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ON AIR BLOG / 2019.02.06 update

今日のテーマは「植物は、匂いで会話する?」

Q:今日のテーマ、とても気になります。
A:梅の季節。梅の香りをかぐと、春だなと。人間は、梅の香りを鼻の奥の細胞が持つ「嗅覚受容体」と呼ばれるたんぱく質が受け取って、脳に情報を送っている。

Q:植物同士では、匂いは利用していないのでしょうか?
A:昔から、虫に葉っぱを食べられると、その周囲にある植物は、虫に食べられにくくなるという現象があることが知られてるる。これは、虫に食べられた葉っぱが、匂い物質を放出することで、周囲の植物に情報を伝えているためだということがわかってきた。

Q:でも、どうやって?
A:東京大学の東原和成(とうはらかずしげ)さんのチームは、たばこの葉を使って実験。目をつけたのは、たばこの葉が発散する揮発性物質の中で、クローブやホップなどに含まれる「βカリオフィレン」という物質。これが、他の葉っぱに作用して、虫に対する抵抗性を獲得することがわかった。

Q:植物には鼻がないのに、どうやって?
A:このβカリオフィレンが、葉っぱが持つ抵抗性遺伝子のスイッチをオンにして、虫が嫌う物質を作らせている。普段は、この抵抗性遺伝子には、たんぱく質でフタがされているんだが、βカリオフィレンがくっつくと、フタがはずれる、という仕組み。今回は、ひとつの物質だけだけど、もっといろいろな揮発性物質を使って、植物同士はコミュニケーションしているのかも。


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