「『一郎先生に"ノンバイナリー"について知って欲しい』という生徒と話しました。(前編)」

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音を学ぶ「音学(おんがく)」の授業、サカナLOCKS!。現在は、[AuDee]で修行中です。今回は、11月25日(木)24:00から行った、深夜の公開授業の中盤です。
話題の鍵となる言葉は "ノンバイナリー"

職員(カヲル先生)「……じゃあ、他の書き込みもいくつか紹介しましょう。」

山口「今更新してみます。……きたきた。続々きていますよ。」

"一郎さん、すわさんこんばんは!Kanaと申します。悩み事というか心配ごとがあります。6歳、3歳の子供がいます。二人ともサカナクションが好きなのですが下の子がサカナクションの歌しか聞いてくれません!童謡にも見向きもしません。どうしたら色んな歌を聞いてくれると思いますか?" (ラジオネーム:kana)

山口「……もう、サカナクションだけ聴かせとけ!サカナクションだけ聴いていればいいです、とりあえず今は。」

職員「ははは(笑)。大丈夫。もうちょっとしたら普通に、なんかいろんな……」

山口「ちょっと!(笑)」

職員「え?(笑) そうだよ?今は親の影響下にいるっていうところもあると思うんですけど、親の影響を離れる時がきますからね。」

山口「経験者からの言葉ですね。」

"受験勉強を頑張っても全然結果が出ないです。大学でやりたいことも決まってるけれど、不安が多く、憂鬱な毎日です。大学に行ったあとのことが不安だけれど相談する相手もいないです。一郎さんはどうやってモチベーションを保っていますか?" (ラジオネーム:たきゃの)

山口「うーん……モチベーションを保つのは難しいよね。ワクワクしないといけないからね、モチベーションって。僕、音楽を"仕事"だって絶対に思わないようにしているんですよ。仕事だって思った時点で、めちゃめちゃ面倒くさくなるから(笑)。」

職員「こんなめんどくせー仕事!ってなるんだ(笑)。」

山口「そうなるから(笑)。仕事だって絶対に思わないようにしてる。歌詞を書いている最中も、"遊び"だって思ってる。」

職員「それは最初から?それとも、そうしないと作れないってなって?」

山口「最初から。……だから僕、結婚しないんですよ。何かを守らなきゃいけないとか、『今月稼ぎが少ないわね』って言われたりとか、言わずともそう思われているかなって意識すると。」

職員「『あなた、そろそろ「新宝島」みたいな曲がもう1曲ほしいわね』って言われたりするとね(笑)。」

山口「ははは!(笑) 『もう旧宝島よ』みたいに言われてね(笑)。それは嫌じゃないですか。」

職員「まあね(笑)。」

山口「だから、ワクワクすることを忘れないようにしなきゃいけないなと思うから……先のことを考えると不安になるから、今この瞬間をどうワクワクして全力で楽しむかってことのような気がするけどね。」

"いま、マニュアル車の免許取得を絶賛頑張ってます!そしたら、右足が筋肉痛です!どうしたらいいですか?" (ラジオネーム:俺コボちゃん)

山口「ずっと運転していたら慣れてきますよね、マニュアルって。」

職員「あ、そう?僕、オートマ限定なんで分かんないんですけど。」

山口「女子みたいですね。」

職員「あ!今の良くないですよー。」

山口「良くない?」

職員「なぜ良くないかは、後で喫煙所で(笑)。」

山口「でも、だめだったのかは分かるけど、どっちに対してだめだったのかな?勉強したい。」

職員「男だからこう、女だからこう……っていう考え方が、今はまだそうなんだけど、多分変わってくるんじゃないかなと思う。」

山口「それ僕、すごい知りたいんです。その感覚を。その感覚が昭和なんです。勉強するわ、これからね。」

"私は生まれた身体は女性ですが、最近、自分がノンバイナリーだということを知りました。男性も女性も区別なく、人と接している感覚が人と違うようです。
自分がノンバイナリーということで、気が楽になりました。
ぜひ、一郎さんにも知って欲しくて、メッセージを送りました。" (ラジオネーム:mmm)


