毎日新聞 PRESENTS NEWS CONNECTION
ON AIR BLOG / 2016.11.02 update
都知事に就任してから毎日のように顔を見る小池百合子さん。
今日のテーマは「小池新党ができたらどうなるの?」。
今日解説して頂くのは、毎日新聞 政治部編集委員 平田崇浩さんです。
Q 話題の小池百合子・東京都知事について。
小池さんが新党を作るという話があるようですが。
A 小池さんは新党を作るとはまだ言っていません。
ですが、皆さんご存じの通り、小池都知事の人気は全国的に高い。
小池さんが立ち上げた政治塾「希望の塾」が先日の日曜日に開講し、
5000人近い応募があって、3000人近くが塾生になった。
もしもその人たちが「小池新党」の候補者となって選挙に出てきたら大変だと、
戦々恐々の人たちがいるのです。
Q 自民党の人たちですね。
A 確かに小池知事は東京の自民党都議、国会議員と対立していますが、
もしかしたら、民進党の方が「小池新党」を怖がっているかもしれません。
4年ほど前、当時、大阪市長だった橋下徹さんが国政選挙に擁立する候補者を
育てようとして「維新政治塾」を作ったら、およそ2000人の参加者が
集まったということがありました。
Q 「橋下人気」も「小池人気」と同じくらい盛り上がりましたね。
A 「浪速のエリカ様」と言われた上西小百合衆院議員も維新政治塾の出身。
大阪維新の会も「改革政党」の旗を掲げて人気を集めたわけですが、
いまの小池さんも東京五輪のコスト削減や築地市場の豊洲移転見直しなど、
東京都政の改革を進める姿勢が支持されています。
Q 都議会を牛耳る自民党、それと戦う小池都知事というイメージですね。
A 橋下維新も大阪では徹底的に自民党と対立して改革を訴えてきましたが、
国政のレベルになると安倍政権に協力することが多かった。
その結果、何が起きたか。実は自民党ではなく、民主党の凋落でした。
Q 自民党の安倍政権は安定していますね。
A 民主党は2012年の衆院選で負けて政権から転落したわけですが、
それ以降、大阪では国政選挙でも地方選挙でも
ほとんど議席を獲得できない状況が続いています。
2009年に民主党政権ができたとき、
多くの有権者が政治を変えてくれる「改革政党」のイメージに
期待したのだと思いますが、それはすっかり色あせて、
大阪では「改革政党」の看板を完全に維新に奪われてしまった感じです。
Q 民主党、いまは民進党ですが、東京でも「改革政党」のイメージは薄いような。
A それでも今年7月の参院選では蓮舫さんともう1人当選しています。
自民党の当選者も2人ですから、野党第1党として自民党に対抗して欲しいと
期待している人はかなりいるのだと思います。
ですが、例えば来年夏にある東京都議選で小池新党が
候補者を立てるようなことになれば、「小池新党対自民党」の戦いに注目が集まって、
民進党は埋没してしまうかもしれません。
Q 小池新党ができて自民党と戦うと民進党が困るという話。
大阪の二の舞を民進党は恐れているのですね。
A もちろん、自民党も困るのですが、
小池さんも安倍政権と正面からぶつかるつもりはなさそうなので、
「小池都知事対都議会自民党」の戦いになるのでしょう。
民進党は小池都知事の改革に協力すると言っていますが、小池新党が誕生すれば、
都議選などで議席を争う敵になるわけです。民進党が改革政党として再生したいのなら、
蓮舫代表が小池都知事に負けないくらい有権者の期待を集められるようにならないと。
小池さんの動きは政治全体に刺激を与えているのですね。
このまま攻めの姿勢を崩さないで行って欲しいと思います。