SCHOOL OF LOCK!TIMES
新聞部・部長である広瀬すずちゃんが、映画『海街diary』の監督、是枝裕和さんにインタビュー!
生徒から届いたメッセージも紹介。
映画監督になりたい生徒はもちろん、全ての10代に送る是枝監督からのメッセージ。

広瀬:是枝監督が映画監督になりたいと思ったのはいつですか?
是枝:映画の関わる仕事がしたいと思ったのは19歳。
広瀬:早いですね!
是枝:遅いですよ!僕は、文章を書きたい人になりたくて、大学もそういうつもりで入ったんだけど、映画館に通い始めるようになって、学校にもあまりいかなくなって(笑)映像に関する仕事がしたいと思い始めたのはそのあたりですね。でも当時はたくさんの人間を動かす映画監督になれるなんて思ってもなくて、何かの形で関わりたいなと思ってました。
映画部で映画をとっています。
楽しいですが、みんなの意見を合わせるのが大変です…。
映画を作る時に一番大切な事は何ですか?

おっちゃ 群馬県 16歳

是枝:一番大切な事は…うーん。スタッフの意見に耳を傾けるって事かな。自分がやりたい事に凝り固まっていくと、映画っていう集団製作の面白さをどんどん削いでいってしまうので。「こうしろ!」って言うんじゃなくて、(みんなの意見を聞いて)「これにしよう!」と言うのが僕の仕事だと思っています。
「そして父になる」見ました!「海街diary」も楽しみにしています。
私は将来女優になりたいのですが、監督が役者を決める時の決め手は何ですか?
オーディションではどういうところを見るのかを教えて欲しいです。

みかちょいす 東京都 17歳

是枝:役にはまるかという事や、声や動作も観察しますけど、それ以上にコミュニケーション能力かな。やっぱり“聞く力”ですね。自分の喋りたい事だけ喋って帰るんじゃなくて、相手と対話をしながら、もうひとりの自分でその場を観察する事。これは演出家にとっても役者にとってもすごく大事な事だと思ってます。
広瀬:でも、「海街diary」の撮影は台本がなかったから(※注1)、いままで以上に相手のセリフや表情を見てお芝居しました。
是枝:そうなってほしくて文字で台本を渡さずに撮影をしていったので何よりです。目の前にいる俳優さんが発したセリフにどう反応するか。その反射神経みたいなものが役者さんは一番大事だなと思 ってます。すずはそれが非常に優れていたと思います。
広瀬:ありがとうございます(照)。
(※注1:広瀬すずちゃんは「海街diary」の台本を一切見ずに撮影 に参加。セリフは当日、監督から口頭で伝えられた。)
映画監督になりたいです。
でも、今は部活や勉強が忙しくて「いつか映画を撮りたい!」があるだけです。
是枝監督は10代の頃、何をしていましたか?

ひーす 福島県 16歳

是枝:10代の頃はバレーボールを一生懸命やってました。僕はセッターだったんですけど、セッターは、自分以外の5人の長所をどう引き出して、最後までゲームを作っていくのか?いう役目で、今考えると監督という仕事に似ていたなと思います。

広瀬:では、最後に映画監督になりたい10代に向けてメッセージをお願いします。
是枝:10代の頃に、役に立つ事だけをして、最短距離を走ろうと思うこと自体が、目的に向かうプロセスとしては実は一番よくないんじゃないかと思います。10代のうちは、無駄だと思うようなこともたくさんしたほうがいい。今もう僕は53歳になりますけど、この歳になるとあんまり無駄ができなくなるんですよ。時間が少なくなってくるから、無駄をなるべく省いて…自分が好きなものしか見なくなるし、読まなくなるし、好きな人にしか会わなくなってくる。それはある程度仕方のない事だけど、自分の可能性を狭めていくという事でもあるので。10代とか、20代の頃は、好き嫌いをそんなに言わずに、いろんな人にあって、いろんなものに出会って、いろんな事をすればいいと思う。それは一見、映画監督に直接繋がっていないように思えるかもしれないけど、絶対無駄にならないから。あとで何がプラスになるか、わからないからね。

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