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ON AIR BLOG / 2019.10.23 update
今日は、このコーナーのサイエンスニュース担当、
毎日新聞専門編集委員 青野由利さんに解説していただきした。



台風19号、前もって警戒はされていましたが、
河川氾濫による浸水被害によって、
大きな被害が出てしまいました。

被災地では、この瞬間も復旧に向けて作業が行われています。

そもそもの話になりますが、台風って当たり前に呼んでいますが、
その正体は、一体なんなんでしょうか?

A 台風の正体、意外と知らない人も多いと思いますが、
  熱帯の海上で発生する低気圧を「熱帯低気圧」とよび、
  これが発達して、最大風速が毎秒17mを超えた場合に、「台風」と呼びます。

Q 似たもので、ハリケーンや、サイクロンなどもありますよね?
  何が違うんでしょうか?

A 台風、ハリケーン、サイクロンは、いずれも「熱帯低気圧」ですが、
  主に「どこで発生したか」によって、呼び名が変わります。

  →「台風」は、北西太平洋や、南シナ海で発生したもの。

  →「ハリケーン」は、太平洋や大西洋上で発生する熱帯低気圧。

  →「サイクロン」は、インド洋や南太平洋で発生するもの。

  ちなみに、台風の大きさは強風域の半径、強さは最大風速で決まります。

Q いずれにせよ、熱帯地域で発生するものなんですね。
  これはなぜでしょうか?

A 熱帯の海は海面の水温が高いので、上昇気流が発生しやすくなります。
  この上昇気流によって、積乱雲が次々とできて、これが渦を作り、
  中心の気圧が下がって、熱帯低気圧になります。

Q この際だから、なぜなぜ期の子どものように、全部聴いちゃいます!
  なぜ、積乱雲は渦をまくんですか?

A LOVEちゃん、台風は反時計回りに渦を巻いているのに気づいていますか?

  これは、台風の中心に向かって吹く風が、地球の自転の影響を受けて曲がるからです。
  南半球だと、逆に時計回りに渦をまくことになりまいす。

Q 自転の影響!排水口の水が渦を巻くのと一緒ですね。
  ではなぜ、台風進路はいつも、日本列島沿いになるんでしょうか?

A それは、夏になると、太平洋高気圧のまわりをまわって日本に向かって北上するから。

Q おかげさまで、台風のしくみは、わかりました!
  では本題ですが、なぜ、今回、各地にこんな大雨をもたらしたんでしょう?

A 複数の要因があると思いますが、ひとつは、海水温が高かったために、
  水蒸気がたくさん供給されて、雨雲が発達したこと。

  もうひとつは、山沿いで、台風の湿った空気が山にあたって、
  大雨を降らせたことも原因とみられます。

Q 海水温が高かった事が原因のひとつとなると、嫌な予感がしますが、
  今後も規模は大きくなり続けるんでしょうか?

A 温暖化が進むと、海水温も高くなるので、
  今回のような台風がやってくる可能性は高まるでしょう。

  専門家によると、台風全体の数は増えないかもしれないが、
  台風の強さや、台風に伴う降水量は増加すると予測されています。

  
  今回は、ハザードマップの浸水域と、実際の浸水域が、
  かなり一致していたと言われています。
  今後、ハザードマップをもっと有効活用できるようにしておくことが
  大事になってきます。

―――ハザードマップを有効活用するためにも、
   「自分だけは大丈夫だ」という考えを捨て、
   自然災害は必ずいつか自分の身に起こることだと、
   自覚することが大切。
   避難場所や、避難する時に必要なものなども、
   改めてチェックしておきたいですね。
  
毎日新聞 青野さんありがとうございました。

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