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ON AIR BLOG / 2018.06.27 update
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今日は「大阪の地震で浮かび上がった情報の課題」について、 毎日新聞 論説委員 中村秀明さんに解説していただきました。

Q:大阪で地震があって 10 日になります。 交通網の弱さやブロック塀の安全性などが問題視されていますが、 「情報」をめぐる課題も指摘されています。
A:1つは「デマの拡散」。 熊本地震の時もありましたが、まったくの作り話がSNSで広がりました。「シマウマが脱走した」「電車が脱線した」などというウソです。 このほか「水や食料の買い占めが始まる」「京セラドームの屋根に亀裂が入った」 などといった早合点の投稿もありました。 いずれも写真付きですが、張り合わせたねつ造写真もあるし、勘違いしたものもあります。

Q:共通点があるのでしょうか?
A;共通するのは「○○があったらしい」「○○だそうだ」といった口づてに 広がっていくという点です。面白がって流す人もいますが、そればかりではない。 確認はできていないけれど、念のためにシェアしとこうとか、一応知らせておいた方が いいと思ってという「善意」や「配慮」で拡散していくことが多い。 こうした場合は、まずデマかもしれない、不確かな情報ではないかと疑ってみること、 そういう内容を見てもすぐに反応せず、ひと呼吸置くということが大切です。 あるいは電力・ガスや鉄道などの企業の「公式アカウント」を確認するほか、 報道機関が流すニュースで裏づけするといったことも必要でしょう。2つ目は「置いてけぼりになった外国人」。 地震になれていないうえ、言葉の壁があって不安を感じた外国人観光客が多くいました。 大阪府は地震発生後にホームページのトップに英語のメッセージを表示して、 夕方からは英語による 24 時間の電話相談窓口を開きました。しかし、旅行者から 寄せられた問い合わせはほとんどなかったのです。ニーズがなかったのではありません。

Q:ではどんな理由が?
A:「何が起きたのか」「どうすればいいのか」と不安だった人はたくさんいました。 大阪駅で途方に暮れる外国人の姿もニュースで見かけました。何時間かたって 自分の国のニュースサイトをスマホで調べて、地震の大きさや混乱状況を知ったという 外国人もいました。大阪府など自治体や鉄道会社がやっていた情報発信については 「そうした存在自体を知らなかった」という外国人が多かったようです。せっかく受け皿を用意していたのに、利用されなかったということです。 ここで必要になるのは、やはり人間力かな、と思います。混乱した状況で不安そうな 外国人がいたら、何か手助けできないか声をかけてみる。「相談できる窓口があるよ」と 教えてあげることでしょうか。自分のことで精一杯と思わず、 たとえば自分が外国で災害に出くわしたらどんなに不安か想像をめぐらすと、 何が大事かわかるのではないでしょうか?


*SNS のデマも震災時の外国人への話も圧倒的に足りていないのは 「相手への配慮」なのでは? 相手の立場になって想像してみることが今の時代必要な。

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