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2025.04.27
食べちゃダメ! 有毒植物にご用心
誤って食べると食中毒など、さまざまな症状を起こす有毒植物。
しかし、その見た目は、山菜や野菜とそっくり。似ているから大丈夫といった思い込みや、誤った判断は禁物です!
今回は、「食べちゃダメ! 有毒植物にご用心」というテーマで学びました。
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しかし、その見た目は、山菜や野菜とそっくり。似ているから大丈夫といった思い込みや、誤った判断は禁物です!
今回は、「食べちゃダメ! 有毒植物にご用心」というテーマで学びました。
(杉浦)
僕たちの身の回りにある植物の中には毒を持つものがあります。佳菜子ちゃん、どんなもの思いつく?
(村上)
んー… キノコ以外だったら、ジャガイモ。ジャガイモの芽、取らなきゃいけないって言いますもんね。
(杉浦)
ソラニンがあるからね。学校で習うしね。
(村上)
あとは、やっぱり毒キノコ。太陽さんはきのこマイスターの資格を持ってますから、詳しいですよね?
(杉浦)
確かにね。キノコの中には毒を持つものも結構あるから。でも、キノコは生物学的には植物じゃないんだよ、菌類なの。植物と菌類の違いを正しく説明すると長くなっちゃうんでざっくり説明すると、植物は光合成によって自ら栄養を作り出すのね、対して菌類は光合成能力を持ってないのよ。主に動植物の死骸を分解することで栄養を得て、胞子によって増える生き物。
(村上)
へー! でも、スーパーとかだと、キノコも野菜も同じエリアにあるじゃないですか。だからキノコも植物だって、勝手に思い込んでました。
(杉浦)
確かに。でも、その「思い込み」「勘違い」というのが今日のテーマのポイントですねー。
(村上)
どういうことでしょうか?
(杉浦)
キノコに毒があるっていうことは多くのかたが知ってるけど。キノコ狩りをする時はものすごく注意深く選別して、「食べても大丈夫」と分かっているキノコだけを食べるように気を付けているかたが大半じゃない。
(村上)
そうですね。多くのかたは気を付けてますよね。
(杉浦)
でも実は、身の回りに生えている野生の植物とか園芸用の植物の中にも毒を持ってるものがあるんだけど、まだまだ知られていないんだよね。しかも、有毒植物には山菜や野菜と見た目がそっくりなものがありまして、「思い込み」「勘違い」から誤って食べちゃって、食中毒になる人が多いみたいですね。特に春から夏にかけては山菜採りのシーズンだからさ。有毒植物による食中毒が多く発生しているそうです。ここからは今日の講師、厚生労働省の食品監視安全課 犬飼 真秀(いぬかい まほ)さんに教えていただきましょう。
(村上)
犬飼さん、毒を持つ植物による食中毒が多いということなんですけど、実際にはどれくらい発生しているんですか?
(犬飼)
はい。昨年2024年は22件の食中毒が報告されていて、患者数は45名です。特に春の発生が多く4月にはこの5年間で35件も発生しています。
(杉浦)
しかも、昨年は亡くなったかたもいらっしゃるんですよね。
(犬飼)
はい。有毒植物の「イヌサフラン」を食べたと思われる2名が死亡しています。実はこの「イヌサフラン」という有毒植物は、山菜の「ギョウジャニンニク」にとてもよく似てるんですよ。
(杉浦)
佳菜子ちゃん。ここに「ギョウジャニンニク」と「イヌサフラン」の写真があるんだけど、見てみて。
(村上)
ほぼ一緒じゃないですか? 見分け付かないです。
(犬飼)
イヌサフランは秋になるとかわいい花を咲かせる植物で、観賞用としてお庭に植えるかたもいらっしゃいます。しかし、春の間は地中からギョウジャニンニクにそっくりな葉を出すだけなので、自分で植えた記憶がなくても、ギョウジャニンニクと勘違いして食べてしまうケースがあるんです。
(杉浦)
しかもイヌサフランは葉っぱだけではなくて、球根もジャガイモやタマネギにちょっと似てるんだよ。それで食べちゃって、食中毒になってしまうパターンもあるから。
(犬飼)
そうなんです。実はイヌサフランによる死亡者は過去10年間で14名にも上り、有毒植物による死亡者数の中で最も多いんです。
(村上)
そんなにたくさんのかたがいらっしゃるんですね。イヌサフランを食べてしまうと、どんな症状出るんですか?
