【写真説明】タイムカプセルのふたを開ける守田秀一さん=下松市
「宝箱」30年ぶり開封
下松の廃校で見つかったカプセル
夢はようち園の先生■美しい自然を保っているでしょうか
校庭に埋めたタイムカプセルが約30年ぶりに開けられたとき、母校はすでに閉校していた。どこに埋めたかわからず、行方不明だったカプセル。校舎の解体作業で偶然見つかったその「宝箱」には、子供たちの夢が詰まっていた。
下松市笠戸島の旧深浦小学校でカプセルが見つかったのは3月上旬。教員室の解体工事中、偶然、土の中から出てきた。重さ10キロほどのプラスチック製。学校が110周年を迎えた1987年2月、在校生が記念に埋めたものだ。
3月27日、深浦であった「元気ふれあい祭り」で、カプセルは開けられた。ボルトで固く閉じられていたふたを外すと、使い古された教科書やクラスの集合写真、文集などが出てきた。
開封作業に加わった田布施総合支援学校の事務職員守田秀一さん(41)は当時、6年生。昭和30年代半ばまでは200人を超えていた児童数は当時で59人。6年生は8人だった。
あの日。みんなはどんな気持ちでカプセルを埋めたのだろう。作文にはこんなことが書いてあった。
わたしの夢はようち園の先生になることです。希望に向かって、中学校、高校、大学生活をしっかりしたいと思います。カプセルが取り出されるころ、かなっているでしょうか
山は今のまま美しい自然を保っているのでしょうか。それともマンションや高層ビルの立ち並ぶ東京のような町になっているのでしょうか
深浦小が休校したのはその20年後の2007年。再開することなく、14年に廃校になった。教員室や体育館は解体、撤去された。だが、木造の教室は耐震工事が施され、公民館として存続することになった。
カプセルはその片隅に保管され、みんなの帰りを待っている。
※朝日新聞 2016年4月13日 朝刊 (山口東版)