Aoi
Aoi、ぼくの好きな人と同じ名前なのでこの曲を聴き始めました。めっちゃ朝学校に行く時とかに聞いています。特に深く青い青い青いの所では、深く深く好きだといつも思って聞いてます。サカナクション先生大好きです。あ、あおいさん大好きです

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男性/16歳/岡山県


山口「ふふふ(笑)。でも、曲のタイトルが好きな子の名前ってあるよね。長渕剛「順子」とかね(笑)。(歌い出す) ♪ "順子 君の名を呼べば僕はせつないよ" ……って。音楽ってそのとき聴いていた景色を思い出したりしますよね。僕はやっぱり吉田拓郎さん「結婚しようよ」。♪ "僕の髪が 肩までのびて 君と同じになったら 約束どおり 町の教会で 結婚しようよ" って。男の子がなんで髪を伸ばすんだろうって疑問を持ったんですね。あの当時は髪を伸ばすことがかっこよかったというかね。フォークシンガーはみんな髪が長いっていう時代を物語っていたんだと思うんですけど。音楽っていうのはいろんな時代の背景を反映していると。現代のヒット曲にはそういった言葉が反映されているんじゃないかと思われる。なので、本日の講義内容を黒板に書きたいと思います。」

SCHOOL OF LOCK!


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今回は生徒の皆さんに出していた、課題『この曲が売れた理由分析レポート』の講義です。今回の課題曲は、米津玄師 先生の「Lemon」です。




■米津玄師 MV「Lemon」

・MVが3億5千万回再生
・CDと配信で合計売上200万枚超え
・2018年の年間カラオケランキング1位

なぜこの曲が売れたのか。生徒の皆さんから提出された分析レポート、そして一郎先生による分析も紹介していきます。

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「現代の音楽……真新しい曲も5年後や10年後には懐かしい曲になる。その音楽を聴いていた時の景色であったり、好きな人のこととかね。いろいろ思い出したりするきっかけになるのが音楽。作り手は、そういった部分も分析しながら作っているのか、はたまた直感的に初期衝動で作っているのか……いろんなパターンがあると思いますけど、売れる曲には売れる理由があるんじゃないかと。」

「今回の課題は、米津玄師さんの「Lemon」。昨年の3月にリリースされて、2018年を代表する曲になったこの曲を分析したいと思うのだが、「Lemon」は、テレビドラマ『アンナチュラル』の主題歌として書き下ろされた曲です。こちらはCDと配信を合わせて200万セールスMVは3億8千万回再生2018年の年間カラオケランキングでも1位を獲得しました。CDが売れない昨今で、配信も合わせて200万セールスっていうのは……これはとんでもないことですよ。1万枚でもヒットって言われていますからね。MVは3億8千万再生……もう、日本の人口を超えてる(笑)。ひとり2回は聴いていると。すごいですね。ちなみに、「Lemon」のMVを手掛けた山田智和監督は、サカナクションの「years」「SORATO」のMVも担当しています。」

「さあ、この曲が売れた理由を皆さんなりに分析したレポートを提出してもらいました。僕はミュージシャンですよ、一応。カウンターカルチャーにいる……音楽のカウンター側にいる気持ちでいますけど、米津玄師くんもどちらかというとカウンター側のミュージシャンだったのかなって思っていたわけです。それが、今じゃもうNHKの教育番組のEテレに曲を書き下ろすくらいの、国民的米津になったっていうね(笑)。僕のイメージは……インターネット時代に出てきた革命児みたいな……オンラインミュージシャンっていう感じだったのがここまで来たというのは、ある種、オフラインとオンラインの差がなくなったというか、社会の中にインターネットが完全に浸透した時代が到来したのかなっていう気持ちで見守っていました。今回「Lemon」っていう曲がなぜヒットしたのかというレポートが生徒からたくさん届いているので、これを分析しながら先生の見解を話していきたいと思う。」

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★課題「この曲が売れた理由分析レポート」

私的考察だと、大ヒットした理由は4つあると思います。

まずひとつ目は、ドラマ主題歌であり話と歌詞に結びつく点があった。
ふたつ目は、米津さんのプライベートが今までベールに隠されていたけど、この歌は親戚の死と向き合って作られた実体験の歌であること。
3つ目は、歌詞とMVが合っているようで、合っていない違和感。(私はそう感じました。)
4つ目は、1番と2番で登場人物が逆転して、沢山の人から共感を呼んだこと。

以上の4点が大ヒットの要因だと思います!

