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未来を変えよう! グリーン志向消費

未来を変えよう! グリーン志向消費

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地球規模で抱えている環境問題ですが、私たち一人ひとりの日々のちょっとした行動で変えていくことができます。

今回は、「未来を変えよう! グリーン志向消費」というテーマで学びました。
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(杉浦)
佳菜子ちゃん、今日はいきなりですが、次の項目をよく聞いて当てはまるものをチェックしてみてください。リスナーの皆さんも一緒にどうぞ。

(村上)
急ですね!

(杉浦)
チェック1「洗面、歯磨き、食器洗い、シャワーなどで節水を心掛けている」。

(村上)
うーん、全部じゃないけどシャワーは一回一回止めるかも。食器洗いとかはどうかな…。

(杉浦)
チェック2「過剰包装はお断りする」。

(村上)
これはやってます! スーパーで「袋要りません」って言うけど、入れてくれるポリ袋もお断りしています。

(杉浦)
チェック3「服を洗濯するときは、洗濯表示を見て素材に合ったケアを行う」。

(村上)
ごめんなさい。これはしてません。洗濯表示、見たことないかも(笑)。

(杉浦)
でも2個当てはまったね。こちら、一つでも当てはまるものがあったかたは…、おめでとうございます! あなたは世界の未来を変えることができる、グリーン志向の消費者です。これから、もっともっとグリーン志向消費を心掛けていきましょう。

(村上)
「おめでとうございます」と言われるとうれしいんですけど、そもそも「グリーン志向消費」って初めて聞く言葉なんですけど、どんなものなんですか?

(杉浦)
そうだよね。僕も初めて聞いたんで予習してきたんですけど、ざっくり「グリーン志向消費」を説明しますと「環境に配慮した商品やサービスを選ぶ消費行動のこと」です。ずーっと以前から、地球環境は危機的状況だって言われてるじゃん。気候変動とか、海洋汚染とか、この番組でも時々話題になってますよね。

(村上)
そうですね。記録的な大雨や大雪で被害が発生したりとか、夏がめちゃくちゃ暑かったりするのも、地球温暖化による気候変動が要因だって言われてますもんね。だから温暖化の要因であるCO2の排出量を抑えるよう、いろんな取組が進められているのは、もちろん知ってます!

(杉浦)
そう、地球温暖化の責任は、ほぼ全面的に僕たち人類にあると言われてまして、僕たちも日々の行動を見直して社会を変え、ひいては世界の未来を変えていくことが不可欠になってますね。ただ頭では分かっていても、実際に行動に移せているかと言いますと…。

(村上)
さっきのチェック項目じゃないですけども、できてることもあるけど、できてないこともあるって感じですよね…。

(杉浦)
だよね。消費者意識調査によりますと、消費者の地球環境問題への関心は高い一方、実際の消費行動は必ずしも環境に配慮したグリーン志向消費ではないんだって。

(村上)
なぜなんでしょうかね?

(杉浦)
ここからは今日の講師に伺っていきましょう! 消費者庁消費者教育推進課の黒田 啓太さんです。

(村上)
黒田さん、環境問題への関心が高いのに、必ずしもグリーン志向消費でないのはどうしてなんでしょうか?

(黒田)
一つ言えるのは、地球環境問題が「自分ごととして受け止められていないから」ではないでしょうか。暑すぎて学校のプールが中止になるなど、身の回りの変化は体感しつつも、地球環境問題となると、遠い未来の問題だと感じてしまうのかもしれません。意識調査などから見ても、海外と比べて危機感が欠如している印象です。例えば「このままでは地球が大変なことになる」と言われても、「私一人が何かをしてもどうせ…」というネガティブな感情や、「誰かがきっと何かをやってくれる」という他人任せの姿勢があると思われます。

(杉浦)
そうですよね。危険な状況であっても、ちょっとした変化なら「日常のこと」と思ってしまう人間心理が働いちゃってるのかもしれないですね。日本は世界的に見ても平和で安全な国だから、余計にそういう心理が強いのかもしれないね。

