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買う前に知ろう!家選びの新しい基準

買う前に知ろう!家選びの新しい基準

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今年4月以降に建てる新築住宅には、省エネ基準への適合が義務化されるのをご存じですか?
さらに、遅くとも2030年には、その省エネ基準の最低ラインが引上げられて、ZEH(ゼッチ)水準の省エネ住宅でないと建てられなくなります。

今回は、「買う前に知ろう!家選びの新しい基準」というテーマで学びました。

(※村上佳菜子さんが体調不良でお休みのため、代演のハシヤスメ・アツコさんとお送りしました)
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(杉浦)
アツコちゃんは、将来、家買いたいとか、マンション買いたいとか、ビジョンある?

(ハシヤスメ)
うーん…明確な目標はまだないですけど、どういう家に住みたいかっていう理想はあります! 服が、ほんとに結構量があるので、カバンとかも。散乱してるので、そういう洋服とかカバンがいっぱい置ける部屋を作りたいです。

(杉浦)
ウォークインクローゼット!

(ハシヤスメ)
というか、もう、服とカバンの部屋。鏡を一面に貼って、ファッション部屋、作りたいです。趣味の部屋を作りたいですね。

(杉浦)
俺の筋トレ部屋みたいな感じだな? 夢はこうやってどんどん広がるけど、じゃあさ、「省エネ住宅」とか考えたことない?

(ハシヤスメ)
んー。まあ、あると言えばあります。省エネ住宅だと、熱の出入りが少なくてエネルギーの消費量を抑えられるからお財布に優しくて魅力的、みたいな。ただ、初期費用がかかるイメージだから、結構、一般的には優先順位が低そうな感じがします。

(杉浦)
高いイメージもあるよね。ただ、これからお家選びをするんだったら、省エネは省エネでも、「ZEH(ゼッチ)水準の省エネ性能がある住宅」っていうのがお勧めなんだよね。

(ハシヤスメ)
ZEHっていうのはなんでしょうか?

(杉浦)
ZEHはですね、「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略なの。断熱性能の高い窓とか外壁、高効率な冷暖房機や給湯器などを導入することで省エネルギーに努めます。さらには、太陽光発電などによってエネルギーを自ら創り出すことで、電気やガスなどのエネルギーを使う量と、反対に創り出す量のバランスが1年間でプラスマイナスゼロ、実質ゼロになることを目指した住宅のこと。そして「ZEH水準」っていうのは、太陽光発電などエネルギーを創り出すことは求めないものの、家の高断熱化と高効率化はZEH基準を満たすことです。

(ハシヤスメ)
なるほど。住宅のエネルギー収支が実質ゼロにはならないけれど、ZEHに求められる高断熱・高効率の省エネ基準はクリアすることを「ZEH水準」と言うんですかね? それで、これから家選びするのなら、その「ZEH水準の住宅」がお勧めって、どうしてなんでしょうか?

(杉浦)
ここからは、今日の講師に教えていただきましょう! 国土交通省住宅局参事官付課長補佐の平山 鉄也さんです。

(ハシヤスメ)
早速、平山さん、お勧めの理由を教えてください。

(平山)
はい。実は「建築物省エネ法」が改正され、今年4月から施行されます。この改正によって、原則全ての新築住宅や建築物は、省エネ基準に適合することが義務付けられます。そしてさらに、遅くとも2030年には、その省エネ基準の最低ラインが引上げられて、ZEH水準の省エネ住宅でないと、建てられなくなります。

(杉浦)
つまりね、アツコちゃん。順を追って説明すると、まず今年の4月からは、最低でも今の省エネ基準に適合している省エネ住宅を建てる必要があるんです。これまでは、建築士さんが住宅を新築する施主に対して、省エネ性能の説明をすることが義務付けられてたんだけど、説明するだけでよかったのね。必ずしも省エネ住宅を建てなくてもよかったの。でも、今年4月からは、絶対に省エネ住宅でないと建てることができなくなるの!

