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2025.03.02
あなたの学びを応援します!夜間中学
何らかの理由で十分な義務教育が受けられなかったかたで、もう一度、学び直したい!と思っていても、年齢や国籍で諦めていませんか?
是非、知って欲しい学び直しの場があります。
今回は、「あなたの学びを応援します! 夜間中学」というテーマで学びました。
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是非、知って欲しい学び直しの場があります。
今回は、「あなたの学びを応援します! 夜間中学」というテーマで学びました。
(杉浦)
佳菜子ちゃん、夜間中学って聞いたことある?
(村上)
「夜間中学」は聞いたことないです。でも、夜間学校って、高校とか大学は聞いたことあって、夜に通う学校ってことですよね。
(杉浦)
そう、主に夕方以降の時間帯に授業を行う中学校のことなんだけど、あんまり知られていないんだけどね、実は全国に合わせて53校あるんだって。過去には、「男はつらいよ」シリーズで知られる山田洋次監督の映画「学校」の舞台にもなってますね。今度の金曜日に公開される映画「35年目のラブレター」でも夜間中学が取り上げられているんだよね。出演しているのは笑福亭 鶴瓶さん、原田 知世さん、重岡 大毅さん、上白石 萌音さん。
(村上)
すごい豪華なメンバーですね。
(杉浦)
それで、鶴瓶さんが夜間中学に通う主人公らしいんだけど、その肝心の夜間中学って、具体的にどういう場所か気にならない?
(村上)
とっても気になります。鶴瓶さんくらいのご年齢のかたが通う場所ってこと?
(杉浦)
それが、10代から90代まで! 年齢・国籍を問わず、義務教育を十分に受けられなかった人で「中学校で学びたい」というかたが、通える中学校なんだって! ここからは、今日の講師に教えてもらいましょう。文部科学省教育制度改革室長 渡邉 浩人さんです。
(村上)
渡邉さん、夜間中学について、もう少し詳しく教えていただけますか?
(渡邉)
はい。夜間中学は、主に夕方以降に授業が行われる中学校のことを言います。夜間中学も昼間の中学校と同じ中学校で、公立の場合ですと、授業料は無償です。また、週5日間授業がありまして、教えるのは教員免許を持っている先生で、全ての課程を修了すれば中学校卒業となります。
(村上)
そうなんですね。時間帯が夕方以降なだけで、昼間の中学校と同じなんですね。主にどういったかたが通われているんですか?
(渡邉)
はい。生徒は義務教育の機会を十分に得られなかった方々です。そもそもなぜ夜間中学が設立されたのかと言いますと、その歴史は80年ほど前に遡ります。戦後の混乱期は生活が大変で、中学で学ぶ年齢であっても学校に通えないこどもがいました。
(杉浦)
僕ら世代なんかは、映画とかドラマの世界でしか知らないですけども、働かないと食べていけない子が多くいたんですよね。
(渡邉)
そうなんです。そのために、そうした子どもたちに義務教育を受ける機会を提供しようと設置されたのが夜間中学の始まりです。
(村上)
今はどのようなかたが通われているんですか?
(渡邉)
はい。幼少期に働かざるを得なくて、学校に通えなかった比較的高齢のかたがいる一方で、最近では、不登校などの様々な事情により十分に学校に通えないまま中学校を卒業したかたですとか、日本や本国で義務教育を修了していない外国籍のかたも多くいて、10代20代のかたも増えています。
(村上)
ちなみに、53校全体では何名くらいのかたが夜間中学に通っていますか?
