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ON AIR BLOG / 2018.09.12 update

今日のテーマは「東京医科大の医学部入試不正問題」。
毎日新聞 夕刊編集部の田村彰子さんに解説していただきます。

Q:東京医科大で今年、文部科学省の前局長の息子を一般入試で不正合格させたとされる事件が起きましたね。

A:その事件が解明されていく中で、女性受験者の得点を一律に低くして、合格を抑制していることも明るみになりました。「時代錯誤の女性差別だ」とか、ツイッターでハッシュタグを付けて「怒っていい」と批判の投稿がありましたが、女性の入学者が少ないというのは、東京医科大だけの問題でもなかったことがまた最近わかりました。文科省の調査で、全国80の国公立私立大医学部医学科のうち、およそ8割で男子の合格率が女子を上回っていたのです。

Q:この結果を見て、みなさん、どう思うんでしょうか?
A:女性の方が勉強ができないからと考える人は少ないでしょう。もちろん女性の方が多く合格している大学もあるのですが、その大学は「公正な入試をすれば、女子の方が成績がいいはず」といいます。ある私立医大出身の女性医師は「成績上位者がもらえる奨学金の手続きにくるのは、ほとんどが女性です。たまに男性がいると二度見していました」と話します。医学部は面接試験もあるところが多いので、そこで妊娠出産についての質問し、女子学生の点数を調整するといったことがあるとも言われています。
 
Q:いつの時代の話だ?とも思えますね。
A;一般人の私などからすると「これは一体何時代の話?」と突っ込みたくなるのですが、意外に当事者である女性医師の中には「仕方ない」と言う人も多いのです。入試の段階から「あの大学は女性をほとんどとらないから」と噂になっている大学もあるそうで、「ずっと昔から女子学生を制限していたと思っていた」と言う人もいます。医師たちの中では何となくの「常識」になっていたようなのです。

Q:それはなぜでしょうか。
A:ある独身の女性医師の一日は、アルバイトのために別の病院に朝から行き、その病院での手術を終えてから、夜大学病院に戻り研修医の指導や自分の担当する患者さんの様子を見に行くといいます。それで、大学病院からもらえるお金は手取りで、30万円を切る。「連続した勤務が常態化していて、とても子育てと両立はできない。母親はその子にとって一人しかいないんだから、出産していたら私もやめていた」と話しています。女性医師たちは、家庭生活を考えないで24時間365日働く男性医師たちがマンパワーで支えているのが、今の日本の医療だとよくわかっているのです。医師同士の結婚も多いそうですが、育児や家事で仕事をセーブするのは「女性」という常識が根強くあります。当然女性が多く医学部に入ると、いずれ大勢の医師がやめることになる。そうなると、現場が困るから最初から男性医師をとった方がいい、という東京医科大のような考え方を女性医師たちはよく理解しているのですね。

Q:このままでいいのでしょうか?
A:このままでいいのか、というとみなさん悩んでいます。「まずは、医師が十分にいて家に帰ることができ、そんなに呼び出されない環境整備が必要」と女性医師たちは口をそろえます。私たち患者側も、日本の医療をどうしていくべきなのか、真剣に考えないといけない時期なのかもしれません。
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