5/21 「曲順の模範解答」 日本全国が金環日食で大盛り上がりだったこの日、"音学の講師" サカナクション 山口一郎先生が生放送教室に登場!ニューシングル「僕と花」についての授業の他、サカナLOCKS!も生放送教室からお届けしました。前回の授業で採点した「曲順」の模範解答を発表したぞ! ![]() 山口「それでは授業をはじめたいと思いますので、席に着いてください。手に持っているマンガを机の中にしまいなさい。」 今夜も厳しい山口先生。先週の授業で、生徒から届いた回答を採点しているうちに時間がいっぱいになってしまい、持ち越されていた「曲順」の授業。今回はその模範解答を生放送教室で発表していきます。 まずはおさらい!その宿題とは・・・ サカナクションが出演する架空の野外フェス "黄昏ロックフェスティバル2012" *季節は五月末 *出番は夕方18:00~18:30 *持ち時間は30分間 (MC含む) *タイムテーブル: サカナクションが出演する前に演奏するバンドはBase Ball Bear サカナクションの後に登場するのは、BUMP OF CHICKEN 以上の条件で、サカナクションのLIVEセットリストを考えよ。 選曲は、次の15曲の中から選ぶこと。 ・アイデンティティ ・Ame(B) ・アルクアラウンド ・years ・仮面の街 ・Klee ・セントレイ ・DocumentaRy ・ナイトフィッシングイズグッド ・『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』 ・フクロウ ・三日月サンセット ・目が明く藍色 ・モノクロトウキョー ・ルーキー そして・・・ <先週の放送で発表したこの曲を選んだ時点でNGな曲> ・years ・ナイトフィッシングイズグッド・・・長い曲なので、この曲中心になってしまう ・フクロウ ・三日月サンセット・・・デビュー曲なのでフェスでは知っている人が少ない ポイント:30分間のセットリストに「years」や「フクロウ」など暗い曲調のものを入れてしまうと盛り下がってしまう。30分間という短いLIVEセットの場合は、盛り下げてはいけない! 以前の授業で山口先生は、「アゲて、落として、アゲる!というのもポイントのひとつ!」と言っていましたが、今回のLIVE時間は30分間という短い持ち時間なので「盛り下げてはいけない!」ということでした。 教頭「敢えてNG曲を選曲リストの中に入れているのは、どうしてなんですか?」 山口「ここは幼稚園じゃないから!その点もふまえて考えてほしいんです!」 厳しい!(笑) ![]() 以上を踏まえて、山口先生による模範回答、セットリストを発表していきます! 1曲目はこの曲! (1曲目)「『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』」 山口「1曲目にバッハを選んだのは、僕たちサカナクションの中で一番ヒットした曲だし、直近のシングル曲です。歌詞もパンチのある「バッハの旋律を夜に聴いたせいです・・・」という始まりで、多くの人が "お!聞いた事ある!" という反応を得られるのではないかなと。ツカミには最適の曲だし、これで、ステージ前列にいる、BUMP OF CHICKENを待っているお客さんのハートを掴んだところで、2曲目が流れる訳です!」 (2曲目)「セントレイ」 山口「2曲目の役割としては、"お客さんのスイッチを入れる" ことなので、盛り上がりたい気持ちにスイッチを入れる曲を選ばなきゃいけないわけです。というわけで、「セントレイ」!曲の速さを表すBPMが126の「『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』」の後に速いテンポの曲がくると、お客さんはテンションがあがるわけです。そして重要なのはセントレイの入り口・・・ ニンニキニキニキ!ニーニーニー!※ (※山口先生、めちゃめちゃハイテンション!笑) ・・・が、ツカミがある、と(笑)。スイッチが入るキーになるわけですね。このイントロの部分は、サカナクション全員が "ニンニキニキニキ!ニーニーニー!※" と思っているんでね(笑) 今度からライブでお客さんが言い出しても大丈夫!」 (3曲目)「仮面の街」 山口「3曲目で重要なのは "一体感" ですね。ここでスイッチが入ったお客さんたちと演奏している僕らが繋がること!なので、ここで選んだのは「仮面の街」です。サビをお客さんと一緒に歌うと。"笑って、笑って" と!そして実は、この曲は「セントレイ」よりもテンポが速いので、高揚した気持ちが続くんですよ。知らぬ間にお客さんの気持ちを盛り上げる!