(ハシヤスメ)
えー!そうなんですね。

(杉浦)
そして、仮に、今年、その省エネ基準の最低ラインをギリギリでクリアする省エネ住宅を建てたり、購入したとしても、5年後の2030年には省エネ基準が「ZEH水準」まで引上げられるのね。ということは、今の省エネ基準の最低ラインの省エネ住宅は、その時にはもう「時代遅れの家」になっちゃうんだよ。

(ハシヤスメ)
時代遅れの家!?ちょっとなんか、嫌ですね…びっくり、建てたのに。だって、家を購入するなんて、人生の中で1回2回、あるかないかというかたが大半じゃないですか。そして多くのかたが、10年20年、長く住むつもりで購入するのに、たった5年で時代遅れになるなんて、という感じです。

(杉浦)
ただし、これまでの住宅が住めなくなるというわけじゃないから、そこは誤解のないように。あくまで、これから建てる新築の住宅や建築物が対象ということね。ちなみに、これは戸建てだけではなくて、マンションなどの集合住宅にも当てはまるということです。

(ハシヤスメ)
でも、省エネ性能の高い家って、そうでない家と比べると割高だと思うから、家を購入する場合、ZEH水準の省エネ住宅を選ぶかどうかは個人の自由ですよね。だって、ファッションだって、古いデザインの服をいま着たって、おしゃれだったらいいじゃないですか。

(平山)
そうですね…。ただ、住宅の資産価値を考えると、これから家選びをするなら「ZEH水準の省エネ住宅」がお勧めなんです。住宅には耐震基準が設けられていますけれども、例えば、古い耐震基準の住宅だと、家が古いということだけじゃなくて、住宅ローン控除や補助金の優遇措置の対象外になるなど、次の購入者から敬遠されがちなため、資産価値がグッと落ちる可能性があります。これと同じように、古い省エネ基準の家も敬遠される可能性があるわけです。

(杉浦)
だから、これから新築の家を建てたり、購入したりする場合は、5年先を見据えて、「ZEH水準の省エネ住宅を選ぶ」、これが家選びの新しい基準になる、ということですね。

(ハシヤスメ)
どうして、このように法律が改正されたんですか?

(杉浦)
それは、ほら、よく話題にのぼる、「カーボンニュートラルを目指して」ですよね、平山さん。

(平山)
はい。地球温暖化対策として日本は2050年までに温室効果ガスの排出を国全体としてゼロにすることを国際社会に宣言し、それに向けて、2030年度は、温室効果ガスを2013年度比で46パーセント削減することを目指しています。そのためには、日本のエネルギー消費量のおよそ3割を占める住宅・建築分野の取組が必要不可欠なんです。

(ハシヤスメ)
こういう話ってよく聞いたりするんで、なんとなく頭では分かっているんですけれども、自分のこととして考えると、結構ハードル高いのかなって思います。あと、初期費用が必要なことでもあるじゃないですか。

(平山)
そういうかたが非常に多いと思いますが、ZEH水準の省エネ住宅の導入コストは以前ほど高額にならない傾向がありますし、補助や住宅ローン減税などの支援策も今なら手厚く用意されています。特に、ZEH水準の補助金は省エネ住宅が当たり前でない今だから出るもので、当たり前になったあとは、なくなってしまうかもしれません。

(ハシヤスメ)
そうなんですか?てことは、ZEH水準の省エネ住宅を建てるなら、「今がお得」ってことで合ってます?

(杉浦)
そう。それに、長い目で見れば、省エネ住宅は「経済的」かつ「健康的」で、メリットが多いんですよね。

(ハシヤスメ)
これから家を建てたり、購入したりするのであれば、「ZEH水準の省エネ住宅」がお勧めということで、ここでは「ZEH水準の省エネ住宅」のメリットについて具体的に教えてください。まずは経済面でのメリットなんですけれども、これはやはり、光熱費を抑えられるということですよね。

(平山)
はい。省エネ住宅は断熱性能が高く熱の出入りが少ないため、冬暖かく、夏涼しいのが特徴です。そのためZEH水準の省エネ住宅で節約できる年間の光熱費を算定すると、東京23区の場合、今の省エネ基準の住宅と比べて4万6,000円ほど安く抑えられます。