(渡邉)
夜間中学の生徒の数は、2024年5月現在で全国で1,969人となっています。
(杉浦)
約2,000人ですね。この人数を聞いて多いと思うか、少ないと思うかはまちまちだと思いますが、2020年の国勢調査によりますと、小学校にも中学校にも在学したことのないかた、小学校を中途退学した人はおよそ9万人です。小学校しか卒業していない人もおよそ80万人いることが分かっているそうですね、渡邉さん。
(渡邉)
はい、その通りです。この数から想像しますと、夜間中学への入学を希望するかたは、全国にもっとたくさんいると思っています。また中学を卒業はしたけれど、不登校など何らかの理由で実質的に十分な教育を受けられなかったために、改めて中学で学び直したいと思っているかたもいらっしゃると思いますので、より多くのニーズがあると考えています。
(村上)
ニーズはありそうなのに、在校生は2,000人ほどなのはどうしてなんでしょうか?
(渡邉)
それは、夜間中学の存在があまり知られていないことも要因の一つだと思っています。
(杉浦)
こういうのって、身近に通っている人がいたり、近所に夜間中学がないと、知る機会がないんじゃないかな…。実際、今は全国に53校ですよね。設置されていない県もあるわけですよね。
(渡邉)
はい。確かに現時点で夜間中学がない県もありますが、国としては、全ての都道府県と指定都市に少なくとも一つ、夜間中学が設置されることを目指して、各自治体を支援しています。来年度や再来年度から新たに夜間中学を設置することを表明している自治体も多くあるという状況です。
(村上)
徐々に増えていっているんですね。じゃあ、もっと多くのかたに夜間中学のことを知ってもらわなくちゃですね。
(杉浦)
そうだよね。夜間中学は中学教育を学びたい人の学びの場であり、学び直しの場であるということだけど、ここで学べることって決して勉強だけじゃないんだって。年齢も国籍も違う色んな人とクラスメートになれることや、球技大会、文化祭、修学旅行といった様々なイベントを経験することで、学べることがいっぱいあるんだって!
(村上)
そうですよね。私もフィギュアスケートやってて、(学校に)通うのすごい大変だったんですけど、修学旅行は唯一、行けたんですよ! 当時は大変だったけど、今思えばすごくいい経験になってるので、ほんとにたくさん学べたなと思います。
(杉浦)
ということで、ここからは実際、夜間中学に通ったことのある方々の声などをご紹介していきます。
(村上)
渡邉さん、夜間中学では修学旅行や球技大会もあるということですが、一体どんな学校生活なんでしょうか?
(渡邉)
はい。一つの夜間中学の時間割の例をご紹介しますと、夕方5時以降に登校して、5時25分から5分間のホームルーム。1時間目は国語で、その後30分間は給食の時間です。
(村上)
給食もあるんだ!
(渡邉)
給食は、ある学校もあれば、ない学校もあるということです。そして、2時間目に英語、3時間目に家庭科、4時間目に数学。夜8時50分からはホームルームが10分あって、9時に下校といった流れです。
(村上)
平日の夜、4コマの授業をしっかりと受けるんですね。
(渡邉)
はい。しかも、夜間中学に通う生徒は、年齢や国籍だけでなく、生活経験や学力も一人ひとり異なっていますので、それぞれの生徒の状況に応じて授業が工夫されています。例えば、外国籍の生徒だと、中学校教育を受けるための日本語学習が必要なこともありまして、日本語指導を行う専門家や通訳の人と連携している学校もあります。
(杉浦)
夜間中学は基本的に生徒数が少なく、生徒の理解度に応じてきめ細かく指導をしてもらえたりもするんですよね。
(渡邉)
はい。そうした点は夜間中学の大きなメリットだと思っています。
(村上)
テストとか、通知表もあるんですか?(笑)
(渡邉)
そうですね、学校にもよるかと思います。先生や生徒自身にとってもテストとか通知表が習得度を測る指標にもなるかと思います。
(杉浦)
渡邉さんは、実際に夜間中学をご覧になったこともあると思いますけども、どんな印象を持たれてますか?