じらしながら連れて行く、そして一緒に歌うのです!」 (4曲目)「DocumentaRy」 山口「そして、重要なのは4曲目なんですけど、僕らの前の演奏がBase Ball Bear、後にはBUMP OF CHICKENとバンド形態が続いているので、お客さんは "バンド" を見に来ているわけですよ。そのバンドというところのフォーマットを壊す必要がある訳です。そのため、「DocumentaRy」という、歌のないインスト曲を5人並んでラップトップで演奏します。ラップトップとは、キーボードと本体が一体化した、机上で使用できる、持ち運び可能なパソコンのことですね。パソコンで音を出すので、"楽器を置く" ことができるんですね。楽器を置いちゃって、バンドを見に来たお客さんたちの気持ちを変えて、ひきつけるんです!曲調はどんどんアガっていくので、お客さんも "歌" じゃなく、"音" に包まれていって、ピークを迎えるんです!」 ![]() (5曲目)「ルーキー」 山口「"楽器を捨てた僕らが、また楽器を持つ" という事は、ものすごいテンションをあげていかないと、お客さんの心をガシ掴みできない!ということで「ルーキー」ですね。ライブでは、前半、太鼓を使っているんですね。楽器を置いて、バンド・イメージのフォーマットを崩したところから太鼓というフォーマットが加わって、まだ "バンド" というイメージが壊れたままかと思いきや、曲調でバンドに戻すんです!」 (6曲目)「アルクアラウンド」 山口「盛り上がっていって、ピークが来て、お客さん的には "もう終わってもいいんじゃないか" という気持ちになるわけです。ここでまだまだ終わらせないというのがサカナクションの技法でございますね!そういうことで選びました、6曲目「アルクアラウンド」ですね。ここで僕たちの中でも "代表曲" と言われる曲を持ってくるわけですが、大きなポイントは、「ルーキー」よりも「アルクアラウンド」の方がテンポが遅いんですね。なので、ここまでずっと速く流れてきた曲のテンポが落ちると、お客さんは "歌を聴く" んですよ!耳が歌にいくんですね。なのでここにこの曲を入れると、この曲を演奏した事がより強調されるわけです。」 ![]() (7曲目)「アイデンティティ」 山口「そして、最後の曲になるわけです!ここでは一気にシメられる曲が必要。BUMP OF CHICKENにプレッシャーを与えなきゃいけない(笑) ←ここは大事なので!そういった事を考慮して選んだのは「アイデンティティ」。この曲はお客さんと一緒に歌えるし、曲としても盛り上がる。シメにふさわしい曲ですね。やり逃げ的な雰囲気を出しつつ、プレッシャーも与えるのです!」
山口「今回、30分間のセットリストで気をつけなきゃいけなかったのは、盛り上げきる事!説明の段階で僕は "盛り上げて、落として、最後に盛り上げる" っていう流れを説明したのですが、30分間なら、それは必要ないです!!」 教頭「いやいやいや・・・!すべての生徒がみんな "どこで落とそう" って考えたと思いますよ?」 山口「引っかけですね!すべてを信じちゃいけない。自分の考えのもとにセットリストを作るっていうのは大事なことなんでね。全7曲、MCなしで29分39秒です。」 校長「MCなし?! でも一郎先生宿題を出す段階では、"MCは入れるなら落とす曲の前" って言ってましたよね?」 山口「いやいや、生徒の中にもMCなしでセットリストを書いてきてくれた人もいましたよ。これは授業ですから!自分で考える能力をつけるためなんです!まあ、僕らの出番の前で、トークが得意なBase Ball Bearの小出君が出ますし、その後はBUMP OF CHICKENさんがね、ものすごく、ためになる人間的なお話をしてくれるわけですよ。だから僕らは "音で伝える"。30分っていう時間の中で、1曲でも多くやろうということで、MCを排除した訳でございます!」 以上で、生放送教室から、とーやま校長&よしだ教頭を交えお送りしたサカナLOCKS!、今回の授業も終了です。 ![]() 山口「いや~しかし、今回で自分のハードルあげちゃったなぁ・・・。きっと楽しみにしている人いっぱい居るだろうなって思ってしまって、次のライブのセットリストを作るのに苦戦してますね(笑) あんな偉そうな事、言っといて、またこれかって思われるのもね・・・。でも、楽しみにしといてください!」 来週の授業は、新曲『僕と花』のリリース直前。サカナクションの一郎先生が、「タイアップについて」の授業をお届けするぞ!"どのようにしてタイアップが決まるのか" "タイアップが決まってから曲が出来上がるまで" その過程を詳しく話していくぞ! M セントレイ / サカナクション |