10/1 「わかったフリのアーティスト用語(3)」 ![]()
★ 振付稼業air:manのホームページは、こちら ![]() ![]() 今回の授業は、サカナLOCKS!のレギュラー宿題である、"わかったフリのアーティスト用語" です。生徒のみんなから届いた、知ったつもりで使っているけど、本当は意味をよく解っていない……そんな音楽用語を、山口先生が解説していきます。 「わかったフリっていうのは、悪い事ではないからね。わかったフリをすることで、わかっていなかったことをちゃんと知ろうと意識するようになるのではないかと先生は思います。このサカナLOCKS!を使って、みんながまだ分かったフリをしている事柄をひとつずつクリアにしていきましょう。」
「これはね、"JAM"、つまり、セッションですね。誰かがコードを決めて演奏し始めて、ドラムやベースなど、そのときにいるパートが合わせていくことです。即興みたいな要素もありますね。曲を作るときに「ジャムって作曲してみようよ。」という風に声をかけて、始まったセッションに、ボーカルが歌を乗せていくというようなものです。サカナクションでは、僕が原曲を作って、それを弾き語りするのに、ドラム、ギター、ベースがなんとなく入ってくることがあって、そういうシーンを "ジャムる" と言います。ただ、ジャムることで、曲を作り込むっていうものではなくて、「それをきっかけに曲が生まれたらいいな……」くらいの気持ちで行ないます。また、普段はいないパートの人が入ってきてジャムると、新しい曲が生まれやすかったりします。サカナクションの曲でジャムからできた曲は、「ドキュメント」や「Paradise of Sunny」などがありますね。うちはベースとドラムのリズム隊がしっかりしているので、ジャムることで自然にグルーヴが生まれます。ジャムをしている時間は曲によりますが、下手したら3~4時間ってこともありますので、ドラムが一番疲れると思いますね……音楽のジャンルによっても変わってくるかと思いますが。僕たちはダンス・ミュージックを意識しているので、ドラムが抜けてもベースでリズムをキープして、またドラムの音が戻ってきたときに全員入ってくる、っていうようなこともやりますよ。僕は、ジャムることがうまいミュージシャンは、腕の良いミュージシャンだと思いますし、ジャムると、カッコつけない、人となりが出てくると思います。」 ![]()
「これは、ドラムの "フィルイン" のことだと思うんだけど、みんな、ドラムの音から演奏が始まる曲って聞いたことないかな?"タカタカ、タカタカ……" っていうドラムのリズムの後に、一斉に演奏し始めたり、ギターが、"ジャカジャカ……" って鳴っていて、そこにドラムの "タカタン!" って音がきっかけで演奏が始まっていったりする曲ね。"フィルイン" っていうのは、そういう風に、ドラムの音がきっかけになって演奏が始まることです。例えば、僕が曲を作って、江島に「ここからフィルインで入って。」って指示をする事があって、曲の頭からドラム音を鳴らさずに、途中から入ってきて欲しいときにも使います。サカナクションでドラムがフィルインしている曲には、「モノクロトウキョー」があります。イントロの、"タッコ、タッコ、タッコ、タン♪" ってやつ、これはフィルインですね(笑)……ちなみに「モノクロトウキョー」のイントロの "ジャジャジャジャン、ジャジャジャジャン♪" っていうのは、『ビバリーヒルズ青春白書』から影響を受けています(笑)……分かるかな?NHKでやってた海外ドラマね、若い子たちは分からないと思うけど(笑)」 ![]()
「おもしろいね(笑) みんなで笑い合ってるの?どんな使い方してるのかな?「明日BPM食べる?」みたいな?……食べれないけど(笑)「爪からBPM生えてきた……」みたいな?(笑)そんな会話かな~?……犬五郎くん、"BPM" っていうのは、曲の速さ・テンポの事です。 1分間にいくつリズムが刻まれるかっていう数値で、数字が増えるとテンポが速くなっていきます。例えば、BPMが60だと、秒針が刻むのと同じテンポという事になります。使い方としては、作曲する際に、「まず曲のBPM決めよう!」っていうことがありますね。BPMが120っていうのがひとつの基準になっていて、"鼓動のリズム" とか、"歩くスピードに合わせたリズム" と言われています。1秒間に2歩だから、少し速い気がするけど、若い子たちが何かに向かってドキドキしながら歩く感じは、BPM=130とかが良いテンポかな。 サカナクションのBPMは、1stアルバムや2ndアルバムなど、北海道で活動していた初期の頃は120~128の間が多かったですね。3rdアルバムからは130以上に増えました。これは多分、東京に引っ越してきて、歩くスピードの速さや時間感覚みたいなものが自然と速くなっていったからじゃないかと分析しています。 「三日月サンセット」はBPM=122。 「ネイティブダンサー」はBPM=130です。 「夜の踊り子」はBPM=134です。 サカナクションの楽曲で一番テンポが速いのは「Klee」で、ライブになると、テンポが速すぎて扱いが難しく、どこに持ってくるか悩むこともありますね。前回のSAKANAQUARIUM2012 "ZEPP ALIVE" では、結局1曲目に持ってきちゃいました!(笑)そのあと「アルクアラウンド」っていうみんなが知ってる曲をやることで、速さを忘れさせるっていう手法をとりました。 そのときの気分で、聞く曲のBPMを選ぶとしたら、朝はゆっくりした曲を聞きたいって思うことが多くて、僕は星野源さんの曲をよく聞きますね。夕方とか、ご飯を食べ終わってちょっと外を散歩するときとかは、Base Ball Bearのようなギターロックを聞きたいと思うし、夜一人で作業をしているときは、スローテンポのテクノなんかを聞きたいと思います。そういう風に、気分に合わせてBPMを意識すると面白いかもしれないです。犬五郎くん、"BPM"は、"Beat Per Minit"の略なので、今度学校で話を合わせるときは、「あ、BPM?Beat Per Minitのことでしょ?」っていうと、みんなから「すげーじゃん!」って言われるかもしれないので、自慢気に言ってみてください。」 ![]() 「音楽っていうのはいろんな言葉を知ることで、面白さを知っていけると思うので、サカナLOCKS! の “わかったフリのアーティスト用語” の授業を使って、いろいろ勉強してもらえたらいいなと思います。」 ![]() そして、今日は10月1日です。サカナLOCKS! が始まって半年が過ぎましたが、今日も授業できました。ということは…… 「サカナLOCKS! は継続決定!!サカナLOCKS! 持ちこたえました!生徒諸君、本当にありがとうございます。次のピンチは12月だからね。毎週出ている宿題が出なくなってきたら、"もう終わりかもしれない……" と思っていいかもしれません(笑) みなさん、よろしくお願いします。」 というわけで、今回の授業は、ここまで。 生徒の皆さんは、これからもどんどん宿題を提出してください!現在、出ている宿題は『CDを買う、買わないの基準』です。 → [ 宿題の提出は、コチラから ] ![]() M 夜の踊り子 / サカナクション |