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ON AIR BLOG / 2017.04.26 update


今日は「緊迫する北朝鮮情勢」について。毎日新聞、政治部編集委員の平田崇浩さんに解説していただきました。

Q 緊張が高まる北朝鮮の話。アメリカと戦争になりそうなのですか。
A 北朝鮮は核兵器を開発し、弾道ミサイルの技術もどんどん上がっている。 昨日の朝鮮人民軍創建 85 周年に合わせて核実験やミサイル発射に 踏み切るのではないか 核弾頭をミサイルに載せて飛ばせるまでになっているかはまだ分からないが、 アメリカ本土まで届く弾道ミサイル(ICBM)の発射実験をすると言い始めて、 アメリカの怒りに火がついた。

Q それは日本にとっても脅威ですね。
A 日本にとってはずっと前から脅威。北朝鮮は 1990 年代から日本を射程に収める弾道ミサイルを開発。1998 年には北朝鮮のテポドンというミサイルが日本列島を越えて太平洋にまで達し、 大騒ぎになった。

Q 今になって緊張が高まっているのはなぜ?
A 核兵器が実用化の段階に近づいているとみられるのが大きい。北朝鮮は 2006 年に初めて核実験を行い、昨年 9 月までに 5 回。さらに 6 回目の核実験をする、ICBM の発射実験もするということになれば、 いよいよ国際社会にとっての脅威となる。

Q これまでに止められなかったのでしょうか。
A 北朝鮮の核危機というのが 1994 年にあった。 北朝鮮が核開発を進めていることが分かり、アメリカが軍事攻撃を検討した。 そのときは米朝協議の末、北朝鮮が核開発を凍結し、アメリカや日本、 韓国などが北朝鮮にエネルギー支援することで危機を回避した。

Q でも、北朝鮮は核・ミサイル開発を続けてきたと?
A 国際社会はだまされていた。アメリカのティラーソン国務長官は「北朝鮮を非核化しようとする 20 年間の努力は失敗に終わった」、 トランプ大統領は「全ての選択肢がテーブルの上にある」。 北朝鮮の核・ミサイル開発を阻止するには戦争することもあり得ると言っている。

Q それはあくまで脅しであって、本気ではない?
A 北朝鮮と戦争になれば、60 年以上前にあった朝鮮戦争の再来。 韓国に大きな被害が出るということで、1994 年の核危機ではアメリカは攻撃を見送った。 北朝鮮の核・ミサイル開発がここまで進んでしまった今、 戦争になった場合の被害は韓国だけでなく、日本にも及びかねない。 逆に言えば、1994 年に軍事攻撃に踏み切って 核開発を潰しておけばよかったとも言える。

Q 今度はアメリカに核ミサイルが飛んでくる前に潰そうと?
A トランプ政権はそう考えているフシがある。 もちろん、戦争になる前に外交的に解決するのが一番。 だが、アメリカが本気で戦争しようとしていると思わせなければ、 北朝鮮は核開発をやめない。だから、今はアメリカが空母艦隊を朝鮮半島近海に派遣し、 日本の自衛隊も一緒に訓練をして、北朝鮮に圧力をかけている。

Q それでも北朝鮮が核実験やミサイル発射をしたら?
A そうならないように日米が連携して、中国に北朝鮮の説得を求めている。 米朝が戦争になって困るのは中国。それでも北朝鮮が挑発的な行動に出たらどうなるか。 ということで、いま緊張が高まっている。何とか戦争だけは回避して欲しいですね。

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