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ON AIR BLOG / 2019.02.13 update

今日のテーマは「ふるさと納税」です!最近、いろいろ問題にもなっているようですが…。毎日新聞 編集編成担当補佐、前田浩智さんに解説していただきます!

前:ふるさと納税。この制度、2008年に始まって10年が過ぎました。最初の5年間は100億円前後でボチボチのような感じでしたが、2014年から爆発的に伸び、2017年は3000億円を上回りました。昨年の集計はこれからですが、4000億円を超えたのではないかと言われています。

L:魅力は返礼品ですよね。

前:ふるさと納税をすると、納税額に応じてお礼の品を出すのが一般的になっていますが、これが肉や魚、お酒などの地元の名産品に始まって、家電製品や商品券まで登場して、ちょっとしたカタログショッピングのような状況になっています。本人がふるさと納税で負担するのは手数料代わりに支払う2000円だけです。あとは所得に応じて一定の限度額はありますが、地方税の支払先が変わるだけです。2000円で豪華な返礼品がもらえるのであれば、人気になるのも当然だと思います。

L:その返礼品競争がどんどんエスカレートしているのですね。

前:返礼割合、つまり返礼品の額がふるさと納税額の8割にも達したりして、すごいところではキャンピングカーまで登場したりして、市町村の「仁義なき戦い」のようになっています。家電製品などをオークションで転売するケースもあるそうです。総務省は「ふるさと納税は存亡の危機にある」として、返礼品について、?返礼割合を3割以下にする?地場産品にする、ことを要請してきました。でも、昨年9月の調査では、まだ246の自治体が返礼割合が3割を超える高額の返礼品を送っていて、政府は先週、規制する法律案を国会に提出しました。

L:大阪の泉佐野市が国の対応を批判してニュースになっていますね。

前:泉佐野市の場合は、返礼品に加えて、ふるさと納税の最大20%分を通販のアマゾンのギフト券で配るということをしています。国が通達したルールを逸脱しているので、石田総務大臣が「自分のところだけが良ければいいという身勝手な考えだ」と批判しています。これに対して、泉佐野市は「地方分権の趣旨に反する」と反論しています。

L:地方からすると人口減少などで大変でしょうし、返礼品競争が過熱するのも分からないではありません。

前:私も北海道の田舎の出身ですし、心情的に理解するところがあります。ふるさと納税はそもそも、地方で生まれ育った人が大人になると、都会に出て税金はそこで納める、地方からすればいいとこ取りされているという実態をなんとかしようという制度でした。ただ、この制度は返礼品が高額になればなるほど、2000円しか負担していないわけですから、形を変えた減税ということになります。所得が高い人ほど、たくさんふるさと納税ができていっぱい減税してもらえることになります。制度を維持するためにも、最低限のルールを作ってみんなで守っていく必要があるように思います。

返礼品は楽しみですけど、地方に恩返しする、応援するという制度の原点を改めて考える必要があるように感じました。

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