(犬飼)
葉や球根を食べると吐き気、嘔吐、腹痛、下痢の症状が現れ、重症になると臓器障害を起こします。
(村上)
かなり苦しい症状ですよね。
(犬飼)
はい。「勘違い」「思い違い」は誰にでも起こり得るものです。ですから危険を回避するためには、観賞用の花壇と家庭菜園とは別に作り一緒に植えないことです。観賞用のイヌサフランは、家庭菜園や畑の近くには絶対に植えないようにしてください。
(杉浦)
観賞用の植物と食用の植物は場所をしっかりと分けて、名札を立てるといいかもしれないですよね。
(村上)
他にもたくさんありそうなんですけど、間違えやすい有毒植物ってどんなものがありますか?
(犬飼)
スイセンによる食中毒が、特に春のこの時期に多いです。過去10年間の発生件数は73件、患者数は226名、死亡者数は1名です。
(村上)
お庭とか公園でよく見かける、あのスイセンですよね?
(犬飼)
そうです。観賞用の植物なのですがその葉はニラにそっくりで、近年3月から5月頃に、葉をニラと間違えて食べて食中毒になるケースがあります。実は今年の1月もニラと間違えた食中毒が発生しています。スイセンを食べると30分以内に吐き気や嘔吐、下痢、頭痛などの症状を起こします。また、植物の汁が皮膚に触れるだけで接触性皮膚炎を起こします。
(村上)
えー、食べるだけじゃなくて皮膚に付いただけでも。スイセンってそんな毒があるなんて、知らないかた多そうですね。
(杉浦)
キレイなお花のイメージありますけどね。あと野生のニラも結構生えてるのよ。それで山菜採りのかたがニラと思って採って、というパターンもね…。ここでスイセンとニラの写真見てもらえる?
(村上)
ほぼ一緒ですね。えー! でもスイセンには球根があって、ニラには球根がないんですね。根っこまで見ると違い分かりますけど、球根は埋まってるから地上から見ると分かんないですもんね。
(杉浦)
葉っぱだけ採ったら分かんない。
(村上)
間違えちゃいそう。これは。
(犬飼)
実はスイセンの場合、球根をタマネギと間違えることもあるようです。
(村上)
そうなんだ。球根も間違えちゃうんですね! 最近「ミニタマネギ」とか「ペコロス」と呼ばれる小さいタマネギとかもあるから、間違えちゃったりするのかなぁ。
(杉浦)
自然界にはトラップがいっぱいあるってことで、後半も間違えやすい有毒植物を学んでいきましょう。
(村上)
犬飼さん、私たちが「勘違い」や「思い込み」から間違えて食べてしまいやすい有毒植物ですが、「イヌサフラン」や「スイセン」以外にはどんなものがありますか?
(犬飼)
はい。過去に数名、死亡者が出ているのが「トリカブト」です。トリカブトに毒があることは多くのかたに知られていますが、その若葉が「ニリンソウ」に似ているということは、あまり知られていません。ニリンソウは春の野山でよく見られる、とってもポピュラーな山菜で、おひたしや天ぷらにして食べるかたが多くいます。そのためニリンソウとトリカブトを間違え、食中毒や死亡事件が発生しているんです。
(杉浦)
怖いね。例えば2005年4月下旬、20代から70代の男女6人がニリンソウと間違えてトリカブトを食べ、70代の男性が死亡。2012年4月には、採ってきたトリカブトをおひたしにして食べて、70代以上と40代の男性2人が死亡しております。
(犬飼)
トリカブトを誤って食べると30分以内に唇や舌がしびれを感じ、次第に手足にも広がり、重症になると呼吸不全を起こしてしまいます。
(杉浦)
ここにトリカブトとニリンソウの写真があるんですけど、見てみる?
