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ON AIR BLOG / 2019.03.27 update


今日は毎日新聞 論説委員 平田崇浩さんに解説していただきました。今回のテーマは「殺人AI兵器」

Q:映画みたいな話ですが、国連で会議が行われているそうですね。
A:AI(人工知能)といえば、車の自動運転など、いろいろな分野で技術開発が進められている。軍事においてもアメリカやロシア、中国、イスラエルなどが競って開発しているのに対し、何もルールがないまま好き勝手につくってもいいのかということで、スイスのジュネーブに各国の専門家が集まり、25日から29日まで会議が開かれている。

Q:どのようなルールをつくろうとしているのですか。
A:AIを搭載した兵器が自分の判断だけで人間を殺傷することがないようにしようという大きな方向性は見えてきている。だが、中南米やアフリカの途上国が国際法上の拘束力を持つ規制を主張しているのに対し、技術開発で先行している米露が反対している。

Q:やはり軍事大国がイニシアチブを握っているという現状なんですね。
A:AI兵器を使えば、その分、戦場で死傷する自国の兵士を減らせる。裏返せば、兵士を死なせずに済むならやっちゃえと戦争を起こすハードルが下がる恐れがある。先進国と途上国の間には技術格差があるから、途上国の紛争地域に先進国が軍事介入した結果、AI兵器で殺傷されるのは途上国の兵士や民間人ばかりという悲劇が起こってしまうかもしれない。

Q:怖すぎます。。。。
A:AI兵器は火薬、核兵器に続く、戦争における「第3の革命」といわれている。火薬も核兵器も一度にたくさんの人を殺傷できる武器の開発競争を招き、実際にこれまで多くの人が犠牲になった。特に核兵器の破壊力には人類自らが恐怖し、保有国が増えるのを抑えようとしたが、北朝鮮のように核兵器を持とうとする国は後を絶たない。

Q:AI兵器を規制するなら今しかないということで議論されはじめたと。
A:いったん実用化されてしまうとなかなか後戻りできないことは、核兵器などの歴史が教えてくれている。手遅れになる前に規制の網をかけなければならない。

Q:日本はどういう主張をしているのですか。
A:日本は自衛隊の人手不足に悩んでいて、兵器のシステムをできるだけ自動化したいからAI兵器自体は必要という立場。一方で、殺人AI兵器の軍拡競争になって国際情勢が不安定になるのも困る。途上国が言うような法的拘束力はなくてもいいから、何らかの合意文書をまとめようと提案している。

Q:どっちつかずの感じですね。
A:悪く言えばそうかもしれないが、良く言えば同盟国アメリカと途上国の橋渡し役をしようとしている。完全にAIだけの判断で人を殺す「完全自律型」の兵器は米露もつくらないと言っている。でも、言葉だけでは信用できないので、まずは文書の形で残し、それを将来のルールづくりにつなげようというのが日本の主張だ。

Q:AIは自動運転や介護ロボットなど、21世紀の私たちの生活に大きな恩恵をもたらしてくれるものだと思っていました。
A:それが軍事に転用されれば、最も効率よく敵を探し、ためらうことなく攻撃する「殺人ロボット」を生む恐ろしい技術になる。

――AIが暴走して人類に戦争を仕掛ける映画「ターミネーター」や「マトリックス」は、それほど荒唐無稽な話ではないという気がしてきました。どんどん進歩していく科学技術を正しく扱える人間社会であってほしい。政治家だけに任せるのではなく、若い世代がみんなで考えなければいけない話ではないでしょうか。
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