アーカイブ

2025.05.04
学校に生成AIがやってきた!
昨今話題になっている「生成AI」が、教育現場でも利活用されるようになりました。
AI時代を生きるこどもたちだからこそ、正しくリスクを知り、必要以上に恐れず、上手に使うことが大切になってきます。
今回は、「学校に生成AIがやってきた!」というテーマで学びました。
続きを読む
AI時代を生きるこどもたちだからこそ、正しくリスクを知り、必要以上に恐れず、上手に使うことが大切になってきます。
今回は、「学校に生成AIがやってきた!」というテーマで学びました。
(杉浦)
今日のテーマは「学校に生成AIがやってきた!」です。
(村上)
生成AI、文章とか画像を作ってくれちゃうやつですよね。めっちゃ興味あります!
(杉浦)
「ChatGPT」とか「Gemini」とかの話題、結構出るけどさ。生成AIを簡単に説明しますと、膨大なデータを学習して、それを基に文章や画像など新たなコンテンツを作り出すAI、人工知能のことです。
(村上)
AIという大きな枠の中に、生成AIがあるっていうイメージですよね?
(杉浦)
そうそう。AIを使ったサービスは結構前からあったんだけど、例えば将棋などの対戦ゲームアプリとか、スマホに搭載されている顔認証システム、スマートスピーカーに使用されている音声認識システムとかね。これもAIを活用したサービスです。
(村上)
そっか、そういうのもAIなのか。もう当たり前のように日常生活で使ってますよね。
(杉浦)
もう溶け込んでるね。一方の生成AIは、AIの中でも新しいコンテンツを生み出すことに特化したAI。文章とか画像が作れるだけではなくて、音楽とか動画も作れちゃう。
(村上)
めっちゃハイテクですね。ただ、それって「すごいなぁ」と思う一方で「怖い」っていうか、いろいろ問題もありそうですよね。
(杉浦)
そうだよね。だから僕らの声を勝手に生成したり、漫画家の作風を勝手に真似て新しい作品を作り出すこともできちゃう。便利な一方でリスクもあるから。実際、社会に様々な影響を及ぼしてるから…。ただ、使い方によっては非常に役立つものでもあるからさ、近年では教育分野での利活用も進められてるんだって。
(村上)
へー。どんな風に使われてるんですか? 気になります。
(杉浦)
分かりやすい例で言うと、自分で作成した英作文を生成AIに添削してもらったりとか、英語の発音チェックをしてもらったりできちゃうんだよ。
(村上)
発音まで!? えー! すごい便利ですね。でも教育分野だからこそ、リスクってやっぱり心配じゃないですか。だって今ってこども一人ひとりが端末を持って、学びに活用してる時代じゃないですか。学校の宿題をAIに丸投げしてやってもらうこともできちゃったり?
(杉浦)
確かにね。中にはそういう心配をしているかたもいると思いますので、ここからは今日の講師に伺っていきましょう。文部科学省初等中等教育局の寺島 史朗さんです。
(村上)
寺島さん、教育分野でも生成AIが使われ始めているそうですが、いろいろ心配な面もありませんか?