(村上)
えっ! 一緒じゃないですか。
(杉浦)
ほぼ一緒だよね。「科」が一緒なんだって。だから葉っぱの形がほぼ一緒。
(犬飼)
そうなんです。トリカブトもニリンソウも同じキンポウゲ科で、同じ所に生えていることもあるので気を付けてください。
(村上)
今見てる写真も同じところに生えてる。ほんとに同じ植物くらいの感じで近くに生えてるんですね。これは見分けるの難しいですね。
(杉浦)
山菜採りでは「フキノトウ」を採る時も気を付けたほうがいいんだって。
(犬飼)
はい。フキノトウは、つぼみを天ぷらにして食べることが多いと思うんですが、そのつぼみによく似ているのは「ハシリドコロ」という有毒植物の新芽です。ハシリドコロという植物は、知らないかたが多いと思いますので、今日はフキノトウのつぼみに似ている有毒植物があることを覚えて、山菜採りをする時は気を付けていただければと思います。
(杉浦)
今日はご紹介しきれなかったんですけども、「チョウセンアサガオ」とか「キダチチョウセンアサガオ」の根っこをゴボウと間違えたり、「グロリオサ」っていう園芸植物があるんだけど、その根っこを「ヤマイモ」と間違えて食中毒や死亡者が出ているケースもあるので、葉っぱだけでなく根っこの部分でも誤食による事故が発生していることも、覚えてもらいたいですね。
(村上)
有毒な植物を間違えて食べないようにするために、どんなことに注意したらいいでしょうか?
(犬飼)
はい。「まちがいなく食用だと判断できない植物は「採らない!食べない!売らない!人にあげない!」」このことを徹底してください。
(杉浦)
庭や家庭菜園で、植えた覚えのない植物を見かけたら絶対に食べちゃダメですよね。「有毒植物かも」と疑う気持ちを常に持っていてほしいですね。
(犬飼)
はい。また観賞用の植物の中には有毒なものもありますから、野菜などの食用と同じ場所で一緒に栽培しないでください。観賞用の植物は畑や菜園から離れた場所で栽培し、何を栽培しているのかすぐ分かるように、植物の種類や名前を書いた札を立てることをお勧めします。また庭や畑に植物を植えたら、家族にもその名前など伝えておきましょう。家族が誤って食べることを防ぐために有効です。
(村上)
山菜も有毒植物が混じっているかもしれないと思って、一つずつ確認しないといけないですね。
(犬飼)
はい。確認は調理する前も行ってください。そして、もしもの時のために植物の写真を撮っておいてください。万が一食中毒になった時に、原因を特定しやすくなり治療に役立つ場合もあります。
(村上)
写真って聞いて思ったんですけど、最近って写真を撮って画像検索したりとか、スマホのカメラ機能で植物を写すと、名前を教えてくれるアプリとかあるじゃないですか? そういったものを活用すれば、こういう誤食って防げたりするんですか?
(犬飼)
実はこれはキノコの事例なんですが、公園に生えているキノコを画像検索機能を用いて調べたにもかかわらず、食中毒が発生した事例があります。
(杉浦)
僕もキノコ採りで何回かやったんだけど、3回撮って3回とも違うキノコの名前が出てきたから。まだまだ追いついてないからね。
(犬飼)
ですから画像検索はもちろん、図鑑の写真や絵と見比べて判断するのは危険です。
(村上)
確実に食べられる植物であると判断できないものは、「採らない!食べない!売らない!人にあげない!」を徹底するしかないんですね。
(犬飼)
はい。もしも、いつもと香りが違う、強い苦みやえぐみなど味がおかしいと感じた時は、すぐに食べるのをやめ、具合が悪くなった時はすぐに医師の診察を受けてください。毎年、春から夏にかけて有毒植物による食中毒が多く発生しています。家庭菜園や山菜採りを楽しまれるかたは、有毒植物を間違えて食べないように十分に注意してください。
(杉浦)
今日の話を聞いて特に注目したこと、今回は佳菜子ちゃんとの合わせ技でいきましょう! 「まちがいなく食用だと判断できない植物は」…
(村上)
「採らない!食べない!売らない!人にあげない!」
(杉浦)
間違いない!