(渡邉)
はい。実際に授業を拝見させていただくと、生徒の皆さんが、とても熱心に学んでらっしゃるなと感じます。というのも、やはり皆さん、それぞれ事情があって、一度は学ぶ機会を逸してしまったということではあるんですが、皆さん自ら進んで中学校という場所で、もう一回、勉強してみたいという思いを持って来られているということがあると思っています。先生方は、そういった一人ひとりのニーズとか事情をしっかり酌み取って、丁寧に教えられていることを見ることができます。正に今、日本の学校教育の全体として、個別最適な学びとか、一人ひとりを主語にした学びを実現していこうという流れの中で、学ぶことの本質ということが非常に感じられる場所なんじゃないかなと思っています。
(杉浦)
なるほど。では、佳菜子ちゃん、今日はここで、実際に夜間中学に通っていたかたの声を少し紹介しますね。札幌市の星友館中学校に通っていた10代の男性、石渡(いしわた)さん。「僕は一時期、不登校になり、全然、中学校に通えていませんでした。でも、今の学力では高校に入るのも不安だと思い、高校以外に良いところはないかと探していたら、父が新聞で今の夜間中学を見つけてくれました。受入れ人数が少なく厳しいかなと思ったんですが、でもやってみる価値はあるかなと思って応募しました。入学してみたら、学びながら楽しく人と関わり合える、居心地の良い学校でした。正直、得たものはたくさんあって、特に友人。初めはみんな緊張していたので、自分から話しかけなくちゃと思い話しかけたところ、これまでの友人の数をはるかに上回る友達ができました。自分を変えたいという意欲が強くて、いろいろな代表や司会などもやって、自分に自信が持てるようになり始めてきました。不安に思っている人が多いと思いますが、自信を持って今の夜間中学を勧めます。」ということです。思いがこもってるよね。
(村上)
勉強だけじゃなくて、人間的な学びというか、人としての学びをすごく得て、自信を持って卒業されたんだな、経験されたんだなっていうのを、実際に通ってるかただからこそ伝えられるメッセージですよね!
(杉浦)
もう一つ、こんな例もご紹介しますね。京都府の洛友中学校に通っていた、当時18歳のネパール人のサルマさん。夜間中学に入学する前は日本語が分からなくて、心配だったそうなんです。ところが、そんな彼女が、先生の勧めもあって、給食の時間に校内放送を担当することになったそうです。初めは抵抗があったものの、同じネパールの友人と、一緒に放送をするうちに、課題だったコミュニケーション力が伸びていったそうなんです。彼女自身も、アナウンスをすることが楽しくなったそうで、今は夜間中学を卒業し、高校へ進学されたそうですけども、ゆくゆくは、日本で仕事がしたいと目標を立てているそうです。
(村上)
素晴らしいですね!! 先生も生徒のことをよく見ていて、彼女だったらと、校内放送を任せたんだなっていうのをこの文章からも感じます。先生と生徒が信頼し合っている、そんな温かい雰囲気が伝わってきますね。
(杉浦)
今日のお話を聞いて、みんな、いつからでも学び直せるんだ、と勇気づけられましたね。やっぱり、人生において「学ぶこと」に遅すぎることは無いんだと実感しました。
(渡邉)
はい。学びたいと思っても、どう行動して良いか分からないかたや、自分にも学ぶ権利があるという認識を持てなくて、ちゅうちょしているかたなど様々いらっしゃると思います。そういったかたに是非、学ぶ機会を届けたいと思っています。多くのかたに夜間中学のことをいろいろな場面で話題にしていただいて、夜間中学をもっと知ってもらいたいと思っています。
(村上)
実際、夜間中学に通ってみたいと思ったら、まずはどうすればいいんでしょうか?
(渡邉)
まず、文部科学省の夜間中学のホームページを是非、ご覧いただきたいと思います。夜間中学の一覧が出ていますので、最寄りの学校を見つけて、直接、学校や学校を設置する教育委員会に連絡して相談してください。夜間中学は学びたいという気持ちを持った方々を待っています。
(村上)
今日の話を聞いて私が特に注目したのは「みんながいつからでも学び直せる!」です。
(杉浦)
年代は関係ないよと。僕は「夜間中学、「学ぶこと」に遅すぎることはないんだ!!」です。
「 関連リンク 」
・政府広報オンライン「夜間中学を知っていますか?」
・文部科学省「夜間中学の設置促進・充実について」
佳菜子ちゃん、夜間中学って聞いたことある?
