4/30 「わかったフリのアーティスト用語」 ![]() SCHOOL OF LOCK! の音楽室からお届けしている、 「音で学ぶ」 「音を学ぶ」 「音に学ぶ」 音学の授業、サカナLOCKS! 本日の授業は・・・ ![]() 「はい、読んでいるマンガを、机の中にしまいなさーい。知ったか。・・・これは本当によくない事です。特に音楽に関して、あなたがたの "知ったかぶり "はハンパじゃない! その先にある真実を調べるチャンスを逃す事もありますし、それが試験に出て採点で戻ってきたときに、"自分が覚えていた答えが間違いだった!" と気づく事がよくありますね。」 「実は僕も、覚えていた漢字が大人になって違うと気づく事があります。音楽に関しては、そのような生徒を一人でも減らしていきたい! そう思っています。ここ学校だから!(笑) ちゃんと直していきましょう。」 ![]() ということで、今夜の授業テーマは、第一回の授業で出していた宿題! 生徒のみんなから届いた、"知ったつもりで使っている音楽用語" こちらを、ひとつずつ解説していきます。 「生徒諸君! 君たち本当にやる気があってよろしい! たくさんの宿題が届いていますよ。みんな "わかったフリ "のものが多いんだね。先生もわかったフリのことがあるかもしれないが(笑) 解説していきたいと思います!」 ![]() ラジオネーム:「じゅんじゅんり」 東京都・女子 「今日プリプロなんだって~!」とか言ってるけど、実は "プリプロ "の意味わかりません。(笑) 「これね、先生もよく使います。プリ・プロダクション (Pre-production) の略なんだよね。」 「いろんなミュージシャンによって曲の作り方は違いますが、原曲を作って、それをレコーディングする前に、ちょっとクオリティの高いデモをスタジオで、仮レコーディングをする。それを『プリプロ』っていうんです。それをもとに実際のレコーディングに取り組んでいくんです。」 なるほど~。『プリプロ』=レコーディングする前に、一度、しっかりとした設計図のようなデモ音源を作ること、なんですね。山口先生は、サカナクションの場合を例に、更に話を進めてくれました。 ![]() 「僕たちサカナクションの話をすると、まず僕がアコースティック・ギターでメロディと歌詞を制作して、それをもとに、スタジオでバンド・メンバーが軽くアレンジをします。そして、構成とかダイナミクス(盛り上がる・盛り下げる部分)を踏まえて、ざっくりと作ったものを一回、録ってみるんですね。それをもとにプロデューサーがいるバンドであれば、もっとこうしたほうがいいよとか、メンバー会議したりとかして、煮詰めていく作業。エンジニアさん(音を録音してくれるスタッフ)と打ち合わせをして、"さあ、本ちゃん録りをします!" っていう一歩前段階のことを『プリプロ』と、僕たちは使っていますね。」 「でもね、大抵、サカナクションは、"プリプロの方がいいな" って思うんですよね。なぜかっていうと、プリプロの段階では、みんな力が抜けているし、初期衝動的な部分が多いんですよね。それをホンチャンレコーディングで煮詰めていこうとすると、大抵よくなくなる。だからホンチャンの面白いところは、そのプリプロの熱をいかに壊さず盛り込むか。そこが難しいところであり、レコーディングの面白いところだったりするんですよ。」 「じゅんじゅんりちゃんは、これで伝わったかな? 大丈夫かな? わかんないことあったら、これからもサカナクション先生に宿題を提出するように!(笑)」 ![]() ラジオネーム:「みるくティー」 東京都・16歳・女子 私がわかったフリをしているのは "ゲネプロ "という言葉です。 サカナクション先生の『SAKANAQUARIUM 2010(D)』を見ていたら、"ゲネプロ "と書いてありました。 私は本番と同じようにセットを組んでリハーサルする事ではないかと解釈していますが、本当はどういう意味なんですか? 山口先生教えてください! 「みるくティー、『ゲネプロ』のこと知ったかしてるのか~。でも、いま理解している内容と何となく合っていますけども。ゲネプロとはね、ドイツ語なんだけど・・・ ・・・の略で『ゲネプロ』、です。これ、僕もさっき知った(笑)」 「『ゲネプロ』ってよく使いますね。これは、ライブをするときに、照明さん(ステージ上の照明を操っているスタッフ)とか、PA(演奏した音のバランスを取るスタッフ)とか、特効(特殊効果。