毎日コロナウィルスのニュースで持ち切りのロンドン。自国情報はもちろん、イタリアやヨーロッパ諸国での動向も常にチェック。地下鉄、バス、ストリート上でもマスク姿の人々が日に日に増えています。

前代未聞、世界レベルの非常事態。そんな時だからこそ、今回はロンドン一癒される美術展をご紹介！　テムズ河南岸のサウスバンクに位置するヘイワード・ギャラリーにて、先週オープンしたばかりの「Among the Trees」。木漏れ日に見え隠れする自然美でいっぱいの展覧会です。

木、木々、林、そして森。過去50年間に渡って、木々が魅せてくれたありとあらゆる美を網羅したエグジビション。38の主要作品を集めたコレクションは、木が人間の文明をどのように形作り、逆に我々は自然にどう試されているのかを問う展覧会となっています。

どの作品の前にも、木の美しさに心打たれる展覧ですが、特筆すべきはフィンランドのアーティストEija-Liisa Ahtilaによる「Horizontal」（写真左上）。緑の大木を6パートに分割し、横長の巨大スクリーンに水平に映し出し、ライブビデオと自然音のインスタレーションを交錯させた6分間の作品。一本の木とは、こんなにも生命力に満ち溢れ、誰もの涙腺を誘うほどに美しく煌びやかなものなのか。6分間の動く優美と自然音に導かれ、芳しい風と光の世界へと自分が一体化されて行く。そんなアート体験が可能な空間となっています。

「Among the Trees」展は5月17日まで開催中。ウィルスの猛威によって、人自体を信じられなくなりつつある日々。このアート展では、自然美にどっぷりと浸されると同時に、人類としての己の声に気づかせてくれる。そんな瞬間をも感じさせてくれる展覧会です。