「ドラム対談!江島啓一×堀 正輝(前編)」

SCHOOL OF LOCK!


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聴取期限 2022年8月5日(金)PM 10:00まで




音を学ぶ "音学(おんがく)" の授業、サカナLOCKS!。
お休み中の一郎先生に代わって、このクラスの副担任・サカナクションのドラム:江島啓一先生が授業を担当中です。今回は江島先生のドラマー仲間である、ドラマー/ビートプロデューサーの堀 正輝さんをゲストにお迎えして、ドラマー同士の対談の授業をお送りしていきます。


江島「はい、授業を始めますから席に着いてください。Twitterを開いている生徒はTwitterを一度閉じなさい。Instagramを開いてる人は、サカナLOCKS!のインスタアカウント(@sakanalocks_official)をフォローしなさい。授業が始まりますよ。」

江島「サカナクションのドラム、江島啓一です。今週も副担任の僕が、このサカナLOCKS!をお届けしたいと思います。先週先々週と、SUPER BEAVERの渋谷(龍太)先生に来ていただいて授業をしたんですけど……皆さんどうでしたでしょうか?大丈夫でしたか?……はい(笑)。ひとり喋りが先生苦手なもので、友達パワーを発揮して、これからもゲストを招いて授業をやっていきたいなと(笑)、思っている次第でございます。」


江島「ということで、今夜もゲストの方が来てくれました。ドラマー/ビートプロデューサーの堀正輝さんです!」

堀「堀です、よろしくお願いします!」

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江島「よろしくお願いします!堀先生はめちゃくちゃ売れっ子ドラマーなんですよ。やったことあるミュージシャンは……米津玄師さん、80KIDZちゃんみなさん、Eveさん、須田景凪さん、iriさん、miletさん……その他多数!すごくないですか?こんなにいっぱいやってるんですね。」

堀「いやいや……ご縁があってやらせてもらっていますね。」

江島「そんなスーパードラマーなんですけど、堀くんと僕の出会ったきっかけ……僕の記憶が正しければなんですけど、札幌時代、サカナクションのアマチュア時代に、僕ドラムセットを持ってなくて。ベースの(草刈)愛美ちゃんの知り合いでドラムセットを持っている堀くんっていう人がいるから借りれるか聞いてみようか?って(笑)。」

堀「電話きたよ、その時(笑)。」

江島「僕が電話したんだっけ?」

堀「違う、愛美さんから連絡きて、『うちのエジーにドラムセット貸してあげてくんない?』って(笑)。いいよって。」

江島「それが初めてだよね?」

堀「それが初めてじゃないかな?スタジオで待ち合わせして受け渡したのが初。」

江島「あれが初めまして?やっぱり?」

堀「そうそう(笑)。」

江島「15〜16年前くらいかな。」

堀「そんなに前なんだ。」

江島「サカナクションの2枚目のアルバム(『NIGHT FISHING』)のドラムは、堀くん所有のカノウプスっていうメーカーの。」

堀「しかも、CDにクレジットしたよって言われた気がするんだけど。」

江島「あ、CDに名前載ってるかも!載せたはずです。当時の僕がそう言ったんだよね?」

堀「ちょっと定かじゃないけど、言った気がする。」

江島「確実に載っています。あの……堀くんのドラムです!あのサウンドは。」

堀「ふふふ(笑)。いまだに持ってる、あのセット。」

江島「そんな堀先生と、今夜はドラム対談をしていきたいと思います。」

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江島「今聴いてもらってる曲は、堀先生のソロになるのかな?2021年リリース。」

堀「そう。ソロ名義の曲で。好きな音楽を一人で作って、人の手も借りつつ。できたらのんびりリリースしていこうかなって感じで立ち上げたんだけど。コロナ中だったから、ずっとやりたかったことができるかなと思って始めて。その1曲目かな。」

