7/16 「わかったフリのアーティスト用語」

サカナクション

「先週は、全国音楽教育方針取決委員会2012に出席するために、この授業をお休みしてすみませんでした。生徒に見えないところで音楽の事を勉強しに行ったりして、先生も頑張ってるんですよ。本当はお休みにしようかと思ったんですけど、副担任の江島先生と草刈先生が担当してくれましたが、評判はどうだったんでしょうか……?」


副担♪

この前の授業マジ神でした! 江島先生も草刈先生もとってもいい先生でした! 草刈先生めっちゃ癒される!!

中の下
女/17/沖縄県
2012/07/11 18:17


「マジ神か!(笑) 評判よかったんですね!ベースとドラムを合わせて "リズム隊" って言うんですけど、うちのリズム隊はピカイチですからね! 結構いい話が聞けたんじゃないかと思いますね。」



o(^-^o)(o^-^)o

草刈先生の声可愛かったです!!山口先生の真面目な授業もいいけど、お二人の授業もとても面白かったです!!(^-^)

透明人間71号
男/17/長崎県
2012/07/10 09:03


「先生の授業そんなに真面目ですかね……。授業だから真面目で当たり前じゃないですか!君たちが副担任にちょっと慣れて、このサカナLOCKS!が不真面目になったら困るから、山口先生の授業のときはバシバシ厳しく行きますからね。油断しないように!」

サカナクション


ということで今週は、レギュラー宿題のひとつである「わかったフリのアーティスト用語」を解説していきます。普段、インターネットや雑誌などで、皆さんが音楽用語に触れる機会が増えている中で、少しでも、"わかったフリ" ではなく、しっかり理解した上で、その言葉を使っていけるよう、山口先生が解説していきます。

サカナクション

この前Twitterでつぶやいていた、「オフライン映像」って何ですか?
スリーピーガール 16才/女/滋賀県

「"オフライン映像" ね。例えば、こないだ発売された「僕と花」というサカナクションのシングル曲は、ミュージックビデオをUSTREAMで生放送しました。生放送では、実際に生で僕たちが演じていたのですが、それをミュージックビデオ用に編集して映像を確認します。この、映像の流れや構成が出来上がっていて、配色のトーンなどには手入れがされていない状態の映像の事を "オフライン映像" と言います。それにOKがでたら、冒頭の部分にタイトルの文字を加えたり、最後にレーベルとマネージメントの社名が足されたりするんですね。つまり、"皆さんが目にする、最終的に完成された映像のひとつ前の状態" のことだと理解してもらえれば良いのではないかと思います。」

サカナクション


学園祭ライブのリハをしていたときに、バンド内の先輩が機材を設定している方に「○○の音を僕のアンプに返してください」と言っていました。「返す」ってどういう意味ですか?今更バンドメンバーに聞けないので教えてください。
救世主 17才/女/大阪府

「"返す" っていうのは、音を "もらう" っていうことですね。そして、加えてちょっと説明すると、機材を設定している方……っていうのは、"PA" の事ですね。そして、多分 "アンプ" じゃなくて "モニター" だと思いますね。
モニターっていうのは、演奏している人が自分たちの音を聞いているスピーカー。演奏者の足もとにあるんです。(あの……氷室京介さんとかが、足を乗っけている台ね・笑) あれを "モニター (スピーカー) " って言うんですよ。
大きなお客さんが聴いているスピーカーは、演奏している人たちの横にあって、お客さんに向かっているから、自分たちが演奏している音が聞こえないんです。だから、自分たちが演奏している音を聞くために演奏者の足もとに "モニター" っていうのが設置されているんですね。それを聴きながら演奏をしていて、ドラムの音をもっと聞きたいなら「ドラムの音を "返して" ください」とか、ベースの音をもっと聞いてギターを合わせたいから「ベースの音をもっと "返して" ください」って頼んだりするんです。「もっとその音が欲しい」という意味ですね。」

サカナクション

山口先生によれば、その、モニターから "返す" 音は『中音』と呼ばれていて、ミュージシャンによって音量も様々で、その音によって演奏は変わってくるのだそう。バンドの中で、演奏の要になっている人の音を聞きながら演奏をすることが多いそう。ちなみにサカナクションの場合は、全員の音を均一にモニターに返しながら、お客さん側のスピーカーの音もいっしょに聞いて演奏するそう。中音の音量は、かなり小さめだそうです。「モニターの中音と、お客さん側のスピーカーをいっしょに聞きながら、会場の温度感を整えて、一体感を生む。」そんな狙いがあるのだそう。


「フック」って何ですか?
オバケバケバケ 14才/女/岐阜

「"フック" ね。普通に言うと針ですかね。でも、業種によってこの言葉の意味は変わってくるかもしれないですね。僕が個人的によく使っている使い方としては、"ひっかかり" "癖" "毒っ気" っていう意味を持たせています。「サビで、フックとして、パンチのあるメロディを入れている」とか、「フックとして、こういう言葉を使った」っていう風に使ったりします。耳に残る言葉やメロディを曲中に足すっていう意味で、僕は "フック" という言葉を使っています。」

サカナクション

「例えば、「僕と花」で言うと、冒頭の歌い始めです。医療系のドラマであるのに、"僕の目ひとつあげましょう だからあなたの目を下さい" という言葉を使っているという事ですね。目をあげる、ください、っていう怖い事を隠喩として歌詞の中で使うっていうのは、僕の中ではフックになっていました。他の曲であげるとしたら、「『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』」これは、タイトル自体がフックになっているんですよ。ファンの皆さんが、サカナクションの次の曲はどんな曲かドキドキして待っているときに、曲のタイトルがまず先に発表される訳ですが、だから、「『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』」っていうタイトルにする事で、どんな曲なのか期待感を煽りますし、この曲は、そのタイトルがサビの歌詞になっているっていう分かりやすさも備わっています。」

「『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』」がリリースされるときに、Twitter上では、そのタイトルのインパクトの強さからハッシュタグで (#バッハの旋律を夜に聴いたせいです) が作られて、何でもバッハにせいにするっていう現象が起きてたそうです!

サカナクション

検索してみよう → #バッハの旋律を夜に聴いたせいです

さあ、ということで今週の授業はここまで。山口先生が行う "真面目" な音学の授業はどうでしたか?引き続き皆さんが、分からない、「分かったフリ」をしているアーティスト用語を宿題として提出してください。その他にも、"アーティストグッズについての自由研究""小論文「ロックフェスについてあなたなりの考えを140字以内で述べなさい」" という宿題も出ていますので、まだ提出していない方は忘れないようにしてくださいね。

来週は、"アーティスト・グッズ" についての授業を行いますよ!


M 『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』 / サカナクション