言葉と音のバトル
夜8時すぎ。JR川崎駅のほど近く、路上のラップに少年たちが集う。リズムに言葉を乗せるラップを即興でし合う、米国発祥の「サイファー」と呼ばれる集いが各地で広がりを見せている。一対一の「バトル」では、聴く人たちの挙手で勝敗が決まる。「引きこもりだったけど、ラップで変わった。ここではどんな言葉を吐いてもいい。自由」(13歳)。「聴いて応える。あやふやじゃ通用しないラップには緊張感がある」(16歳)。「言葉を理解したくて国語の授業やニュースを聞くようになった」(13歳)
毎週土曜の夜に開催される「川崎サイファー」をまとめる田中優作さん(21)は「人まねじゃない言葉と音の乗せ方が大事」と話す。年齢も経歴も関係なくふれあえる。音楽と、共に過ごす瞬間に生みだされる言葉に、人の輪ができる。
※朝日新聞 2015年12月4日 夕刊(東京本社版)
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