江島「ソロ名義でやるのは初めて?」

堀「初めて。80KIDZのリミックスとかはやらせてもらったことがあるんだけど、ちゃんとソロ名義で始めたのは今回からかな。」

江島「そんなソロ活動もされている堀先生ですけど、普段はいわゆるサポートドラマーっていう仕事?」

堀「そうですね。バンドも組んでいないし、サポートでやっています。」

江島「そのサポートドラマーっていうのを、ライブで見たことあるって人はいっぱいいると思うんだけど、実際どういう仕事をしているのかっていうのをまず掘り下げて聞いてみたいと思うんですけど。」

堀「はい。」

江島「さっき、いろんなアーティストの曲をやっているって言ったじゃないですか。まずどうやって声をかけられるんですか?アーティスト本人から直電とか?」

堀「いろんなパターンがあると思うんですけど……よくあるのは、アーティストの方からやってほしいって言われるパターン。」

江島「直接?あるんだ!」

堀「ある。たまたまどこかで会って……」

江島「居酒屋とかで?」

堀「飲みの席とかで。知り合いがそういう場を開いていて、遊びにおいでって言われて行ったらアーティストもいて、ライブやる時やってほしいんだよねって話になることもたまにあったり。あとは、知り合いになった人が何か仕事をするときに、堀くん呼んでみようかなって思ってくれれば呼んでもらえるし。それは繋がりだよね。その人がまたいいなって思って、違う仕事をするときに呼んでくれたりとか。今度は、呼んでくれた先の現場の人たちが違う仕事をするときに呼んでくれたり。」

江島「あ、じゃあ友達の友達から?」

堀「っていうのが僕はすごく多いかな。」


江島「レコーディング参加してくださいって言われたら、まずデモが送られてくるの?」

堀「そう。デモが送られてくる。デモのクオリティは人それぞれだけど。とりあえずラフでって人もいるし、ある程度固まってる人もいるし。」

江島「それってドラムは入ってるの?入ってることが多い?」

堀「ほぼ入ってる。」

江島「それをそのまま叩くって感じなの?」

堀「多分、プリプロとかリハーサルがあって一緒に作っていくっていう過程があれば最初ドラムがないパターンもあるかもしれないけど、基本的にこの日がレコーディングの日です、そこまでに録らないとまずいっていうので、今は事前にリハーサルとかもないから……」

江島「ないの?デモが送られてきて、会ったこともないアーティストだったとしたら、レコーディングスタジオで初めまして?」

堀「初めましてで、録って、終わり。」

江島「はー……スピーディ!」

堀「でも僕なりに……僕はバンド上がりだから、もし自分が聴いてきていないアーティストさんで、名前を聞いたのも初めてだったりとかした場合は、どういう曲をリリースしていて……って若干歴史を追って調べる。で、こういうの好きなのかなって想像して、デモと照らし合わせて、変えたり変えなかったり。機材を選ぶ時も。想像していくかな。」

江島「ほー。で、レコーディングスタジオで初めましてになって、」

堀「話をした感じで、自分が思っていた感じかなとか、ちょっと違うぞとか。」

江島「そこで柔軟に変えていくんだ。」

堀「そう。一応いろんなパターンを想像していく。デモの通りに叩いてくださいって思っている人なのか、全く変えちゃってほしいっていう人なのか。でも、大体いっぱいやってると、デモを聴いていてもここは好きにやってほしいところかなって、打ち込む感じで分かったりもするの。」

江島「へー!さすがです。」

堀「いや、でもはずれる時もある。はずれたらその場で対応するというか。自分はそういう感じでやってるかな。」

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江島「みんなよく分かんないと思うけど、バンドってギター、ベース、ドラム……っていて、ドラムが一番面倒くさいんですよ。僕の場合ってセッティングに1時間半くらいで……」