(寺島)
はい。確かに生成AIの利活用には様々な課題もあります。生成AIは膨大な情報を学習しますが、事実とは異なる情報を出力する場合もあります。このように、それを完全に防ぐことは極めて難しいとされています。学校現場での利活用に当たっては一定のリスクがあります。
(杉浦)
ちなみにAIが事実と異なるもっともらしい嘘をつくことを、「幻覚」っていう意味の英語で「ハルシネーション」って言うらしいよ。
(寺島)
生成AIは、大量のデータの中にある偏りをそのまま再生成することや、著作権、機密情報や個人情報の流出に関するリスクも指摘されています。ですから学校現場では、そのようなリスクを踏まえた上で適切に利活用を行なっていくことが重要と考えています。
(村上)
でも学校現場で急に対応するのも、なかなか難しいのではないかなと思うんですが。
(寺島)
その通りです。文部科学省では学校で生成AIを適切に利活用できるよう、生成AIの概要やそのリスク、基本的な考え方、場面や主体に応じたポイントをまとめたガイドラインを作成しています。
(村上)
確かにガイドラインがあると参考にできて心強いですよね。だって生成AIは、ものすごいスピードで社会に普及してますから、先生たちも急に「教育現場で使って」って言われても戸惑いますもんね。
(杉浦)
戸惑うよ! 先生だけじゃなくて保護者にとっても、ガイドラインがあれば心強いんじゃないかなー? 僕もね、生成AIとの向き合い方をこどもたちに教えるべきじゃないかと思ってるんですが、何をどう教えればいいのか難しくて。
(村上)
寺島さん、そのガイドラインには、主にどのようなことがまとめられているんですか?
(寺島)
まず基本的な考え方として「人間中心の利活用」そして「情報活用能力の育成」という2点を示しています。1点目は生成AIと人間との関係を対立的に捉えたり、必要以上に不安に思うのではなく、「生成AIは使い方によって人間の能力をサポートし、可能性を広げてくれる、有用な道具になり得るものと捉えること」。そして「生成されたものはあくまでも参考の一つとして、リスクや懸念を踏まえた上で、最後は人間が判断し、自らが責任を持つという基本姿勢が重要であること」、このようなことを示しています。これは教育分野に限らない話だと思います。生成AIと向き合う、基本的な姿勢だと思います。
(杉浦)
生成AIはあくまでも道具であり、その道具の性質を踏まえて生成されたものを利用するかしないか、利用するのであればどのように利用するのか、その判断も人間が行って最終的な責任は人間が持つ、ということですね。
(寺島)
はい、その通りです。また2点目として、学校で生成AIを利活用するのであれば、活用することが目的ではなく、児童生徒の資質・能力の育成に役立つかどうか、教育活動の目的を達成するのに効果的かどうかをよく吟味した上で、利活用することやネットワーク上のルールやマナーを守るといった、情報モラルを含む情報活用能力の育成を一層強化することを示しています。
(杉浦)
生成AIを使うことが目的ではなくて、あくまでもこどもの成長に役立つように効果的に使うように。また生成AIの存在を前提とした資質・能力の育成、特に情報活用能力を一層強化してほしい、といったことを示しているということですね。
(村上)
なるほど。そうした基本的な考え方については分かりましたけど、実際に生成AIを学校で使うのは先生たちも初めてのことだと思うので、やっぱり頭を悩ませるんじゃないかな? と思うんですが。
(杉浦)
実はパイロット校って言うのがあって、すでに生成AIを取り入れている試行事例があるので、ここからはパイロット校で生成AIがどのように取り入れられているのか伺っていきます。学校で生成AIが使われてる場面は大きく分けて二つです。一つは「教職員が校務、つまり学校の仕事で利活用する場面」、もう一つは「生徒が学習活動で利活用する場面」ですね。
(寺島)
はい。まず「教職員が校務で利活用」する場面からご説明します。生成AIを先生方が校務で利活用すると、効率化や質の向上につながり、その結果として教師の働き方改革につながることが期待されています。
(村上)
私の友達にも小学校の先生、何人かいるんですけど。やっぱり「大変!」っていう話を聞くので、生成AIを活用すると先生たちは仕事が効率化していいですよね。
(寺島)
例えばある学校では、各種行事の案内文を作成するのに、まずはたたき台を生成AIで作成した上で先生が修正や補足を行ったり、学年だよりなどを作成するのに誤字・脱字のチェックを生成AIに行わせたりするそうです。こうすることで、先生達による確認の時間を大幅に短縮できるそうです。