(村上)
「夜間中学」は聞いたことないです。でも、夜間学校って、高校とか大学は聞いたことあって、夜に通う学校ってことですよね。
(杉浦)
そう、主に夕方以降の時間帯に授業を行う中学校のことなんだけど、あんまり知られていないんだけどね、実は全国に合わせて53校あるんだって。過去には、「男はつらいよ」シリーズで知られる山田洋次監督の映画「学校」の舞台にもなってますね。今度の金曜日に公開される映画「35年目のラブレター」でも夜間中学が取り上げられているんだよね。出演しているのは笑福亭 鶴瓶さん、原田 知世さん、重岡 大毅さん、上白石 萌音さん。
(村上)
すごい豪華なメンバーですね。
(杉浦)
それで、鶴瓶さんが夜間中学に通う主人公らしいんだけど、その肝心の夜間中学って、具体的にどういう場所か気にならない?
(村上)
とっても気になります。鶴瓶さんくらいのご年齢のかたが通う場所ってこと?
(杉浦)
それが、10代から90代まで! 年齢・国籍を問わず、義務教育を十分に受けられなかった人で「中学校で学びたい」というかたが、通える中学校なんだって! ここからは、今日の講師に教えてもらいましょう。文部科学省教育制度改革室長 渡邉 浩人さんです。
(村上)
渡邉さん、夜間中学について、もう少し詳しく教えていただけますか?
(渡邉)
はい。夜間中学は、主に夕方以降に授業が行われる中学校のことを言います。夜間中学も昼間の中学校と同じ中学校で、公立の場合ですと、授業料は無償です。また、週5日間授業がありまして、教えるのは教員免許を持っている先生で、全ての課程を修了すれば中学校卒業となります。
(村上)
そうなんですね。時間帯が夕方以降なだけで、昼間の中学校と同じなんですね。主にどういったかたが通われているんですか?
(渡邉)
はい。生徒は義務教育の機会を十分に得られなかった方々です。そもそもなぜ夜間中学が設立されたのかと言いますと、その歴史は80年ほど前に遡ります。戦後の混乱期は生活が大変で、中学で学ぶ年齢であっても学校に通えないこどもがいました。
(杉浦)
僕ら世代なんかは、映画とかドラマの世界でしか知らないですけども、働かないと食べていけない子が多くいたんですよね。
(渡邉)
そうなんです。そのために、そうした子どもたちに義務教育を受ける機会を提供しようと設置されたのが夜間中学の始まりです。
(村上)
今はどのようなかたが通われているんですか?
(渡邉)
はい。幼少期に働かざるを得なくて、学校に通えなかった比較的高齢のかたがいる一方で、最近では、不登校などの様々な事情により十分に学校に通えないまま中学校を卒業したかたですとか、日本や本国で義務教育を修了していない外国籍のかたも多くいて、10代20代のかたも増えています。
(村上)
ちなみに、53校全体では何名くらいのかたが夜間中学に通っていますか?
(渡邉)
夜間中学の生徒の数は、2024年5月現在で全国で1,969人となっています。
(杉浦)
約2,000人ですね。この人数を聞いて多いと思うか、少ないと思うかはまちまちだと思いますが、2020年の国勢調査によりますと、小学校にも中学校にも在学したことのないかた、小学校を中途退学した人はおよそ9万人です。小学校しか卒業していない人もおよそ80万人いることが分かっているそうですね、渡邉さん。
(渡邉)
はい、その通りです。この数から想像しますと、夜間中学への入学を希望するかたは、全国にもっとたくさんいると思っています。また中学を卒業はしたけれど、不登校など何らかの理由で実質的に十分な教育を受けられなかったために、改めて中学で学び直したいと思っているかたもいらっしゃると思いますので、より多くのニーズがあると考えています。
(村上)
ニーズはありそうなのに、在校生は2,000人ほどなのはどうしてなんでしょうか?