堀「そんなかかんの?(笑)」

江島「うっ……すいません(笑)。ごめんなさい(笑)。その後に、チューニングっていって調整したり、マイキングっていって、マイクを立てたり。その後に音作りをしたりして1時間半くらいかかって、さあ録るぞってなるまでに3時間くらいかかる。」

堀「ふふふ(笑)。そうだよね。だけど、急遽呼ばれるレコーディングとかさ、入り時間があって、そこから音を出すまでに1時間しかなくて。」

江島「え?1時間って楽器を入れてから?」

堀「おはようございますって言ってから。そこから搬入して、セッティングして音作りして……とりあえず録ってみますかって録ってみて、いろいろ聴いて、もう1回やってみますかってなることが多い。」

江島「それ……めっちゃちょっぱやでしょ。1時間って。」

堀「そう。セッティングすると急いだら汗かくじゃん?腰痛いしさ。だから1時間半前に入って良いですか?って聞いたりする(笑)。そこからのんびりセッティングして。そこから音作りが早く決まれば録って。録って1時間〜1時間半とか。それでお疲れ様でしたって。」

江島「頼んでいる方からしたら早いに越したことはないからね。」

堀「そうだよね。その後にギターのダビングとかいろいろ続くから。」

江島「そこら辺はね、自分のバンドでやってるから、ちょっと甘えている部分があるなっていつも思う(笑)。」

堀「そんなことないよ(笑)。」

江島「なんかちょっと疲れたからちょっと休憩して良い?とか言っちゃうの(笑)。バンドメンバーだから。」

堀「(笑)」 


江島「例えば、ちゃんみなさんとかさ、レコーディングは参加していなくて、ライブだけっていうパターンもあるじゃない?」

堀「あるある。」

江島「CDとか音源ではバリバリ打ち込みの、生ドラムが全然入っていない曲をライブでは叩くわけじゃない?その時ってどういう感じでやってるの?」

堀「それは、僕はバンドをやっていたんだけどさ(笑)。知ってると思うけど(笑)。」

江島「知ってる、知ってる(笑)。」

堀「そのバンドをやっていたときにずっと勉強していたことがまさにそれだった。自分のバンドは打ち込みで曲を作って、ライブを生でやるっていうコンセプトでやっていたから。だから、サカナクションに近い感じなのかな?」

江島「もっとすごかったと思う。」

堀「もっと打ち込みだよね。サカナクションはレコーディング生ドラムだし、もちろん混ぜて使ったりとか、いろいろやってると思うんだけど。僕がやっていたバンドは、基本的に全部打ち込みで作って、それをライブでどうやって生ドラムを使って……生ドラムだけじゃないけど、今と同じでPADとかも使ってるけど。それを使ってどうやってライブでやったら良いかなっていうのを試行錯誤して。それの延長だと思うんだけど。ちゃんみなだったり、iriちゃんとかもそう。」

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江島「ほー。」

堀「音源は打ち込みだけど、ライブは生でやるっていうのも手法も無限にあって。すごいざっくり言うと、NYみたいにしたいとか、LAみたいにしたいとか……」

江島「え?そういうこと言われるの?」

堀「言われないよ、俺のイメージ。LAでやってるアーティストってライブどうやってるのかなとかをいろいろみたりして。」

江島「それは音源と違うことをするわけじゃん?」

堀「それも時代によるかな。」

江島「時代による?」

堀「海外とかでも、2MIX(音源)を雑に流して生ドラムをバシバシ当てる人もいるし、」

江島「重ねるだけってこと?」

堀「うん。ずれとか関係ないって人もいれば、しっかり生に置き換えて解釈して、同期も惜しまず使うし、生のところは惜しまずバンドだけにがっつり変えちゃうっていう……今はそういうのが多いと思うんだけど。アレンジ自体変えちゃうとか。」

江島「そういうのは頼んでくれたアーティストと一緒にリハーサルを重ねていく?」

堀「そう。最初は想像と予習していくんだけど、アーティスト自身もどんどん変わっていくじゃん、考え方が。それに合わせて自分も考え方を変えていかないとずれていくじゃない。」