(杉浦)
便利だねー。他の事例では、授業で使用したワークシートや振り返りの内容を生成AIに読み込ませて、それを基にテスト問題のたたき台を作成した学校もあるそうですね。
(村上)
確かにそういう使い方をすると、先生の仕事の効率化に役立ちますね。
(杉浦)
そうだね。先生がよりこどもと向き合う時間が取れるっていうのも、こどもたちにとってもいいこと! では続いて、生成AIが生徒の学習活動でどのように利活用されているのか、こちらの事例についても教えてください。
(寺島)
ある小学校の例ですけれども、6年生の生徒に先生が生成AIを使って作成した誤りを含む記事と、実際の記事を比較してもらう授業を行いました。これにより生成AIの性質やリスクをリアルに実感してもらい、今後「どのようにAIを活用したいか」考えをまとめさせた。こんな授業もありました。
(杉浦)
先ほどの情報モラルを身に付けさせる授業をされたんですね。
(寺島)
はい。この授業を受けた生徒からは「インターネット上の情報をすぐに信じるのではなく、様々な資料と照らし合わせたり、自分の経験を基に考えることが大切だと感じました」という反応があったそうです。
(村上)
こういう授業はこどもだけじゃなくて、私たち大人にも必要な気がしますね。
(杉浦)
ほんとだよ! それでね、中学生になるとさらに高度な授業も行われているんだって。
(寺島)
そうですね。例えば、ある課題に対してグループの考えをまとめてアイディアを出すというグループワークで、ある程度生徒たちの考えがまとまったところで、生成AIに新しい視点や生徒たちの意見に対するアドバイスをもらい、より検討を深めるという授業を行なった学校もあります。
(杉浦)
例えばね、生徒たちが地域の課題についてグループワークで議論を行い、課題は地域のアピール不足だとまとめたとします。
(村上)
なるほど、地域の課題を検討する授業はたくさんありそうですね。
(杉浦)
でもここで、生成AIに違う視点でアドバイスをくれるようにオーダーしたり、反対意見を言ってくれるようにオーダーすると、全く違う視点が生まれるっていう。第三者の意見みたいな。例えば「必要な人に情報が届いていない」とか、「これ以上魅力を発信するのではなく、すでに住んでいる人達へのサービスを増やしてほしい」とか。
(村上)
すごい! 確かにみんなで話してると一つのことに入り込んでしまうけど、全然違うところから意見してくれることで、またいい意見が生まれたりしますよね。
(杉浦)
寺島さん、今のは僕が考えた例えなんですけど、こういう使い方ができるということですか?
(寺島)
はい、そのとおりです。少人数のグループでは違う視点が出にくかったり、反対意見を言うことをためらってしまう場合も考えられますが、生成AIを上手に活用すれば提示された視点を踏まえて、さらに考えを深めることができます。
(杉浦)
なるほど。加えて生成AIが出した違う視点や意見に対して、さらに反論する場合にも人が相手だと反論しにくい場合があるかもしれないけれど、生成AIが相手だったら言いやすかったりするかもしれませんね。
(村上)
確かに。生成AIは使い方次第っていうことですよね。なんかあるかな…。
(杉浦)
僕的にはやっぱりこどもたちと一緒に使ってみるのいいかなと思って。普段の生活にどう溶け込んで使っていけたら便利なのかな? とか。でも親も学ばないとさ。ついていけないよ、これ。
(村上)
逆にこどもたちの方が詳しいんじゃないかな? と思っちゃいますよね。私たちはノートに書いてたわけですから(笑)
(杉浦)
そうそう!(笑) いやー、時代についていかなきゃいけないね。
(寺島)
はい。AI時代を生きるこどもたちが、生成AIをはじめとしてテクノロジーを道具として使いこなし才能を開花させるには、学校現場で生成AIが適切に利活用されることが望まれます。先生方をはじめ、日頃からこどもと接する機会があるかたは、生成AIを必要以上に怖がることなく正しくそのリスクを認識して、まずは自分たちが適切に向き合っていくことが大事だと考えています。
(村上)
今日の話を聞いて特に注目したのは「生成AI 正しく理解し、活用しよう」です。
(杉浦)
大事だね! 僕は「生成AI時代 こどもと一緒に学んでいこう」です。親もね、知っておかないとね。
「 関連リンク 」
・文部科学省「生成AIの利用について」
今日のテーマは「学校に生成AIがやってきた!」です。
(村上)
生成AI、文章とか画像を作ってくれちゃうやつですよね。めっちゃ興味あります!
