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ON AIR BLOG / 2019.01.23 update

今日のテーマは「大人の女性の発達障害」。毎日新聞 夕刊編集部の田村彰子さんに解説していただきました。

大人の発達障害と聞いて、ぱっとイメージする人はどんな人でしょう?

まず、男性でしょうか、女性でしょうか。多くの人の場合、男性をイメージするかと思います。一般的にも倍以上男性のほうが多いとも言われています。しかし、実際そうではないのではないか、診断からもれてしまって支援の届かない女性が多くいるのではないか、と近年指摘されるようになってきました。

子どもと大人の女性の発達障害の診療をしている精神科医の司馬理英子さんは、女性の発達障害の診断の難しさを指摘します。「そもそも発達障害は男児で発見された症状です。発症原因は十分解明されておらず、診断基準が男児に当てはまるものが多いです」と説明しています。一般社会の中では男女差があり、女性の方が特徴は目立ちにくく、たとえば教室で走り回っている男児と、頭の中はぐちゃぐちゃで全く集中できていない女児だったら、同じぐらい授業に集中できていなくても、やはり男児が浮いてしまいますよね。

しかし、女性の集団に入ったり、女性同士で比べたりするとその違いが顕著になります。「母親中心のPTAやママ友付き合いは、彼女たちの困り事として上がってくるテーマです。そうした集団では、浮いてしまいやすいから」と司馬さんは話しています。実際、「女子トークに参加できない」というのは、発達障害の女性にとっては「あるある」話のようです。

さらに、発達障害の女性たちは「親やパートナーとの関係」が、発達障害の男性に比べて悪いこともあるといいます。司馬さんは「発達障害に気付かないまま『できの悪い子』『だらしのない子』として親から怒られ続けた結果、近しい人間との関係が悪化するのです。日本の女性は片付けや身の回りのこと、介護や育児などケア労働に関して『女の子なのにそんなこともできないの』と言われがちで、パートナーの目も厳しい。発達障害の特性の強さは同じぐらいでも、大人になって本人の困り感は女性で多い印象があります」と話しています。

結婚しても、男性は仕事だけしているということがまだまだ認められますが、女性はそうはいかない場合が多いです。発達障害の人が苦手とされるマルチタスクをする必要性に迫られる女性は非常に多いわけです。

司馬さんは、女性個人の頑張りに依存する社会にも警鐘を鳴らしています。「現代の日本女性はまるでスーパーウーマンで、家事育児も仕事もバリバリこなします。発達障害の女性たちは、そんな頑張り過ぎな女性と比べられるから、尚更『頑張りが足りない』と見なされて、苦しい思いをするのです。

もっとみんなが楽に生きられるように、環境を調整できる余地はたくさんある」と司馬さんは訴えます。例えば、数時間早くパートナーが家に帰って家事をしたり、子育てをもっと人に頼れたりしたら、発達障害があってもなくても誰でも楽になれるはずですよね。多少能力に凸凹があっても社会が受け入れて、苦しまずに生活できる環境が生まれれば、誰にとっても住みやすい社会になるのではないでしょうか。
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