江島「感覚が?アーティストに合わせるっていうこと?」

堀「合わせるというか……自分が良いと思ったものだけは持っていないといけないと思うんだけど、サポートミュージシャンでも。」

江島「言われたままをやるんじゃなくて。」

堀「そう。だけど、アーティスト自体も試行錯誤しているから。こっちがそうします、そうしますってやるのは俺はちょっと違うかなって思っていて。逆に、こうしてみない?とか、こうやってみるのも面白いかもねって提案して、アーティストの変わって行った先について行って一緒に広げていくというか、作っていく。」

江島「一緒に作り上げていくっていう感覚でやってるんだ。」

堀「うん。一緒に作り上げていくっていう感覚で俺はやってる。ライブに関しては。」

江島「そこに関してはサポートドラムだろうがバンドのドラムだろうが感覚の違いはあんまりないってことなのかな。」

堀「ないのかな?逆に聞きたい(笑)。」

江島「話を聞いている限りでは、同じ。そんな感覚でやってる。」

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堀「ただ、僕もそうだけど……いっしょにやっているアーティストは若い人が多いし、とにかくスピードがすごく速いの。進化していくスピードとか。」

江島「好みが変わるとか?」

堀「多分大事なところは残っているけど、いろんなことをやろうとする時期があったりとか。興味も……俺らもそうだったけど、いろんなものを好きになって、最終的にまた戻ってきたりとかさ。戻ってきたつもりだけど、どんどん先に進んじゃってるとかさ。そういうことがまさに行われていると思うんだよ。だから、すごく刺激的なの。話とか聞いてると、なるほどなって気づきがすごく多くて。一緒について行かせてもらうことで成長できるからありがたい仕事というかね。」

江島「アーティストが変化していくのを本当に近くで見ているってことだよね。」

堀「それがすごい楽しいね。ライブも最初の方からずっと使ってもらっていることが多いんだよね。1回だけっていうよりも、ずっと一緒にツアーを重ねて行ったるする人が多いから、アーティストの進化とかも分かりやすいじゃない。一緒にサポートさせてもらってやってきているから。自分もどんどん変わっていかないといけないし。ずっと同じところにいたらね。」

江島「米津くんとかもう10年くらい?」

堀「そうだね、もうちょっとで10年くらいかな……上京して割とすぐだったからね。」

江島「そうか。いろんな変化を見られるってすごい面白そう。大変そうだけど……」

堀「そうだね。でも、大変じゃないとだめだよね、なんかね。」

江島「バンドもやられていたじゃないですか、札幌の時から。サカナクションと対バンとかもしていて。」

堀「ね、やらせてもらってた。サカナクションのイベントを立ち上げて一発目だった気がする。Bessie Hallで。」

江島「やりましたね。堀先生は、Scam Circleっていうバンドで。」

堀「やってました。解散はしていないんだけど、多分もうやらないと思うけど……メンバーも札幌に一人いるし。」

江島「でも、Apple Musicとかでも聴けるのでチェックしてみてください。」

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ここで、今回の授業はそろそろ終了の時間になりました。

江島「どうでした?ラジオ。」

堀「いやー……僕はあんまりラジオ慣れしてないので……」

江島「それがね、僕もなんです(笑)。」

堀「ははは!(笑) ここにきて初めて聞いたけど(笑)。」

江島「僕もなんですよ。でも、あんまりこんなに深くドラマーの話をすることはないじゃない?」

堀「もっと浅い話してるよね(笑)。飲んだ時とか。」

江島「だから、新しい話が聞けてよかったです、僕的には。」

堀「ありがとうございます。」


江島先生と堀先生のドラム対談は来週に続きます!
次回の授業もお楽しみに。

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聴取期限 2022年8月5日(金)PM 10:00 まで


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