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ON AIR BLOG / 2018.12.19 update

今日のテーマは「PTAと男性」毎日新聞 夕刊編集部の田村彰子さんに解説していただきました。

Q:今日のテーマは「PTAと男性」ということですが?これは?
A:何かと話題な学校と保護者の組織、PTAですが、今、あるシーズンなんです。会長、副会長などの本部役員を選んでいる真っ最中なんです。多いのが「推薦票」というのがすべての保護者に配られて「本部役員に推薦する人を書け」というシステムです。集まった中から「推薦委員」なる人たちが、次の役員を選出していきます。ここには、いろんなエピソードがありまして、いきなり「推薦されました」と電話が来るとか、夜に家に委員が複数人でやってきて説得されるとか、断る理由が不幸自慢になるとか・・・。

Q:そんなことになってるんですね。
A:そんな「PTA」を、「母親の仕事」としてきた時代は長く、フリーライターの大塚玲子さんは「家事育児の分担が進みつつある社会で、全く分担が進まないある意味『聖域』です」と話します。我が家も夫に家事育児の平等分担を厳しく要求してきたのですが、確かになぜかPTAだけは「あの夫がやっても無理だろう」とつい私がやってきたことがあるんですね。保育園では、保護者会で父親の姿をよく見るのですが、小学校のPTAではさーっといなくなるんです。大塚さんも「あのお父さんたちはどこへ行ったのかと思いました」と話しています。PTAは、児童・生徒の保護者と教職員からなる任意組織で、先生も参加する会合や行事も多いので平日昼間の活動が中心になっています。そのため長い間、典型的な「母親社会」だったのですね。そこにイクメンもすっかり定着した今、父親の参加も増えてきたんです。

Q:男性が「PTAデビュー」していくんですね。
A:しかし、「PTAデビュー」して、職場や自分の周りの世界とは違うと戸惑う父親は多いようです。ある父親は、仕事のノリで「1杯飲みに行きましょうか」と声を掛けたら、他の役員の母親から「男女が夜に集まってお酒を飲むなんて、規律が乱れます」と一喝されたとか。PTAの集会で、居場所をなくして寝ている父親の姿を見ることもあります。「参加している父親たちは、男女雇用機会均等法施行直後の会社での女性のように、集団の蚊帳の外に置かれている気持ちを味わっているはず」と大塚さんはいいます。しかし「少しでもPTAに関わってみたいと思うなら、徐々に会社に足場を築いていった女性たちのように粘ってほしい」と父親にエールも送っています。

Q:家庭での奥様のエールも必要になってきますね。
A:母親たちも意識して父親たちに門戸を開くことが大事です。大塚さんは「あえて空気を読まない父親に入ってもらうことによって、閉鎖的な空気が変わるかもしれません。男女とも、もっと参加する形の選択肢が増えればいい」と話していました。

Q:なるほど。
A:PTAにはさんざん指摘されているデメリットもありますが、地域に知り合いが増えたり、子育てに必要な地元情報などを得られたりといったメリットもあります。そのどちらが自分にとって上回るかは、父親と母親でも違うはずです。だから、参加するかどうかはそれぞれが決めればいいのです。父親は「俺は嫌だけど、妻がやってくれるならいい」と、母親に押しつけて思考停止している場合ではないですよね。


*女性の社会進出に伴い家事育児の分業も進んでいる今。
*お父さんたちもPTAの存在を真面目に考えてみてもいいかもしれませんね。

毎日新聞 田村さん、ありがとうございました。

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