですか?』って提案すると、『それいいですね!』って山口商店がいうわけ。そしたらサカナカサは、その企画の映像監督を誰に頼もうかなーってなるわけですよ。『この企画を撮ってくれる監督さんはいますか?』って依頼して、それを撮影してもらって、CMが流れるっていうような流れなのね。」

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サカナカサ「はい。」

山口「ライブ演出とかだと、『こういう幕が開く演出がやりたい』って僕が言うと、それを現実化してくれる舞台監督さんだったり、大道具さんとかがいるのよ。それを実際に作る人がいると。ミュージックビデオに関しては、曲があって、映像監督にこの曲で作ってくださいって丸投げする場合もある。だから、サカナクションのミュージックビデオに関しては、僕がこういうのを撮りたいっていうのは一切なくて、映像監督さんにお願いして撮ってもらってるんだよね。」

サカナカサ「おー。」

山口「その中だったら、サカナカサはどれが近い?」

サカナカサ「うーん……自分で企画とか出してみたいなって思います。」

山口「っていうことは、ミュージックビデオを作るとか、広告代理店の仕事みたいな感じかな?」

サカナカサ「はい。多分そうなるかなって思います。」

山口「テクノロジーに関しては興味があるわけ?」

サカナカサ「はい。もともと理系で、新しい科学技術を使った表現みたいなのをしてみたいなって思って。」

山口「あー、これね、おすすめの就職先があるわ。Rhizomatiksっていう会社知ってる?」

サカナカサ「あ、真鍋(大度)さんの。」

山口「真鍋さんの会社は、テクノロジーとアートをどっちも結びつけられているすごい会社だと思う。あと、チームラボっていうところもある。そのチームラボとRhizomatiksが結構大きいかな。Rhizomatiksはサカナクションのライブの演出をやっているし、Perfumeのライブもやっているね。だから、テクノロジーっていう部分と、カルチャーっていう部分と、アートっていう部分をしっかり結びつけている会社だとは思うけどね。すごい大変だっていう噂だけど。」

サカナカサ「はい、それもなんとなく……(笑)。」

山口「いろんな形があるから、自分がやれることを見つけるにはいいと思うけど、すごく狭き門だと思う。」

サカナカサ「はい。でも頑張りたいなって思います。」

山口「うん。あとはなんだろうな……映像ディレクターっていう仕事もそれに近い気がするけどね。例えば、サカナクションの「多分、風。」っていうミュージックビデオだったら、服がザバザバって脱げるCGがあるのよ。人の殻が破けて僕が出てくるっていう演出があるんだけど、あれはCGを作る人に監督さんがオーダーしているんだよね。

監督自身がCGを作っているんじゃなくて、こういう仕掛けをやりたいからって、CGを作る人にオファーして、作ってもらって一緒になってやっているっていう感じなんだよ。専門分野なんだよね、CGとは特に。CMとかもそうだね。そういう企画があってCG担当がいて……映画もそうだね。どんな感じだろうね?」

SCHOOL OF LOCK!


サカナカサ「あの……ライブに関わるとしたら、どういう知識を持っていたらいいのかなって。」

山口「演出に関わるってことだよね。これはチームによって全然違うんだけどね。ライブの総合演出だけを仕事にしている人ってあんまりいないと思うんだよね。それだけやっている人って。多分……いるのかな?ちょっとはいると思うけど。

例えば、バンドがライブの演出に全く口を出さないバンドもあるんだよね。曲順をこういう風にしたいっていうのは自分たちで決めるかもしれないけど。SHISHAMOは、舞台監督が僕らのチームもやってくれている増田(崇)さんっていう方で、舞台監督が演出をやっている感じなんだよね。

チームサカナクションの場合は、僕と、プロデューサーと総合演出の人3人で大枠を決めて行ったりするし……チームによって違うんだよね。照明の人が演出を考えることも結構ある。証明って新しい機材がどんどん出てくるから、この機材を使ってみようかとか、この機材を世界初でライブ演出に使ってみようとか……そういうのをチョイスできる立場にあるから、照明が演出に関わることはある。

美術とか、道具とか、そういう人たちは、こんな演出どうですかって提案をしてくることはないけど、例えば特効さん……火がボーンって出たりとかする演出をする人たちからは、『最近こういう風に火花を出すことができますよ』とか、『こういう機材が出ましたけどどうですか?』ってプレゼンを受けたりすることはある。」

サカナカサ「はい。」

山口「映像に関しては、映像を作る会社があるのよ。コマデンとか、トランスワークっていう会社は、ライブ用の演出を作ることと、LEDパネルとかのレンタルをしていたり、LEDパネルに出す映像に対して音を出す仕組みを作るっていうのがあって、それは制作班とライブ班っていうので分かれていたりするかな。けど、僕らは自分たちのミュージックビデオを作る映像監督さんに映像はお願いして、映像出しだけトランスワークにお願いするっていう形。ライブの映像を出す……曲に合わせてポーンと出さないといけないから。……っていう感じになってるけどね。LEDパネルのレンタルとね。」

サカナカサ「はい。」

山口「ライブに対して興味があるっていうよりかは、演出に興味があるんだもんね?」

サカナカサ「はい。」

山口「難しいねー。例えば、サカナカサがメディアアーティストになったとして、ミュージシャンとかがサカナカサの作品を使いたいとか、サカナカサと一緒にライブを作ってみたいって頼まれて、いいですよ、ライブの演出やりましょう……っていうのは、やりたいことに一番近いかもしれないな。」

サカナカサ「多分、それが一番近い気がします。」

山口「うん。だから、まず自分が表現したいっていうことをやっていく中で、ミュージシャンだったり企業だったり、それを利用したいっていうところに行くっていうのが一番の近道のような気がします。」

サカナカサ「はい。」

山口「つまり、話を聞いた限り……サカナカサがなりたい職業は……」

『多分、メディアアーティスト!

