ON AIR BLOG

毎日新聞 PRESENTS NEWS CONNECTION。

ON AIR BLOG / 2019.03.20 update


今日のテーマは「コンビニ24時間営業は必要か」です。 毎日新聞 夕刊編集部の田村彰子さんに解説していただきました。

Q :最近話題になっていますね。
A:東大阪市にあるセブン―イレブン・ジャパンのフランチャイズチェーン(FC)加盟店が人手不足からやむなく深夜の営業をやめ、それでは契約違反だと主張するセブン本部と対立。その後、本部は時短営業を理由に契約解除は求めないと伝えたが、これを機に各地のFC店が終日営業に反発の声を上げるという事態が起こっています。

Q:その根底には何があるんでしょう?
A:問題の根底にあるのは、働き手不足です。宅配業界ではドライバーが足りず、社会問題になりました。しかしその一方で、最近は「働き方改革」が大々的に宣伝され、残業せず家路を急ぐ人は多い。深夜は働き手がおらず、来店する客も少ない。「ならば店を閉めればいいじゃないか」と思って当然なのかもしれません。外食業界ではファミリーレストランが2年も前から24時間営業を取りやめるなど、対応は進んでいます。コンビニになぜそれができないのでしょうか。

Q:なぜでしょう?
A:大手コンビニで店長をした経験もある流通アナリスト、渡辺広明さんは「外食チェーンの多くは、本社が直接運営する『直営店』なのに対し、コンビニの9割超はFC加盟店だということが大きい」と話します。コンビニの大半は、本部が直接経営しているわけではありません。本部が加盟店と契約を結び、店名を使用したり、独自開発した商品を販売したりする権利を店に与える仕組みです。本部は店の利益に応じ、対価として「ロイヤルティー」を得ています。

Q:なるほど。
A:「本部にとっては、商品が少しでも売れればお金が入るから、店はずっと開いていた方がいい。最大の問題になっている人手不足と人件費の高騰は、FC店が責任を負うもので、本部は直接関係ないんです」と渡辺さんは言います。直営店なら本部にじかに響く現場の苦境が、FCの仕組みでは届きにくい。それが対応の遅さの大きな要因になっているようです。

Q:そもそも24時間営業は今のニーズに合っているのでしょうか?
A:若者の消費動向に詳しいニッセイ基礎研究所の主任研究員、久我尚子さんは説明する。「若い世代を中心に、物を買いに行く場所が以前とは大きく変わってきています。足元でぐっと伸びているのは、インターネット通販。夜間に雑誌が読みたくなっても、地域によってはすぐ届けてくれるサービスもあるし、スマートフォンでいろいろな情報も読める。わざわざコンビニまで走る必要はなくなってきているのです」いつでもオープンしているだけではもはや、多くの人を引きつけられないのが現実です。

Q:では、コンビニには何が求められるのでしょう?
A:「夫婦共働きが当たり前になる中、増えているのは時短や代行に関わる消費です。例えば、家事代行や子供の習い事の送迎サービスなら、どんなにお金を出してもいいという人がたくさんいる。夜間に物を売ろうとするより、日中の時間をもっと工夫して、売り上げを伸ばすべきではないでしょうか」。最近、スポーツジムやコインランドリーを併設したコンビニも登場しています。洗濯ついでに買い物したり、のんびりお茶を飲んだりできるような、時短につながる取り組みが注目だという。

24時間営業を守るのではなく、
買い物に行きたくなる魅力をどう作れるかがコンビニの将来を左右しそうです。

Page TOP