(村上)
そうかもしれないですね。ただ環境へ配慮された商品やサービスは、お値段が比較的高めのことが多いですよね。最近は物価も上がってますから、経済的な事情から、そうした商品やサービスを選びづらいのかもしれないですよね。

(黒田)
確かにそうかもしれませんが、先ほどのチェック項目にもあったとおり、環境に配慮した商品やサービスを選ぶことだけがグリーン志向消費ではありません。グリーン志向消費には、毎日の暮らしの中でコツコツできることもあり、その消費行動は多種多様なんです。

(村上)
そうですね。チェック1は「節水を心掛けている」という項目でしたけど、これもグリーン志向消費に含まれるということなんですね。

(黒田)
もちろんです。地球上の水のうち、私たちが利用できる水は僅か0.01パーセントなので、水資源はとても貴重です。そのため使用量を削減するほか、水を汚さない工夫も必要です。炊事や洗濯、入浴などで使われた生活排水は、私たちが泳いだり釣りをしたりする海や川などの水質を汚染する要因の一つです。例えば、中濃ソース大さじ1杯を流すと、魚が住める水質にするにはバスタブ1.3杯分の水が必要になります。

(村上)
そんなに必要なんですね! だってほんとに僅かじゃないですか、大さじ1杯って。こうして例えていただくと、ちょっとした行動がどれだけ環境に負荷を与えているのか、かなりリアルに分かりますね。

(黒田)
そうですよね。ですからお皿を洗うときは、ソースや油などの余分な汚れをあらかじめ拭き取ることで生活排水を減らし、環境に配慮した消費行動を心掛けることが大切です。それにより水質汚染対策になるだけではなく、浄水に必要な電力が抑えられて、CO2の排出量削減にもつながります。つまり、節水は紛れもなくグリーン志向の消費行動と言えるんです。

(村上)
節水するための行動が「環境に配慮したグリーン志向消費につながっている」ってことですね。しかも節水は家計にも優しいですよね。

(杉浦)
節水って、多くのかたがこどもの頃からご家庭や学校で心掛けるように言われていると思うんだけど、こうして改めてひもといてみると、今すぐにできる最適で最強のグリーン志向消費なんだよね。

(村上)
節水を甘く見てたなと思いました。

(杉浦)
さあ、残り二つのチェック項目も当然グリーン志向消費なので、詳しく学んでいきましょう。

(村上)
それでは黒田さん、続いてチェック2の「過剰包装をお断りする」ことが、なぜグリーン志向消費になるのか教えてください。

(黒田)
はい。商品を購入すると必要以上に包装されることがありますよね。その際に使われる紙は木材が原材料ですから、紙を生産するために大量の木が伐採されています。私たちの生活に欠かせない森林ですが、その減少の要因は他にも世界的なものとして、農地や植林地の開拓、火災、インフラ開発などが挙げられます。

(杉浦)
森林の面積なんですけども、2015年から2020年の間に平均で年間1,020万ヘクタールが減少しております。これは、サッカー場の面積で計算すると、なんと2.2秒ごとにサッカー場1面分の森林が失われていることになるんだって。今もこの瞬間、1面…2面……。怖くない?!

(村上)
怖すぎる。だって森林は温暖化の要因であるCO2を吸収してくれる、地球の空気清浄機みたいなものですよね。その大切な森林が、ものすごい勢いでなくなっているのは、かなり深刻な問題ですよね。

(黒田)
ですから、紙を無駄に使うことのないように過剰な包装はお断りすることも、グリーン志向消費になるんです。

(杉浦)
また、商品を購入する時に土に戻すことができるパッケージとか、再利用可能なパッケージの商品を選ぶこともグリーン志向消費ですね。

(村上)
最近ちょくちょく増えてきていますよね。では、チェック3の「服を洗濯するときは、洗濯表示を見て素材にあったケアを行う」。これは、なぜグリーン志向消費になるのか教えてください。

(黒田)
はい。洗濯のときに合成繊維から脱落する繊維くずは、下水処理で完全に処理しきることは困難で、マイクロプラスチックとして川や海に流出してしまうため、生物や生態系への影響が心配されています。そのため洗濯するときは表示をよく見て、ちょっとした工夫をすれば、衣服を長持ちさせるだけでなく、マイクロプラスチックの流出を防ぎ環境を守ることにつながります。

