* 放 送 後 記 *

SCHOOL OF LOCK!


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今回のサカナLOCKS!は、音楽が好きな生徒の皆さんにも、今後、影響が出てくるかもしれません──ここ数年で定着しつつある新しい音楽の聴き方、"ストリーミング配信サービス"についての授業です。このサービスがどんな仕組みなのか、CDやYouTubeとはどう違うのか、世界ではどのように使われているのか、これから将来どう使われていくのかなど、山口一郎先生が紹介していきます。

<まず、ストリーミング配信サービスとは……>
定額の料金を支払ってスマートフォンやパソコンなどで音楽が聴き放題になるサービスのことです。音楽定額サービス、ストリーミングサービス、ストリーミングなどと呼ばれています。

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山口「さて、そもそも生徒のみんなはどうやって音楽を聴いていますか? CDを買う、CDをレンタルして曲を取り込んで聴く、ダウンロードで曲を買う、ミュージシャンの公式YouTubeで聴く……など、いろいろな方法があると思います。今回紹介するストリーミング配信サービスというのは、毎月定額のお金を支払うことで、たくさんの音楽がスマホなどで聴き放題になるサービスのことです。つまり公共料金みたいだな。」

「CDを買うことやダウンロードすることと違うのは、いろいろあるんだけど、まず「曲を所有しない」ということ。(CDや音源データを)自分の元に保持せずに、借りて聴くっていう感覚だな。YouTubeもそういうことなんだけど、違うところは「お金がかかっちゃう」っていうところなんですね。レンタルと違うところは、レンタルは1枚のCD毎にお金を払いますけど、このストリーミング配信サービスは、毎月だいたい1000円ほどの「定額制」で、最大4000万曲が聴き放題になっちゃうんです……つって!……つって、流行らせるからね(笑)。」

<ストリーミング配信サービスにはどんな種類があるかというと……>

月額料金学割料金無料プラン無料お試し期間
Line Music960円460円3ヶ月
Spotify980円480円30日間
Apple Music980円480円3ヶ月
Google Play Music980円30日間
Amazon Music Unlimited980円
※Amazonプライム会員は780円

※Amazonプライム会員のみ
30日間
レコチョクBest980円3日間
AWA960円30日間


「これ以外にも、dヒッツやうたパスなど、携帯電話のキャリアのサービスもいろいろあります。その中でみんながどれを使うのかっていうのは考えるところがあるんですけど。一郎先生はストリーミングサービス、使っています。でも、メインで使っているっていうわけではないかな。例えば、先生は釣具のメンテナンスをするわけよ。釣竿を拭いたり、糸を巻き替えたりするときに、あ、あの曲聴きたいな……でも手元にないな……っていうときに、そのミュージシャンの曲をストリーミングサービスで探して、ずらっとベストみたいに並べて聴いたりすることがありますね。多分、みんながYouTubeとかでやっていることを、先生はストリーミングサービスを使ってやっています。」

「ストリーミングサービスっていうのはクレジットカード決済だったりするから、10代のみんなはなかなか手を伸ばしづらいところがあると思うんだけど、多分これは日本の主流になってくるんじゃないかと思っています。これを生徒のみんなが安いと思うか高いと思うか。月のお小遣いが決まっていると思うので、そこから毎月1000円とか、500円とかを音楽のために支払うっていうのは、それぞれの考えがあると思うけど、多分ストリーミングサービスは今後、使われていくと思う。」

「日本ではまだまだCDは売れている方なんですよ。アメリカでは、音楽の収益の全体の60%がストリーミング配信からと言われています。CDの収益は全体の16%だそうです。だけど、日本はCDがメインだからね。CDを買うかダウンロード。……ストリーミングはまだ全然利用されていません。でも日本でも、ストリーミング配信の収益割合は、2018年からどんどん大きくなっていくだろうと思います。」

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ひとまず仕組みは分かってもらえましたか?
ではこのサービス、ミュージシャンにとっては、どんな影響があるのでしょうか。
音楽が聴き放題になったらCDが余計に売れなってしまうのでは?とも思ってしまいますが……

「ストリーミングサービスは、ミュージシャンにとってどういう利点があるのかお話しします。このストリーミングサービスは、推測ですが、1回誰かが聴く度に、レーベルに約0.5円入ってくると言われています。想像してみてください……(一郎先生の即興芝居が始まる)


お母さん「CMで、メガネかけて、前髪が長くて、ボタンを上まで止めて、黒い服ばかり着ていて、ちょっと可愛い男の子が歌っていたな……その子の歌を聞いてみたいけど、誰なの?」

「お母さん、それサカナクションよ!サカナクションの一郎さんって言うのよ!」

お母さん「あら、そう。じゃあお母さん、サカナクション聴いてみようかしら……Apple Musicで再生……ポチッ!」

(♪サカナクションが流れて……)

お母さん「そうそう、この曲!この曲を聴きたかったの!」


「……すると、サカナクションが所属するレーベル、つまりビクターエンターテイメントに、およそなんだけど「0.5円」支払われます。海外では、このストリーミング配信が大きな収入源になっていることは間違いないんですね。CDをリリースせずにストリーミング配信だけを行うミュージシャンもいっぱいいます。2016年に、チャンス・ザ・ラッパー(Chance the Rapper)がアルバム『Coloring Book』をストリーミング配信サービスのみでリリースして、初の全米トップ10入り。億単位の収入を得て、グラミー賞を受賞するということがありました。ストリーミング配信は全世界で行われることが多いので、1曲が世界中で十億再生をされると、ミュージシャンはたった1曲で数億円近い収益を得ることができるんです。」