(ハシヤスメ)
えー、4万6,000円?! ありがたい。

(杉浦)
これ、年単位で考えたら、2年3年で10万円単位で変わってくるから。

(ハシヤスメ)
そうですよね。1年だけでも大きいのに、長い目で見ると、大分節約されますね。

(杉浦)
そして、今の省エネ住宅と比べてだから、一般の住宅、昔の住宅とかと比べたらもっとだよ。あとは、健康面のメリット。断熱性能が高い省エネ住宅は、「ヒートショック」や「高血圧症」の防止、「心臓病など循環器疾患」や「熱中症」の予防、さらに、住宅内での活動が活発になることが期待できて、住む人の健康づくりにつながるとされてるんですよね。

(平山)
はい。例えば、リフォームで断熱性を改善したら、寝起きの最高血圧が3.5も低下したというデータもあります。

(杉浦)
ところで、アツコちゃんの家の、冬の室温ってどれくらい?

(ハシヤスメ)
ちょっと設定してないし、見たこともない…。エアコン、冬つけないんですよ。なので、モコモコのパジャマにくるまったりとかしてるので。あんまり室温気にしたことないんですけど。

(杉浦)
ということは、アツコちゃんの家は、低いのか! 実は、WHO・世界保健機関が勧告している冬の室温は、18度以上!こどもや高齢者にはもっと暖かくするように強く勧めているんですよね、平山さん。

(平山)
はい。WHOでは世界の医学論文などを参考に「冬の室温18度以上」と、「住宅の断熱」を勧めています。国土交通省でもリフォームで高断熱住宅にした場合の健康への効果を調査したところ、WHOの勧告を裏付けるような結果を得ています。

(杉浦)
その結果というのが、いくつかあるんだけど、例えば、室温18度未満の住宅に住む人は、18度以上の住宅に住む人に比べて、心電図の異常所見のある人がおよそ1.9倍。総コレステロール値が基準範囲を超える人がおよそ2.6倍。入浴事故リスクが高いとされる42度以上の熱めのお湯に入る人がおよそ1.8倍。

(ハシヤスメ)
え、室温18度未満だと、こんないろんなリスクが高まってしまうんですね。

(杉浦)
家に住んでいるだけでだよ。ところが、在宅中の冬のリビングの平均室温を、青森・島根・宮崎を除く都道府県で調査したところ、18度以上あったのは、北海道、新潟、千葉、神奈川の僅か四つの道県のみ。温暖な地域ほど平均室温が低い傾向がみられたそうで、最も低いのが香川県のおよそ13.1度、続いて大分県の14.9度だったそうです。

(ハシヤスメ)
北海道など、もともと寒い地域は二重窓にするなど断熱性の高い住宅が多いですけれども、温暖な地域は、寒さに備える意識が少し低いのかもしれないですね。

(平山)
そうですね。ただ、近年は夏が非常に暑いですよね。断熱性の高い家は、冬の寒さや冷気だけでなくて、夏の暑さや熱気を室内に入れづらいので、熱中症の予防の面から考えても、断熱性能の高い住宅は温暖な地域であってもお勧めなんです。

(ハシヤスメ)
1年中暮らしやすい住環境にするためには、「ZEH水準の省エネ住宅」がお勧め! ということですね。

(平山)
今年4月から今の省エネ基準を満たす住宅しか建てられなくなり、遅くとも2030年には「ZEH水準の省エネ住宅」以上の省エネ性能でなければ建てられなくなります。これによって今後の家選びの基準が変わります。これから家を購入するかたは、住宅の省エネ性能について理解を深めてください。

(ハシヤスメ)
私が今日、注目したのは、「これから家選びするなら「ZEH水準の省エネ住宅」がオススメ!!」です。

(杉浦)
僕は、「今年の4月から 改正建築物省エネ法が施行されます。」と。もう時間ないからね。家を買うのは、人生で一番と言っていいほどの決断になりますから。


「 関連リンク 」
国土交通省「家選びの基準変わります」
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