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毎日新聞 PRESENTS NEWS CONNECTION。

ON AIR BLOG / 2019.12.18 update
毎日新聞 PRESENTS NEWS CONNECTION。

今日は、毎日新聞・論説委員 平田崇浩 さんと、お送りしました。

Q 今日は、このコーナーでも幾度となく取り上げてきた、投票率の低下について・・・
  7月の参議院選挙では48.80%と5割を切ってしまいましたね。

A 有権者の半分以上が投票を棄権したことになります。
  特に深刻なのは若い世代の投票率の低さです。
  総務省の調査で30代以下は3割台、特に20代は3割すれすれでした。

Q 18歳選挙権を導入したのは若い世代に
  政治参加の意識を持ってもらうためでしたよね。

A 選挙で投票できるようになる年齢が20歳から18歳に引き下げられて
  3年がたちました。
  初回となった2016年の参院選で18・19歳の投票率は5割近くあったのですが、
  2017年衆院選では4割、今年の参院選は3割ちょっとと急速に低下しています。

Q 中学校や高校の主権者教育に力を入れてきたのでは?

A そのはずなのですが、政治参加の意識は高まっていないようです。
  気になる調査結果があるので紹介します。
  埼玉大学がさいたま市内の市立高校4校の1〜3年生約3000人から
  アンケートをとったのですが、「投票は国民の権利だ」と考える生徒は4割ほどしか
  いませんでした。「義務」と答えた生徒が3割近くいたのも気になります。
  7月の参院選のときに18歳になっていた生徒のうち投票に行ったと答えたのは
  半数程度。選挙に関心はないけど、義務だと思って仕方なく投票に行った人も
  いるのでしょう。

Q 学校で「国民主権」について習っても、なかなか実感できないのだと思います。

A 日本は民主主義国家ですから、国家権力は国民が持っていて、
  選挙の投票を通じて国会議員に権力の行使を委ねているわけです。
  でも、そんなのは建前で、どうせ投票に行ったって何も変わらないのだと思えば、
  政治に関心は持てないでしょう。
  アンケートで「日本の政治を実際に動かしているのは誰だと思いますか」という質問に
  「国民一人一人」と答えたのは5人に1人程度しかいませんでした。
  半数ほどが政治家や官僚だと答え、マスコミと答えた人も8人に1人ほどいました。

Q 今の若い世代がこのまま年を取っていったら、
  投票率がますます下がってしまうのではないかと心配になります。

A アンケートで驚いたのは
  「自民党以外に知っている政党の名前をすべて挙げてください」という質問の
  回答結果でした。
  自民党と連立政権を組んでいる「公明党」を挙げた人が4割でトップ
  というのは理解できるのですが、2番目に多かったのがネットで話題になった
  「NHKから国民を守る党」で、立憲民主党や共産党を上回ったのです。
  今はもう存在しない「民主党」が5番目で、その流れをくむ国民民主党を挙げた生徒は
  ほとんどいませんでした。民主党政権の失敗というマイナスイメージが
  高校生の世代にも染みついていて、
  政党に対する期待や関心を失わせているのかもしれません。

Q 安倍政権になって投票率が下がっている理由としては、
  野党が弱いからというのも大きいのでしょうね。

A そう思います。ですが、投票率が下がれば下がるほど、自民党や公明党のような
  強い組織を持っている政党がさらに有利になるということは忘れないでほしい
  と思います。選挙権というのは投票を義務づけるものではありません。
  ただ、政党に対し、支持してくれる組織の身内やお友達以外の意見も聞かないと
  選挙で負けるかもしれないと思わせたいなら、投票しないより投票することです。

――「シルバー民主主義」という言葉があります。
  少子高齢化で高齢者の割合が増えたからといって、高齢者向けの政策ばかりになっては
  困るわけです。若い世代や子育て世代への支援を強化して社会全体の活力を
  アップさせていかないと。そのためには若い世代ができるだけ政治に関心を持って
  投票に行きましょう。




毎日新聞 平田さんありがとうございました。

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