(杉浦)
海をこよなく愛する僕にとっては、海に流出するプラスチックごみ問題は大いに興味があるところなんですけども。実は、今のままプラスチックの不適切な処理が続きますと、2050年までに魚の重量を超えるプラスチックが海洋に流出するという予想もあるんです。

(村上)
少し聞いたことあるんですけど。「海がプラスチックのごみだらけになったら」って思っただけで、ゾッとしますよね。2050年って聞くと、まだ先のことっていう気がするんですけど、よく考えたら今日生まれた子は、その時まだ25歳。私の今の年齢、30歳よりも下ですからね。

(杉浦)
うちの第5子が夏に生まれるから、25歳の時だよ。

(村上)
いやー! そうやって考えたら、近い未来だなって思いますよね。

(杉浦)
ほんとだよ。守らなきゃ。

(村上)
では、合成繊維を洗濯するときのちょっとした工夫って、例えばどんなことですか?

(黒田)
洗濯ネットを洋服の素材によって使い分けてください。合成繊維の服、例えばフリースなどを洗う時は、より細かい網目の洗濯ネットを使う。こうした工夫がマイクロプラスチックの流出を防ぎ、環境保護につながるんです。また、これは衣類をダメージから守り、長持ちさせることにもつながります。

(村上)
本当に小さな行動ですけど、この「ほんのちょっとの工夫」を世界中の人が心掛ければ、やがて大きな影響を及ぼして未来が変わる、ということですよね。

(杉浦)
そう、ここまで紹介してきたグリーン志向消費は、いずれも今すぐできるし無理なく続けられるものばかりだけど、こうして日々、環境に配慮した消費行動を意識するようになると、もっと暮らしの中で自分ができるグリーン志向消費を探すようになるかもしれないよね。

(黒田)
実は、消費者庁では多くのかたに自身の生活を振り返ってもらい、身近な行動がグリーン志向の消費行動につながることを再認識していただくために、「グリーン志向消費に関する行動チェックリスト」をホームページで公開しています。「グリーンチェックリスト」で検索すると、すぐに該当ページを見つけることができますので、是非ご覧いただいて、自分にできるグリーン志向消費を探してみていただければと思います。

(杉浦)
佳菜子ちゃん、今ここにチェックリストの一覧がございます。この中で日頃やっていること、今度やってみようかなって思うこと、ありますか?

(村上)
日頃やってることで言うと「これもグリーン志向消費なんだ!」と思ったのが、「野菜を多く食べる」。私、妖怪サラダお化けって呼ばれてるんですけど、野菜が大好きでいっぱい食べるんです。3人前くらい余裕で食べちゃうんですよ。自然にできてる、と思って。

(杉浦)
僕は「冷蔵庫を整理する」とか。これ、置き方だったりとか電力の使い方とかあるやんか。結構、整理整頓するかなー。

(村上)
私はあとは「マイ○○を利用する」。マイボトルは基本いつも持ってるので。必ず家で入れて1リットル持ち歩いてます。

(杉浦)
そうか。それでプラスチック容器の消費が1個減るってことだもんね。こういうのもあるよ。「服で温度を調節する」。暑いときは脱いで、寒いときは着る。簡単だよね。

(村上)
簡単ですね。すぐに取り組めることがたくさんあります。

(黒田)
私たち一人ひとりがグリーン志向の消費行動を行えば、世界を変えられます。まずはできることからコツコツと始めてみてください。明日5月19日は、グリーン志向消費に関するシンポジウムを行い、アーカイブ配信も予定しています。是非、そちらもご覧になってください。

(村上)
私が今日の話を聞いて特に注目したのは、「小さな心掛けで 未来が変わる」です。

(杉浦)
名言出ました! 僕は、「グリーン志向消費 できることからコツコツと」です。


「 関連リンク 」
消費者庁「グリーン志向消費に関する行動チェックリスト」
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