(杉浦)
「ChatGPT」とか「Gemini」とかの話題、結構出るけどさ。生成AIを簡単に説明しますと、膨大なデータを学習して、それを基に文章や画像など新たなコンテンツを作り出すAI、人工知能のことです。
(村上)
AIという大きな枠の中に、生成AIがあるっていうイメージですよね?
(杉浦)
そうそう。AIを使ったサービスは結構前からあったんだけど、例えば将棋などの対戦ゲームアプリとか、スマホに搭載されている顔認証システム、スマートスピーカーに使用されている音声認識システムとかね。これもAIを活用したサービスです。
(村上)
そっか、そういうのもAIなのか。もう当たり前のように日常生活で使ってますよね。
(杉浦)
もう溶け込んでるね。一方の生成AIは、AIの中でも新しいコンテンツを生み出すことに特化したAI。文章とか画像が作れるだけではなくて、音楽とか動画も作れちゃう。
(村上)
めっちゃハイテクですね。ただ、それって「すごいなぁ」と思う一方で「怖い」っていうか、いろいろ問題もありそうですよね。
(杉浦)
そうだよね。だから僕らの声を勝手に生成したり、漫画家の作風を勝手に真似て新しい作品を作り出すこともできちゃう。便利な一方でリスクもあるから。実際、社会に様々な影響を及ぼしてるから…。ただ、使い方によっては非常に役立つものでもあるからさ、近年では教育分野での利活用も進められてるんだって。
(村上)
へー。どんな風に使われてるんですか? 気になります。
(杉浦)
分かりやすい例で言うと、自分で作成した英作文を生成AIに添削してもらったりとか、英語の発音チェックをしてもらったりできちゃうんだよ。
(村上)
発音まで!? えー! すごい便利ですね。でも教育分野だからこそ、リスクってやっぱり心配じゃないですか。だって今ってこども一人ひとりが端末を持って、学びに活用してる時代じゃないですか。学校の宿題をAIに丸投げしてやってもらうこともできちゃったり?
(杉浦)
確かにね。中にはそういう心配をしているかたもいると思いますので、ここからは今日の講師に伺っていきましょう。文部科学省初等中等教育局の寺島 史朗さんです。
(村上)
寺島さん、教育分野でも生成AIが使われ始めているそうですが、いろいろ心配な面もありませんか?
(寺島)
はい。確かに生成AIの利活用には様々な課題もあります。生成AIは膨大な情報を学習しますが、事実とは異なる情報を出力する場合もあります。このように、それを完全に防ぐことは極めて難しいとされています。学校現場での利活用に当たっては一定のリスクがあります。
(杉浦)
ちなみにAIが事実と異なるもっともらしい嘘をつくことを、「幻覚」っていう意味の英語で「ハルシネーション」って言うらしいよ。
(寺島)
生成AIは、大量のデータの中にある偏りをそのまま再生成することや、著作権、機密情報や個人情報の流出に関するリスクも指摘されています。ですから学校現場では、そのようなリスクを踏まえた上で適切に利活用を行なっていくことが重要と考えています。
(村上)
でも学校現場で急に対応するのも、なかなか難しいのではないかなと思うんですが。
(寺島)
その通りです。文部科学省では学校で生成AIを適切に利活用できるよう、生成AIの概要やそのリスク、基本的な考え方、場面や主体に応じたポイントをまとめたガイドラインを作成しています。
(村上)
確かにガイドラインがあると参考にできて心強いですよね。だって生成AIは、ものすごいスピードで社会に普及してますから、先生たちも急に「教育現場で使って」って言われても戸惑いますもんね。
(杉浦)
戸惑うよ! 先生だけじゃなくて保護者にとっても、ガイドラインがあれば心強いんじゃないかなー? 僕もね、生成AIとの向き合い方をこどもたちに教えるべきじゃないかと思ってるんですが、何をどう教えればいいのか難しくて。
(村上)
寺島さん、そのガイドラインには、主にどのようなことがまとめられているんですか?
