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ON AIR BLOG / 2020.02.12 update
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「育児休業」にフォーカス。
小泉進次郎環境大臣が育児のために休暇をとったことをきっかけに、改めて注目を浴びた「育児休業」にフォーカス。毎日新聞 夕刊編集部の田村彰子さんに顔説していただきました!

Q:小泉進次郎環境大臣が育児のために休暇をとったことをきっかけに、改めて「育児休業」が注目されていますね。改めて制度を確認してもいいですか。
A:雇用保険に加入する会社員は、子どもが1歳になるまで休むことができます。休業中は賃金の67%(6カ月以降は50%)を受け取れます。国会議員や閣僚は、個人事業主と同様に本来は制度の枠外なんです。しかし、注目度の高い小泉さんがとった行動が、男性の育休のありかたに一石を投じたことは間違いなさそうです。

Q:結構手厚い制度なんですよね。
A:そうですね。男性向けの育休制度は、給付金や期間をみても先進国の中でも手厚いとされていますね。でも・・・

Q:取る人が少ないと。
A:ですね。厚生労働省によると、民間企業に勤める男性の取得率は18年10月現在で6%程度です。取得しても期間は5日未満が36%、1カ月未満が81%。まあ、すごく短いのが当たり前です。取得しない理由については、「会社の制度が整っていない」「職場が人手不足で休めない」「職場で取得できる雰囲気ではなかった」などです。

Q:配偶者や本人の意向ではなく、取りづらい職場環境を指摘する声が目立つわけですね。
A:実際、会社でもたまーに取っている人がいるなっていう感じですよね。こうした状況を受けてか、政府は来年度から、子どもが生まれたすべての男性国家公務員に1カ月以上の取得を促す制度を始めます。

Q:本腰を入れるわけですね。
A:そうですね、それは良いことですが、制度や取得は大事ですが、それだけで育児をめぐる課題が解決するかといえば、そうでもない。「とるだけ育休」って言葉、最近耳にしませんか?

Q:男性が、せっかく育休をとったはいいけどあまり妻の助けになっていないという話ですか?
A:そうです。きっかけは、スマートフォンで母親向けの情報発信をしている会社のネット調査です。子どもがいる女性約4000人を対象にした調査によると、夫が育休を取得したのは約500人。うち1日に育児・家事に費やした時間は、「2時間以下」が32%で、「2時間超〜3時間以下」も15%と、合計で半分近くを占めました。

Q:育児のために休んだのに、あまり多くないですよね・・・。
A:しかも、自由記述欄には、思わず「もしかしてうちのこと?」と思うような回答が並んでたようです。「だらだらしていて、結局家のことは私がやっていた」「4日しかない育休の日程を勝手に決め、そのうち何日かは遊びに使っていた」「今まで家事をほとんどしてきていないので、優先順位がつけられなかった」など、夫への不満ですね・・・。

Q:どうしていくのがよいでしょうか。
A:まずは、とれる環境をつくること、制度が充実して、とりやすい職場環境を整備していくことはもちろん大事ですね。取らないことには育児がどれだけ大変か分からないですから。

Q:言葉のやりとりができない子と1日中いて、事故がないのは当たり前でちゃんと育てないといけないんですもんね・・・。
A:しかも、出産直後の女性は身体的にも精神的にもとても大変です。出産後、2週間から1カ月ぐらいの間にうつ病を発症する人は国内で約10%に上るといわれています。

Q:そんなときに家事育児を全部やったら、それは疲れてしまいますよね。しかも、全くの初体験のことが続くわけでしょう。
A:なれないことをするのは、男女関係なく誰だって大変ですからね。昔の大家族なら、自分の兄弟とかいとことかをお世話した経験もあるかもしれませんが、今は違います。母親だって、ほとんどの人が育児初体験なわけです。お互い初体験なわけですから、家事や育児への向き合い方をもっと話し合っていくことが必要ですよね。

Q:育休の「質」と「量」両面から、充実させていくことが大事ですね。
A:家事・育児はずっと続くわけですから、育休という最初の「訓練期間」みたいな時間を有意義に使うといいですよね。その経験を政治家はもちろん「政策」に、会社は業績の向上などに生かしてほしいです。

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