「 関連リンク 」
・厚生労働省「有毒植物による食中毒に注意しましょう」
僕たちの身の回りにある植物の中には毒を持つものがあります。佳菜子ちゃん、どんなもの思いつく?
(村上)
んー… キノコ以外だったら、ジャガイモ。ジャガイモの芽、取らなきゃいけないって言いますもんね。
(杉浦)
ソラニンがあるからね。学校で習うしね。
(村上)
あとは、やっぱり毒キノコ。太陽さんはきのこマイスターの資格を持ってますから、詳しいですよね?
(杉浦)
確かにね。キノコの中には毒を持つものも結構あるから。でも、キノコは生物学的には植物じゃないんだよ、菌類なの。植物と菌類の違いを正しく説明すると長くなっちゃうんでざっくり説明すると、植物は光合成によって自ら栄養を作り出すのね、対して菌類は光合成能力を持ってないのよ。主に動植物の死骸を分解することで栄養を得て、胞子によって増える生き物。
(村上)
へー! でも、スーパーとかだと、キノコも野菜も同じエリアにあるじゃないですか。だからキノコも植物だって、勝手に思い込んでました。
(杉浦)
確かに。でも、その「思い込み」「勘違い」というのが今日のテーマのポイントですねー。
(村上)
どういうことでしょうか?
(杉浦)
キノコに毒があるっていうことは多くのかたが知ってるけど。キノコ狩りをする時はものすごく注意深く選別して、「食べても大丈夫」と分かっているキノコだけを食べるように気を付けているかたが大半じゃない。
(村上)
そうですね。多くのかたは気を付けてますよね。
(杉浦)
でも実は、身の回りに生えている野生の植物とか園芸用の植物の中にも毒を持ってるものがあるんだけど、まだまだ知られていないんだよね。しかも、有毒植物には山菜や野菜と見た目がそっくりなものがありまして、「思い込み」「勘違い」から誤って食べちゃって、食中毒になる人が多いみたいですね。特に春から夏にかけては山菜採りのシーズンだからさ。有毒植物による食中毒が多く発生しているそうです。ここからは今日の講師、厚生労働省の食品監視安全課 犬飼 真秀(いぬかい まほ)さんに教えていただきましょう。
(村上)
犬飼さん、毒を持つ植物による食中毒が多いということなんですけど、実際にはどれくらい発生しているんですか?
(犬飼)
はい。昨年2024年は22件の食中毒が報告されていて、患者数は45名です。特に春の発生が多く4月にはこの5年間で35件も発生しています。
(杉浦)
しかも、昨年は亡くなったかたもいらっしゃるんですよね。
(犬飼)
はい。有毒植物の「イヌサフラン」を食べたと思われる2名が死亡しています。実はこの「イヌサフラン」という有毒植物は、山菜の「ギョウジャニンニク」にとてもよく似てるんですよ。
(杉浦)
佳菜子ちゃん。ここに「ギョウジャニンニク」と「イヌサフラン」の写真があるんだけど、見てみて。
(村上)
ほぼ一緒じゃないですか? 見分け付かないです。
(犬飼)
イヌサフランは秋になるとかわいい花を咲かせる植物で、観賞用としてお庭に植えるかたもいらっしゃいます。しかし、春の間は地中からギョウジャニンニクにそっくりな葉を出すだけなので、自分で植えた記憶がなくても、ギョウジャニンニクと勘違いして食べてしまうケースがあるんです。
(杉浦)
しかもイヌサフランは葉っぱだけではなくて、球根もジャガイモやタマネギにちょっと似てるんだよ。それで食べちゃって、食中毒になってしまうパターンもあるから。
(犬飼)
そうなんです。実はイヌサフランによる死亡者は過去10年間で14名にも上り、有毒植物による死亡者数の中で最も多いんです。
(村上)
そんなにたくさんのかたがいらっしゃるんですね。イヌサフランを食べてしまうと、どんな症状出るんですか?
