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ON AIR BLOG / 2017.12.20 update

今日のテーマは「2017 年の政治を振り返る」。毎日新聞 政治部編集委員 平田崇浩さんに解説していただきます。

Q きょうのテーマは「2017年の政治を振り返る」ですね。
A 去年の今ごろを思い出すと、トランプ大統領が年明けに就任するということで世界が戦々恐々としていた。安倍総理はこの1年間、トランプ大統領と親密な関係を築いて、うまくアメリカと付き合ってきた。

Q アメリカが北朝鮮と戦争にならないか心配です。
A そこは本当に心配。ただ、もっと心配だったのは「アメリカファースト」のトランプ大統領がアジア太平洋地域に関心を示さず、この地域の平和と安定に責任を持たなくなること。アメリカはTPP(環太平洋パートナーシップ協定)から離脱してしまったが、安倍総理は大統領にこの地域の重要性を説明し、日米が協力して北朝鮮に圧力をかけている。

Q 外交はうまくいっていると?
A 米朝の戦争は何としても避けてもらいたいが、最悪のケースは北朝鮮に核兵器の保有を許してしまうこと。孫・子の世代に核を持った北朝鮮の脅威を残してはならない。そのギリギリの外交努力が日米の緊密な協力によって行われている。そんな重要な局面にあるのに、安倍総理が衆院解散・総選挙に打って出たのには驚いた。

Q びっくりしたけど、自民党は勝ちましたね。
A 国家的な危機にあるときは政権与党に支持が集まりやすいという面はあるが、何よりも日本経済は2年近くプラス成長が続いているし、若者の就職率も高い。

Q 若い世代の自民党支持率が高いみたいですね。
A 野党が分裂して政権批判票のしっかりした受け皿がなかったというのも大きい。「小池新党」の準備が調わないうちに電撃的に選挙に持ち込んだ安倍総理の作戦勝ち。

Q 東京都議選で圧勝したときの小池人気はすごかったのに。
A 小池東京都知事がつくった地域政党「都民ファーストの会」は7月の都議選で55議席を獲得し、23議席だった自民党に圧勝した。それが10月の衆院選では東京都内の25小選挙区で小池新党「希望の党」の当選者は1人だけ。民進党からの合流希望者を「排除する」と言ってしまった小池さんの「おごり」が最大の敗因だった。

Q 安倍総理の「おごり」も今年は問題になりました。
A 「安倍1強」といわれるほどの政権基盤を築いたことで、国会では質問にまともに答えなかったり、野党をヤジったりという強権的な姿勢が目についた。森友学園・加計学園の問題では、官僚や政治家が「総理のご意向」をそんたくして動いた。それを全く問題がなかったと強弁する姿勢が一時的に内閣支持率の低下を招き、都議選の惨敗につながった。

Q 安倍総理も「謙虚に、丁寧に」と言って反省していました。
A 衆院選で自民党が勝った後、国会で野党の質問時間を減らしたり、また強権的な姿勢が見えているのが気になる。1月には通常国会が始まる。いまの姿勢のまま、強引に憲法改正論議を進めようとしたり、カジノを解禁する法案を強行採決したりすれば、また内閣支持率が下がるかもしれない。

Q 来年9月には自民党総裁選があるそうですね。
A 急に支持率が下がったりしなければ安倍総裁続投の可能性が高い。そうなれば2021年までの長期政権が見えてくる。それとは違った意味で来年はすごく重要な年。来年は安倍政権になって初めて大きな選挙がない年。2013年は参院選、14年は衆院選、15年は統一地方選、16年は参院選、今年は衆院選があった。来年は選挙目当ての人気取りを考える必要はない。社会保障改革や税制改革、財政再建など国民に負担を求めなければならない課題がたくさんある。再来年秋に消費税を10%に上げるときにどれだけしっかりした改革ができるか。その議論を来年はしっかりしてほしい。

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