(渡邉)
それは、夜間中学の存在があまり知られていないことも要因の一つだと思っています。
(杉浦)
こういうのって、身近に通っている人がいたり、近所に夜間中学がないと、知る機会がないんじゃないかな…。実際、今は全国に53校ですよね。設置されていない県もあるわけですよね。
(渡邉)
はい。確かに現時点で夜間中学がない県もありますが、国としては、全ての都道府県と指定都市に少なくとも一つ、夜間中学が設置されることを目指して、各自治体を支援しています。来年度や再来年度から新たに夜間中学を設置することを表明している自治体も多くあるという状況です。
(村上)
徐々に増えていっているんですね。じゃあ、もっと多くのかたに夜間中学のことを知ってもらわなくちゃですね。
(杉浦)
そうだよね。夜間中学は中学教育を学びたい人の学びの場であり、学び直しの場であるということだけど、ここで学べることって決して勉強だけじゃないんだって。年齢も国籍も違う色んな人とクラスメートになれることや、球技大会、文化祭、修学旅行といった様々なイベントを経験することで、学べることがいっぱいあるんだって!
(村上)
そうですよね。私もフィギュアスケートやってて、(学校に)通うのすごい大変だったんですけど、修学旅行は唯一、行けたんですよ! 当時は大変だったけど、今思えばすごくいい経験になってるので、ほんとにたくさん学べたなと思います。
(杉浦)
ということで、ここからは実際、夜間中学に通ったことのある方々の声などをご紹介していきます。
(村上)
渡邉さん、夜間中学では修学旅行や球技大会もあるということですが、一体どんな学校生活なんでしょうか?
(渡邉)
はい。一つの夜間中学の時間割の例をご紹介しますと、夕方5時以降に登校して、5時25分から5分間のホームルーム。1時間目は国語で、その後30分間は給食の時間です。
(村上)
給食もあるんだ!
(渡邉)
給食は、ある学校もあれば、ない学校もあるということです。そして、2時間目に英語、3時間目に家庭科、4時間目に数学。夜8時50分からはホームルームが10分あって、9時に下校といった流れです。
(村上)
平日の夜、4コマの授業をしっかりと受けるんですね。
(渡邉)
はい。しかも、夜間中学に通う生徒は、年齢や国籍だけでなく、生活経験や学力も一人ひとり異なっていますので、それぞれの生徒の状況に応じて授業が工夫されています。例えば、外国籍の生徒だと、中学校教育を受けるための日本語学習が必要なこともありまして、日本語指導を行う専門家や通訳の人と連携している学校もあります。
(杉浦)
夜間中学は基本的に生徒数が少なく、生徒の理解度に応じてきめ細かく指導をしてもらえたりもするんですよね。
(渡邉)
はい。そうした点は夜間中学の大きなメリットだと思っています。
(村上)
テストとか、通知表もあるんですか?(笑)
(渡邉)
そうですね、学校にもよるかと思います。先生や生徒自身にとってもテストとか通知表が習得度を測る指標にもなるかと思います。
(杉浦)
渡邉さんは、実際に夜間中学をご覧になったこともあると思いますけども、どんな印象を持たれてますか?