火花やレーザーの演出を担当するスタッフ)とか、そういう人たちの演出チェックのことです。ライブの曲順が決まった上での演出で、「ここでこれを使います」「ここでこれを出します」「この流れでやります」というのを、本番前に最終チェックする事。これを『ゲネプロ』と、僕たちサカナクションの中では使いますね。」 ゲネプロは、もともとは、舞台芸術 (オペラやバレエ) などで使われていた言葉のようです。"通し稽古" のこと。現在の日本のコンサート業界では、ゲネプロという言葉がよく使われるそうです。 ![]() 「先週の宿題にも出していますが、ライブをやる上でまず "セットリスト" を考えます。それを元に、バンドメンバーはスタジオで練習するわけですね。そして、決まったセットリスト (=曲順) に対して、「ここでレーザー出そう」「ここでスモーク出そう」っていう、特殊効果を考えていくわけです。そして、それらを本番前に全員集まって演出チェックするわけですね。それがまさに、『ゲネプロ』と呼ばれるものでございます。みなさん、覚えてください。ゲネラールプローベ! Repeat after me・・・ はい、これで "ゲネプロ "のこと、覚えましたね。・・・っていうか、もう、ドイツ語、わかんないね! 僕も、勉強になりました。」 ![]() ラジオネーム:「YAS-SAN」 静岡県・16歳・静岡県 "イヤモ二 "って何? 「『イヤモニ』は、イヤーモニターの事ですね。ライブ演奏をしている人たちが耳につけているものだったり、テレビの音楽番組に出ている人が耳につけているものですけど、自分たちが演奏している音や歌声を、スピーカーではなく、直接、耳につけているイヤホンに返してもらう事を『イヤモニ』って言うんですね。ちなみに、サカナクションは『イヤモニ』を使っていません!足下にモニター・スピーカーを置いて、そのスピーカーで聞いています。」 でもどうして、そんな演奏している音や歌声を、イヤモニで聴いているのでしょうか。山口先生が、こんな例を挙げてくれました。 「例えば、東京ドームとか、幕張メッセ、さいたまスーパーアリーナとか、ものすごく大きい会場で演奏をするとき。あと、よく動き回る人、マイクを持って自分の立ち位置から離れても歌う人たち。そういう人たちは、よく『イヤモニ』を利用します。だってさ、みなさん考えてみてください。ステージの上で演奏をしている人がですよ、ステージの横の大きいスピーカーから聞こえている音で演奏をしている訳ではないんですよ。大きな会場で演奏をすると、自分の演奏とスピーカーから聴こえる音に、タイムラグ (時間差) が出る訳です。」 やまびこのような感じでしょうか。確かに、そうだとすると音がズレてしまって、演奏したり歌ったりするのは難しいですよね。ちなみに、この『イヤモニ』・・・すごく高価なものなのだとか。 ![]() 「『イヤモニ』って、皆さんがイメージするイヤホンとはちょっと違うんですよ。ちゃんとその人の、耳の形に型をとってですね、それをイヤモニにしたりしてる人もいるんですよ。これは、非常に高い! なので、イヤモニを自由に使いこなして、自分で持っているのは、一流のミュージシャンと言われてもおかしくないです。」 という感じで、今回の授業も終わりの時間です。引き続き、生徒の皆さんからの「わかったフリのアーティスト用語」を、募集します。募集します、というか宿題ですよ、皆さん! ![]() 「授業の最初にも言ったけど、これ宿題だからね! まだ提出していない人、提出するように。先週も言った通り、宿題を出さないと、欠席になりますのでその辺はご了承ください。僕も一緒に勉強したいと思うから。話す事で覚える事もあるので。そして、今週の宿題ですが・・・ 「先生も鬼じゃないんでね!・・・先生もゴールデンウィーク満喫したいんで(笑)」 ![]() ですが、先週の宿題、セットリスト を提出していない生徒は、このゴールデンウィーク中にやっておきましょう! そして来週の授業ですが、今回の宿題でも質問が多かった、『アレンジ』に関する授業をお届けします。しかも山口先生から、こんな嬉しすぎる予告が!! 「来週の『アレンジ』の授業で、僕たちサカナクションの・・・ ・・・をですね、このサカナLOCKS! の生徒諸君にしか聞かせられないものを持ち込んでみたいと思います。内緒だよ♥社長に言ってないから!こっそりだからね(笑)」 さあ、どんな授業になるのでしょうか! 来週もお楽しみに~! ![]() M 僕と花 / サカナクション |