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山口「(♪「多分、風。」のサビが流れて盛り上がる) フォオーーーーッ!……だと思うよ。メディアアーティストって、好きな人とか興味がある人っている?」

サカナカサ「ライゾマ(Rhizomatiks)がすごい好きで……この前の『NF ONLINE』とかも見ていて。」

山口「やばいよねー。ARに影がつくのとかやばいよね。」

サカナカサ「やばいです。もう……一郎先生どこに行っちゃったんだって(笑)。」

山口「ははは(笑) あれだけじゃなくて、いろんな新しいテクノロジーが出てきたら、それに合わせていろんな表現が増えていくっていうところの最前線にいる人たちだから、ライゾマはすごくいいかもしれないけど、『3日寝てないんですよ……足がむくみすぎて靴が履けません』みたいなことを言ったりもしてる。」

サカナカサ「え……!なんか、親にもそれを心配されていて。『そういう業界に行くと不規則な生活になってあんまりプライベートとか持てないんじゃない?』みたいな感じで……」

山口「まあ、プライベートを持ちたいんだったらこの業界はやめたほうがいいよ(笑)。全体的に。」

サカナカサ「(笑)」

山口「どの仕事もそうだと思うけどね、こういう文化に関わる系の人たちは。どうせ苦労するから……自分の好きなことを仕事にしようが、好きじゃないことを仕事にしようが。どっちにしろ苦労するから、せっかく苦労するなら、自分が好きな仕事で苦労したほうがいいよ。……って僕は思います。

恐れずに、"私なんか"って思わずに、積極的に行動することが大事なんじゃないかなって思うし、僕もよく『作詞しているんですけど、良い詞を書くにはどうしたら良いですか?』って聞かれるんだけど、『良い詞に感動しないと良い詞は書けないよ』って言っているんだよね。

だから、サカナカサも、ライゾマみたいな仕事をしている人は日本では珍しいけど、海外行ったらめちゃくちゃいるから。そういう人たちの作品だったり、メディアアーティストたちの考え方だったりをいっぱい勉強して感動しておくっていうのはすごい大事かもしれない。そういう風に自分を磨くっていうことを続けていけばいいんじゃないかな。」

サカナカサ「分かりました。」

山口「どう?大丈夫?」

サカナカサ「はい……」

山口「なんか、"はい"の言い方が不安な感じで、僕も不安になってきちゃうんだけど(笑)。大丈夫?」

サカナカサ「なんか……私、小さい時から夢がすごいコロコロ変わる人で、もう何回も変わってきて。今もメディアアートに興味があるっていう熱があるんですけど、そのまま1年考えて行きたい学部に考えたとして、後でやりたいことが変わってしまうんじゃないかっていう……一過性のものなんじゃないかって思っちゃって。それをずっと考えていると、本当にやりたいのかわからなくなっちゃって……。」

山口「あー……"小さい頃"って、サカナカサは今、17歳だよね?十分今も小さい頃だと思うよ(笑)。やりたいことが変わるのは当たり前で、大学に行くっていうことでそれを何年間か学ばなきゃいけないって思うから不安だと思うんだけど、例えば大学に行ってやっぱ違うなって分かったことで、大学に行ったっていうことでもいいんじゃないの?そこで学ぶことって、新しく学ぶことの何の役にも立たないことはないから、絶対に。

例えば、大学に行ってから海外に留学することだって出来るし、大学に通いながら別のことを勉強することもできるじゃん。だから、これしかないとか、今決めなきゃいけないって思わなくて良いと思う。すごい……ノリでいいんじゃない?大学を決めるのも、行くのも。」

サカナカサ「あ……!はい。」

山口「人を感動させたいんだったら、いっぱい自分が感動するといいと思うけどね。だから、コロコロ変わっても、それはそれでいいんじゃない?今の自分を大事にすること、今考えていることを大切にすることが重要だと思います。」

サカナカサ「はい。」

山口「また迷ったら【サカナ掲示板】に書き込んでよ。答えられるよ。」

サカナカサ「わかりました!」

山口「頑張ってな。書き込みありがとう!じゃあね、バイバイ。」

サカナカサ「さよなら。」

そろそろ今回の授業も終了の時間になりました。

山口「僕も小さい頃はコロコロ夢が変わっていたけどね。みんなもそうじゃないかと思うけど。でも、さっきも言ったけど、好きなことを見つけるのが大変だってみんな言うけど、好きなことで仕事にできることを探すのが大変ってことでしょ?多分。

例えば、自分が娯楽だと思っていることとか、何の気なしに毎日続けてしまっていることとか、それが仕事として動いているから自分の元に届いているわけだから。目の前にある仕事だけを仕事だって思わなくて良いと思うけどね。調べてみると、それを仕事にしている人がいて、それだったら続けられそうって思ったりね。YouTuberってそういうことだと思うけどね。だから、調べたり研究したもん勝ちだなって先生は思います。」

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