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毎日新聞 PRESENTS NEWS CONNECTION

ON AIR BLOG / 2016.11.09 update

 
毎日新聞 PRESENTS NEWS CONNECTION 今日解説して頂くのは、毎日新聞夕刊編集部、堀山明子さんです。


Q:今日のトピックはアメリカ大統領選です。開票作業が日本時間の午前9時から始まって、まだまだ続いているようですが、今のところ、どっちが勝ちそうなんですか。
A:初の女性大統領を目指す民主党のヒラリー・クリントンさんと、何かとお騒がせな問題発言で庶民の心をつかんでいる共和党のドナルド・トランプさんの戦いは大接戦が続いています。昼ごろまでには大勢が判明するはずだということで、先ほど出てきた毎日新聞本社では、日本の選挙並みに編集局がざわついていて、外信部では開票された東海岸の票の出方を分析していました。アメリカ大統領選は10州前後の接戦州がどちらにスウィングするかで決まるといわれています。今のところ(放送時間・正午現在)、接戦州うち8州くらいが開票されていて、ヒラリーさんが3州、トランプさんが5州で優勢と大接戦です。

Q;世論調査では、10月に入ってもアップダウンがあったようですが、こんなに有権者の気持ちが揺れ動くという選挙は珍しいんじゃないですか?
A:そうですね、政策論争というよりは、人格攻撃を続ける感情的なトランプさんのペースで最後まで選挙戦が続いたように思います。昨日の毎日新聞でこれまでの世論調査のアップダウンを整理した記事が掲載されているのですが、10月に入ってからのアップダウンが非常に激しいことが分かります。

10月初めに「スターなら女性はなんでもさせてくれる」と女性差別発言をしたトランプさんが45%だった支持率を5ポイントぐらい急落させ、3回のテレビ討論会の間も低迷したままでした。それが10月末にFBIがヒラリーさんの国務長官時代に私用メールを使った問題を再捜査すると発表したことで再びトランプさんが急浮上して接戦になりました。トランプ陣営が「ヒラリーを刑務所に入れろ」キャンペーンを展開したのが響いたとみられます。このアップダウンからみて分かることは、テレビ討論の政策論争より、今は動画サイトやTwitterで拡散されるネット世論のほうが影響力があるということです。新聞やテレビでは政策論争や論点比較を一生懸命報じていますが、有権者が判断する際の情報のチャンネルは変わってきたように感じます。

Q:トランプさんもヒラリーさんも、熱狂的な支持層がある反面、大嫌いと思う人も多いといいますね。嫌われ者同士の対決だったことが支持率のアップダウンに影響していますか。
A:あると思います。嫌われ者同士の対決で相手の弱点を突くという戦いが続きました。トランプさんは女性差別発言だけでなく、不法移民が入ってこないように国境に壁をつくれとか、イスラム教徒をテロリストよばわりする発言を繰り返していますが、ヒラリーさんもウォール街の投資家とつながっているとか、労組のいいなりになっているのではという懸念が指摘されていました。世論調査にはでてこない「隠れトランプ」がいると言われていましたが、予想以上にそれが多かった感じです。

Q:ヒラリーさんがこれほど嫌われているというイメージは日本ではなかなか伝わってきませんが、結局は女性大統領が嫌だということじゃないんですか。
A:街頭インタビューで正面から女性大統領は嫌だと答える人はあまりいませんが、「ガラスの天井」とよく言われます。制度上の差別はなくなっても、見えない壁はあるという見方ですね。ヒラリーさんの今日の集会は、「ガラスの天井」をイメージしたきらきらの天井がある大会議場を選んだそうですが、「この天井を突き破ったぞ」と歴史的意義を強調したいのでしょうね。


先日来日していた LADY GAGA。
ヒラリー・クリントン支持を表明してますが、 先日、ヒラリーの支援者集会に駆けつけて、
こんなことを言っていたのが印象的でした。


  トランプ氏の支持者を嫌う必要はない。
  私たちが本当の米国人であれば、
  彼の支持者を敵と見るのではなく仲間と見るべき

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