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「ただね……難しいところなんだけど、曲をリリースすると、著作権印税というものが存在します。みんなはCDが1枚売れたらミュージシャンにいくら入ってくると思うかな?アルバム1枚3000円として、そのうちの1000円とか、1500円とか?……実は、著作権印税というのは3%です。だから、3000円だと90円。それをメンバー5人だと、それを5で割るわけです。で、作詞作曲をしている人に著作権印税は入ってくるわけだから、作詞作曲をしている人がボーカルだとしたら、他の4人には入ってこない可能性もある。それはメンバー内の話し合いなんだけど。そこにアーティスト印税っていうものが付加されて、それは3〜18%の間で何%かを話し合っていくという仕組みになっています。ストリーミング配信は新しいサービスだから、これからどんなパーセンテージにしていくのかっていうのを、メーカーとミュージシャンが話し合っていくと思うんだけど、これは難しいところなのよ。いろいろクリアにしていかなきゃいけない問題があると思う。」

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「日本では、CDがいまだにたくさん売れるっていうことはどうしてなのかって考えると……、文化っていうものがある。あと世界に比べて、日本のリスナーはミュージシャンに対するリスペクトが強いんだと思う。だから "CDプレイヤーはないけどCD買います!" っていう人がたくさんいるんです。CDは買っても、パソコンに取り込んだらあとは飾っておくだけとか。買っても1回も開けずに置いておくだけ……ダウンロードして聴く、とか。そういう人もいると思うんですよ。だからどちらかというと、リスペクト心としてCDを買う。あとは、物として手元に持っておきたいっていう気持ちもある。日本人はそういうところがあるんだなってつくづく思うんですが。……ただ、その気持ちに、メーカーは甘えてきたところがあると思うんですよ。だから、ストリーミングサービスがメインになっていったとしても、物として保持したいっていう人たちの気持ちにどう答えていくかっていうのを考えていかなきゃいけないんじゃないかと思いますよね。一郎先生的には、今後、日本でもストリーミング配信サービスがより広がっていくと思う。がしかし、物として音を保持したいっていう気持ちも残っていくと思う。これがずっと残っていくかはわからないけど、残っていく動きを僕らはミュージシャン側からしていかなきゃいけないなって気持ちはあります。音質的なところも含めて。ストリーミングは音が特にいいわけではない。ダウンロード音源も基本的には音が悪い。ハイレゾっていう高音質のものもあるけど。まあ、CD自体もレコーディングしたものからダウンコンバート(音質を落としてデータを小さくする工程)されているんだけど。いい音で聴きたいっていう気持ちもあると思うから、そこがどうなっていくかっていうのをメーカーとミュージシャンは話し合っていかなきゃなと思います。」

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「先生は、やっぱり物として音を保持したい。ミュージシャンに関わる物として音が欲しいなと思うの。例えば、Tシャツにダウンロードコードが書いてあって、"これがサカナクションの新曲です" って。そのダウンロードコードを入れると曲が聴けて、そのTシャツを着るとか……あと、お香とかね。"この匂いを嗅ぎながらこの曲を聴いてください" ……つまり体験してもらうことの種類を増やすことで物質化していくっていうことはやっていかなきゃいけないんじゃないかなと思う。でもCDという形にしないと、CDショップで扱ってもらえないっていうこともあるのよ。難しいところだけどね……本にしちゃうとかね。」

「あのね……先生は思うんだな。ストリーミングサービスについてもあまりみんな言ってないでしょ?これがどういうものなのかとか。これは結構タブーなのよ。ミュージシャンがストリーミングサービスが普及されるよって言うことは、いい顔をされないのよ。でもこれは普通になっていくことだから、もっと議論されるべきなの。ミュージシャンも、ストリーミングサービスが普及することで、何を目的に曲を作ったらいいのかとか、どう聴かれるのかっていうのを意識しないといけないし、どういう風に自分たちにキックバックが入ってくるのかっていうのを議論したり、戦っていかなきゃいけないんだけど、なかなかそういう場を作れないっていうのがあります。」

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そろそろ今回の授業も終了の時間になりました。
ストリーミング配信サービスが、どんなものなのか分かったでしょうか。

「もちろん、新しいものが出てきたときには抵抗も出てくるわけだけど、それをちゃんと検証するべきだと思う。だから、ここで話をできたことは良かったなと思うし、次は、みんなの意見を聞かせてもらいたいと思う。宿題として提出して欲しいと思います。

<宿題:次の◯◯を埋めよ。>
「音楽ストリーミング配信サービスは、『多分、◯◯!』」


毎月定額で多数の音楽が聴き放題になる「音楽ストリーミング配信サービス」について、「音楽ストリーミング配信サービスは『多分、◯◯!』」──この◯◯を埋めて、あなたの考えを述べなさい。普段、音楽をどのような方法で聴いているのか、便利・不便なことなども含めて教えてください。

「実際にストリーミングサービスを使っているか。ストリーミング配信を使わない理由、使う理由。ストリーミングじゃなくてCDを買う理由を教えてください。これは、先輩のミュージシャンには怒られたりするかもしれないの。CDが売れなくなるってミュージシャンの口から言うのはどうなんだって。みんながどう思っているのかを聞くことで議論を深めていきたいと思う。ストリーミングサービスは悪なのか善なのか。だから、ストリーミング配信サービスについての "多分、裁判" を開廷します!「ストリーミング配信は、多分、◯◯。」ここに対して、生徒の皆さんはストリーミングに対する意見をどしどし寄せてください。」

宿題の提出は[ コチラ ]から。

「2018年は、いろんな音楽の楽しみ方をサカナLOCKS!は伝えていかなきゃいけないと思いますので、皆さん、ぜひよろしくお願いいたします。こういう真面目な授業のときに、「つまんない」とか、Twitterとか掲示板に書くなよ。真面目なことができなくなる!(笑)」

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