写真家の味村美花子さん撮影
人と犬、見つめ合って親密に 「愛情」ホルモン増加
麻布大など実験
犬が飼い主を見つめ、飼い主が犬にふれることの繰り返しによって、互いに心の絆を深めていくという実験結果を、麻布大などの研究チームがまとめた。論文が17日付の米科学誌サイエンスに掲載された。
研究チームは、犬と飼い主の30組に実験室で30分間過ごしてもらい、様子を観察。この前後で、犬と飼い主のそれぞれの尿中に含まれる「オキシトシン」というホルモンの変化を調べた。オキシトシンは母乳の分泌を促す作用があり、愛情や信頼感にも影響するとされる。犬によく見つめられた飼い主8人は、見つめられる時間が短かった22人と比べてオキシトシンの濃度の上昇が大きかった。飼い主が犬にふれる時間が長いほど、犬のオキシトシンの濃度は上がる傾向にあった。
研究チームによると人間の母子間でオキシトシンを互いに高め合う関係があることはわかっていたが、異種間で確認されたのは初めて。オオカミでは同様の結果は確認できなかったとしている。麻布大獣医学部の永澤美保・共同研究員は「最古の家畜とされる犬は人間と絆を深め合う関係を進化の過程で身につけたのだろう。どのように築かれてきたかを知ることは人間社会の成り立ちを考える上でも重要だ」と話している。
※朝日新聞 2015年4月18日 夕刊(東京本社版)
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