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その瞬間のために、僕らはすべてをかけた。

福井県立勝山高校・日本文化部撮影レポート

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2011年7月27日(水)。岩手県盛岡市民文化ホール。
明日、ここで「全国高等学校総合文化祭」郷土芸能部門の大会が行われる。
福井県立勝山高校・日本文化部は、この大会に出場。
3年生の部員にとって、最後の大会だ。
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―「日本文化部」
もしかしたら耳なじみのない部活動かもしれない。
勝山高校の日本文化部とは、一般的には郷土芸能部と言われ、大太鼓、長胴太鼓、締め太鼓、三味線、笛など、日本の伝統楽器を使って、創作太鼓を演奏する、という文化系部活動だ。
ただ、勝山高校の生徒は「文化部」とくくられるのをとても嫌がる。
毎日の練習は運動部顔負け。とてもハードらしい。
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そんな彼らの3年間の集大成が、明日行われる大会だ。
ここで上位4校に入ることができれば、東京・国立劇場に場所を移し、もう一度、このメンバーで演奏することができる。
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■大会前・最後の練習
ホテルの大広間を借りて、明日の本番へ向けて最後の練習。
大太鼓、長胴太鼓、締め太鼓、お囃子など各パートに別れて、自然と練習が始まる。

「○○だけ腕の高さが違う!」
「タイミングが合っていない!」
「笑顔がないよ!」

自分達の演奏を観ては、意見を言い合う生徒達。先輩も後輩もここでは関係ない。
思った事をみんなが口にする。これは大会前に限ったことではない。
これまで3年間、ずっと、そうしてきた。
この勝山高校・日本文化部は、
とにかく「コミュニケーション」を大事にしている。
だから、厳しい事を言ったからといって空気が悪くなるわけでもない。
これが、普通。
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練習を少し早めに切り上げる、さらに話し合いを進めるためだ。
輪になってのミーティングが始まった。

ミーティングを終えると、夕食を挟み、最後の通し練習を一度だけ行った。
その通し練習が終わった後、また輪になる生徒達。
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輪になった部員一人一人に部長が声をかけ回り始める。
そして握手をする。そんな部長の後に部員も続く。
男子も女子も、先輩も後輩も関係ない。
同じ日本文化部の、明日ステージに立つ同志として、気持ちを伝え合い、握手をする。
そして最後、みんなで叫ぶ。

「今日は良い日だ!!!!!!」

この合い言葉で、勝山高校の一日は締めくくられた。
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2011年7月28日(木)。大会当日の朝。
ホテルを出て、会場へバスで向かう。その車中、生徒達がマジックを取り出し、手や腕に「気」や「優勝」という文字を書き始めた。みんなの気持ちを一つに。そしてもちろん勝山高校の目標は「優勝」することだ。
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今回、この企画に応募して来てくれた3年生の本多君はこう言っていた。

みんなとやってきた3年間は宝物

そんなかけがえのない仲間たちと過ごす時間も、残りわずか。
3年生も後輩たちも、そのことをきっと強く意識しているに違いない。
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■本番前〜本番
衣装を互いに協力し合いながら着る生徒達。
自分達の出番が近づくにつれて、笑顔でいる余裕もなくなっていく。

前の学校の演奏が終わった直後、勝山高校の演奏メンバー28名が、ステージの袖に集まる。
そして小さな声で、あの合い言葉。

「今日は良い日だ」

降りている幕の中でセッティングを終える。
この幕が上がれば、仲間との最後の演奏が始まる―。

演奏曲「真夏の左義長」
(作曲・指導 地元福井県のOTAIKO座明神座長・上坂優さん)
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■演奏を終えて・・・

演奏を終えた直後、泣き出す生徒達。
彼らの表情から、いろんなものが伝わってくる。

廃部の危機もあった。渋々入った生徒もいた。
そんな中、彼らが戦い抜いた3年間。

築いたものは、かけがえのない仲間だった。
そんな仲間との、最後の大会。

すべてをかけた。
それが、この日だけ。ではないこと。
毎日がそうだったこと。

彼らの表情が、それを物語っているように感じた。
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実は今回、入賞を狙う観点から、技術力に長けている3年生を中心とした選抜メンバーでの出場も考えられた。ただそれは、

「勝山高校・日本文化部の信念と違う」

ということで2・3年生全員で出場することを決め、今の編成となる。
「太鼓を叩きたい」そんな気持ちを抑えながら、一部の2年生は、「笛」と「三味線」を合わせたお囃子に回ることになった。
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これまできつい練習に耐えてきてくれた。ついてきてくれた。
そんな2年生に向けて、大会を終えた今だから言えること。
3年の部長から2年生に向けて伝えた言葉。

「本当にありがとう」

高校生という多感な時期。恥ずかしさ、照れくさい気持ち……。
なかなか伝えられない「ありがとう」が世の中にはきっとたくさんある。
それでも伝えた「ありがとう」は、みんなにしっかりと届いているようだった。
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■結果発表
2011年7月29日(金)。
ついに結果発表の時が迫る。果たして勝山高校の結果は…?




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