(寺島)
まず基本的な考え方として「人間中心の利活用」そして「情報活用能力の育成」という2点を示しています。1点目は生成AIと人間との関係を対立的に捉えたり、必要以上に不安に思うのではなく、「生成AIは使い方によって人間の能力をサポートし、可能性を広げてくれる、有用な道具になり得るものと捉えること」。そして「生成されたものはあくまでも参考の一つとして、リスクや懸念を踏まえた上で、最後は人間が判断し、自らが責任を持つという基本姿勢が重要であること」、このようなことを示しています。これは教育分野に限らない話だと思います。生成AIと向き合う、基本的な姿勢だと思います。
(杉浦)
生成AIはあくまでも道具であり、その道具の性質を踏まえて生成されたものを利用するかしないか、利用するのであればどのように利用するのか、その判断も人間が行って最終的な責任は人間が持つ、ということですね。
(寺島)
はい、その通りです。また2点目として、学校で生成AIを利活用するのであれば、活用することが目的ではなく、児童生徒の資質・能力の育成に役立つかどうか、教育活動の目的を達成するのに効果的かどうかをよく吟味した上で、利活用することやネットワーク上のルールやマナーを守るといった、情報モラルを含む情報活用能力の育成を一層強化することを示しています。
(杉浦)
生成AIを使うことが目的ではなくて、あくまでもこどもの成長に役立つように効果的に使うように。また生成AIの存在を前提とした資質・能力の育成、特に情報活用能力を一層強化してほしい、といったことを示しているということですね。
(村上)
なるほど。そうした基本的な考え方については分かりましたけど、実際に生成AIを学校で使うのは先生たちも初めてのことだと思うので、やっぱり頭を悩ませるんじゃないかな? と思うんですが。
(杉浦)
実はパイロット校って言うのがあって、すでに生成AIを取り入れている試行事例があるので、ここからはパイロット校で生成AIがどのように取り入れられているのか伺っていきます。学校で生成AIが使われてる場面は大きく分けて二つです。一つは「教職員が校務、つまり学校の仕事で利活用する場面」、もう一つは「生徒が学習活動で利活用する場面」ですね。
(寺島)
はい。まず「教職員が校務で利活用」する場面からご説明します。生成AIを先生方が校務で利活用すると、効率化や質の向上につながり、その結果として教師の働き方改革につながることが期待されています。
(村上)
私の友達にも小学校の先生、何人かいるんですけど。やっぱり「大変!」っていう話を聞くので、生成AIを活用すると先生たちは仕事が効率化していいですよね。
(寺島)
例えばある学校では、各種行事の案内文を作成するのに、まずはたたき台を生成AIで作成した上で先生が修正や補足を行ったり、学年だよりなどを作成するのに誤字・脱字のチェックを生成AIに行わせたりするそうです。こうすることで、先生達による確認の時間を大幅に短縮できるそうです。
(杉浦)
便利だねー。他の事例では、授業で使用したワークシートや振り返りの内容を生成AIに読み込ませて、それを基にテスト問題のたたき台を作成した学校もあるそうですね。
(村上)
確かにそういう使い方をすると、先生の仕事の効率化に役立ちますね。
(杉浦)
そうだね。先生がよりこどもと向き合う時間が取れるっていうのも、こどもたちにとってもいいこと! では続いて、生成AIが生徒の学習活動でどのように利活用されているのか、こちらの事例についても教えてください。
(寺島)