タマミ
女性/20歳/岐阜県


「1つ目は、関連性が高いということ。2つ目はよりパーソナルを感じられたっていうこと。3つ目は山ちゃん(山田智和監督)の得意技だね(笑)。4つ目は作為性だね、ある種の。ドラマの主題歌って……映画も昨今そうなのだが、よくあるのが、曲がもうあって、「この曲を使いませんか?」ってプレゼンテーションするんですよ……「レーベルのミュージシャンが新曲を出すからこの曲はどうですか?」って。コンペに出して、この中からどれを選ぶかって決めたりするんですね。いろんなケースがある……ドラマのイメージに合うからとか、CMのイメージに合うからこの曲を使いたいって名指しでくることもあるけど、そういうコンペで選ばれるケースが多い。だから、なかなか歌詞と結びつく点がないんだけど、今回は書き下ろしだから、ドラマの内容が分かった上で、自分のパーソナルなことも言って、歌詞の作為性もしっかりはまっているという……彼女の指摘みたいなものは正解かもしれない。これは誠実に作ったというのが汲み取れるね。」

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★課題「この曲が売れた理由分析レポート」

まず入り口はドラマタイアップ。
“あの逃げ恥の脚本家”というフレーズにつられてドラマを見た視聴者も少なくないはず。
ドラマで聞いたlemonの美しメロディーに虜になり、始めは耳を疑った“ウェ!”という音も耳から離れなくなった。
歌詞には「わたし」「あなた」「じぶん」など一人称が男でも女でもないジェンダーレスを感じる。
そして音楽配信、MVが公開し、MVにも釘付けになった。
高いピンヒールを履いた米津さんが教会で歌う。
性別を超え、国籍、人種を超えたような世界観に引き込まれる。
現代にマッチした、全ての境界を超える世界観がこの歌が売れた理由だと考える。

あゆみのみどり
女性/34歳/愛知県


あゆみのみどりさんは、現代の社会的倫理感にこの曲の世界観や考え方がマッチしたんじゃないかというところと、ドラマのタイアップの影響が大きかったんじゃないかと。でも昨今、ドラマのタイアップの影響力が落ちてきたって言われていたんですよ。ドラマの主題歌になればヒットするっていう時代から、ドラマの主題歌になっても売れないよねっていう時代が来て、またドラマの影響力が復活しつつあるっていうきっかけになったのが、星野源さんの「恋」米津くん「Lemon」かな。だからまた影響力が復活しつつあるっていうのはすごいですよね。でも、これだけテレビが家にない人が増えたって言っているけど、それは東京都内だけの話で、地方に行ったらまだまだテレビの影響力があるんでしょうね。都心のミュージシャンはあまりテレビに出ない人が多いかなって思うけど、全国区に広がっていくには、やっぱりテレビの影響力を利用するという時代は、いまだに続いているということかなと思います。」

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★課題「この曲が売れた理由分析レポート」

ひとつはlemonが主題歌として使われたドラマ、アンナチュラルが、
数多くの賞を取るほど脚本や俳優が素晴らしかったことにある。

アンナチュラルは多くの人を惹きつける「死」をテーマとしており、失った悲しみや生きていくことの希望や切なさなどを描いている。
そしてドラマの終盤に差し掛かると
内容とリンクするような歌声で「夢ならばどれほど良かったでしょう」とlemonがinしてくるのである。
この演出に心をうたれた人がどれほどいるだろうか。

ふたつめは、lemonの謎音「グエッ」である。
このグエッについては無い方が良いと言う人もおり賛否両論だが、
カラオケに行けば多くの人が真似をするポイントであり、サビと同じくらい歌いたい箇所であると思う。

この「グエッ」の違和感こそ、この曲は一体何だ?と考えてしまうポイント、つまり繰り返し聞いてしまうポイントなのではないだろうか。

= まうお
女性/30歳/千葉県


「(曲を聴きながら、指摘されている部分を聴いて)……あー、この「グエッ」ね。でもこれはマイケル・ジャクソンがよく「フー!」って言ったり、僕らが新宝島「オウ!」って言ったりするようなフェイクとは違うちょっとサンプリングチックな音ですよね。これは音楽的見解でいうと、リズムやグルーヴの一個とジャンル間の固定ですよね。スクラッチじゃないけど……サンプリング感を出しているっていう。もっと細かい言い方もできるけど、みんながわかる言い方をすると。だから、ある方がよりポップスじゃなく聞こえる……よりサブな方、アナーキーな方へ。立ち位置的にそっちに踏み込ませるための役割を果たしているのかなって感じがする。でもこれくらいの加減がちょうど良かったのかなって。僕らからするとそんなに「グエッって言ってる」っていう風に捉えずに、音楽のトラックの一部として捉えるけど、音楽にさほど興味がない人からすると違和感があるっていうことですよね。それはそうなのかなって思いますね。」

