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ON AIR BLOG / 2019.04.24 update

今日は「どうなる消費税」というテーマ。毎日新聞 論説委員 平田崇浩さんに解説していただきました。

Q:きょうのテーマは「どうなる消費税」。10月から税率が10%に引き上げられることが決まっていると思っていたのですが、そうではないのですか?
A:法律ではもう決まっている。だが、安倍総理の側近といわれる自民党幹部(萩生田光一幹事長代行)が6月の経済指標(日銀短観)の数字次第で増税を見送る可能性があると言った。

Q:安倍総理もそう考えているということですか?
A:よくわかりませんが、違うと思う。そもそも現実にそれは難しい。あと半年を切って、企業や商店は経理システムの改修を進めている。増税に合わせて実施されるポイント還元やプレミアム商品券の準備も進んでいる。政府は税収が増える分を幼児教育の無償化などに充てることにしていて、安倍政権は今年夏の参院選へ向け、目玉公約としてアピールしている。

Q:消費税は上がらない方がありがたいと思う人も多いのでは?
A:だれでもそう思う。国と地方の借金がGDP(国内総生産)の2倍、1000兆円を超えたと言われてもピンと来ない。ただ、超少子高齢化社会になって、自分の父母や祖父母の介護がいざ必要となったとき、国にも地方にもカネがないから家族で何とかしろと言われては困る。

Q:自分たちが年を取ったときのことも心配になります。
A:そうならないように政府や自治体の財政はある程度の柔軟性を保っておかないといけない。自分たちの世代はどうせ年金なんかまともにもらえないというようなあきらめの声をよく聞くが、年金だけでなく、介護・医療・福祉・教育等々、幅広い行政サービスがあって私たちの生活は成り立っている。将来世代に借金のツケを回すということは、自分が親や高齢者になったとき、子どもや孫の世代と一緒に安心して暮らすことができない日本になってしまうかもしれないということなのだと考えてほしい。

Q:安倍総理はこれまでも消費増税を延期したことがありますよね。
A:消費税率が5%から8%に引き上げられたのが2014年4月。その後、15年10月に10%に上げることになっていたが、いったん17年4月に延期され、それをさらに今年10月に延期した。景気を悪くしたくないという理由だったが、実は増税延期を発表した2回ともその直後に国政選挙があって自民党は大勝している。

Q:今年も参院選がありますね。
A:増税延期論を言った自民党幹部は、その場合は衆院解散・総選挙を行って国民に信を問うということも言っていて、衆参同日選もあるのではないかと野党は警戒を強めている。

Q:衆院選と参院選を一緒にする可能性があるのですか。
A:安倍政権の間に憲法改正を実現したいと思っている人たちには衆参同日選待望論がある。増税しないから選挙で勝たせてほしい、改憲させてほしいと言っているようなものだ。

Q:消費税の話が憲法改正と関係してくるのはおかしいと思います。国民の生活を守るためにどうしても増税が必要なのであれば、国民に丁寧に説明して理解を求めるのが政治家の仕事ではないでしょうか?

A:そう思う。安倍総理本人が言ったわけではない。ただ、そういうことを考えている人たちもいるということを頭に置いておくと、消費税について政治家が話す言葉の意味が単純ではないことがわかってくる。

――消費税を上げるかどうかが政局の駆け引きに使われるのもどうかと思います。私たちは消費税が何に使われるかも含めて、政治家や政党の主張をしっかり見極めていきたいですね。

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