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ON AIR BLOG / 2020.03.11 update
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コロナウイルスの影響で追悼式が中止されました。そんな新型コロナウイルス、現在の対策の効果は?この国家的な危機を乗り越えるために必要なことは?今日の担当は、毎日新聞 論説委員 平田崇浩さんに解説していただきました。

Q:感染者数は増え続けていますが、どうなのでしょう。
A:世界規模で感染が広がる中で、日本国内は「何とか持ちこたえている」というのが政府の見解です。政府が専門家の人たちを集めた会議が「1、2週間が瀬戸際」と言ったのは2月24日でした。それから2週間以上経ちましたが、専門家会議は「当面、感染者の増加傾向が続く。警戒を緩めるわけにはいかない」と言っています。つまり、まだどうなるか分からないということです。

Q:安倍首相が求めたイベントの自粛や学校の一斉休校は効果があったのでしょうか。
A:それもよく分かりません。専門家の人たちが言っているのは、屋内の密閉された空間でたくさんの人が至近距離で会話するような場所は避けるように、ということ。具体的にはライブハウスとかカラオケボックス、立食パーティーなどを例えに挙げています。では、学校もそんなに危険なのか。屋外で行われる野球やサッカーの試合まで延期したり、無観客で開いたりする必要があるのか。専門家の人たちはそこまでのことは言っていないのですが、安倍首相の政治決断で全国一律のイベント自粛と学校休校ということになりました。感染拡大を抑えるにはここが勝負だと判断されたのでしょう。

Q:突然、学校を休校にすると言われて、そこまでひどい状況なの?って不安になった人も多かったと思います。
A:新しい病気が流行するのは誰でも怖いと思いますし、政府の対応も手探りになるのは仕方ないでしょう。ただし、こういう場合に備えて法律やマニュアルをつくり、訓練をしておくのが危機管理です。2009年に新型インフルエンザが世界的に流行した後に法律が制定され、安倍政権も昨年11月に訓練したばかりでした。

Q:それは生かされたのでしょうか。
A:政府はなぜか新型コロナウイルスは対象にならないと言ってその法律を使わなかったのです。早い段階でその法律を使っていれば、今回のように日替わりで首相が新しい対策を発表して混乱する事態にはならなかったと思います。今になってその法律を改正して新型コロナウイルスにも使えるようにすると言い出したのもチグハグです。

Q 経済への影響が心配です。
A:経済の結びつきが強い日本、中国、韓国の間で人と物の行き来が止まってしまう影響は大きいでしょう。外出を自粛する動きが広がって国内の消費も冷え込んでいます。こんな状況がいつまで続くのか。新型コロナとの闘いは時間との闘いでもあります。

Q:今日は3月11日。東日本大震災からちょうど9年になります。
A:9年前、私たちは大津波と原発事故という未曾有の複合災害に襲われ、復興へむけた闘いはまだ続いています。残念ながら今年の追悼式は各地で中止になりましたが。

——東日本大震災からの復興を象徴するのが「きずな」という言葉だと思います。お互いに相手を思いやり、支え合うことでここまで復興できたのではないでしょうか。新型コロナ対策も同じだと思います。まずは一人一人が感染を広げないように手洗い、うがい、せきエチケットを心がけて、お年寄りや体の弱い人が困ることのないようにみんなで助け合う。日本だけじゃない、世界との「きずな」で乗り切っていきましょう。

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