以上が、生徒から届いたレポートでした。

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「とにかく、ドラマの内容と歌詞の世界観がピッタリきているっていう意見が大多数ですね。先生的なことを言うと……CMソングもそうなんだけど、80年代のCMソングとかをよく聴いてもらうとわかると思うんだが、当時はキャッチコピーが先にあって、曲を作ってくださいよ、というものだったんです。みんな知らないと思うが、ラッツ&スター「め組のひと」っていう曲があって。あの曲は確か資生堂のアイライナーか何かのCMだったんですよ。目のメイクだから「め組のひと」っていう。それに向けてみんながどう作るかっていう関係性として、いっしょに作っていくっていう感覚が強かったのかな。当時の映画もそう。音楽っていうものの役割が、ちゃんと映画の世界観の中に入り込んでいたし、ドラマもちゃんと内容がマッチすることが前提だったのが、音楽的業界システムとして、タイアップになるとヒットするとか……主題歌になると売れる、CMで流れるとヒットするからっていう政治的な要因が強くなってきたと。つまり、ミュージシャン側っていうよりもレーベル側が強くなっていったから、その曲を聴くとその商品が思い浮かぶとか、この曲を聴くとあのドラマを思い出す……要するに、関連づける。目で見えないし手で触れない音楽だから、その曲を聴くことでその曲に関連していることを思い浮かばせるツールとして音楽が使われることになっていったことによって、内容とぶつけるっていうより、政治的な内容が強くなってきていた中で、この「Lemon」が象徴的にあったんじゃないかなって。逃げ恥(『逃げるは恥だが役に立つ』)とかは、星野さんが主演で主演男優が歌うっていうストーリーだったけど、これはドラマの内容に主演していない米津くんがきっちりと当て込んで作ったと。そして、彼の人生のストーリーみたいなところがマッチしたところがあったんだと思うね。それもヒットの要因になったのかなと思う。」

「やはり、本気で作るっていうことと、狂気で作るっていうことはすごく差があって。僕もすごくそういう体験をしたけども、親族であったり友人であったり……そういう死を歌うことって実はすごい勇気がいることなんですね。なんでかっていうと、僕らは常に飢えているから。悲しみだったり喜びだったり、何か自分の心が揺れることに敏感でいるから、何かが起きた時に「あ、これ音楽にできる。」とか、「あ、これ歌にできる」っていう風に考えてしまうわけです。それが楽しいことだったりするとそれは自然と受け入れるけど、自分の身内に悲しいことが起きた時にも「これを音楽にできるかも」って思うこと……それに対してすごく抵抗が出てくるし、そう思うことって倫理的に良いことじゃないって直感的に感じてしまうんですよ。でも、彼はその感覚をドラマの主題歌の中でやったっていうのはすごくパーソナルなことだし、勇気がいることだと思うんです。だから曲に込める本気度が違うというか、狂気にまで込めたと思う。いろんなタイミングがあったんだと思いますね。でも、この彼の才能がヒットを生み出したということはすごく健全なことなのかなっていうのがあるね。だから、曲のメロディーと歌詞のエネルギーみたいなものも変わってきていて、よりロック的になっている。ストーリーだったり背景だったり、関連生みたいなものもヒットの要因につながる時代になったのかなっていう気がしますね。時代は変わってきたのかなと思ったのが、今回の米津くんのヒットの分析かな。ということで、レポートを提出してくれた生徒の皆さん、ありがとうございました。」




■[MV] SAY YES / CHAGE and ASKA

「きたー(笑)。先生たちの時代のドラマヒット曲といえばCHAGE and ASKA「SAY YES」。みんな、知ってるか?『101回目のプロポーズ』はな、武田鉄矢が今まで100回プロポーズをしてダメだった……最後の101回目のプロポーズをした相手が浅野温子だったんだ。そこでね……知ってるか?「僕は死にましぇん!あなたが好きだから!」 っていうシーン。そのドラマの主題歌が大ヒットしましたけど、そういう風に音楽とドラマがきっちり結びついていた時代がまたきたりすると、僕らもやりがいが出てくるなって思いますね。Netflixでも新しく作られた日本のドラマが流れるようになったりすると、僕らも関わり方が出てきたりするのかなって気がするし、そこからヒットするものが生まれるんじゃないかって気がする。ただ、ここ5年ぐらいでCDっていうものの文化が変わってきているから、そこがひとつのキーポイントになるんじゃないかと思います。僕らも今回、CDとしてアルバムをしっかりリリースするのが最後になるんじゃないかと思うくらい、CDの文化を見直さないといけない時代が来ると思うしね。メディアもそれに対してどう対応していくのかっていうのも見守っていてほしいと思います。」

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