(渡邉)
はい。実際に授業を拝見させていただくと、生徒の皆さんが、とても熱心に学んでらっしゃるなと感じます。というのも、やはり皆さん、それぞれ事情があって、一度は学ぶ機会を逸してしまったということではあるんですが、皆さん自ら進んで中学校という場所で、もう一回、勉強してみたいという思いを持って来られているということがあると思っています。先生方は、そういった一人ひとりのニーズとか事情をしっかり酌み取って、丁寧に教えられていることを見ることができます。正に今、日本の学校教育の全体として、個別最適な学びとか、一人ひとりを主語にした学びを実現していこうという流れの中で、学ぶことの本質ということが非常に感じられる場所なんじゃないかなと思っています。
(杉浦)
なるほど。では、佳菜子ちゃん、今日はここで、実際に夜間中学に通っていたかたの声を少し紹介しますね。札幌市の星友館中学校に通っていた10代の男性、石渡(いしわた)さん。「僕は一時期、不登校になり、全然、中学校に通えていませんでした。でも、今の学力では高校に入るのも不安だと思い、高校以外に良いところはないかと探していたら、父が新聞で今の夜間中学を見つけてくれました。受入れ人数が少なく厳しいかなと思ったんですが、でもやってみる価値はあるかなと思って応募しました。入学してみたら、学びながら楽しく人と関わり合える、居心地の良い学校でした。正直、得たものはたくさんあって、特に友人。初めはみんな緊張していたので、自分から話しかけなくちゃと思い話しかけたところ、これまでの友人の数をはるかに上回る友達ができました。自分を変えたいという意欲が強くて、いろいろな代表や司会などもやって、自分に自信が持てるようになり始めてきました。不安に思っている人が多いと思いますが、自信を持って今の夜間中学を勧めます。」ということです。思いがこもってるよね。
(村上)
勉強だけじゃなくて、人間的な学びというか、人としての学びをすごく得て、自信を持って卒業されたんだな、経験されたんだなっていうのを、実際に通ってるかただからこそ伝えられるメッセージですよね!
(杉浦)
もう一つ、こんな例もご紹介しますね。京都府の洛友中学校に通っていた、当時18歳のネパール人のサルマさん。夜間中学に入学する前は日本語が分からなくて、心配だったそうなんです。ところが、そんな彼女が、先生の勧めもあって、給食の時間に校内放送を担当することになったそうです。初めは抵抗があったものの、同じネパールの友人と、一緒に放送をするうちに、課題だったコミュニケーション力が伸びていったそうなんです。彼女自身も、アナウンスをすることが楽しくなったそうで、今は夜間中学を卒業し、高校へ進学されたそうですけども、ゆくゆくは、日本で仕事がしたいと目標を立てているそうです。
(村上)
素晴らしいですね!! 先生も生徒のことをよく見ていて、彼女だったらと、校内放送を任せたんだなっていうのをこの文章からも感じます。先生と生徒が信頼し合っている、そんな温かい雰囲気が伝わってきますね。
(杉浦)
今日のお話を聞いて、みんな、いつからでも学び直せるんだ、と勇気づけられましたね。やっぱり、人生において「学ぶこと」に遅すぎることは無いんだと実感しました。
(渡邉)
はい。学びたいと思っても、どう行動して良いか分からないかたや、自分にも学ぶ権利があるという認識を持てなくて、ちゅうちょしているかたなど様々いらっしゃると思います。そういったかたに是非、学ぶ機会を届けたいと思っています。多くのかたに夜間中学のことをいろいろな場面で話題にしていただいて、夜間中学をもっと知ってもらいたいと思っています。
(村上)
実際、夜間中学に通ってみたいと思ったら、まずはどうすればいいんでしょうか?
(渡邉)
まず、文部科学省の夜間中学のホームページを是非、ご覧いただきたいと思います。夜間中学の一覧が出ていますので、最寄りの学校を見つけて、直接、学校や学校を設置する教育委員会に連絡して相談してください。夜間中学は学びたいという気持ちを持った方々を待っています。
(村上)
今日の話を聞いて私が特に注目したのは「みんながいつからでも学び直せる!」です。
(杉浦)
年代は関係ないよと。僕は「夜間中学、「学ぶこと」に遅すぎることはないんだ!!」です。
「 関連リンク 」
・政府広報オンライン「夜間中学を知っていますか?」
・文部科学省「夜間中学の設置促進・充実について」