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ON AIR BLOG / 2018.07.04 update

今日は「「残念な職場って何だろう?」ということで、毎日新聞 夕刊編集部の田村彰子さんに解説していただきました。

Q:働き方改革が叫ばれていますが、「残念な職場」ってどういうことでしょう?
A:会社にはまだまだ働きにくい「残念な職場」があるらしいです。健康社会学者の河合薫さんが、国内外のさまざまな研究や10年かけて600人以上の男女からきいた「証言」から、残念な職場を4つに分類しています。

Q;それはどんな?
A:
1、無責任な人ほど出世する 
2、現場一流、経営三流
3、女対男のいざこざ絶えず「女は面倒くさい」と思われている
4、居眠りするのが勤勉の証し、長時間労働のリスクを知らない。です。
1の無責任な人ほど出世する、などは、日本だけの話ではないそうなんです。意外ですよね。河合さんによると海外での多くの研究でも示されていて、アメリカでは「人を責める」「人のせいにする」他責型と「自分の関わりを否定する」無関型に分けられています。

Q:働きやすい職場の方がいいはずなんですけどね。
A:そうならないようです。その一因として河合さんは「無責任なジジイ文化」を挙げています。「ジジイ」は刺激的な言葉ですが、ここでいうジジイは、変化を嫌い、自分の保身だけを考え、自分のために手に入れた既得権益にしがみつく人のことで、年配の男性とは限りません。女性にも若者にもいて、組織の中にいれば誰もが「ジジイ的なもの」を持っているそうです。私も「もしかして、あの考えはそうだったのかも・・・」とはっとすることもあります。ちなみに「ババア」と呼ばないのは、日本の職場階層の上階は男性で占められているからだとか。
 
Q:確かにラジオで聴くと「より刺激的な言葉」に聞こえてしまいます。
A:職場にはびこるジジイを、河合さんは「階層社会の持つ負の側面」と指摘しています。組織の上に行けば行くほど、ジジイ文化が幅を利かせていきます。ジジイ文化を一掃し、「残念な職場」を改善するにはどうしたらいいでしょうか。河合さんが提案するのは、人生の邪魔をしない職場環境をつくることです。人間は仕事、家庭、健康の「三つのボール」を持っていて、どのボールを地面に落としても幸せになれない、という考えです。河合さんの知る会社では、管理職の人たちが、部下一人一人に「おはよう」と声をかける「ひと声がけ運動」を実施しました。最初は「あいさつは部下からするもの」と猛反発されました。しかし、無視されようが、相手の目を見て「おはよう」と言うことで、部下もあいさつを返すようになり、上司と部下との会話が生まれました。全従業員の休職率も、12年後にはかなり減って、業績も増益を保ち続けたそうです。

Q:結果、みんなが嬉しい。
A:「自分の所属する部や課、チームなど半径3メートルの範囲なら変えることができる。大切なのは、相手が人であるという視点を忘れないことです」と河合さんは言います。 私の所属部署はもともと会話が多いですが、記事を書いた先輩がアイスを配ってくださって、「残念な職場にならないようにしないとね」と笑っています。身近なところから始めていけるといいですよね。

まずは職場の隣にいる人から始めてみましょう。この「輪」がどんどん広がることを祈って!

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