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ON AIR BLOG / 2016.12.14 update


今日のテーマは「日露首脳会談」について。
毎日新聞 政治部編集委員 平田崇浩さんに解説していただきました。

Q ロシアのプーチン大統領が明日、来日しますね。
A 明日は安倍首相の地元・山口県長門市で、明後日は東京でと、2日間にわたって日露首脳会談。明日の夜は温泉旅館で胸襟を開いて話し合う。安倍首相とプーチン大統領の会談は今年4回目。10年前の第1次安倍政権のときも含めると、通算で16回目になる。これまで築いた信頼関係を生かして、北方領土問題を前進させて欲しいところ。

北方領土、択捉島・国後島・色丹島・歯舞群島の4島は第2次世界大戦の終戦時、旧ソ連に占領された。それから71年間、日本は我が国固有の領土であり、旧ソ連を引き継いだロシアによる不法占拠だと主張している。そんな場所に日本人がロシアのビザをとって入ることを許せば、ロシアの実効支配を認めることになる。戦後、北方領土に行ったことがある日本人は旧島民とか報道関係者などに限られている。北海道の納沙布岬や知床半島からは国後島や歯舞群島がよく見える。近くて遠い島。

Q ロシアは北方領土を返してくれそうなのですか。
A 安倍首相は「簡単ではない」と言っている。1956年に締結された日ソ共同宣言では、平和条約を締結した後に歯舞群島と色丹島の2島を日本に引き渡すことを明記。しかし、それから60年間、平和条約交渉は進んでいない。安倍首相としては、今回の会談で少しでも平和条約交渉を前に進めたいと考えているようだ。

Q 日本は2島の返還を求めているのですか。
A 日本はあくまで北方四島すべての返還を求めている。1991年のソ連崩壊後、ロシアとの間では、日本側から「2島先行返還」論、つまり、歯舞・色丹の返還後、国後・択捉についても交渉する案などを打診したりしてきたが、結局、2島返還も実現していない。

Q 首脳会談のメインテーマは北方領土なのですか。
A ロシア側は経済協力の話をメインにしたい。極東・シベリアの経済発展に日本の協力が欲しい。安倍政権としては、ロシアが求める経済協力にできるだけ応じながら、領土交渉、平和条約交渉を少しでも進めたい。ただ、安倍政権は北方領土で日露が共同経済活動を行うことも検討しているが、そうなると話は別。ロシアの実効支配を事実上、認めることになる。領土交渉で何の進展もないまま、経済協力の話ばかりが進むことになれば、「経済食い逃げ」との批判を浴びかねない。戦後71年間、解決されなかった領土問題。進展があればいいのですが。

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