(犬飼)
葉や球根を食べると吐き気、嘔吐、腹痛、下痢の症状が現れ、重症になると臓器障害を起こします。
(村上)
かなり苦しい症状ですよね。
(犬飼)
はい。「勘違い」「思い違い」は誰にでも起こり得るものです。ですから危険を回避するためには、観賞用の花壇と家庭菜園とは別に作り一緒に植えないことです。観賞用のイヌサフランは、家庭菜園や畑の近くには絶対に植えないようにしてください。
(杉浦)
観賞用の植物と食用の植物は場所をしっかりと分けて、名札を立てるといいかもしれないですよね。
(村上)
他にもたくさんありそうなんですけど、間違えやすい有毒植物ってどんなものがありますか?
(犬飼)
スイセンによる食中毒が、特に春のこの時期に多いです。過去10年間の発生件数は73件、患者数は226名、死亡者数は1名です。
(村上)
お庭とか公園でよく見かける、あのスイセンですよね?
(犬飼)
そうです。観賞用の植物なのですがその葉はニラにそっくりで、近年3月から5月頃に、葉をニラと間違えて食べて食中毒になるケースがあります。実は今年の1月もニラと間違えた食中毒が発生しています。スイセンを食べると30分以内に吐き気や嘔吐、下痢、頭痛などの症状を起こします。また、植物の汁が皮膚に触れるだけで接触性皮膚炎を起こします。
(村上)
えー、食べるだけじゃなくて皮膚に付いただけでも。スイセンってそんな毒があるなんて、知らないかた多そうですね。
(杉浦)
キレイなお花のイメージありますけどね。あと野生のニラも結構生えてるのよ。それで山菜採りのかたがニラと思って採って、というパターンもね…。ここでスイセンとニラの写真見てもらえる?
(村上)
ほぼ一緒ですね。えー! でもスイセンには球根があって、ニラには球根がないんですね。根っこまで見ると違い分かりますけど、球根は埋まってるから地上から見ると分かんないですもんね。
(杉浦)
葉っぱだけ採ったら分かんない。
(村上)
間違えちゃいそう。これは。
(犬飼)
実はスイセンの場合、球根をタマネギと間違えることもあるようです。
(村上)
そうなんだ。球根も間違えちゃうんですね! 最近「ミニタマネギ」とか「ペコロス」と呼ばれる小さいタマネギとかもあるから、間違えちゃったりするのかなぁ。
(杉浦)
自然界にはトラップがいっぱいあるってことで、後半も間違えやすい有毒植物を学んでいきましょう。
(村上)
犬飼さん、私たちが「勘違い」や「思い込み」から間違えて食べてしまいやすい有毒植物ですが、「イヌサフラン」や「スイセン」以外にはどんなものがありますか?
(犬飼)
はい。過去に数名、死亡者が出ているのが「トリカブト」です。トリカブトに毒があることは多くのかたに知られていますが、その若葉が「ニリンソウ」に似ているということは、あまり知られていません。ニリンソウは春の野山でよく見られる、とってもポピュラーな山菜で、おひたしや天ぷらにして食べるかたが多くいます。そのためニリンソウとトリカブトを間違え、食中毒や死亡事件が発生しているんです。
(杉浦)
怖いね。例えば2005年4月下旬、20代から70代の男女6人がニリンソウと間違えてトリカブトを食べ、70代の男性が死亡。2012年4月には、採ってきたトリカブトをおひたしにして食べて、70代以上と40代の男性2人が死亡しております。
(犬飼)
トリカブトを誤って食べると30分以内に唇や舌がしびれを感じ、次第に手足にも広がり、重症になると呼吸不全を起こしてしまいます。
(杉浦)
ここにトリカブトとニリンソウの写真があるんですけど、見てみる?