ある小学校の例ですけれども、6年生の生徒に先生が生成AIを使って作成した誤りを含む記事と、実際の記事を比較してもらう授業を行いました。これにより生成AIの性質やリスクをリアルに実感してもらい、今後「どのようにAIを活用したいか」考えをまとめさせた。こんな授業もありました。
(杉浦)
先ほどの情報モラルを身に付けさせる授業をされたんですね。
(寺島)
はい。この授業を受けた生徒からは「インターネット上の情報をすぐに信じるのではなく、様々な資料と照らし合わせたり、自分の経験を基に考えることが大切だと感じました」という反応があったそうです。
(村上)
こういう授業はこどもだけじゃなくて、私たち大人にも必要な気がしますね。
(杉浦)
ほんとだよ! それでね、中学生になるとさらに高度な授業も行われているんだって。
(寺島)
そうですね。例えば、ある課題に対してグループの考えをまとめてアイディアを出すというグループワークで、ある程度生徒たちの考えがまとまったところで、生成AIに新しい視点や生徒たちの意見に対するアドバイスをもらい、より検討を深めるという授業を行なった学校もあります。
(杉浦)
例えばね、生徒たちが地域の課題についてグループワークで議論を行い、課題は地域のアピール不足だとまとめたとします。
(村上)
なるほど、地域の課題を検討する授業はたくさんありそうですね。
(杉浦)
でもここで、生成AIに違う視点でアドバイスをくれるようにオーダーしたり、反対意見を言ってくれるようにオーダーすると、全く違う視点が生まれるっていう。第三者の意見みたいな。例えば「必要な人に情報が届いていない」とか、「これ以上魅力を発信するのではなく、すでに住んでいる人達へのサービスを増やしてほしい」とか。
(村上)
すごい! 確かにみんなで話してると一つのことに入り込んでしまうけど、全然違うところから意見してくれることで、またいい意見が生まれたりしますよね。
(杉浦)
寺島さん、今のは僕が考えた例えなんですけど、こういう使い方ができるということですか?
(寺島)
はい、そのとおりです。少人数のグループでは違う視点が出にくかったり、反対意見を言うことをためらってしまう場合も考えられますが、生成AIを上手に活用すれば提示された視点を踏まえて、さらに考えを深めることができます。
(杉浦)
なるほど。加えて生成AIが出した違う視点や意見に対して、さらに反論する場合にも人が相手だと反論しにくい場合があるかもしれないけれど、生成AIが相手だったら言いやすかったりするかもしれませんね。
(村上)
確かに。生成AIは使い方次第っていうことですよね。なんかあるかな…。
(杉浦)
僕的にはやっぱりこどもたちと一緒に使ってみるのいいかなと思って。普段の生活にどう溶け込んで使っていけたら便利なのかな? とか。でも親も学ばないとさ。ついていけないよ、これ。
(村上)
逆にこどもたちの方が詳しいんじゃないかな? と思っちゃいますよね。私たちはノートに書いてたわけですから(笑)
(杉浦)
そうそう!(笑) いやー、時代についていかなきゃいけないね。
(寺島)
はい。AI時代を生きるこどもたちが、生成AIをはじめとしてテクノロジーを道具として使いこなし才能を開花させるには、学校現場で生成AIが適切に利活用されることが望まれます。先生方をはじめ、日頃からこどもと接する機会があるかたは、生成AIを必要以上に怖がることなく正しくそのリスクを認識して、まずは自分たちが適切に向き合っていくことが大事だと考えています。
(村上)
今日の話を聞いて特に注目したのは「生成AI 正しく理解し、活用しよう」です。
(杉浦)
大事だね! 僕は「生成AI時代 こどもと一緒に学んでいこう」です。親もね、知っておかないとね。
「 関連リンク 」
・文部科学省「生成AIの利用について」