cinema CONNECTION!
ON AIR BLOG / 2016.03.11 update

最新の話題映画をご紹介するコーナー「cinema CONNECTION」。このコーナーでは、毎週「映画のプロ」にご登場いただきその魅力について解説していただきます。今日解説していただいたのは、映画ライターの新谷里映さんです!ご紹介する映画は、来週3月18日より公開の「リリーのすべて」。
ポイント① 実話をもとにした“愛の物語”
主人公は、今から80年以上も前に、世界で初めて性別適合手術を受けたデンマーク人、リリー・エルベという人物です。リリーは、風景画家アイナーとして、肖像画家の妻ゲルダと共に充実した日々を送っていたのですが、ある日、妻に頼まれて女性モデルの代役をしたことをきっかけに、自分のなかに潜んでいた、女性の存在に気づいてしまうんです。心と体の性が一致せずに悩み、アイナーはリリーとして、女性として生きていくことを決めます。心と体の性が一致しないという題材は、過去にもいくつか作られていて遡ると、ヒラリー・スワンクの『ボーイズ・ドント・クライ』とか最近ですと『彼は秘密の女ともだち』とか。ただ、この『リリーのすべての』は、当事者のリリーの視点だけではなく、そのパートナーの苦悩も一緒に描いている、そこがドラマチックなんです。女性として生きたいという夫と、その夫を受け入れる妻。夫婦の絆よりももっと深い絆を描いている、愛の物語です。
ポイント② エディ・レッドメインの“美しさ”にびっくり!
リリーを演じるのはイギリスの俳優、エディ・レッドメイン。今週、来日していてニュースを見た方もいるかと思います。彼が日本で注目されるようになったのは『レ・ミゼラブル』(12)や『博士と彼女のセオリー』(15)、最近です。今年のアカデミー賞にもノミネートされ、2年連続オスカーを手にするかと、話題になりました。(残念ながらオスカーはレオのもとに…)。でも! すでに演技派として評価されているので、すごい俳優であることは間違いなく、この『リリーのすべて』のエディは、ものすごく美しいんです。髪形やメイク、衣装の力もありますが、映画の後半は、メイクや衣装がどんどんナチュラルになっていく、でも、女性らしさはどんどん増していく、ドキッとさせられます。この役を演じられるのは「エディしかいない!」と、トム・フーパー監督は、最初からエディをリリー役に挙げていたそうです。
ポイント③ アカデミー賞助演女優賞した注目女優“アリシア・ヴィキャンデル”
今年のアカデミー賞の助演女優賞に輝いたのが、夫を支える妻ゲルダを演じた、アリシア・ヴィキャンデルです。スウェーデンの女優さんです。まだ日本ではそれほど知られていませんが、去年「コードネームU.N.C.L.E.」という映画のヒロインとしても出演しているので、あの、ものすごく美人で可愛い女優は誰?と興味を持った人もいると思います。彼女、この『リリーのすべて』以降も『エクス・マキナ』という映画でAIロボットを演じていたり、マット・デイモン主演の『ボーン』シリーズの最新作『ジェイソン・ボーン』(10月)など、何作も待機作があるこれから彼女の名前を耳にする機会が多くなるので、ぜひ、この『リリーのすべて』でチェックして欲しいです。
女性は特に、妻ゲルダの目線でこの物語を観ると思うので、愛する人がもしも女性として生きたいと言ったら、自分だったらどうするのか……と考えてしまう。今現在、愛している人がいて、その人に置き換えて考えると、その人への自分の愛を試されるようでもあって、たしかに苦しさもありますが、こんなふうに人を愛したいなぁ、その人の愛を受け止めたいなぁと思う、愛とは何かを考えさせられる、美しいラブストーリーです。