(村上)
えっ! 一緒じゃないですか。
(杉浦)
ほぼ一緒だよね。「科」が一緒なんだって。だから葉っぱの形がほぼ一緒。
(犬飼)
そうなんです。トリカブトもニリンソウも同じキンポウゲ科で、同じ所に生えていることもあるので気を付けてください。
(村上)
今見てる写真も同じところに生えてる。ほんとに同じ植物くらいの感じで近くに生えてるんですね。これは見分けるの難しいですね。
(杉浦)
山菜採りでは「フキノトウ」を採る時も気を付けたほうがいいんだって。
(犬飼)
はい。フキノトウは、つぼみを天ぷらにして食べることが多いと思うんですが、そのつぼみによく似ているのは「ハシリドコロ」という有毒植物の新芽です。ハシリドコロという植物は、知らないかたが多いと思いますので、今日はフキノトウのつぼみに似ている有毒植物があることを覚えて、山菜採りをする時は気を付けていただければと思います。
(杉浦)
今日はご紹介しきれなかったんですけども、「チョウセンアサガオ」とか「キダチチョウセンアサガオ」の根っこをゴボウと間違えたり、「グロリオサ」っていう園芸植物があるんだけど、その根っこを「ヤマイモ」と間違えて食中毒や死亡者が出ているケースもあるので、葉っぱだけでなく根っこの部分でも誤食による事故が発生していることも、覚えてもらいたいですね。
(村上)
有毒な植物を間違えて食べないようにするために、どんなことに注意したらいいでしょうか?
(犬飼)
はい。「まちがいなく食用だと判断できない植物は「採らない!食べない!売らない!人にあげない!」」このことを徹底してください。
(杉浦)
庭や家庭菜園で、植えた覚えのない植物を見かけたら絶対に食べちゃダメですよね。「有毒植物かも」と疑う気持ちを常に持っていてほしいですね。
(犬飼)
はい。また観賞用の植物の中には有毒なものもありますから、野菜などの食用と同じ場所で一緒に栽培しないでください。観賞用の植物は畑や菜園から離れた場所で栽培し、何を栽培しているのかすぐ分かるように、植物の種類や名前を書いた札を立てることをお勧めします。また庭や畑に植物を植えたら、家族にもその名前など伝えておきましょう。家族が誤って食べることを防ぐために有効です。
(村上)
山菜も有毒植物が混じっているかもしれないと思って、一つずつ確認しないといけないですね。
(犬飼)
はい。確認は調理する前も行ってください。そして、もしもの時のために植物の写真を撮っておいてください。万が一食中毒になった時に、原因を特定しやすくなり治療に役立つ場合もあります。
(村上)
写真って聞いて思ったんですけど、最近って写真を撮って画像検索したりとか、スマホのカメラ機能で植物を写すと、名前を教えてくれるアプリとかあるじゃないですか? そういったものを活用すれば、こういう誤食って防げたりするんですか?
(犬飼)
実はこれはキノコの事例なんですが、公園に生えているキノコを画像検索機能を用いて調べたにもかかわらず、食中毒が発生した事例があります。
(杉浦)
僕もキノコ採りで何回かやったんだけど、3回撮って3回とも違うキノコの名前が出てきたから。まだまだ追いついてないからね。
(犬飼)
ですから画像検索はもちろん、図鑑の写真や絵と見比べて判断するのは危険です。
(村上)
確実に食べられる植物であると判断できないものは、「採らない!食べない!売らない!人にあげない!」を徹底するしかないんですね。
(犬飼)
はい。もしも、いつもと香りが違う、強い苦みやえぐみなど味がおかしいと感じた時は、すぐに食べるのをやめ、具合が悪くなった時はすぐに医師の診察を受けてください。毎年、春から夏にかけて有毒植物による食中毒が多く発生しています。家庭菜園や山菜採りを楽しまれるかたは、有毒植物を間違えて食べないように十分に注意してください。
(杉浦)
今日の話を聞いて特に注目したこと、今回は佳菜子ちゃんとの合わせ技でいきましょう! 「まちがいなく食用だと判断できない植物は」…
(村上)
「採らない!食べない!売らない!人にあげない!」
(杉浦)
間違いない!
「 関連リンク 」
・厚生労働省「有毒植物による食中毒に注意しましょう」