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ON AIR BLOG / 2019.04.10 update


今日のお話は「コンビニの24時間営業」について。毎日新聞 編集編成担当補佐、前田浩智さんに解説していただきました。

Q:今日のお話は「コンビニの24時間営業」です。この、24時間営業が今、岐路に立たされているそうですね。
A:夜中に急に必要なものがでてきて、コンビニに走ったというような体験を持っている人も多いと思います。でも、もしかしたら、朝まで待たなければならない時代が来るのかもしれません。背景にあるのは「人手不足」です。

Q:アルバイトが集まらない、と聞いたことがあります。
A:24時間営業の問題が取り沙汰されるようになったのは、東大阪市のセブン−イレブンの加盟店のオーナーが、アルバイトが集まらないため、夜中の営業を取りやめたところ、セブン−イレブンから契約解除と1700万円の違約金を求められたことがきっかけでした。この東大阪のオーナーは、アルバイトが集まらない状況をカバーするため、8カ月間で3日しか休みを取れなかったそうです。

Q:過労死してもおかしくないような感じがします。
A:オーナーというのは個人事業主ですから、働く時間に規制がありません。でも、相当に深刻な状況です。

Q:スーパーや外食チェーンでは、24時間営業を見直す動きも出ていますよね。
A:コンビニは今、全国で5万6000店ほどあり、うち95%が24時間営業です。コンビニの1号店は1974年のセブン−イレブンです。70年代後半に24時間営業を始めてから、いつでも開いている利便性が支持を集め、出店が増えました。工場で作った弁当を深夜にトラックで店に運んで、朝のピーク時に売るといったビジネスモデルも確立されています。コンビニの各本部には、売り上げに応じて手数料が入る仕組みなので、夜中に1人でもお客さんが来るなら開けておいた方がいいという判断になるそうです。

Q:「開いててホッとする」と意見もあると思います。
A:コンビニは今、買い物だけではなくて、公共料金の支払いや宅配便の受け付け、災害時の支援拠点としての役割を担っています。夜に女性が助けて求めて駆け込む場所にもなっています。今や社会的なインフラとして開けておく必要があるというのは、ここまで私たちの生活に定着した状況を考えると、その通りだと思います。問題は、その大事な24時間営業が一部のオーナーの犠牲の上に成り立っていることです。

Q:限界がありますね。
A:24時間営業問題をめぐって混乱があったことも一つの要因になって、セブン−イレブンの社長が交代することになりました。世耕経済産業相も先週、大手コンビニのトップを経済産業省に呼んで、人手不足や加盟するオーナーの不満を減らすよう自主的に行動計画をつくるよう要請しました。対象にはもちろん、営業時間も含まれています。そもそも、働き方の見直しによって夜遅くまで働く人はどんどん減っているわけですから、すべての店がいつでも開いているという状況は変えざるを得ない時期に来ていると思います。

私たちも、冷蔵庫代わりにコンビニを使うような便利に慣れきった生活を見直す必要があるように思います。

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