山口「ちょっと話してみる?」

職員「はい。」

山口「ちょっと教えてほしい。今、通話リクエストを送っています。」

職員「電話大丈夫だよって場合は、電話をかけていただければ。」

(♪ 着信音)

職員「……あ、きた。大丈夫とのことなので、話しましょう。」

山口「もしもし、サカナクションの山口一郎です。」

mmm「もしもし。」

山口「こんばんは、急にありがとうございます。自分がノンバイナリーだということを知ったと。このノンバイナリーってどういうものなんですか?」

mmm「えーと……男とか女とかっていう感覚がなくて、中性という感覚というか。あとは、"Xジェンダー"と呼ばれたり、いろんな名前があるんですけど……えーっと……すみません、ちょっと緊張していて。」

山口「大丈夫、大丈夫。深呼吸しようか?」

職員「大丈夫よ。」

山口「しりとりする?」

職員「じゃあ、一郎くんからどうぞ!」

山口「じゃあ、しりとりの"り"!……"り"だよ?」

mmm「り……りんご。」

山口「ご……えーっと……うーん……」

職員「……緊張してんの?(笑)」

山口「いや、何かおもしろいことを言おうと思ったけど、出てこなかったの!もうちょっと待ってよ、諏訪さん(※カヲル先生のことです)!早いよ、ツッコミが!」

職員「ごめん(笑)。間が耐えられんかった(笑)。」

山口「大丈夫?mmmさん、緊張解けた?」

mmm「ふふふ(笑)。はい、すみません。ノンバイナリーですよね。ノンバイナリーは、あんまり男とか女とか、性別で区別しない考え方のことを言います。あとは、男と女の二元論で分けるっていう考え方ではなくて、グラデーションなんだっていう。中間の考え方もあれば、中間より男側の感覚……という、グラデーションがあるっていう考え方があるっていうのを私も最近知りまして。それで、これまでずっと違和感を感じていたのが、すごく腑に落ちたんですよね。ノンバイナリーっていう言葉を知って。」

山口「どんな違和感を感じていたの?」

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mmm「例えば、幼稚園の時にスカートを履くのがすごく嫌で、泣いて嫌がったりとか、男性器が生えると思っていたとか……あとは、私は男友達も女友達も多いんですけど、お友達だと思っていた男性から好きって言われて、友達を一人失ったようなショックを受けたりとか。あんまり、男とか女で接していなかったので。あと、良く言われる『男と女が2人でひとつの部屋にいるっていうことは、HがOK』とか、そういう感覚が自分の中になかったんです。なので、なんか人と違うなって思っていたのがそこでちょっと腑に落ちたっていう。」

職員「今、おいくつでしたっけ?」

mmm「今29才です。」

職員「いつくらいにその言葉を知ったんですか?ノンバイナリーっていう。」

mmm「最近で、本当にここ1〜2ヶ月くらいです。」

職員「あ、そうなんだ。それまではずっと自分が何者かっていうことがふわふわしていた状態だったのかな?」

mmm「一応女性だと……女として生きてきて、男の人を好きになって、男の人とだけしか付き合ってこなかったんですが、高校生の時に女の子にドキドキしたこともあって。これは何だろうなって……。その、性別を定めないでおくっていうことも、ノンバイナリーとかXジェンダーでも言われていて、変わってもいいんだよっていう。変わってもいいし、それが一生続くわけでもなくて、ジェンダーの考え方もあるっていう。」

山口「なるほどね。」

山口「僕は男性で……なんていうかな。」

職員「恋愛対象が女性っていうことですよね?」

山口「うん、女の子大好きなんですよ。で、ジェンダーレスの人とか、いろんな感覚の人がいるっていうことに対して、何の抵抗もないわけ。いろんな考え方があってもいいと思うし、いろんな人がいるのは当たり前だって思うわけ。でも、さっきの俺の発言みたく、そう思っていても、それって違うよっていうことを言っちゃう。直し方が分かんないんだよね。」

