SCHOOL OF LOCK!


―宮田さんが記者を目指したきっかけを教えてください。
高校野球がきっかけです。高校で野球部に入りたかったのですが、僕が入学した学校はあまり野球部が強くなかったんです。それで担任の先生から「この学校でどんなに頑張っても甲子園に行く事はできない。それよりも勉強を頑張りなさい」と言われ、違う部活に入ったんです。その時は納得したのですが、高校、大学と「どうして甲子園に行けなくても、野球を続けなかったんだろう」という後悔がずっとありました。それで就職活動をする時に、夏の甲子園を主催している朝日新聞社に入社すれば、甲子園に行けるんじゃないか?と、思って朝日新聞を希望しました。なので、もし、高校で3年間野球をやっていたら、記者になっていなかったかもしれません。

―はじめて甲子園でお仕事されたのはいつだったのですか?
入社した年に、取材で甲子園球場に行きました。
ちなみに、朝日新聞では毎年、多くの代表校に入社1,2年目の新米記者が担当記者として同行します。短い時間の中で、試合、そして、選手たちのどこを見て、どう記事にするのか?甲子園は若い記者の訓練の場にもなっているのです。



―お仕事の醍醐味は何でしょうか?
新聞記者の醍醐味はその瞬間に立ち会えることだと思っています。試合を見て、選手と話をして、そこで、見聞きしたことをどうやって伝えていくのか?を考えるのが仕事です。その伝え方に悩みは尽きないですが(笑)。
特にスポーツ記者は、殺伐としたニュースが多い中で、喜びを一緒にわかちあって、それを伝えて喜んでもらえる素敵な仕事だと思っています。

―これまで、甲子園を見たことがない生徒もいると思うのですが、宮田さんが思う甲子園の魅力。また、観戦する時のポイントがあったら教えてください。
きっかけは何でもいいと思います。野球を見るんだ!と堅苦しく考えず、まずは一度見てもらいたいですね。それが知らない学校でも、必ず伝わるものがあると思います。
甲子園は負ける大会なんですよ。だからこそ、優勝した選手はすごいのですが、それ以外はどこかで負けます。それがたまたま地方大会の1回戦だったり、決勝だったりするのですが、その負け方を見てもらいたいですね。人生はそこで終わるわけではないので、そこで何かを得て、次のステップに進んでいく姿を見てもらえれば。
あとは、予想しないこと、ありえないことが起きるのが甲子園。でも、予想しないことが起きるからこそ、野球に関わらず、スポーツってすごく面白いんです。


宮田喜好 氏
朝日新聞東京本社 報道局 スポーツ部部長
92年入社。スポーツ部では主に高校野球を担当し、98年の松坂大輔投手の横浜高校の春夏連覇などを取材。
ダルビッシュ有投手の東北高校が準優勝した2003年の夏は、高校日本代表のスタッフとして、バンコクで開かれたアジアAAA選手権にも参加。
中学までは野球少年だったが、高校時代は野球部には入らず、その後悔をモチベーションに、高校野球取材を続けている。

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