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ON AIR BLOG / 2018.04.11 update

気になるニュースを解説してくれるのは、このコーナー初登場!毎日新聞 夕刊編集部の田村彰子さんです。田村さんはかつて社会部で、バリバリの事件記者として「東京地検特捜部」の担当もしていたとか。現在3人のお子さんのお母さんでもあります。これから、どうぞよろしくおねがいします!

Q:今日のテーマは「日本は階級社会かもしれない」ということですが、これはどういったことでしょう??
A:「格差が広がっている」とは言われてきましたが、もうすでに「階級社会」にまで進んでしまっていると、雑誌などで取り上げられるようになりました。その指摘をしているのは、社会学者の橋本健二さんです。「新・日本の階級社会」という本で、さまざまなデータを検証し、階級社会の正体を浮き上がらせています。ビジネス街でサラリーマンたちにかなり売れているといいます。

Q:自身の将来に不安を持つ人が多いのでしょうか?本の中ではどんなことが言われているのですか?
A:橋本さんによると、日本は従業員5人以上の経営者たちがいる「資本家階級」、会社の管理職や専門職などの新中間階級、販売職やサービス業の労働者階級、自営業者などの旧中間階級に分かれるのですが、問題は「アンダークラス」と呼ばれる非正規労働者の人です。かつてパートタイム、非正規雇用というと、子どもの手が少し離れた母親が働いているイメージがありましたが、橋本さんはあえてそのパート主婦をのぞいた非正規雇用の人を「アンダークラス」と定義しています。男性と単身の女性、つまり、主たる生計をパート収入で担っている人ということですね。

Q:「アンダークラス」の人数はどのくらいなのでしょう?
A :総務省の6年前の統計では、働いている人たちの約15%にもなるそうです。 意外に多いなと思いませんか。橋本さんたち社会学者による訪問調査では、アンダークラスの暗い現実を描き出しています。他の階級の人口が減る中で、唯一人口が激増しているんです。個人の平均年収は186万円。正社員の労働者階級の平均個人年収が370万円ですから、いかに少ないか分かります。


Q:「貧困にあえぐ女性」などが取り上げられているのも目にしますもんね?
A:テレビのドキュメントやネットや雑誌のルポなどでもみかけます。それがしっかりと数字で表れているんです。アンダークラスの女性の貧困率は6割以上で、半分を超えています。女性の場合は離婚や死別でシングルマザーになっている場合が多く、子どもや老いた両親を抱えてこの状況になっている人が想像できますよね。この女性たちは、決して特殊な人たちではないんです。全部の女性のうちの8%を超えるそうです。しかも、これは訪問型の調査なので、たとえばネットカフェ難民やパートをいくつも掛け持ちして、家にあまりいない人は数に反映されていません。そういう人たちをカウントしたら、平均年収はもっと低くなり、貧困率はもっと高くなるかもしれません。

Q:この階級社会がなぜこれほど不安がられているのでしょう?
A:アンダークラスになってしまう可能性のある人がさまざま階層にいることです。就職するときに経済状況が悪くて非正規になってしまった、会社が倒産した、子どもがアンダークラスになってしまって親である自分たちが面倒をみなくてないけない、など、考えられるケースはたくさんあります。そして、一回そうなってしまうと、そこから抜け出すのは難しい。だからこそ、一見関係ないようなビジネス街の人たちも不安をぬぐいきれないのでしょう。決して遠い世界の関係ない出来事ではなくて、自分のこととしてセーフティーネットを早急に作っていく必要があると思います。
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