職員「mmmさん、さっき配信聞いてた?」

mmm「はい、聞いてました。」

職員「さっきのマニュアル車のやりとりがあったじゃん?それを聞いた時に何か思うことはあった?なかった?なくてもいいの。」

山口「カチンときたのかな?」

mmm「ちょっとこう……確かに、オートマが女性のもので、男がオートマだったらちょっと恥ずかしいみたいなのは、ひと昔前かなって思ってしまいます。私はカチンとはきてないんですが、その知識があるかないかだと思っています。」

職員「なるほどね。知識というか、意識があるかないかかな。」

山口「いやー、難しいわ。」

mmm「私、心理学を勉強していまして、心理の仕事もしているんですけど。臨床心理士をやっているんですが。男と女で、その身体で生まれた時に、脳の作りというか、ホルモンの影響っていうのはすごく大きいと思うんです。やっぱり得意不得意は身体の性によってあると思うんですけど、それと、心の中の性別が違うっていうところで。得意不得意はありますし、男と女の壁は大きいんですけど、心の性として、それは自由なんだっていう。」

山口「すごい分かる。すごい分かるんだけど、分かんないの。どうしたらいいかが。だって、そんなこと言っても女性だもん。仕事仲間にいるのがさ。」

mmm「確かに見た目が女の子でも、中身が……それはブラックボックスですね。本人に聞かないと分からないです。」

山口「ということはさ、見た目が女の子でも中身が男の子の可能性があるでしょ?その時に、僕はその人に女性として接しない方がいいわけじゃない?でも、分かんないじゃない。ってことは、全女性に対して女性として接しちゃだめってこと?」

職員「多分、女性として接することをダメなこととは1回も言ってないと思うんです。今、この場において。」

山口「……そうだね……!」

職員「あくまで、"女性だから、こう"っていう決めつけのところの段階の話で。」

山口「さっきの話はね。でも、半分ジョークだよ。でもそのジョークもダメだって話だよね。」

職員「そう、そのジョークの揚げ足を取って、わっしょいわっしょいってなる時代がきているっていうのと、それによって本当に嫌な思いをしている人がいるっていうのが分かり始めている中で、それをまだやっていくのか、気づいた順にやめていくのか、気づかない人に対して言うか言わないかっていう感じの時期。だから、僕らは水深1mくらいのところにいたのに、一郎先生だけ水深30mくらいのところに行ってるんですよ(笑)。話を聞いててそう思ったんだけど。」

山口「(苦笑)」

職員「……ちょっと待って。俺すげーこと言っていい?」

山口「うん。」

職員「俺、一郎先生の話は正直いつでも聞けるから、mmmさんの話が聞きたいんだ。」

山口「はははは!(爆笑) ちょっと、もうちょっとだけ!もうちょっとだけ話したい!」

職員「(笑)」

山口「だって、俺的にもショックじゃん。俺的にもショックなの。」

職員「ああ、そうね。」

山口「だから、mmmさんがノンバイナリーっていうことを教えてくれたわけじゃん。ひょっとしたら、今まで俺が無意識に言っていたことで傷ついちゃったかもしれない。だって今、言った後にサバちゃん(マネージャー)がダメだよってリアクションをするくらいだったし、そういう判断をされる発言だったって思うのよ。けど、その一言で、こいつはそういうやつだって言われる時代になっちゃってるわけじゃん。こいつはそういう考え方のやつだって烙印を押されるようになっちゃってるじゃん、今。それもちょっとおかしな話でしょ?」

職員「端的ではあるよね。」

山口「だから、非常に避けては通れない。この仕事をしていたら。」

職員「そう思います。特にこれを生配信するとかっていうのも含めて。」

山口「うん。今日は配信に挑戦したから、この話はちゃんと決着をつけないと、生配信をしている意味がない。」

職員「そうですね、"修行編"ですからね、これは。」


ということで、今回はここまで。次回の更新は、12月10日の予定です。ひきつづき、ノンバイナリーについて考えていきます。

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