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ON AIR BLOG / 2018.05.30 update

今日のテーマは「日本の未来を変えていきそうな法律が成立」。毎日新聞 論説委員 中村秀明さんに解説していただきます。

Q:「日本の未来を変えていきそうな法律」とはどんなものでしょう?
A:いろいろな選挙の候補者数を男女で均等にするよう政党に促す法律で、 「政治分野の男女共同参画推進法」という名前です。特徴は、国会議員だけではなく、都議会議員とか県議会議員、市議会議員など 地方の議員も、候補者の数を同じになるようにしましょう、と呼びかけている点です。

Q:以前このコーナーでも、 「日本は政治の世界にしめる女性の割合が国際的に低い」という話を伺いました。
A:さらに女性の政治参加が遅れているという状況があります。 現在、衆院議員のうち女性は 47 人、比率ではおよそ 10%にすぎません。 国際機関の調べでは193カ国中で157番目です。世界平均は 24%だから、ずいぶん差があります。地方議員もだいたい 10%か、それよりちょっと多いくらいです。 地域のばらつきが大きくて、山梨や愛媛、佐賀の県議会には1人しかいません。 それだけ、日本は国としても地域でも、多様な価値観や視点をもった社会になっていなくて、画一的で柔軟性に欠けているわけです。

Q:この法律をどう使えばいいのでしょう?
A:実は法律は罰則とか、数字の目標を義務つけたりはしていません。 「お互いに努力しましょう」という呼びかけに終わっています。だから、有権者が黙っていると、あまり関心を持たないと、 「まあ、いいか」という感じになってしまいます。 選挙のたびに、「どうなったのか」「どんな努力をしたのか」とチェックして 問い詰める必要があります。

Q:都道府県や市町村もですか?
A:この法律にあわせて都道府県や市町村も、女性議員が働きやすいような環境を 作っていくことになっています。そうしたことを怠っていないかどうか監視し、 働きかけていくことが欠かせません。この法律を国会で議論している時も、政府は「女性が輝ける社会」とか「女性活躍の時代」 とか言っていましたが、国会議員の間では「女性の政治参加が進んで、 それで社会がよくなるかどうかなんて、わからない」 「やる気と能力のある女性は自力ではいあがるので、法律なんていらない」という もっともらしいけど、非常に頭の固い反対意見が出てきて、時間がかかりました。 政治家だけに頼らず、人任せにせず、さまざまな動きを注目して、声を出すときは出す、 黙っていないということが大事だと思います。

*森友加計問題の影に隠れてこんな法律が成立していたとは。 *男女雇用均等法から 30 年近く経ちました。2018 年女性の社会進出はもはや当たり前。 遅れを取っている政治の世界がどう変わるか?注視しないとですね。

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